ミルクは入れますか?
シロップはどうですか?
淡水の神アプスーは神々のお父さんであり、みんなのお父さんである。
美味しい水にこだわる偉い神様である。
だから毎日気が向いたら新聞を読むし、コーヒーを飲んでいる。
みんなのお父さんだからである。
ちなみに、ればのんしんぶんは不定期発行で、チーターの夫婦がひまつぶしに作っている。
内容は、明日が天気だったらいいな、とか、そろそろ新しいドングリの時期だとか、そういう内容である。
レバノンの大人たちには割と好評である。
アプスーが何となくふわわの方を見ると、
ふわわはアプスーが飲もうとしていたコーヒーの入っているマグカップをじっと見ていた。
「…飲むか?」
アプスーの問いかけにふわわは頷いた。
アプスーと同じくコーヒーが大好きな息子の水神エアは、ふわわの為にコーヒーを用意した。
いわゆるすごーいバリスタであるエアは、コーヒーの豆を絶妙な煎り加減とひき加減で準備した後、
初心者向けに、今回は敢えて雑味を無くすために、細かい布でコーヒーを抽出した。
かくして、生まれて初めてコーヒーなるものの味を覚えたふわわは、こう告げた。
「…にがい」
ふわわにはコーヒーは苦すぎた。
仕方が無いなと、ぶっきらぼうに言い放った嵐の神エンリルがミルクを持ってきた。
かつて海水と淡水が混じった様に、大いなる風が合わさり渦を巻いたように、
スプーンがコップの中に作る渦で、コーヒーとミルクが混じり合う。
エンリルは序にさりげなく用意したミルクに、僅かに砂糖を入れていた。
ツンデレ的な気遣いの一種である。
ふわわはコーヒー牛乳にクラスチェンジした飲み物におそるおそる口を付けた。
そしてその飲み物がふわわの口の中を通り、のどに流れた途端、ふわわの表情はパァッとあかるく輝いた。
「おいしい」
アプスーも、エアも、エンリルも思わずニッコリした。
エンリルはおかわりのコーヒー牛乳には砂糖の代わりに、モミの木のはなのみつを入れた。
ふわわにはこの味はもっと美味しかったようで、ふわわの表情はきらきらした。
せっかくなので、ふわわはモミの木のはなのみつを直接なめてみた。
ふわわの表情はぴかぴかした。
さて、コーヒーを飲み過ぎると大抵ある事態に陥ってしまう。
「ねむく…ない?」
ようするに、そういうことだ。
いわゆるコーヒーの成分カフェインが眠りを阻害するのだ。
これによってふわわはいつものように、食べたり飲んだりしたあとなのに眠くなかった。
まあ、睡眠なんて眠い時にとればいいし、無理矢理眠る必要も無い。
明日にいろいろ仕事が控えているなんてことも無いのだ。
だから、ふわわはそんなに気にしないことにした。
ふわわはコーヒーのせいであんまり眠くなりにくかったので、いつもより眠りに落ちるのが2,3秒遅かった。
夢の世界ではみんなではちみつのプールでぷかぷかしていた。
つまり、どういうことかというと、――――結局すやすやと寝た。
みるくもしろっぷもりょうほうおねがいします。