ふわふわふわわ   作:蕎麦饂飩

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ちょっと、ゆるい系で始まるタイトル縛りは緩めました。
まあ、ゆるくしても良いよね。

あと、ちょっとハラハラするかもですが、いつものノリなので大丈夫です。


ぷかぷかみずあそび

ネコという動物がいる。その語源はよく寝る子(・ ・)であるという。

ならば、ふわわはネコであると言えるのではないだろうか?

見た目はどちらかというと、ボルゾイ犬やレトリバー犬っぽいが。

 

「今日は面白いものを持ってきたのだわっ!!」

 

エレシュキガルはふうせんをたくさんもって森にやって来た。

冥界はふうせんの特産地でもあるのである。つい最近からだが。

レバノンの森にある風船の木の実が冥界の風土に思いの外フィットしたのである。

 

ぷかぷかとエレシュキガルの周囲を浮かんでいる風船に対し、

好奇心旺盛な動物たちは飛び付こうとするし、それほどでもない動物たちはふうせんを眺めながらも触ってみたくてうずうずしていた。

ふわわは後者の方であった。

 

たぬきさんの所の次女がふうせんを欲しがった。

たぬきさんの所は子沢山だ。だからここにいない兄弟の数も持って帰ろうと6つ貰おうとしたのだが、

5つめを貰った時点でたぬきちゃんは風船の軽さに負けてぷかぷかとお空に引っ張られて足が地面から離れそうなので、

おともだちのきつねちゃんがその内の3つを持ってあげる事にしたようだ。

たぬきちゃんときつねちゃんはそれぞれふうせんを3つずつ持ってたぬきさんのお家へ帰っていった。

たぬきもきつねも騙し合ったりはしない。ここはそういう世界である。

 

動物の子供たちにふうせんをせがまれるエレシュキガルは、口では少々照れ隠しのような事を言いながらも、

その表情は完全に緩んでいた。

エレシュキガルがみんなにふうせんを配り終えたころ、ウサギの女の子が泣きそうになりながら帰って来た。

その手には割れたふうせんがあった。多分何かしらかあって割れてしまったのだろう。

 

ふわわは、しばらく考えた後、

 

「ふわわのあげるよ」

 

自分のふうせんをあげる事にした。

ウサギの女の子は笑顔になった。ふわわもみんなも笑顔になった。

 

エレシュキガルはその光景を見て、少し感動した。

でも、周りの皆もニコニコしているので、ニコニコする事にした。

その笑顔の目元には優しい涙が浮かんでいた。

 

エレシュキガルは一流のそば職人でありながら、一流のふうせん職人でもある。

いわゆるデキる女であり、多芸なカッコいい女である。

割れた風船をコネコネして直すと、もう一度膨らませた。

でも、ここは空気が軽い所が多々ある冥界で無いので、ふわふわしても、ぷかぷかはしなかった。

要するにボートの様に横に長い楕円形のバランスボールみたいになったのである。

元のふうせんより大きくなっている上に、つなぎ目も無くなっている。

何度も言うようだが、エレシュキガルは一流のふうせん職人なのでこれが出来るのである。

 

折角なので、水には浮かぶだろうからみずうみに持って行って、浮かべてみんなで乗る事にした。

イシュタルもやって来た。手にはふわわの水着とバスタオルも持って来てある。

水に濡れても良い様にとの配慮である。流石はお姉ちゃんである。

 

今のふわわはビーチドレスに身を包む、避暑地にやって来た麗しのお嬢さまのようであるが、

イシュタルとエレシュキガルを除いて、避暑地のお嬢様がどのようなものか良く解るものが、この場にはいないので割愛する。

さて、ふわわが着替え終わるまでみんなが待ってくれていたので、ふわわはみんなとせーのでボートに乗った。

 

 

ボートはゆらゆらと水面に揺れる。沈む気配は一向にない。大成功である。

ボートの上にはこどもたちが楽しんでいる。

イシュタルとエレシュキガルはその様子を見ながら昔の事を語り合っていた。

 

さて、動物のこどもたちは思う存分ボートを体験してある事に気が付いた。

…岸から離れて戻り方がわからない。

 

こどもたちは困った。見ていた元女神と女神の大人たちも困った。

どうしようかと悩んでいると、水面に列に並んだ突起が特徴のうろこが見えて、また沈んだ。

そしてボートに近づいてまた浮上してきた。

その正体は巨大なイリエワニだった。

 

ボートから顔を出しているヤギのこどもが水の中に落ちた。

それを確認したイリエワニは水中に潜った。

 

暫くして水面にまたイリエワニが浮かんできた。

ヤギのこどもも一緒である。ヤギのこどもはイリエワニのお爺さんの背中に乗っていた。

ヤギのこどもはワニのお爺さんの背中の上を歩くと、再びボートに乗った。

 

その後、ワニのお爺さんが背中の鱗の引っ掛かりにボートを乗せて、熟練の泳ぎで岸まで運んできた。

余談であるが、このとても大きなイリエワニのお爺さんは、昔はバリバリだったらしい。

具体的には、キリンさんのお父さんと一緒にサーファーをしていたのだ。

因みにお爺さんはボート役である。

ふたりの前に、波など敵では無かった。あの時は水面を支配するかのようにキリンさんのお父さんは滑っていた。

――尚、今日も昔もレバノンのみずうみは波も無く穏やかで平和である。

 

こうして、ふわわたちの初めてのボート遊びは終わった。

水に濡れたこどもたちはイシュタルお姉さんとエレシュキガルお姉さんに拭いて貰うのだ。

そして楽しく遊んだら、楽しくお家に帰って、美味しくごはんを食べて、気持ちいいお風呂に入って、すやぁと寝るのだ。

人も、神も、ふわわも、ヤギも、ワニもおともだち。

ここはそんな優しい世界である。




ぷかぷかしてるとねむたくなるね。
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