ラブライブ! LOSTCOLORS   作:isizu8

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今回から少し書き方を変えてみました。
と言っても、台詞文を詰めたぐらいですが……


STAGE18 女神たち の 日常

「部活動紹介……ですか?」

「ええ、そうよ。希が担当するのだけど、もし良ければ皇くんもどうかしら?」

 

早朝……

学院に登校すると絢瀬会長から依頼を受けた。

内容は部活動紹介のビデオ作成をする為、各部へ取材をすること。

おそらく、それを学院のHPに掲載して、入学希望者を増やす狙いがあるのだろう。

音ノ木坂は現在、廃校の危機に瀕している。

僕としても、居心地の良いこの学院が無くなってしまうのは本意ではない。

生徒会補佐という立場もあるのだし、ここは引き受けるべきだろう。

 

「分かりました、やってみます」

「ありがとう。担当は希だから、詳しくは彼女に聞いてちょうだい」

「了解です」

 

そして東條副会長を見つけて詳細を確認した。

日時は翌日から数日間……撮影は僕が担当し、副会長はナレーションをする予定だ。

撮影の特徴としては、部員のありのままの姿を撮影したいそうだ。

 

そして翌日……

 

「今日はよろしくね。ライ君」

「よろしくお願いします。副会長」

「うーん、硬い! 硬いなぁ……これから取材にいくんやから、もっと明るくいかないと……ほら、笑って笑って」

 

そう言って僕に笑いかける副会長を真似して、僕は笑顔らしき表情を作ってみた。

笑顔……こんな感じか?

 

「ご、ごめん……マイペースでいこっか? 特に笑顔は要練習やね」

「……努力、してみます」

 

どうやら彼女が望んだ表情は出せなかったようだ。

 

「取り敢えず馴染まないとやね。それじゃ、そろそろ行こっか?」

「分かりました」

 

僕はその後、副会長と共に撮影の仕事を行った。

彼女の言う通り、今は少しずつ馴染んでいこう。

 

 

 

 

 

 

いくつかの部活の撮影が終了した後、最後はμ'sの番になった。

彼女たちの中には恥ずかしさから撮影を戸惑う者もいたが、μ'sの宣伝と新曲のPV撮影に使用するカメラを貸し出すこと……これらを条件に撮影に協力してもらえることになった。

 

そして数時間後……

μ'sの部室で穂乃果、海未、ことり、星空さん、副会長、僕の六人でここまでの映像を確認しているのだが、その内容の一つが……

 

スクールアイドルとはいえ、彼女たちは学生である。

プロのように時間外で授業を受けたり、早退が許されるようなことはない。

朝練をしているためか、授業中は熟睡。

その後、昼食をしっかり摂ってから再び熟睡……それを先生に発見されるという一日であった。

これがアイドルとはいえ、まだ高校生である高坂穂乃果のありのままの姿であった。

 

……というものだった。

 

「ありのまま過ぎるよ!!」

 

部室内に穂乃果の声がこだまする。

宣伝というには、些か残念な内容になっていた。

 

「って、いつの間に撮ってたの!?」

 

穂乃果はそう言って僕を見るが、この映像を撮影したのは僕ではない。

では、誰が撮影したのかというと……

 

「うまく撮れてたよー、ことり先輩」

「ありがとうー。こっそり撮るのドキドキしちゃった♪」

 

授業中は僕がカメラを構えるのも不自然なので、隠し撮りをことりに依頼した。

 

「こっ、ことりちゃん!? ひどいよぉ」

「普段からだらけているから、こんな事になるのですよ」

 

次は海未の映像をチェックする。

その映像には、弓道部で練習をしている彼女の姿が映っている。

弓を一本放って一息ついた後、周囲を確認……その後鏡へ向かって笑顔の練習をしていた。

 

「プライバシーの侵害ですっ!」

 

映像の途中で、海未は素早い動作でカメラの映像を切った。

 

「よーし、こうなったらことりちゃんのプライバシーも……」

 

次に何を思い付いたのか、穂乃果がクルクルと回りながらことりの鞄の前まで近付き、その鞄の中身を確認しようとする。

しかし、素早い動作でことりに回収されてしまう。

 

「ことりちゃん、どうしたの?」

「何でもないのよ?」

「で、でも……」

「ナンデモナイノヨ」

「う、うん……」

 

穂乃果はことりの焦りようが気になったようだが、ことりから謎の圧力を感じ、それ以上は聞かないことにしていた。

鞄の奥から少しだけ見えたが、そこには『ミナリンスキー』としてアルバイトしていたことりの写真が入っていた。

この慌てようからして穂乃果たちにも、この件は秘密にしているのだろう。

 

「完成したら各部へチェックしてもらうようにするから、問題があればその時に言ってくれれば修正を……」

「で、でも! この映像を生徒会長が観たら……」

 

副会長の言葉を遮るように、穂乃果がそう言った。

確かに今の映像を会長が観れば、μ'sへの印象が更に悪くなってしまうだろう。

それを想像したのか、穂乃果が涙ぐんだ表情で副会長を見つめる。

 

「まあ、そこは頑張ってもらうとして……」

「そ、そんなぁー……希先輩何とかしてくれないんですか?」

「残念やけどウチに出来ることは、誰かを支えてあげることだけ」

「支える……?」

 

東條先輩は副会長という立場もあるため、μ'sのことを全面的に支援することは出来ない。

おそらく、生徒会長である絢瀬先輩に配慮しているからなのだろう。

会長は今の所、μ'sを快く思ってはいない。

アイドルという存在が、彼女には軽いものとして見えているのだろうか?

それとも、ただの嫌がらせだろうか?

前者は兎も角、後者は考えづらい。

会長は僕が音ノ木坂で学院生活が送れるよう、色々と配慮してくれた人だ。

そんな人が、ただの嫌がらせでμ'sを陥れようとしている……なんて、少なくとも僕には考えられない。

 

「凛もやってみたいにゃ」

 

僕が会長について考察していると、星空さんが机に置いていあるカメラを見てそう言った。

それを合図に、僕の思考も切り替わる。

 

確かに僕よりも星空さんの方が、部員の緊張を解すという意味で適任だろう。

今回の撮影は、部員の自然な表情を撮ることを目的としているのだから。

それに、先程まで様々な部活の撮影をしていたのだが、部員の人たちは動きが少しぎこちなかった。

そういう訳で、ここは僕よりも同じ部員の星空さんの方が適任かもしれない。

 

「副会長、良いですか?」

「ウチは構わんよ。でも凛ちゃんってカメラ使えるの?」

「あまり使ったことないです」

「なら僕が教えるよ」

「先輩ありがとうー」

 

そして、星空さんにカメラの使い方を教えている途中、勢いよくドアが開きそして……

 

「取材が来るって本当!?」

 

矢澤先輩が慌てた様子で部室に入ってきた。

 

「もう来てますよ」

 

ことりがそう答えた瞬間、彼女は一瞬で表情を切り替え……

 

「にっこにっこにー! みんなの元気に、にこにこにーの矢澤にこでーす!」

「ごめん、そういうのいらないから」

 

副会長がそう言い、皆もそれに同調した。何気に容赦が無い。

しかし今回の取材内容は、生徒たちの素顔に迫るというものだ。

それを彼女に説明すると……

 

「す、素顔……あぁそっちのパターンね? OK、ちょっと待ってねー」

 

先輩は髪に結んであるリボンを解き……

 

「いつもはこんな感じにしてるんです。アイドルの時の私はもう1人の私……髪をキュッととめた時にスイッチが入る感じで……あっ、そうです。普段は自分のことを『にこ』なんて呼ばないんです」

 

と、キャラを装うが……

 

「……って、みんなは!?」

「穂乃果たちなら、中庭に……」

 

彼女の健闘も虚しく皆にはスルーされていた。

 

「えっと先輩、今回の取材なんですが……」

「わ、分かったわよ。普段通りにやるわよ……」

 

彼女のキャラ作りは見事なものだとは思うが、今回の撮影の趣旨とはずれている。

申し訳ないが、ここは納得してもらおう。

 

「僕たちも中庭に向かいましょう」

「そ、そうね……」

 

自分の演技がスルーされた為か中庭へ向かうまでの間、彼女は少し落ち込んでいた。

 

 

 

 

 

 

「先ずは、アイドルの魅力について聞いてみたいと思います」

 

次は中庭で花陽、西木野さん、そして星空さんへの取材が始まった。

 

「それでは、花陽さんから」

「えっ!? えーと、その……」

「かよちんは昔からアイドル好きだったんだよねー」

「あ、はい!」

 

緊張して言い淀んでいた花陽に星空さんがフォローを入れる。

この調子なら、問題なく取材は進むだろう。

そう思っていたのだが……

 

「えっと……ぷっ、ふふっ」

「ち、ちょっとカメラ止めて!」

 

次の瞬間、三人が吹き出しそうになったため一度カメラを止める。

まあ、彼女たちが笑うのも無理はない。

何故なら……

 

「いやー……緊張してるみたいだから、解そうかなって思って」

「頑張っているかね?」

 

穂乃果は変顔を、ことりは妙なお面を着けて、それぞれ笑わせてきたからだ。

確かに緊張は解れたみたいだが……

余りのグダグダっぷりに、思わず僕も苦笑した。

 

「これじゃあ、μ'sがどんどん誤解されるわよ!」

「おー! 真姫ちゃんがμ'sの心配してくれた!」

「べ、別に、私は……」

 

それから一旦撮影を切り上げ、ここまでの映像を確認した。

今までの取材部分だと、μ'sの魅力が今一つ伝わらない。

人によってはふざけていると捉えられかねない。

しかし、次のシーンでその評価は覆ることになるだろう。

それは、屋上での彼女たちの練習だ。

 

 

 

 

 

 

「花陽、ちょっと遅いです。凛はちょっと早いです。真姫、もっと大きく動いてください」

「「「はい!」」」

「にこ先輩! 昨日言ったところのステップ、また間違ってますよ。ことりは、今の動きを忘れずに」

「うん、分かった!」

「う……分かってるわよぉ」

 

指揮は海未が執り、みんなは指示通りに動いている。

 

「穂乃果、疲れてきた?」

「まだまだー!」

 

練習を続けてそろそろ一時間が経過する。

そして……

 

「ラストぉー!」

 

彼女たちはぶっ通しでダンスを続けた後、ようやく休憩を取る。

みんな息が上がっているようだが、そこに文句を言う者はいない。

今日撮影した限りでは、何処かふざけているような印象があったものの、メンバー間の仲の良さ、そして練習を通して伝わってくるアイドルに対する熱意。

宣伝としての素材は十分に揃えることが出来たと思う。

彼女たちの努力を無駄にしないよう、上手く編集していこう。

 

 

 

 

 

 

そして放課後……

僕と副会長は生徒会室で、今まで撮影したビデオの編集作業を行なっていた。

その途中で副会長が不意に尋ねてきた。

 

「μ'sのリーダーって穂乃果ちゃんだよね?」

「はい」

「うーん。どうして穂乃果ちゃんなんだろう? 練習の時だって、海未ちゃんが中心になってたみたいやし」

「それは……」

 

副会長にそう言われ、改めて考えてみる。

確かにあの時、周りの指揮を執っていたのは海未であり、彼女は練習のメニューも組み立てている。

そういう面だけ見ると、穂乃果よりも海未の方がリーダー適正があるのかもしれない。

では、穂乃果がリーダーである理由とは何だろう?

漠然とはしないが、いくつか思いつく理由ならある。

それを副会長に話してみた。

 

「穂乃果にはスクールアイドルを通して、学院を廃校から救いたいという熱意があります。皆もそれに引っ張られてきたのではないかと……僕も彼女と接していく中でそれを感じました」

「ふーん、ライ君にはそう見えるんやね」

 

もっとも、副会長はあまり納得していない様子だ。

 

「そこまで気になるのでしたら、穂乃果たちに直接聞いてみてはどうですか?」

「そうやね……ちょうどこの後、穂乃果ちゃんのご家族にも取材するつもりやし」

「了解です。僕はこのまま編集作業を続けます」

「うん。お願いね〜ライ君」

 

そう言って副会長は部室を後にした。

 




最近、アニメを観たりゲームをしていたりすると『この作品にライがいたら……』なんて、つい考えちゃったりします。
これが職業病というやつなのでしょうか?
まあ、これは仕事じゃなくて趣味なんですけどね……
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