ラブライブ! LOSTCOLORS   作:isizu8

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最近、内容がやや迷走気味であると感じています。


STAGE06 橙 の 少女 の 想い

僕は高坂さんの実家『穂むら』という店に来ていた。

そして、その店に入り本人か、そこのご両親にでも手帳を渡すことが出来れば、僕の役目は終了だ。

店に入ると、そこでは何やら女性が団子を食していた。

 

「あら、ごめんなさいね。お客さんの前で……」

 

どうやらその女性はこの店の店員だったようだ。

ということは、おそらくこの人は高坂さんの母親なのだろう。

それなら話が早い、この人に手帳を渡してしまおう。

理事長は、僕が直接手渡した方がいいと言ってはいたが……

 

「あの、すみません。僕は先日、音ノ木坂学院に入学した者で、本日は、高坂さんの落し物を……」

 

「あら?穂乃果のお友達なのね。穂乃果なら部屋にいるから、上がって良いわよ」

 

高坂さんのお母さんは僕が全てを言い終わる前にそう答えた。

 

「いや、僕は別に……」

 

「遠慮しないで良いから、部屋まで案内するわ」

 

僕はやや強引に高坂さんの部屋まで連れて行かれた……

この手帳を本人に手渡すことが出来れば、僕にとっても都合はいいが……

だからと言って、いきなり知り合ったこともない女の子の部屋に上り込むのも、正直気が引ける。

家まで来ておいて何を今更、という話かもしれないが……

 

その後、高坂さんのお母さんは、僕を部屋の前まで案内して高坂さんを呼び出した。

少し時間がたった後、部屋から高坂さんが出て来た。

 

「お友達って誰だろう……海未ちゃんとことりちゃんは今日は用事があるって言ってたし」

 

そして高坂さんは僕を見て、一瞬固まった。

 

「それじゃあ、後は若い2人に任せて……私は退散するわね」

 

「ちょ、ちょっとお母さん!」

 

「ごゆっくり〜」

 

穂乃果のお母さんはそれだけ言うと、部屋から立ち去った。

部屋の前に取り残された僕と高坂さんに静寂が流れた。

そして、僕がかける言葉に困っていると、高坂さんの方から話しかけて来た。

 

「と、とりあえず、部屋の中入る?」

 

「あ、ああ」

 

僕は高坂さんの部屋にお邪魔した……

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「皇ライだ。よろしく、高坂さん」

 

「ど、どうも。高坂穂乃果です」

 

僕は高坂さんのお母さんに部屋まで案内された。

そして今、机を挟む形で僕と高坂さんは座って対面していた。

高坂さんは明らかに緊張していた。

まあ、友達でもなんでも無い男子が突然、自分の部屋に入ってきたらこうもなるだろう。

嫌われて無いといいが……

お互いに無言のままでいると、ついに高坂さんの方から話しかけて来た。

 

「あ、あの!皇くんはどうしてうちまで来たの?」

 

「僕は……落し物を届けに来た」

 

「えっ?」

 

「この生徒手帳、君のだろう?」

 

「あっ……」

 

僕はその手帳を高坂さんに返した。

 

「あっ、ありがとうございます!だけど、一体どこで見つけたんですか?」

 

「この間、UTX学園の前で見つけた。確か君もそこにいただろう?」

 

「UTX……」

 

僕と高坂さんはその時、既に出会っていたはずではあるが、もしかして気づいていないのだろうか?

 

「あっ!そう言えば私、あのとき誰かに話しかけてたような気が……」

 

そして思い出したのか高坂さんの表情がパッとする。

 

「あの銀髪の人!!」

 

どうやら気づいたようだ……

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「それでねっ、そのとき海未ちゃんが、あっ、海未ちゃんって言うのはね?私の友達で……」

 

あれから……

 

先ほど緊張していた高坂さんは、僕がここに来た事情を知ると、すぐさま緊張が解け、今ではこのように、僕に対して気さくに接してくれていた。

 

ただ手帳を渡しただけで、ここまで気を許すものなのか?

いや、おそらくこの高坂穂乃果という人物が、誰とでも気兼ね無く話せる人なのだろう。

僕としても、いつまでも緊張されたままでは居心地が良くなかったため、この対応はありがたい。

 

「そう言えば高坂さんはどうして、UTX学園前にいたんだい?」

 

「穂乃果で良いよ。私もライ君って呼ぶねっ!……えっとそれでね、UTXにいた理由なんだけど」

 

そうして穂乃果は話を続けた。

 

「音ノ木坂の廃校を防ぐために何か良い案ないかなーって思ってた時に、雪穂がUTXのパンフレットを読んでたんだけど。あっ、雪穂っていうのは私の妹のことでね。それでUTXのパンフレットを読んだときに、あるページにA–RISEが人気だってことを知ったの……そしてUTXまで行ってみてAーRISEのライブ映像を見た時に、これだ!って閃いたの」

 

「そうか。それで、スクールアイドルを……」

 

思えばあの時、穂乃果は僕の方を見て『最高のアイデアが閃いた』と言っていたな。

僕が穂乃果から事情を聞いていると、部屋の外からノックの音が聞こえた。

 

「お姉ちゃん、入るよ〜」

 

「雪穂、どうしたの?」

 

「お団子の差し入れー。お母さんが持ってけって……え?」

 

そう言って穂乃果の妹さん、雪穂と呼ばれた少女が部屋に入って僕を見て驚いていた。

 

「お姉ちゃん!いつの間に彼氏作ったの!?」

 

「か、彼氏じゃないよ!」

 

なにやら誤解をしているみたいなので、僕と穂乃果は妹さんのその誤解を解いた。

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

「へぇ。それじゃあ、貴方が最近噂の人なんですね」

 

「ライ君の噂?」

 

「うん。うちの学校まで広がってるよ。音ノ木坂に男子が入ったって」

 

「その人たちは僕のことについて何か言っていたかな?」

 

「はい。音ノ木坂に銀髪の格好良い男子が来たーって、女子と一部の男子の間で噂になってますよ」

 

ちょっと待て。一部の男子ってなんだ?

怖い考えが頭の中を横切ったので、僕は忘れるように考えるのをやめた。

 

その後、妹さんが持って来た団子をご馳走になった。

 

「美味しい……」

 

「ありがとうございます。残りはここに置いておきますから、良かったら食べてくださいね」

 

「ありがとう。高坂さん」

 

「雪穂で良いですよ。お姉ちゃんと同じ苗字だと、呼ぶときに分かりずらいでしょう?」

 

「良いのかい?僕みたいな得体の知れない男に……」

 

僕がそう言うと2人は同時に吹き出し、そして笑いだした。

 

「あははは。ライ君は心配し過ぎだよ」

 

「そうですよ。『得体が知れない』なんて、自分で言う人初めて見ました」

 

「そ、そうかな?」

 

それにしても、2人とも少し笑いすぎではないか?

 

「とにかく、私のことは雪穂で良いですから。これからよろしくお願いしますね。ライさん」

 

「よろしく。雪穂」

 

その後、雪穂は勉強があるとかで部屋を出た。

部屋を出る直前、穂乃果をからかうように『ごゆっくり』なんて言葉を口にしていた。

最も、誤解は解けているので、それはちょっとした姉妹の戯れなのだろう。

 

「良い妹さんだな。それにお母さんの方も。団子もとても美味しいし」

 

「ありがとう。そう言ってくれると嬉しいな」

 

 

僕は先ほどから気になっていたことについて、穂乃果に聞いてみることにした。

 

「穂乃果。ここだけの話にするので少し、質問をしても良いかな?」

 

「え、なになにー?」

 

「穂乃果はどうして、学院のために頑張っているんだ?」

 

「私ね。最初は廃校についてそこまで深刻に考えてなかったんだ」

 

穂乃果が少し笑いながらそう話した。

 

「廃校のことを知った時は、他の学校に入らないといけないけど、受験勉強全くしてない!……なんてこと考えて、海未ちゃんから、私たちの卒業まで学院はなくならないって言われた時は安心してたんだ」

 

「……」

 

「でもね。やっぱり廃校になるのは寂しいよ……私は音ノ木坂が好きだから。それに廃校が決まっちゃったら、新入生は入らなくなっちゃうし。それってつまり、今の1年生は卒業までずっと後輩がいないってことになるでしょ?」

 

「……そうだね」

 

「それで最初のうちはなんとなく、なんとか出来ないかなって思って、学院の歴史とか伝統とか部活動の実績とかを海未ちゃん、ことりちゃんと一緒に調べてたんだ。でもどれもパッとしなくて……雪穂には強がって見せたけど、心の中じゃどこか諦めてたところがあったんだ」

 

「穂乃果……」

 

穂乃果はどこか寂しそうな表情で話を続けた。

 

「でもそんな時にお母さんが、懐かしそうな様子で昔の卒業アルバムを見てたの」

 

そう言って穂乃果は、卒業アルバムを僕に見せた。

そのアルバムには、卒業証書を持って微笑んでいる生徒や授業中に楽しく笑っている生徒……

運動会や学園祭と思われる様子を写した写真、そして中には、穂乃果のお母さんと思しき人物が堂々とした姿でスピーチをしている様子が写し出されていた。

 

「それでやっぱり、このままじゃダメだ!って、廃校を阻止しなきゃって思って、気づいたら体が動いてたんだ」

 

なるほど。穂乃果はそのために今まで……

 

一見、思いつきな行動に見えるかもしれない。

しかし、彼女なりに廃校を阻止しようと考えていて、学院のことを強く想っている。

その絶対に諦めないと言う姿勢が僕には眩しく見えた。

 

「僕にも、何か手伝えることはあるだろうか……」

 

「え?」

 

気づいたら、そんなことを口にしていた。

声に出すつもりは無かったのだが……

だが、僕のその呟きをはっきりと聞いたのか、突然、穂乃果がこちらに身を乗り出した。

 

「ほんと!手伝ってくれるの!?」

 

「あ、ああ。僕で良ければ……」

 

「ありがとう!」

 

僕が咄嗟に口にした言葉に、穂乃果が食いついたようだ。

いきなりの事とはいえ、僕は先ほど発した一言を撤回はしなかった。

何故なら、仮とはいえこんな僕を受け入れてくれたこの学院が廃校になるのは、穂乃果や会長ほどでは無いにしろ、僕もどこか心苦しいと感じていたからだ。

それに……

僕の目の前にいる穂乃果が、先ほどの寂しそうな表情から一変して、輝く笑顔を僕に向けてくれる。

この笑顔を守れるのなら、ここは彼女に巻き込まれてみるのも面白いかも知れない。

 

高坂穂乃果……

すごく情熱的で、笑顔が素敵な少女だった。

きっと彼女なら、この廃校問題も何かしら解決に導けるかも知れない……

確証はまだ無いが、どこかそういう気持ちが僕にはあった。

 

その後、僕は穂乃果に見送られて、帰宅した……

 




今後の流れとしては、アニメ版1期のストーリーを進めていき、その後ライ君の過去編に入れればと考えています。
それまで何話掛かるか分かりませんが、読んでいただけると嬉しいです。
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