この鎮守府、駆逐艦しかいねえ!   作:ジャスSS

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日常編
デザートなのです!(暁 響)


――今日は日曜日、つまりは休日なのです!

 

「よーし、今日何をするか、それぞれの意見を聞くわ! まずは響!」

 

「私は最後の方が良い。 先に雷どうかな?」

 

「わ、私!? えーとそーわね……」

 

毎週日曜日は六駆のみんなで遊ぶのだけど、その"遊び"はそれぞれがプレゼンして総合的に決めるのです。

 

今日こそは、私の意見が採用されるように頑張るのです!

 

「ん? 雷は何も考えてこなかったのかい?」

 

「そ、そんなわけないわ! ちゃーんと考えてきてるんだから! えーと……」

 

この感じは考えてきてないっぽいのです雷ちゃん……

 

みんながみんなちゃんと考えたプレゼンするから、なんにも準備してないと絶対却下されるのです……ということは雷ちゃんが大ピンチ!

 

まあ、競争相手が減るのは嬉しいのですが。

 

「私はサッカーをやりたいわ! 勿論もっと人数増やしてね!」

 

「確かにやってみたいけど、たくさん参加してくれるか心配よ。 中には休日返上で訓練に励んでたり遠征に行ってたりする人がいるのに」

 

「それでも余りある数の艦娘がいるからねここには。 18人いればフルメンバーでできるけど、それぐらいの数は暇人いると思うよ」

 

暇人という言い方が中々に辛辣なのです……

 

「さて、次は電だね」

 

「私はお料理を作りたいのです! 美味しそうなおやつを作りたいのです!」

 

「ふーん、中々イイじゃない! お料理、間宮さんや伊良湖さんに教えてもらったら私達でもできるだろうし!」

 

「お料理はレディの嗜みの一つだし、みんなが絶対やらなきゃいけないことよね! お料理上手くなれば、女子力だって上がるわ!」

 

ふふん、どうです

 

「なるほど、いい案だ。 じゃあ次、暁」

 

「私はお茶会を開きたいわ! 理由はただ一つ、レディとして必要だからよ!」

 

「それ、この前もやったじゃない」

 

「実力を身につけるには継続することが大切だって、朝潮さんが言ってたのよ! だからこそ、こういうお茶会の積み重ねが必要なのよ!」

 

「確かにそうだね。 継続は必要だ」

 

「ほら! 響が言うもん!」

 

響ちゃんは六駆の中でも一番冷静で、一番頭が良い子です。

 

だからみんな響ちゃんのことを頼ってるのですが、一つだけ欠点があって……

 

「まあ、そうだけどね……というか、響がやりたいのってなんなの?」

 

「そうだ私。 私がやりたいのは――」

 

 

 

「"響先生監修、某共産主義国家で使えるロシア語講座in2017春"の開催だね」

 

「却下よ」

 

「却下」

 

「却下なのです」

 

マイペースすぎるのです。

 

 

 

 

 

――結局やることはお料理に決まったので、私達は食堂に向かった。

 

「間宮さん、おはようございます!」

 

みんな元気に挨拶する。 まあ、このぐらいの歳だとそうなるだろうけど。

 

私も頭を下げて挨拶した。 今日も角度はバッチリだった。

 

「あら、どうしたの暁ちゃん達?」

 

「えーとね、今日は……」

 

少し暁が恥ずかしそうにしてる。 まあ暁はこういう子だ。

 

「お、お料理を教えてほしいなあって思ってるんだけど……」

 

「お……お料理……! を、教えてほしいの!? 暁ちゃん!」

 

「う、うん!」

 

なんか凄い剣幕だ――よほど嬉しいのかな。

 

「そ、それじゃ何作りたい? 和風? 洋風? 中華?」

 

「私達が作りたいのは和風デザートよ!」

 

「和風デザート! 私の得意分野だわ! できることならアドバイスできるかも!」

 

よし、アドバイスされなきゃ多分ゲテモノが出来上がるから良かった。

 

「じゃあ甘味処使いますか? 今日は日曜日ですからいつもよりみんなの外食頻度高いですし」

 

「あら、伊良湖ちゃんいいの?」

 

「はい! 食堂は私に任せてください!」

 

「そう……じゃあお言葉に甘えようかしら。 もし何かあったら遣いでも送って伝えてね」

 

「はい!」

 

間宮さんと伊良子さんは先輩後輩の関係らしく、間宮さんは伊良湖さんの成長に期待してるし、伊良湖さんは間宮さんを尊敬している。

 

だからこそ生まれる信頼関係なのだな――

 

「それじゃ、みんな行こうか」

 

 

 

 

 

「それで和風デザートって言ったけど……もっと具体的にあるかな?」

 

「うーん……間宮さんのオススメは?」

 

あれ、何も考えてこなかったんだ暁。 まあいいけど。

 

「私のオススメ……白玉とかかなぁ。 白玉ならちょびちょびと食べられるし、他の子にもシェアしやすいでしょう? それに色んな味を楽しめるし」

 

「確かにここで頼む和風デザートのほとんどに白玉が入ってる気がするのです……!」

 

「そうね。 白玉は和風デザートの基礎みたいなものだから、ほとんどのデザートに入ってるわね」

 

確かによく白玉が入ってるな。

 

「じゃあ雷は白玉がやりたいわ! みんなはどう?」

 

私は異論なし。 どうやらみんなもそうらしいね。

 

「じゃあ白玉に決定だけど……問題はどのくらい作るかなのよね……」

 

「在庫とかはどのくらいあるのかな? できればみんなに配れるぐらいはほしいね」

 

「在庫は問題ないわよ。 この前大量に買い込んできたから!」

 

あぁ、だからスーパーから小麦粉がごっそりと消えたんだな……

 

「でも私だって1日中見てあげられることはできないし、少なすぎても問題だし……」

 

「わざわざ配ることを考えなくてもいい気がするな。 だってここ100人近い艦娘がいるし」

 

「……そうね。 時間もないし無理に作らないようにしましょう」

 

すると電がこじんまりとした手で手を挙げた。

 

「あの、私に提案があるのですが…」

 

「どうしたの電ちゃん?」

 

「私達が作った白玉を期間限定で売り出す、というのはどうでしょうか? そうすれば数も絞れて、直接じゃないけどみんなにもシェアできて……名前も付けたりして……」

 

「おぉ、良い意見だね電」

 

「そうね……そうしましょう! "六駆のイチオシ! 特製白玉!"とか良いかもね!」

 

電と間宮さんの咄嗟のアイデアからか、みんながおぉと関心する。

 

無論私もだけど。

 

「なんかブランドみたいでいいわね! 私そういうブランドものに憧れてるのよ!」

 

「私はみんなに食べてもらえるだけで満足だけど……でもそういう名前付いたら楽しくなるわ!」

 

「凄いよ電ちゃん! よく思いついたね!」

 

「えへへ……」

 

電が恥ずかしがってると、次は雷がアイデアを披露した。

 

「あ、せっかくなら一人一人が自作して売り出していかない? 私そういうのに憧れてたのよ!」

 

「いい案だね雷ちゃん! 商品化……みたいな感じにするのね!」

 

「私は異論ないわ! 響はどう?」

 

私も異論はないかな。

 

「私も二人の意見に賛同するよ。 二人も?」

 

「うん!」

 

「もちろんなのです!」

 

「よし、決まりね! そうとなったら今すぐ作りましょう!」

 

「時間もあまり残されてないからね。 今すぐにでも作ろうか」

 

今の時刻――午前10時。

 

それぞれが商品を作るとなると色々時間かかりそうだし、早めに終わらせたいな――

 

 

 

 

 

――「え、六駆がなんかやったんですか?」

 

「そうみたいやけど……"売り出したん"じゃなくて"やったん"って言うのな」

 

そんな細かいことはどうでもいいじゃないですか。 それよりもあの子達が何か売り出したとはどういうことでしょうか。

 

「なんか間宮はんとこの甘味処でデザート売り出したそうやで、あの子達。 まあ料理しようとしてその弾みってことやろうけど」

 

「なるほど……是非食べてみたいものですが」

 

「今行けばええんちゃうか? 司令はん連れ出して食べればええよ」

 

司令はそういうもの好きでしょうかね――まだまだ会って数日ですから分かりませんが。

 

「確かに今行くのもアリですが、生憎今日は仕事が溜まっておりまして。 明日辺りにも行けたらと思います」

 

「いや、あの子達が作ったんやで? すぐ売り切れてまうから明日には残っとらんと思うんやけど」

 

「そうですか……残念です。 誰か代わりに買って持ってきてくれたら嬉しいのですが」

 

「確かに楽やね……ってウチにやれっちゅう話かいな」

 

ここで黒潮を見つめたら――なんとかなるかな。

 

「うーん怖い。 とりあえず威圧すんのやめとき。 雪風辺りに頼ませるから」

 

「やってくれないんですか。 まあ持ってきてくれるなら誰でもいいですが」

 

「そもそも誰かをパシリさせようとすな……」

 

だって暇でしょう黒潮。

 

 

 

 

 

――ん、足音がする。 昼話してた六駆の件かな。

 

「しれぇ!」

 

勢い良くドアを開けたウキウキな雪風。

 

その後ろには――同じくウキウキな時津風とイヤイヤ付いてきたと言わんばかりの天津風が。

 

「えーと……どうしたの? なんか元気ありまくりだけど」

 

「しれぇと不知火さんと一緒にこれ食べようと思って来ました!」

 

「それは……白玉か?」

 

「ほらあれだよー、六駆の子達が作ったってやつ」

 

「うーん、うーん……?」

 

「そういうのが今甘味処で売られてるの。 六駆特製白玉だってね」

 

「なるほどねー。 でも俺達は頼んでないけどなんで?」

 

「黒潮さんから聞いたんですが、不知火さんが欲しがってたらしいので!」

 

ちょ……なんでそんなこと言うのよ雪風……

 

多分今顔赤いのだろう――あぁなんて恥ずかしい。

 

「ふーん、不知火もそういうとこあるんだね」

 

「別にそれぐらいいいじゃないですか。 それよりも雪風、早く一緒に食べますよ」

 

「はーい!」

 

なんとかこの場面を切り抜けたけど、司令の顔は意地悪な感じなのだろう。

 

顔も見たくない……

 

「4種あるんだけどさー、しれーはどれ欲しいの?」

 

「そうだな……じゃああんみつかな? これ欲しいわ」

 

「"暁の一人前レディへの道"ね。 はい」

 

「凄いネーミングセンスだな……はいありがとう」

 

「私はきな粉のやつが欲しいわ」

 

「はい、不知火は"電のきな粉なのです!"ね」

 

「何か色々とダメな気がするんだけど……」

 

「気にしない方が吉よ」

 

いや、気にするべきでしょうが。

 

「雪風と時津風ちゃんは響ちゃんのみたらしたべまーす!」

 

「はい、"響のシベリア送り白玉"ね」

 

相変わらずの共産趣味っぷりですね……

 

「……となると私は"雷の健康第一! 抹茶白玉"か。 抹茶好きだし良かったかな」

 

健康志向な雷らしい商品だ。

 

ネーミングセンスも不思議といい気がするのも何故だろうか。

 

「よし、じゃあ一旦休憩して食べようか」

 

 

 

 

 

美味そう――まあマニュアル通りにやれば美味しそうに見えるけど。

 

間宮さんの入れ知恵とかあるのかな。 今度教えてもらおう。

 

「そんじゃ、いただきます!」

 

「いただきます!」

 

その場にいる全員が言う。

 

いの一番に食べ始めたのは一番楽しみにしてたように見えた雪風。

 

「……うーん! 美味しいです!」

 

甘々なみたらし――雪風らしいと言えばらしい。

 

時津風も同じような感じだろう。 まあ子供っぽいというかなんと言うか……

 

「私も美味しいよー。 天津風はどー?」

 

「私も……美味しいわ。 司令官と不知火は?」

 

「美味しいよそりゃ。 美味しくなかったらちょっとアレでしょむしろ」

 

「美味しい」

 

これは完敗ですね……今度教えてもらわねば。

 

「これは暁ちゃん達に教えなきゃですね! しれぇ!」

 

「そうだな。 あいつら褒められると異様にやる気出すし、こういうことやってくれると心が暖まる」

 

「それでは私から言っておきましょうか? あの子達とは部屋近いですし」

 

「いや俺から言わさせてくれ。 それぐらい直接言わなきゃ男じゃないだろ」

 

「この女の園で男気なんて発揮しなくてもいいですから」

 

「辛辣ね不知火。 でもそういう姿勢好きよ」

 

「誰も助けてくれないのか……」

 

「しれぇのそういう所、私は好きです!」

 

雪風の特徴、天使の如き笑顔が炸裂した。

 

「ありがとう雪風……笑顔が眩しいよ……」

 

「むー、雪風だけずるいー! しれー! こっちも見てー!」

 

時津風がじたばたしながら言う――ダメだ可愛い。

 

「うんうん、時津風もありがとうな……」

 

でもこうして鼻の下伸ばしてるとあからさまにまずい人にしか見えない……大丈夫なのかしら。

 

「あの、司令……」

 

「どうした不知火?」

 

「あの、逮捕されるようなことは、絶対にしないでくださいね……」

 

「……えぇ…………」

 

――なんか失敗した気がするなぁ。

 

「……ぷっ、なんか面白いよ不知火」

 

「なっ……!? 私は司令のことを思って言ったまでであって……」

 

「凄い顔赤いよぬいぬいー。 あっ、まさかしれーのことが好きとか……」

 

「は? 今なんて言いましたか?」

 

「……いえなんでもないです」

 

「天津風も……そんなことで一々笑わないでください」

 

「あ、うん、分かった……」

 

「司令も……」

 

「了解しましたー」

 

――なんかこの場を支配した気がするけど……私そこまでキツいこと言ったかしら。

 

相変わらず雪風は笑顔だし。

 

「あの……」

 

「あーうん。 今度顔怖いの直そうか」

 

――へ? なんででしょう……

 

 

 

 

 

――「どう間宮さん! 私達が作った商品は!」

 

「うん、みんな美味しい美味しいって言ってくれたわ!」

 

そのことを聞き、暁は喜びに浸る。

 

「私達ね、司令官と不知火さんから直に美味しいって言ってくれたわ! 直によ直!」

 

「凄いじゃない暁ちゃん!」

 

「ふふーん! ……それでね、今日来たのはちょっとお願いがあって……」

 

そういえば一人だった――何故だろうか、疑問に思う。

 

「他の子に負けたくないから……今度、私個人のために教えてくれない……かな?」

 

「……もちろん!」




キャラクター紹介

暁:第六駆逐隊の旗艦。 だが旗艦としてはあまりにも子供っぽく、その仕事は大体響が務めている。 一人前のレディを目指しており、その目標に向け日々努力している努力家な一面も。 また負けず嫌いな面も強く、特に響とは良きライバルとなっている。 が、コーヒーだけは絶対に飲めないらしい。

響:第六駆逐隊所属。 暁よりもリーダーしている為か、実質的な旗艦は彼女。 頭が非常に良く、その頭脳は鎮守府でも重宝されている。 だが同時に変人でもあり、何をやるかは予測不能。 またソ連が好きらしいのか、生活の一端にソ連関連の言葉がちらほらと出る。 暁とは真逆でコーヒーが大好き。
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