是非最後までお付き合い下さい!
「お…おはよ、涼。」
父が心配そうに挨拶してきた。
「おはよ!」
なぜだか自然に口が緩んだ。すると父は凄い嬉しそうな顔をして俺の頭をくしゃくしゃと撫でた。
「父さん………。」
多分、俺は今、笑顔だと思う。言いきれないのは自分が笑顔になっているという感覚を忘れているからだろう。
でも春菜の言う通りだ。今までの行動は逆に父さん達を悲しませてしまっていた。
バス停に着くと蒼井さんがいつものように綺麗な姿勢で立っていた。
「蒼井さん、おはよ!!」
俺は軽く手を振る。すると蒼井さんは珍しく動揺(?)している。
「どうしたの?」
俺が聞くともっと動きがおかしくなった。
「あの、その、し……小雨君の雰囲気がいつもと違ったので…。」
「へ…変だった?」
すると蒼井さんは手を物凄い速さで横に振った。
「とんでもないです!前よりももっと素敵です!」
そう言って蒼井さんは目を細めて笑顔を見せた。
「可愛い……。」
俺は無意識のうちにそう呟いていた。思ったことを口にしようと心がけすぎた…。蒼井さんの方を見ると目を丸くしてしばらくしてから、顔が真っ赤になった。
「小雨君?!本当に大丈夫ですか?!」
バスが来るまでに何度も聞かれた。(バスの中でも聞かれた…。)でも蒼井さんは嬉しそうだった。だから俺も嬉しかった。
「おはよー!俺の涼!」
明が向こうから手を振って走ってきた。
「おはよ、俺の明!」
昨日と同じようにふざけた挨拶。だけど、昨日と確実に違うものがある。それは俺の気持ち。明にいつもありがとうという気持ちを込めて笑顔を作った。いや、自然に笑顔になった。明はまた赤くなるかなと思ったが、優しく微笑んでいた。そして黙って俺の頭を2回ほど軽く2回ほど叩いた。俺は嬉しかったが気になることが出来た。刹那だが明の目は色を失ったように見えた。目だけ空を見て、いや、空を睨んでいた。寂しそうに見えた。だが、刹那だったので見間違いかもしれなかったからその時の俺は気にしてもいなかった。後であることが分かるまで…。
教室では昨日のように皆集まってきた。昨日は気持ちに余裕がなくて、とにかく本心がバレないように隠していた。でも今日は違う。上手くやれるか分かんないけど演技じゃない本当の自分を……。
「お…おはよ!ま…前みたいに明るくはなれないかもだけど…いやかもしれないけど………な、仲良くして欲しいです…。と…友達になって下さい…!」
最初は皆、目を丸くしていた。
「涼、なんだよ、今更!」
「そうだよ!もう友達じゃんか!」
「改まんなって!照れるじゃんかー!」
「涼君、ずっと前から友達だと思ってたよ!」
皆次々と同じようなことを言ってくれた。春菜の言った通りだ。真正面からぶつかってみたらこんなに沢山の人から認められた。俺が心の中で喜んでいると俺の隣にいた少しだけ地味なお下げの女の子が言った。
「今まで正直、涼君って女誑しで凄い女の子と遊んでそうだなって思ってた。ごめんね。でも実は凄い純粋な男の子だったんだね!」
そう言ってその子は笑った。正直、可愛いと思った。確かこの子の名前は……。
「謝らなくていいよ。よく言われるから。でもちゃんと謝れるのは凄いな、麻里さん!」
そう言うとその子はもっと嬉しそうな顔をした。
「名前、知ってたんだ。ありがとう!!」
名前を呼んだだけでこんなに喜んでくれるなんて…。俺は目頭が熱くなりそうだった。そんな時、空気を読まない大声で後ろから声をかけられた。
「お前ら〜早く席つけ!また小雨と中野のラブ劇場か?」
ラブ劇場とは………??
「先生、おはようございます。」
俺はお辞儀をして、顔を上げ、先生の目を見て笑顔を見せた。
「小雨…。笑った方がいいな!その方がその……可愛いと思うぞ!」
先生はそう言って俺の肩に手を回し、もう片方の手で俺の頭をくしゃくしゃとした。
「あー!先生ずりーぞ!」
「セクハラー!!」
「イケメンがじゃれてる♡」
皆が笑っている中、明だけはムスッとしていた。こんなに賑やかな時に明がムスッとしているなんて初めてのような気がする。
「明?どうした?」
聞いても答えない。一方、鈴木先生はまだ俺の肩に手を回したままだ。明は何も言わずに鈴木先生と反対側に立ち、先生の手を剥がした。先生も流石に固まって動けないでいる。その時の明の目はいつもの目ではなかった。鈴木先生に何か恨みでもあるかな様な目で先生の目を直視していた。眉間にシワを寄せ、目を細めていたが、その目はしっかり先生の目を捉えていた。正直、怖かった。こんな明は見たことがない。
「あ……明……?」
俺は明に声をかける。すると明はハッとして、いつも通りの目になった。俺はひとまずホッとした。先に席につき、こちらを見ていた蒼井さんもホッとしていた。理由はあとから聞くことにして、俺達は後味悪いまま席についた。
でも俺は後悔した。その時、あんなに明が苦しんでいたなんて思いもしなかった。俺はまた傷つけてしまったのか……?と……。
ありがとうございました!
今回は少し眺めになっています。
前に明の気持ち(?)を書かせて頂いたので、大体明の謎の行動の答えは分かりますよね?(´∀`*)ウフフ
では、またお会いしましょう!