是非最後までお付き合い下さい!
朝、俺は周りの視線を痛いほど感じながらバスを降りた。(蒼井さんは送りだそうだ)
「あ、明!おはよ。」
明はスマホをニヤニヤしながら見ていた。正直、話しかけず他人のフリをしようかと思ったがちゃんと声をかけた。
「あ〜涼〜♪」
そのニヤニヤ顔のまま俺を見る。
「なぁ、なんか今日、凄い視線を感じる…。」
俺がそう言うと明はキョロキョロと周りを見渡す。その動きがあまりにおかしくて思わず笑ってしまった。
「視線、確かに凄いな…。多分、涼が変わったからだね!前からイケメンだったけどなんか近寄り難い雰囲気出てた。今は凄い爽やかだよ!」
自分では全く意識してないが…。それより何より気になっていたことを聞いた。
「話変わるけど、何をそんなにニヤニヤしてるの…? 」
「だってー、涼のCMが今日のお昼から放送開始なんだもん!楽しみー!」
え?なんで俺は知らないのに明はしってるんだ?
「その情報、誰からだ?」
「Your father!」
がくっ……。本当に音が出たかのように肩が下がる。
「お前ら……いいかげにしろ!!」
俺は怒ったつもりだったがなぜか明はニヤニヤしている。
「かっわい〜♡」
……。相手にするだけ馬鹿だなと心から思ったのでスルーすることにした。
でもCMが昼から放送なんて初耳だ。まぁ誰も見ないだろうからそこまで騒ぎにはならないだろう。まさかこんな俺がTVに出るなんて誰1人として思ってないと思う。……。やばいな、またネガティブになってしまった…。春菜を見習うと決めたがやはり難しい。少しでも早く前向きになって春菜に手紙を書かなければいけない。成長するまで書いてはいけない気がする。俺はそんなことを思いながら教室まで歩いた。
「出席取るぞ〜!」
鈴木先生の声が響く。俺の学校は女子から名前が呼ばれる。
「雨宮ー、石原ー…………吉田ー、蒼井ー。」
蒼井さんは転校してきたので、最後の番号になっている。だが…蒼井さんの返事がない。ふと横に視線をやると席がポツンと空いていた。春菜がいなくなった時のように。チクッ。心が少し痛んだのは気のせいだろう。多分……。
四時限目終了のチャイムが鳴り、昼食タイム。昼食だけは必ず明と2人で食べることにしている。人に見つからないように、人気の少ない方の校舎の非常階段のドアを開け、ドアを閉めてそこにもたれ掛かるように腰掛ける。この階段は外にあり、4階なので景色がいい。
「涼ー、あと30秒後にTwitterとかFacebookなどなどで涼の出たCMが全国的に放送開始されるよー。」
明はもたれ掛かっただらしない格好でスマホを見ながら俺に言った。疲れたのか抑揚がない。
「は?全国的…とは?いやいや、待て待て!!」
「あのね………ハァ……。」
明は大袈裟に頭を抱えるふりをした。
「涼が出たCMのスポーツ飲料水はすっごい有名な会社だよ?!人気の俳優とかが出演するから人気なの。まぁ今回は若手を使って違う路線目指したかったとかじゃない?」
明が珍しく真面目に話す。そんなに注目されていたCMに俺なんかが出演してしまった…。俺は本日2度目、肩をガクッと落とした。
「5、4、3、2、1!!!開始ー!」
明が指を折りながらカウントダウンした。開始ー!!と明が言った途端学校中が騒がしくなった。何が起きたのか?!もしかして火災とか?!と俺は思ったので、ドアを開けようとした。すると明がまあまあと俺を止めたので気になりはしたが昼食をとった。
「んー!このメロンパン最高だねっ!」
明は口にメロンパンをはみ出るほど押し込み、幸せそうに話す。それだけで俺も幸せだと思った。
「よ〜し、食べたことだし、教室に戻ろっか!」
明はニコニコしながら俺に言った。朝のニヤニヤも怖かったが、このニコニコも怖い気がする。
ドアを開け、人がいる方の校舎に行った。バタバタバタ……。一斉にみんなが俺の方へ走ってきた。条件反射で俺は思わず明の首根っこを掴んで逃げてしまった。
『小雨先輩どこですかー??』
『おーい、涼ー!!出てこい!』
『先輩、男の俺でも惚れそうです!』
『めちゃ先輩カッコえー!』
『CMまで出ちゃうなんて流石だなー』
『小雨君どこー?!私、一応先輩よー?』
「おい、なんだなんだ?!」
俺は独り言のように呟く。
「そ…………それ……よ…り……はな………し………て…………………。」
俺は声のした方を見る。すると、明の首根っこを持ったままだったことに気がつき、急いで離した。
「ごめん!明!つい…。」
「ゴホッゴホッ。あー苦しー。涼が頭撫でてくれたら許してあげるー!なんちゃって笑」
俺はすぐ明の頭を撫でた。すると明はバッと顔を上げ、真っ赤な顔で俺を見た。
「じょ…冗談だって!!!」
手で口を覆いながら片方の手で俺の手を払った。
「ねぇ、涼。なんで皆が集まって来たのか分かってないでしょ?!あのね、CMだよ!」
え?まさか…。あの学校中が騒がしくなったのはそのせいか??
「おー、色男2人ー!小雨は人気者だなー!」
頼りがいのあるしっかりした声の持ち主。振り返らずとも誰だか分かった。
「小野先輩!」
男よりも男らしい先輩だ。かと言って乱暴という意味でもなく、とってもカッコイイ先輩だ。いつも長い髪の毛を高い位置でポニーテールをしていて、規則正しく着こなされた制服はとても似合っている。
「私も見たぞ、CM!よかったなーついに芸能界デビューできて!」
いやいやいや!!違います、先輩ー!
「良くないですよ……。」
「え?何故だ?!」
「何故って…その……。」
理由は2つある。一つはまだ自分のしたいことがハッキリ分からないこと。もう一つは…恥ずかしい……からだ。
「どうしたの、涼?顔赤いよ?もしかして、熱?!」
明はすぐ俺の額に手を当てて熱をはかってくれた。
「いや、大丈夫。その…では先輩さようなら!」
俺たち2人(主に俺)は逃げるように教室へ向かった。
ここまで大事になるとは………。これからどうなるんだ俺の学校生活は……。
ありがとうございました!
着々と最終話まで進んでおります。これが終わったらまず、月シル頑張ります!その後は……秘密です♡(ただノープランなだけですね…)
では次回も是非、見てください!