今の段階だと、このような話になります
オカシイ点・気になる点を教えてくれるという奇特な人がいましたら、感想で指摘をお願いします。
銀の福音事件直後、箒は姉と千冬と話した。
姉に「もう会わない」と言われ、ショックを受ける。
千冬はその理由が理解できた。箒が尋ねると、「束と何度も会うことで、箒の監視が強まり、お前の周辺が危なくなっている。お前はISがあるから大丈夫かもしれない。だが、お前の父や母は? ルームメイトの鷹月静寐やその他の一組のクラスメイトは? お前と会話したことが有るというだけで、転校か事故に遭うかもしれない」
姉に会いたい。
誰にも言わずに、会いに行こうか。
だけど、もしかしたら、これが最後になるかもしれない。
「一夏、にだけは、言っておかなくては……」
クラスで一人ぼっちの時に助けてくれた一夏、友達が居ないことを心配してくれた一夏、道場の同門だというだけで、友達作りの世話を焼いてくれた一夏。
もしかしたら、私が話すことで一夏へ負担になるかもしれない。
「最後まで、迷惑をかけっぱなしだったな」
---
一夏の家に行くと、シャルロット、セシリアがおり、鈴とラウラが後からくる。
---説明会話---
「月だ」
「月ってなんでだ?」
「まず、姉さんは兎の格好をしていた」
「おいおい、それだけかよ」
「それになんで兎だと月なのよ」
「そりゃ、月には兎がいるって、月の模様から言い伝えが出来たからだろ」
「月の模様は、カエルでしょ?嫦娥(じょうが)って言う」
「あら、ヨーロッパでは人ですわ」
「次に、姉さんが紅椿を運んできたとき。姉さんは人参の形をした物体に入って、落ちてきた。恐らく上空から目標地点に落とせるはずだ」
「それなら、空のどこかにいるんじゃ? 宇宙にいるより、空にいると考える方が自然だよ」
「最後に、紅椿だ。紅椿の能力を使えば、宇宙に行ける」
「あれ? でも、宇宙にいくには、宇宙脱出速度ってやつを超えないといけないんじゃないのか?」
「ああ、よくある勘違いだ。それは地表から水平方向で宇宙に脱出するための初速度だ。高度が上がれば、脱出に必要な速度も少なくなる。そして、紅椿は絢爛舞踏を使えば、無限のエネルギーを持つといっていい」
「つまり、紅椿は宇宙に行けるISなんだ」
「宇宙にいるかもしれないということは分かった。なぜ、月なのだ? 月でどうやって生活していくんだ?」
「月には永久影という場所に水がある。姉さんなら太陽光と水、そして月にある資源を元に、ほとんどのことが可能だろう」
「箒、そこまで宇宙に詳しかったのか」
「当たり前だ。私は姉と一緒に、宇宙に行きたいと思っていたからな」
------――
一夏が他のクラスメイトに箒を手伝ってくれと連絡する。
「ISを宇宙へ飛ばす?! 篠ノ之さんが!」
「なんでも、月へ行くらしいよ! 夏休みの自由研究ってことで!」
「凄い! 自由研究ってそんなもんだっけ?!」
「織斑くんからのメールってそういうことだったんだ。この期間中に暇で予定がない人か……。これは手伝えるってことだよね」
「うん、きっとそうだよ。世界で初めてISが宇宙へ行って、月に着陸する。それの手伝いができるなんて聞いたら、きっとほとんどの子は手伝うよ」
「よし、それじゃ、私は今日からでも手伝おっと。こんなチャンス、二度と無いからね」
「私も行くわ! 今、実家だから時間かかるけど!」
◇
「あったよ~、”なさ”の公式資料に月までの軌道とその計算方法。アポロ計画の資料だって~」
「見てみて、人工衛星を落としたとき、アメリカ大陸以外に落とすって発表とその確率、計算方法があるよ」
「これぞ、アメリカ! って感じだね」
「こっちでも試算してみるわ。今日中には終わらせるから」
「一番の問題になるエネルギーは、……ほぼ無限! なにそれ!」
「重量は変わらないのね。となると、軌道修正が何度も出来るってこと? ちょっと宇宙へ行くのに簡単すぎない?」
「食料と水、着替え、おしめ、新しくインストールするのはこれくらいかな? 空気はISに搭載されている触媒で二酸化炭素を取り除けば良いからね。うん、食料は一週間分で水は一ヶ月分、空気は運動しても三ヶ月は大丈夫。IS稼働時間は無限大っと」
「宇宙空間にでたら加速を初めて、減速するタイミングを考えなきゃね。……これは月までの所要時間が世界新記録になるよ!」
「IS学園上空は、夏休み期間中でも他の航空機体は飛行不可能だから、打ち上げ場所は勿論、IS学園だね」
「打ち上げっていうより、飛翔って感じだけどね」
「箒、お前、これ全部を一人でやるつもりだったのか?」
「いや、考えてなかった。もしあのまま行けば、宇宙で迷子になっていたな……」
「みんな、キリの良い所で休憩に入って! 疲れを残さないように。二十分間は休んでね!!その後に再開するよ!」
フライトディレクターの鷹月静寐が、チーム全体に命令を出している。
宇宙へ行く。
姉に会いに。
箒は一人で全てを行おうと考えていた。
他の人を巻き込みたくなかったから。
だけど、クラスメイトたちが、今、ISを宇宙へ飛ばすことに向けて、一致団結している。
箒は嬉しくもあり、不安でもあった。
迷惑をかけてしまった。こんなこと、やりたくなかったのではないか。
「篠ノ之さん、そんな顔してどうしたの? なにか不安?」
「私は、こんなに……迷惑をかけて、申し訳ない」
「違うよ、篠ノ之さん。みんな、自分から進んでやってるの。迷惑だなんて誰も思ってないよ。むしろ、みんな誇らしいと思っている。なんてったって、初めてISが月へ行き、それの手伝いが出来るんだから。 家族に会いたいって思う気持ちは、誰にだってある。よく分からない理由で会えないなんて、嫌だもんね」
「でも私は! 姉が本当に月に居るか、確認していない! 全部、推定だ。勘とも言えるだぞ」
「ふふ、そのときは、クラス全員に月の石でもお土産に持って帰ってきてもらおうかな」
「……わかった」
「もしかして、泣いてる?」
「……泣いてなど、ない」
◇
「みんな、夏祭りに行かないか」
一夏がそう言った。データの検証作業に入った今では、打ち上げの日を待つだけだった。
---夏祭り---
箒の叔母である雪子から、両親から箒へ送られた手紙 箒の名前の由来と束のウサ耳
箒が神楽舞を奉納する
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◇
---戦闘描写むり……---
千冬(暮椿)との戦闘 千冬は箒を守るために止める。
一夏、オルコット、シャルル、鈴、ラウラが千冬を足止め
山田先生は箒に協力し、教師部隊の足止め
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なんやかんやあって月へ(なんやかんやとは、一体なにがあったんだ……)
月に近づくと、束から誘導される。
大きな研究所には、白騎士が置いてある。
束は白騎士を過去に送るつもりだった。
未来から過去にタイムトラベルするには、どうすればよいか?
例えば数瞬前の過去へ電子を一個流す。
その電子は、現在で2個あることになり、それがまた過去へ流される。つまり4、8,16、……と、知覚できないが、一瞬の内に、エネルギーが無限大になる。
スティーブン・ホーキング博士は、そんなエネルギーに耐えられる存在など無いとし、過去へ行くタイムマシンは出来ないと言った。
しかし、天才はあるものを発明した。
どんなエネルギーでさえ、エネルギーを使って消す零落白夜の原理。どんなエネルギーにも耐えられる。ISが自己修復できるエネルギーの素。ISの操縦者保護機能が使うエネルギーの原理。紅椿が無限にエネルギーを引き出せる理論。
紅椿はISが持つエネルギーを、操縦者の意思で使えるようにした、言わば制限解除機体であった。
束「未来から白騎士のコアが送られてきた。何人もの篠ノ之束が、情報だけの存在となって、人類が間違わないようにと、何度も何度も過去へ遡った」
どの世界の束も、十五歳の時に開発したものが有る。それが、タイムマシンの原理。エネルギーをエネルギーで消す零落白夜の原理。
始めは、ISなんて無かった。何度も遡るうちに、情報がISコアという形でおくられるようになり、ISをつくりあげ、そして今、より強くなった白騎士が過去へ送られようとしている。
「姉さん、それならISコアだけを過去に送れば良い!姉さんが過去へ行く必要ない」
「無人機を使って過去に送ることは出来るよ。でも、私はもうこの世界に居たくなかった。箒ちゃんが居たから、私は頑張れた。でも、その箒ちゃんも色んな所から命を狙われ、危なくなってきている。箒ちゃんに会えないんだったら、もういい。
箒ちゃん、一緒に過去へ行かない? こんな世界は捨ててさ」
「嫌だ! 私は姉さんと、この世界で暮らしたい! 過去になんか言っちゃ駄目だ!」
「箒ちゃん、今、地球でなにが起こっているか知ってる? 宇宙に核兵器を捨てようって実験が始動しているんだよ。 そして、軌道が間違って月に落ちることになっている。私が箒ちゃんを誘導したからだけど」
「そんなの、迎撃すれば良い!」
「ダメダメ、白騎士事件のように、軍事衛星を壊したら、次こそは戦争が始まっちゃうよ。今度は誰が戦争を起こすかは知らないけど、戦争を企画する人はいっぱいいるからね。”私は決して宣戦はしない。私は戦争を作るのだ”ってね」
「姉さんが迎撃しないなら、私が迎撃する!」
「もっとダメだよ。箒ちゃん。その場合、IS学園が悪いことになる。箒ちゃんを手伝った人は誰かな。イギリス人に中国人、フランス人にドイツ人、ロシアの国家代表も学園にいて、日本人は誰も止められなかった。戦争を起こす理由は簡単に作れるよ。その中の一人に責任を負わせれば、丁度いいんだから」
「戦争なんて起こさない! IS学園は国際機関だ! 姉さんもそう作ったはずだ!」
「確かに、箒ちゃんやいっくんを守るために、IS学園を作って、賛同しない国には、ISコアを配らなかったけど、それでも戦争は何度も起きたよ。色んな私がそう言っている」
「亡国企業って組織がある。これは特定の企業をさしたものじゃない。どちらかと言えば、その考え方。箒ちゃん、今は企業が法律を作る時代だよ。人口の1%の1%の金持ちが、自分たちに都合の良いように、法律を作れる時代。金持ちが大量に行う投資は、所得税よりも低い税率になって、それに税金をかけることが不可能になってる。昔、サブプライムローン問題で、GSの幹部たちは保証されたのに、個人投資家は保証されなかった。GSは政府からの注入資金でボーナスを幹部に与えて、幹部は辞めたんだよ。昔の理念と違って、今の資本主義は自己責任と見せかけた、搾取なんだよ。先進国は、選挙にお金が掛かり過ぎる国は、必ずそうなってくる。
彼らは浪費を美徳とし、より消費することを求める。一人だけなら、誤差の範囲かもしれない。けど、先進国の人口全員が浪費をしたら、その皺寄せはどこへ行くと思う? 物価が上昇、水の値段だって上がる。貧困国は、食べ物が買えなくなる。水だって、先進国が管理している事がある。そして、物が買えない彼らは余っている国へ行く。
移民受け入れをする国へ行ったり、不法入国したり、テロリズムを行い近くの国へ攻撃し、同じ国の金持ちへ攻撃し、紛争を開始する。
移民は、奴隷としての働きを期待されている。大企業が、グローバル化社会に耐えられないから、仕方がないと言って。非正規雇用を増やし、労働者を解雇しやすくし、移民を増やし、1%の中の1%である金持ちの為に、搾取する。国を食い尽くしても、止まらない。国民全員が搾取され、国がなくなっても、亡国の企業となっても、次の国を喰らおうとする。 企業のために、国がある。搾取されて喜べと、押し付ける。その考え方こそが、亡国企業。
金額に応じた民主主義に、すでになっている。消費の格差が、耐えられない局面、つまり、暴動・紛争・戦争をしなければならない状態になっている。
だから私も、戦争をコントロールする。相手が何を考えているかなんて知らない。
ちーちゃんが戦争で行方不明にならないように! いっくんが誘拐されないように! 箒ちゃんが、紛争で死なないように!」
「それでも、それでも! わたしは、私は! 姉さんと一緒に居たい! IS学園の皆と一緒に学びたい!」
「っ! 聞いてなかったの、箒ちゃん。 私はもう、こんな世界、うんざりで! 人が大っ嫌い! 世界をやり直すの!」
「嫌だ! 私は姉さんと居たい!」
「だったら! 箒ちゃんも! 一緒に過去へ行こうよ!」
「嫌だっ! 私はIS学園のみんなと、もっと学びたい!」
「じゃあ、帰ってよ。帰って! IS学園でもどこでも行っちゃえ!」
「姉さんも一緒に行くんだ!」
「だから! それじゃ! 箒ちゃんが! 危ないの!」
「たとえ、危なくても! 一緒に入ればいい!」
「いつからそんなに頑固になったの! お姉ちゃんの言うことは聞きなさい!」
「嫌だ! 絶対、聞かない! 一緒に暮らすんだ!」
「なんで! どうして? どうして……」
「私は! 姉さんが好きだ! 姉さんが居なくなるなんて! 許せない!」
「……私も、箒ちゃんと、はなれたくないよぅ」
「じゃあ、一緒に!」
「箒ちゃんが、私の所為で死ぬのは、もっとやだ……」
「私は! 死なない!」
「無理だよ……いっくんが誘拐されたとき、無敵のちーちゃんは、自分が無敵じゃないことに気がついたんだよ。どんなに気を配っていても、危ないものは危ないの。自分の知らない弱点が有るんだよ。私と一緒にいたら、箒ちゃんの友達が誘拐されるかもしれないんだよ。そんなのやだよ……」
「じゃあ、友達には秘密にする! 友達に言うのは、姉さんの自慢だけにする!」
「私の居場所が知られただけで、何が起こるか分からないんだよ」
「それでも私は! 姉さんと! そして、IS学園の皆と歩んでいきたい!」
「分かんないよ! 箒ちゃんが考えていることが! 危険だって言っているのに」
「たとえどんなに危険でも、私は姉さんと一緒にいたい」
「……そんな事、言わないで。過去に戻らなきゃ、行けないのに」
「姉さんが戻る必要ない!いや、誰だろうと! 過去に戻る必要なんかない! どんなことでも! 協力すれば! きっと解決できる!」
「……協力できないから、過去に戻るんだよ」
「私は! 人を信じる! 協力できると! たとえ誰一人と協力してくれなくても、私は! 姉さんに協力する!」
「……昔みたいに、箒ちゃんと一緒に」
「姉さん! 私と一緒に生きてくれ!」
「色んな人に迷惑がかかるよ」
「それでも、手伝ってくれる人はいる」
「きっと、後悔するよ」
「後悔してないし、これからも後悔しない」
「きっと、大変だよ」
「姉さんと一緒にいるためなら、何だってする」
「じゃあ、過去に戻る?」
「それはしない」
「……嘘つき」
「私は、何が有っても姉さんと居る。だから、姉さんを過去になんて戻さない!」
「箒ちゃんが死んだら、私はやり直すよ?」
「そのときは、生き返ってでも、姉さんを止める」
「訳が分かんない。無茶苦茶だよ。箒ちゃん。でも、私も、……一緒に生きたい」
「ねぇ、箒ちゃん。抱っこして」
「えっ、抱っこ?」
「早く早く」
「私も後で、抱っこして欲しい」
「後でね」
「姉さん、私をIS学園に入れてくれて、ありがとう」
「ん」
「私はどうしようもない、人間だった」
「うん、見てたよ。剣道の試合。危ない事をしてたね」
「こんな私でも、友だちになってくれる人がいたんだ」
「うん」
「ライバルだって言ってくれる仲間がいたんだ」
「うん」
「皆で一緒に、一つのことに取り組めることができたんだ」
「うん、みんな、箒ちゃんを宇宙へ行かせるために、色々、頑張ったよね」
「私は、姉さんと一緒に、なりたい」
「……ありがと」
「……この研究所を、捨てて、私と、来て欲しい」
---
アメリカやロシアなどのISによって、核ミサイルが宇宙へ廃棄され、いくつかが予定外の軌道を描き、月へと向かった。
篠ノ之箒は、それに触れること無く、地球へと戻ってきたのだ。
彼女は一人だった。
しばらくした後、月周回衛星が月に人工物を発見した。探査ロボットが送られ、そして、死体が発見された。
核ミサイルによって、人工物内で火災が発生し、酸欠によって無くなったと誰かが結論づけた。
唯一の出入り口は、熱で変形し、切り取らなければ開くことが出来なかったという。
その死体は篠ノ之束だといい、私が見殺しにしたと篠ノ之箒が公表した。
篠ノ之箒は紅椿に残した映像を提出し、彼女が姉を置いて月を脱出したことが判明した。
IS学園は篠ノ之箒が錯乱状態にあるとし、彼女を一人部屋へ移動。監視を強化した。
◇
「箒。……千冬姉が呼んでる。でてきて、くれないか?」
一夏が扉をノックし、中の人物へと声を掛ける。
「い、ちか」
箒はみすぼらしかった。
IS学園の制服を着ているものの、シワだらけで、何かをこぼしたシミも多数付いている。髪は結われておらず、ボサボサでフケが肩に掛かっている。目元には隈ができ、目が赤く充血している。キョロキョロと周りを気にする目が、痛々しい。頬は痩せこけ、元気に一夏を殴っていた頃の面影は一切なかった。
(箒、一体、何時間、泣いていたんだ。俺は気を逸らすことしかできない)
一夏は自分の不甲斐なさに苛立つ。しかし、箒の前では、一切見せたくなかった。そんなことをしたら、箒が余計傷つく。
「箒。千冬姉が呼んでいるんだ。一緒に行こう」
一夏はこの状況では、自分が役に立たないことを分かっていた。だからこそ、少しでも改善できそうな人物に任せることにしたのだ。
「ち、ふゆ?」
「ああ、俺のねえ……」
(馬鹿か、俺は!)
一夏は自分の間違いに気づき、直ぐに言い直す。
「俺達の先生だ。話を聞きに行こう」
一夏は箒と無言で歩く。クラスメイト達とすれ違うが、箒の顔を見ると誰もが悲しそうな顔をする。
(このままじゃ、いけない!)
寮監室の扉をノックし、姉の入出許可を待つ。
「入れ」
箒が姉との会話で少しでも良くなってくれる事を思い、一夏は扉を開けた。
「やぁやぁやぁ、いっくん。元気だったかな?」
「馬鹿者! 見られたらどうする!」
「いった~いっ! ちーちゃんの愛が痛いよ!」
「えっ?」
「姉さんは、凄いな。私はまだ、寝足りない」
箒はそう言って、床で寝始める。
「おい、篠ノ之。こんなトコロで寝るな。邪魔だ!」
「まぁまぁ、遅くまで一緒に研究してたからねぇ」
「えっ? なにそれ」
「いっくん、久しぶり! 調子はどう?」
「な、なんで、束さんがここに?」
「それは勿論、箒ちゃんのある所、束さんアリ! だよ」
「し、死んだって、箒が、発表した……」
「ヤラセだ。あれは全て、偽の情報だ」
「はぁ?!」
「ん~、束さんは人気者だから。死んだことにしたんだよ!」
「これを知れるのは、国に所属していないお前にしか話せない。誰にも漏らすなよ」
「は、はい!」
「これから、いっくんやちーちゃん、箒ちゃんは大変だからね。束さんが抑えていた色々な物が溢れるから頑張ってね~」
「全く。お前も楽はできんぞ」
「もっちろん! 皆で仲良く過ごすためだもんね!」
「ん、姉さん。抱っこ」
「はいはい。箒ちゃんは甘えんぼだね」
「葬式だってして、箒の両親だって泣いてたのに、俺の涙も、全部うそ……はぁ、束さん、らしいなぁ。そして、箒は知っていたのか。良かった、只の研究疲れかぁ」
「わわっ、箒ちゃんの髪の毛がすごいことになってる。これは大変だ!」
「一夏、束の事は漏らすなよ。そうなったら、誰かが死ぬことになる。この中の誰かかもしれないし、全く関係のない者かもしれない。束はそれを知り、だれとも関わらないようにしてきたらしい。まぁ、嘘かもしれないが。「嘘じゃないよ!」どっちでも良い、束が見つかれば、ISコアを作れと必ず言われる。それを承知で、こいつ、箒はアレを連れてきたんだ。全く、周りの迷惑を考えないで」
「千冬姉、笑いながら言っても説得力無いよ、って痛ぇ!」
「うるさい、馬鹿者。ちゃんと聞け。まずは馬鹿が研究に熱中して授業に出席しないことが問題だ。明日からは……
箒はそんな喧騒の中、姉のぬくもりを感じながら眠っていた。
自分の選んだ道に後悔はない。周りを大勢巻き込んだ、自分が幸せになる道を、箒は選択することが出来た。
将来、戦争が起こるかもしれない。
束は何度もそれを言った。
それでも、箒はこの道を選んだ。
姉さんは言った。
「人間は臆病だ」
「頭の良い人、権力を持った人ほどそれは顕著で、臆病すぎて自分が殺されると思い込むくらいに、他人が自分を殺そうとする前に、殺してしまえと思えるくらい臆病だと。戦争は起きる。人間は臆病だから。でも臆病だから、身を守るために技術が発展した」
「戦争を行う人は疲れる。兵士がどんなに殺す覚悟をしても、人を殺し続けるのは、出来ない。そうなった兵士は社会に戻れない。命令を出す支配者は、命令だけだから、疲れない」
「ISが人を乗せる有人機なのは、戦争をするのは疲れると、言わせるため。兵器として役立たずにするため。人を殺さないように、人が戦いで疲れるようにするため。人が人を愛せることを忘れないように、人を見せている」
「それでも、何度も戦争は起きた。先延ばしでしか無かった。私達が今からするのは、きっと、戦争の先延ばしでしかない」
箒はそれでもこの道を選んだ。
いろんな人に、協力を頼もうと考えている。
姉さんが諦めた世界でも、必ず良くなると信じているから。
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