「私たちをこの世界から出すことは可能でしょうか?」
それによって新たな歯車は回りだす。
揺れ動く振り子。
刻む秒針。
それが止まった世界から彼女たちを救いだせるのか。
ねくすと・すてーじ!すたーと!
「私を、いいえ。私たちをこの世界から出すことは可能でしょうか?」
「「・・は?」」
二人で声を揃えてしまった。
「先ほど言った通り、この世界は・・ボイスロイドの世界。外の世界とは違い可能性の一つに過ぎず、時間経過の概念はありません。茜ちゃんが成長と言っていましたが、そもそもから、成長する概念がないのです。ただ無限に近い時間の中を私たちは生まれたままの姿で過ごすだけ。幸運にも仮面ライダーという異物が入ったので一時的には変わりました。ですが、あなたが作った装置のおかげで外の世界があることがわかりました。我々は内包された世界で生きていたのですから、外を知りませんでした。しかし、そこの織斑一夏さんと話し、そして世界のことを改めて知ると、この世界ははったりでしかありません。外の世界を私は見てみたい。成長はしなくてもいい。それでも私はここから出たいのです。」
そう言うと全員が下をむいていた。言葉には出さなくても、同じ思いはあるということだ。
「できるけど?」
「軽い!?結構思い話しだったけど、そんなにあっさりできるの!?」
「これは面白い事にね、君たちが、ライダーだからできることなのさ。幸運だね。」
「それはどういう・・」
白いガシャットを取り出す。
「これは何も入っていないガシャット。まず、これを用意して君たちのデータを採取する。そして、君たち事態はもとの世界に筺体を用意してそこにデータ隊として住んでもらう。もちろん、そこから体を用意していい心を持った『バグスター』として存在してもらうわけだ。実はすでにその実験はできていて、助手の明日奈くんはバグスターの『ポッピーピポパポ』なんだ。今は人間の姿をしているが彼女もガシャットから生まれたバグスターで、同じように君たちもバグスターとして存在すれば問題はない。食べて、寝て、と人間と同じように過ごすことができる。」
そう告げたらゆかりさんはその場に座り込んだ。
「私なんかが足元にも及ばないほどの天才ですね。貴方こそ真の天才です。」
「そうだなぁ、パラド神(しん)と呼んでもいいぞ?」
「調子に乗るな。」
「痛い。」
軽く頭を叩く。
「さて、そうと決まればみんなのデータを取ろう。まずはガシャット同士の相性がいい弦巻さんからね。次に結月さん。それから琴葉姉妹、東北姉妹と順番に行くよ。」
「わかったよー。・・どうすればいいの?」
「あぁ、ガシャットを自分に向けて当ててボタンを押してくれればマスターデータは入る。そこから後はボクがするよ。覚悟を決めてから・・」
「えい。」
マキはいきなり自分に充ててボタンを押した。一瞬体がジラジラと揺れるようになった後、元に戻る。
「これで、いいの?」
「い、勢いよくて大変結構。それじゃそのガシャットを貸して。次の結月さんのはこれね。ほかのみんなのもあるから一人一つ持って置いて。」
そう言って数個のガシャットを積み上げる。
そして全員がガシャットを自分に当ててボタンを押した。
それからはパラドが端末らしき装置につなげて高速でタイピングしている。懐かしいな。IS学園時代もこうだった。変わってなくて小さく笑った。
それからは全員で話をして外の世界でしたいことを聞いたり話したりした。
「私は外の世界で音楽がしたい。こう、ギターをかき鳴らしてさぁ、『ぎゅんぎゅーん』って感じで。」
「音楽活動か。面白そうでいいな。」
弦巻マキ、音楽系のバグスター。
「私は実験とかがしたいですね。後は開発研究、だけではなくて体を動かしたりしてみたいのもあります。私の趣味にはスケートボードもありますから。」
「面白そうだな。パラドの下で実験開発はできそうだし、就職はできるな。」
結月ゆかり、スポーツ系バグスター。
「ウチはまぁ、ゆかりさんのお手伝いもええなぁ。それに趣味としては料理も作りたいわ。」
「料理か。なら、俺は金貯めたら食事処作ろうと思っているからそんときは協力してくれるか?妻と二人と思ってたけど、手伝いがいると楽だし。」
「それええな。はよ金貯めて店作ろうや。んで、ウチと葵が看板娘や。」
「うちの妻が一番の看板娘だ。そこは譲れん。」
琴葉茜、料理系バグスター。
「お姉ちゃんから目を離すと怖いのでそうなったら私も一緒にお願いします。」
「これは目標に大きく前進だな。頑張る励みになるぜ。」
琴葉葵、サポート系バグスター。
「それなら私はずんだ農園を。」
「結構です。というか、枝豆や大豆作ったりする農家はどうだ?それなら、豆腐や豆乳、枝豆や色々と先が見えるが?」
「うーん、それもいいかもしれないですね。自家製の大豆や枝豆でずんだの素晴らしさを広げましょうか。」
「それでもいいかもな。」
東北ずん子、農業系バグスター。
「わたすは、お姉ちゃんほど上手くはいかねぇけど、コメ作りからきりたんぽ屋さんとか作りたいかも。」
「うーん、コメ作りはいいがきりたんぽ屋さんか・・。需要が少ないから難しいな。なべもの屋さんとかならいいんだが。まずはコメ作りで次にきりたんぽ鍋をメインにした料理店だったらどう?」
「ひ、一人じゃ無理。あ、織斑さんの店で扱ってもらえればいいんじゃないかと思い付いたんだけど?」
「あぁ、季節限定できりたんぽ鍋か。・・いいかもしれんな。基本的には姉妹で農家。ずん子さんの手伝いで豆腐なんかを作って、季節の時にはきりたんぽって言うのが理想だな。」
「あとは、おむすびの代わりに焼ききりたんぽを作ったりして、食べながら歩ける軽食なんてのも考えてるんだけど・・。」
「んータレが下に落ちそうなのが難点だな。そこらへんの改良によっては売れるかもしれない。やってみてもいいんじゃないかな?」
「はい。がんばってみるです。」
東北きりたん、農業系バグスター。
話している間にパラドが端末に情報を打ち込み終わったらしい。
「それじゃ、一度帰って筺体の用意をしてくるから、もう少し待っててくれ。一夏もこの世界の目印のためにもう少しだけ我慢してくれるか?」
「当然だ。俺が仲良くなったんだしのちの夢のためにもこの子たちにも協力してもらうんだからな。」
「わかった。それじゃ一度帰る。」
そう言って『マイティクリエイターVR-X』を自分の前を四角く動かすと扉が生まれた。
「じゃ、また後で。」
そう言ってパラドはこの世界から一度消えた。それからみんなでまたマキの家に行って話をする。
話の内容は俺がライダーとして行ってきたことや、外の世界の常識、ISと言う物の存在とその認識が変わったことなど、向こうの世界の常識などを話していった
そして、料理の腕を見せるために俺がその場で料理を始めて全員にふるまうことに。
「わぁ、これ美味しい!」
「ふむ、なかなかの味ですね。イケます。」
「ええやん。これなら店も十分いけるで。」
「そうだね。これはおいしいですよ一夏さん。」
「ずんだがないのは悲しいですが、十分この料理はおいしいと思います。」
「きりたんぽ鍋が何故か有るのがうれしいけど・・、出汁が利いてておいしいね。」
それぞれが自分の好きな料理を食べて満足してくれたようだ。しかし意外にみんなよく食べる。一升炊きのご飯がなくなった。食材は好きに使っていいとマキから言われたので使ったが、ほとんど空になった。まぁ、外の世界に出るなら必要はなくなるだろうが・・。そもそも時間の経過がないからここじゃ腐らないそうだ。ただし、気分的な問題や冷たいほうがおいしいものがあるから冷蔵庫は必要らしい。
食材を入れて混ぜた入れ物を冷凍庫に入れると、冷えたという結果が残りすぐさまアイスクリームができたことには驚いた。まるでゲームの世界だ。『工程は飛ばして結果が残る』みたいな。
そうしているとパラドが返ってきたようで、部屋の隅に土管が表れてファンファーレが鳴る。
「とぅ!!」
「それはもういいから!!」
そう言いながら突っ込み入れて叩いてしまうのは仕方ないと思う。
「さて、準備は整った。今度はこのガシャット先ほどのデータを入れたガシャットをそれぞれの色に分けた。赤と黄色と白のガシャットは弦巻さんの。紫とピンクは結月さんの。赤黒が茜さんで、青白が葵さん。緑と黄緑のが、ずん子さんで、白と黒がきりたんさんのだ。それぞれがさっきと同じようにしたら最終段階として自分そのものがそれに入り、外の世界に用意した筺体へそれを挿すことによって、君たちはバグスター体として存在できるようになる。緊張するだろうが、覚悟が決まったら・・」
「えい。」
「はい。」
「うりゃ。」
「それ。」
「ずんだ!」
「はい。」
全員がすぐさまガシャットを押しあててボタンを押した。
全員のガシャットが光り、宙に浮いている。
「・・・一人変なのがいなかった?」
「ずん子さんだけはぶれないな。」
俺は苦笑いしてしまった。そして全員のガシャットをパラドが回収してさっきと同じくドアを作りそこを抜けていく。光の中を抜けると、
「む・・帰ってきたのか?」
目の前が真っ暗で視界に何か機械的なものがふさいでいるのが手探りで分かった。それをはずして横を見ると、ストレッチャーみたいなものと取り外した後のVR装置が置いてあり、部屋の隅の個室的なところでパラドがガシャットを並べて差し込んでいた。
「ふははは、異世界から存在を連れてきて新たな生命体を作り上げる。これこそ神なる所業!アイ、アム、ゴォォォオオオオオッドォォォォオ!!」
そう叫びながらすごい速さでキーボードを操作して、高く指を上げる。
「これで、完成だ!みんな、出ておいで!!」
そう言いながらキーを叩くと、まわりに六体の光が生まれた。
「やっはろー、弦巻マキだよ!」
「どうも、結月ゆかりです。」
「せやなー、琴葉茜ですぅ。」
「だよねー、琴葉葵です。」
「ずんだぁぁぁあ↑!ずん!ずんだ!!東北ずん子です!」
「ど、どうも・・東北きりたんです。」
全員が表れて自己紹介してくれた。
俺とパラドはお互いを見て笑い、そこにいる全員に手を広げてこう言った。
「「ようこそ、時間の概念のある、俺たちの(ボクたちの)世界へ。」」
これから色々と忙しくなりそうだ。
まぁ、クロト神の代わりになった神的存在ですから簡単にこなしちゃいますね。そもそもバグスターの生み方を一番熟知してますし。
しかし、そう考えると移動の仕方は楽ですよね。バグスターって消えたりできますし。
バグスターなのにライダー。パラドのセリフで合った、
『人間にしか使えない、ゲーマドライバーを使ってな。』
って台詞がうやむやになっておりますな。
もはや普通に人間以外がベルトを使いまくると言う状態に(笑)
人間のライダー < バグスターのライダー 状態。
[より多い]
まぁ、これからどうなるかは待て次回。
しーゆー、ねくすと・すてーじ!