カネキくんが私たちの前から姿を消して約半年が経った。
私は相変わらずあんていくで働きながらカネキくんの帰りを待っている。店長に頼んでいつ帰ってきてもいいようにロッカーや専用のカップをそのまま残してもらった(といっても私が言い出さずともたぶん店長は残しておいてくれただろうけど)。
「ふう、今日も暑いな・・・」
私は店の前に打ち水をしながら雲一つない青空を見上げた。
――――――カネキくん、あなたの居場所はここにもあるよ。みんな、あなたを待ってる。だから、いつか必ず帰ってきて―――――
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今日のバイトも終わってマンションの自分の部屋の前に着くとドアの前に白い段ボール箱を持った宅配業者の人が立っていた。
「あ、ここの部屋の方ですか?」
「はい、そうですけど・・・」
「よかった!お届け物です。受け取りのサインお願いします」
「わかりました」
宅配の人は私が差し出されたペンでサインを書いたのを確認すると「ありがとうございました!」と去って行った。不安だったのかな、ここの階に住んでるの私だけだし・・・
気を取り直して差出人を見ると実家からだった。あの人とは不可侵のような、いや、ほぼ絶縁に近い状態になっているためおそらく義父さんか飛雄からなのだろうけど、それでも用心するに越したことはない。まあ、半喰種だから大抵の事じゃ死なないけど。
「ワオ!」
蓋を開けると中には手作りらしい瓶詰のピクルスと夏蜜柑が入っていた。こんなことをあの人がしてくれるわけないので、時間を見て飛雄の携帯に電話をかける。
『・・・もしもし』
「もしもし、飛雄。ピクルスと夏蜜柑届いたよ。私の好物、覚えててくれてありがとう・・・やっぱり面倒くさかったでしょ、あの人」
『別に。宅配に持ってくところまで気付かれなかったし。そのあとキレて喚いてたけど親父が怒鳴ったら静かになったから、そんなでもない』
「そっか・・・なら、いいんだけど」
『それで、そのピクルス・・・なんだけど』
「?」
『作って、みた。見た目は不格好かもしれないけど、ちゃんとレシピ見て作ったから食えるはず』
「ふふ、そっか。飛雄の手作りか。じゃあ有難くいただきます。義父さんにもありがとうって伝えておいてくれる?」
『・・・わかった。姉貴』
「ん?」
『身体、気を付けろよ』
「・・・ありがと。飛雄も怪我とか無茶とかしないでね」
『ウっス』
そのまま電話が切れたのを確認し送られてきたピクルスを見る。
やり取りがあの人にバレるのを懸念してかしばらく送らなくてもいいようになのかは分からないがとにかく量が多い。なんせ本来なら梅酒を漬けるような、人の顔ぐらいの大きさの瓶に大量に漬けられていたからだ。でも、あのバレーボール以外不器用な義弟の手作りなのだ。
「・・・食べるか」
久し振りに食べたピクルスは案の定喰種である私には美味しくなんて感じられなかったけど、なんとなくその劇物のような味の中に真心を感じて食べ続けた。夏蜜柑も食べ終わる頃には水のペットボトルの空が部屋の床一面を覆い尽くし、水道水も出しっぱなしにしながら「通れ」と呪文のように呟いてへばる私がいた。