―――犯人像から美食家喰種の仕業と考えられ・・・
「あいつ・・・リゼが死んでから随分元気ッスね」
「彼ねェ」
勤務中に流れるニュースを聞き流しながら入見さんとトーカの話が耳に入る。月山さんか・・・リゼがこの店に寄り着くようになってからは一回も会ってないし、もうストーカー行為に近いエンカウントも影を潜め今はもうなくなった。きっと私をつけ回すことに飽きて他の獲物を狙いに行ったのだろう。今回の目を繰り抜かれた人は彼のお眼鏡に適ってしまった不憫な人なのだ。と思わずため息を吐く。
「そういえば彼と言えば美月ちゃんよね、最近はどう?店には来てないけどまだ外だとあなたのところに来るの?」
「いえ、前の一件で謝られて以来音沙汰なしです。きっと飽きてくれたんだと思います」
「トーカちゃん彼って?」
「ちょっと前までミヅキをつけ回してたストーカーキザヤローだよ。毎日毎日飽きもせずずーっとミヅキにちょっかいかけてた変態」
「ストーカーに変態!?」
「あ、金木くん、もう終わったことだから気にしなくていいよ。さっきも言ったけどもう関わり合いはないから」
驚愕する金木くんにフォローを入れる。入れておかないと私の人間関係誤解されそうだし。
そんな風に思っていると来店のベルが鳴った。
「いらっしゃいま・・・」
「ん~いいニオイだ・・・」
対応しようとしたトーカが言いかけてやめ不機嫌になる。というかそれと同時に聞こえたこの声は・・・!!
「やはりここは落ち着くね・・・」
月山さんが、そこにいた。
「久しぶりだね!霧嶋さん、入見さん。そして氷室さん!!」
「・・・久しぶりです。月山さん」
「・・・・・・何の用?」
「やだな・・・少し顔を見せに来ただけじゃないか。相変わらず霧嶋さんは冷たいね。まァ・・・そんなところが君の魅力でもあるんだけどね」
「気持ちワリィんだよキザヤロー」
「時に氷室さん、君は今日も相変わらず美しいね、思わず見惚れてしまったよ。実にこの約半年、僕は一度たりとも君を忘れたことはなかった!再会を祝してどうかな、このあとディナーでも」
「あはは、いえ、今日は遠慮しておきます」
「それは残念。ではまた日を改めるとしよう・・・・・・おや?眼帯の彼」
金木くんは月山さんに興味を持たれてしまったらしく、ずっと話しかけられて困惑してた。助けたいのは山々なんだけどごめんね、私が止めに入ったら色々勘違いされた挙句話が大きくなりかねないからさ・・・。
結局月山さんは金木くんに話しかけるだけ話しかけて席に着くこともなく帰って行った。
「・・・あの人は?」
「20区の厄介モン」
「悪い人じゃないけどね」
「ついこないだまで一番被害に遭ってたやつがよく言うよ、まったく・・・」
「はは・・・でも本当に巻き込まれると厄介なことに変わりはないし、付き合っていくなら慎重に、ね・・・・・・でもできれば関わり合いにならない方がいいよ」
この日以降月山さんが金木くんに言い寄るようになり、あのレストランへ連れて行かれるなんて私はまだ知らない。