IS~不幸だけど、頑張ろう~   作:瑞翼 翔

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Orchid-00 鬱

???side

 

 僕はとある地方に住んでいるしがない高校生だ。特別なものなんて一つもない。いや、一つだけ特別なことがあった。それは―――

 

(何でこんなに不幸なんだろう?)

 

 そう。おかしいくらい不幸がついて回っているのだ。例を挙げるとすれば、高校の入学試験の時。

 僕は少し遠くにある二歳年上で近所に住んでいた先輩と同じ国立の高校に入ろうとしていた。だけど、出発して昼食を買おうと寄ったコンビニで急に腹痛が起き、トイレに入った直後、コンビニ強盗が白昼堂々とご来店。

そして何を拗らせたのか立て籠り事件に発展して、それがようやく解決したのがその日の夜遅く。

 当然、再試験も受けることは出来ず、泣く泣くその高校を諦めることとなった。

 

 もう一つ例を挙げると、高校入学後しばらくしてあった中間考査の時―――というか、今日のことだ。

 先に述べた事件の後、僕は駅で二駅ほど離れた地元の進学校に入った。

 その後、何故かクラスの『アレ』な人に目をつけられて絡まれた。当然、僕は無視した。

 そしたら彼らは何を血迷ったのか今日の考査の後で担任に僕がカンニングをしたと報告した。

 当たり前のことながら、僕はカンニングをしておらず、その上、報告した人の席は僕の前。どうやって見たのかと思ったら、丁度後ろの人も僕の前の人とつるんでいた人だった。

 その二人の話を真に受けた担任(新任)が、今日の考査が終わった僕を生徒指導室に連行。担任と一対一で尋問開始。

 僕はやっていないものはやっていないので、否定をし続けていたら、学年主任の先生が生徒指導室に入ってきてその場で担任を叱責開始。僕が茫然としていると、生徒指導の先生も入ってきて事情を説明してくれた。

 それを要約すると、『試験監督の先生と僕の両隣のクラスメイトが学年主任の先生に直訴した』とのこと。しっかりと裏付けをとらずに僕を生徒指導室に連行したと分かったのがそのときらしい。取り合えず、僕のこの時間を返してくれ、と思ってしまった。

 

 とまあ、そういう感じ。そして僕は家に帰るために駅のホームにいる。早く帰らないと妹がごねる。親は少々特殊な職業に就いるらしく、実際僕も親の職業を知らない。知っているのは、勤務時間不定期、夕食時には確実に居らず、二日間家を空けるのもざらにあるということくらい。

 まあ、それによって料理の腕がかなり高くなっているのも笑えない。今では女子が自信無くすレベルだよ。

 

「本当、不幸だ」

 

《間もなく、二番線に各駅停車○○行きが参ります。危ないですから―――》

 

 僕はそのアナウンスを最後まで聞くことはなかった。

 

ドンッ!

 

と急に後ろから押されて、ホームから転落した。後ろを振り返ると、僕を押したのは僕をカンニング犯に仕立て上げようとした人だった。

 

左には電車の車体が見えた。

 

キキーッ!

 

 電車のブレーキ音が聞こえたが、多分間に合わないのであろう。

 

 そうして僕、桑澤 幸樹という人の人生は終わった。

 

幸樹side out

 

束side

 

「ん~!いい朝だねぇ」

 

 おっはろ~。みんなのアイドル、篠ノ之束だよ~。今私はここ、ドイツに来てま~す!太陽がこんなに綺麗に昇ってる日は、朝の散歩したくなるよねっ!というわけで、れっつらご~!

 

パシュンッ!

 

 圧縮空気式で開閉する出入り口から外に出た瞬間、私は目の前の光景に絶句した。

 

「何、これ・・・」

 

 そこには男物の血染めのYシャツを着た14~15歳くらいの女の子が倒れていた。何で女の子だって分かったのかって?女の子特有の体格だったから。

 

「と、取り合えず中に運んで手当てしないと」

 

 私は一般に言われているように他人に興味が無かった(・・・・・・・)。だけど、去年(・・)まで私を秘密裏に匿ってくれたある夫妻が、

 

『どんな人でも支えあって生きているし、君も誰かに支えられているんだよ。それを蔑ろにしてしまうと、人は生きていけない』

 

って教えてくれた。だから今では、ある程度は人を認識出来るようになった。

 

(この娘にどんなことがあったのかは知らないけど、いざとなったら支えてあげよう)

 

 こういう風に、大体同じくらいの身長の人を抱えるときには、この細胞レベルでオーバースペックな身体能力が役立つ。

 私は軽々と彼女を持ち上げ、私のベッドに寝かせた。さて、彼女を手当てしますか。

 

(医療器具、よし。医療用ナノマシン、よし。全血液型の輸血パック、よし)

 

 必要だと思った物を揃え、指差し確認をして彼女の手当てを開始する。

 

(まずはYシャツを脱がせて・・・・・・・・・え?)

 

 治療のために彼女のYシャツを脱がせたが、驚くべき事があった。

 

(彼女、まさかの『裸Yシャツ』してた!?)

 

 なんか抱えたときに結構暖かいなあと思ったけど、まさかそうだったとは・・・・・・。

 

(これって、『ご』から始まって『ん』で終わるアレの被害者なの!?でも、なんで血染めのYシャツを着てたんだ?身体に傷なんて無いし・・・。まさか、加害者を返り討ちにしちゃったの、この娘。怖いよ!色々と)

 

「んっ・・・」

 

 あ、彼女が目を覚ましたみたいだ。ちょっと事情を聞いてみようかな?

 

束side out




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