ど田舎だけど、ギルドの運営、頑張ります!   作:saga14

17 / 25
17話 その後

目が覚めると、ベッドの周りがおかしな事になっていたんだけど?

枕元には普段だったら絶対に私が読まなさそうな本が数冊積んでおり、壁には、何か良く分からない物がたくさん飾られている。なんだ、これは。縄を捩じってるやつとか……紙が人型に切り取られて……? てゆーか、なんだいなんだい! 紙は貴重品なんだから変な事に使わないで欲しいよね!

それにしても、誰かの悪戯なのかな? うーん、ちょっと良く分からないなぁ。

 

寝室から廊下に出て、階段を下りて店内に向かうと、そこも異様な光景になっていた。

せっかくのテーブルは隅に片付けられており、その空いたスペースには大きな風呂敷のような布が敷かれており、その上にはいろいろな食材が山のように置かれている。

受付の上にはなんだか良く分からない像が置いてあるし……、うーん? こういうのはジーン爺が好きそうな像だよなぁ。私の知らない間に、ここでパーティでもやってたの? うーん、記憶にないんだけどなぁ。

 

色々と考えていたら、足元に猫ちゃんが寄って来た。おお、今日も可愛いなぁ、なんて思っていたら、なんか背中に何かくっ付いている? ひょい、と猫ちゃんを抱き上げて見ると、それは何かがくっついているわけでは無く、なんと! 許せない事だが! 何か黒い染料のような物で落書きされているじゃないか! もう、酷い事をする人もいるもんだ! 急いで洗い落としてあげないとね!

 

「お、お邪魔しますぶひ~……」

 

私が猫ちゃんの惨状に怒っていると、恐る恐る、といった感じでオークが扉から顔を覗かせる。こちらに気付き、私と目を合わせると、なんて事か、オークは顔を露骨に歪めた後、妙に媚びたような笑顔になり、いそいそと近寄って来た。

 

「あ、アリーさん、お目覚めですかぶひぃ。今日も曇りなき晴天、天空から神々が見届けになられる一日が始まりますぶひぃ……」

「…………? ね、ねぇ、それよりなんか私のギルドが変な事になってるんだけど何か知らない? 猫ちゃんも……ほら、見てよ! 誰かに悪戯されたんだわ! まったく、酷いと思わない? それとも、まさかとは思うけど、オークがやったのかしら?! それなら私、許さないんだからね! ミレダに、お仕置きしてもらうんだから!」

 

朝の挨拶にしては変な事を言うオークに戸惑いながらも、私はこの室内の異変をオークに話した。

そんなオークは、興奮気味に話す私に気圧されていたのか、最初は驚いた顔をしていたが、急に後ろを向いて、下を向くと、徐々に身体を震わせ……、っておい、なんだ! まるで泣いてるみたいだけど……わ、私はそんなつもりで怒ったわけじゃ……ないんだけど……なぁ。もしかしたらオークは何の関係もなかったのかな? それならいきなり詰め寄るなんて、悪い事をしてしまった。オークに謝ろうと思って、オークの背中を撫でてみる。思ったよりすべすべしていた。

 

「ねぇ、オーク。ごめんね? 私、言い過ぎちゃった?」

「ぶひぃ、一連は全然気にしてないぶひぃ。それより、アリーさんが元に戻っているのが、嬉しくて、嬉しくて、仕方がなかったぶひぃ。オデもミレダさんも、村長も村の皆も心配してたんだぶひぃ。アリーさん、身体に変なところは無いぶひぃ? 頭が痛いとか、無いぶひぃ?」

「…………? うん? ……えっと、毒ならもう平気だよ。そうだよ……、私は村に戻って……その後……横になった記憶はあるんだけど……、ううっ! あ、頭が、頭が痛む……。ダメだ、なぜかは分からないけど、思い出そうとすると、急に頭痛が……ううっ、な、なんだよぅ。何が起きたんだよぅ……」

「い、いや、大丈夫だぶひぃ! アリーさんはあの後、ずっとベッドで寝込んでたんだぶひぃ! 決して、オデ達に訳の分からない信仰を押し付けたりはしてないぶひぃ! だ、だから、もうその事は忘れるぶひぃ! 思い出しちゃダメぶひぃ!」

「……? そ、それなら良いんだけど……。あっ、ねぇ、オーク。悪いんだけど……お掃除、手伝って……くれないかなぁ……?」

「よ、喜んでぶひぃ! アリーさんは、病み上がりだから指示だけしてくれれば良いぶひぃ。オデ、頑張って一働きするぶひぃ!」

 

何だか良く分からないが、さっきの様子を微塵も感じさせないほど、オークはいつも通りになっていた。

「オデ、頑張るぶひぃ」と言いながら、中央の食材をどんどん台所に持って行ってくれる。

それにしても、あれ? そもそも、あんなに食材余らせてたっけ? 最近分けて貰った記憶もないし……。まあ、痛みそうなやつは、今日中にお料理して、皆に配れば良いよね。使って良いのか分かんないけど、置いてあるんだから良いよね。うん、オッケーオッケー。

私もオークに続いて、食材を台所に持っていくのを手伝おうとしたんだけど、オークが「アリーさんは、猫ちゃん洗ってあげるぶひぃ」と言ってくれたので、そのまま私は浴室に向かって行った。朝から猫ちゃんと一緒に行水だなんて、ちょっとリッチな気分だけど、たまには良いよね。うぇっへっへ。

 

 

 

 

「はい、お疲れ様。朝からありがとう。助かっちゃった」

 

お掃除を頑張ってくれたオークに、朝からフルコースを振る舞ってあげたのだ。食材もたくさんあったからね。そんな私の料理を、オークは「お、美味しいぶひぃ。美味しいぶひぃ」と言いながら食べていた。それにしても、私の手料理なんていっつも食べてるはずなのに、大袈裟だなぁ。

それにしても、朝の良い時間帯なのに、ミレダの姿が見えない。村に戻ってからのご飯はいっつもここで食べてたのに、オカシイなぁ。風邪でも引いちゃったのかな?

 

「ねぇ、オーク。ミレダ知らない? それとも、呼んできた方が良いのかなぁ……」

「ミレダさんはきっと家にいるぶひぃ。『今の』アリーさんが誘ってくれるなら、きっと喜んで来てくれると思うぶひぃ。オデ、ここで待ってるぶひぃ!」

「あ……、そう? じゃあ、ちょっと行ってくるね。お留守番、よろしくね」

 

夢中で私のご飯を食べているオークから離れて、私は外に出て行った。それにしても、そんなにお腹が空いていたのだろう。あんなに夢中で食べてくれるなんて、ちょっと嬉しいな。ミレダを呼んで来た後に、物足りなさそうな顔をしてたら、デザートも作ってあげよう。きっと、喜ぶだろうなぁ。

そんな事を考えながら歩いていると、すぐにミレダの家に到着だ。それにしても、やっぱり村は狭い!

 

「おーい、ミレダ。朝だよー。ご飯の時間だよー。おーい……?」

 

私が声を掛けても、中からは何の反応もない。でも、人のいる気配はある。というか、普通に物音は聞こえてるんだよなぁ。もしかしたら、誰か悪い人がミレダを襲っているのかも、と思ったけど、ミレダだったら逆に相手をコテンパンにしちゃうから、そんなはずはないよなぁ。いや、でも、万が一の場合もあるし……?

私は扉に近付いて、そっと開いてみる。鍵はかかっていなかった。

「お邪魔しまーす」と一声かけると、こちらに背を向けて、部屋の奥に丸まっているミレダを発見した。

病気?! と思って、小走りで近付いてみたけど、そんな事もなく、こそこそとパンを齧っているだけの姿に、ちょっと安心しちゃった。

 

「……ね、ねぇミレダ。どうしちゃったの? 王国で……流行ってるの?」

「……、……?! あ、アリー! おはようございます! こ、これは違うんだ。いや、こんな不浄な物を口にしてはいけない事は分かっているんだ! だが、四日も五日も水だけで過ごすなんて、無理なんだ! ば……罰だけは勘弁してくれ! すまない、許してくれ……!!!」

「…………??? ミレダ、ダイエットでもしてたの? それに……昨日も私の家でご飯食べてたじゃないの。うーん……? ミレダおかしくなっちゃったのかなぁ……?」

「……?! あ、アリー! も、戻ったのか?! 頭は痛くないか?! 気分は悪く……」

「わ、私は別になんともないけど……ミレダこそどうしたの? 私の家でご飯、食べないの?」

「い、いや、うん。ありがとう。少ししたらすぐ向かわせてもらう。いやぁ、アリーのご飯も久しぶりだなぁ……」

 

 

 

 

「えっ……? じゃあ、私、あの後ずっと……寝込んでたって事なの?」

「そ、そうぶひぃ。決して、アリーさんは起きて来なかったぶひぃ。ねぇ、ミレダさん……」

「あ……ああ。アリーは、毒に侵されたのかな。五日間も気を失っていたなんだ。森から帰って、アリーを寝室まで連れて行った。そのままぐっすりと、ベッドで寝ていたんだ。…………寝 て い た ん だ !」

「み、皆には迷惑かけちゃったかな……。うん、ごめんね」

「き……気にしないでほしいぶひぃ。オデ達、何にもなかったぶひぃ」

「あ……ああ。むしろ悪かったな、毒の件とか……な」

「う……うん。じゃあ、うん。この話はここでおしまい! それで、いいよね!」

 

私が、元気よく椅子から立ち上がると、オークもミレダも、納得したような顔になった。

でも、せっかく三人で話をしていたのに、時々二人がこそこそと囁き合ってたのは気になるなぁ。

「記憶が無い……?」「寝てた事にするぶひぃ……」とか言ってたけど、なんだいなんだい! 私は寝ていた頃の記憶もしっかりあるやい! そう……私は夢の中で……大地の神から……うっ、頭が痛む!

 

「はぁ……。それにしても、五日間も眠ってたなんて……。みんな心配してたよねぇ。私、ちょっと村の皆に挨拶してくる。オークもミレダも、なんかごめんね。お昼ごはんまでには戻ってくるから」

 

私は、二人を後にして、村の皆に顔を見せに行った。なぜかは分からないけど、私の顔を見た途端にお婆ちゃんもお爺ちゃんも両手で拝み始めたのが不思議だった。そんなに心配させちゃったのかなぁ。

村長の家に向かう途中に、家の前で正座しているジーン爺に会った。

私が軽く頭を下げると、ジーン爺は驚いたような顔をしていたが、何事もなかったかのように、私に会釈を返してくれた。ジーン爺の首からは、村長が書いたであろう反省中と書かれた板が下がっていたけど、何か悪い事でもしたのかな?

 

それにしても、私の家の中の事は誰がやったんだろう。

うーん……。まったく分からない……。




登場人物

アリー:記憶? なにそれ?
オーク:何も思い出したくないぶひぃ……
ミレダ:何も無かった。無かったんだ……
ジーン爺:村長にめっちゃ、めっちゃ怒られた
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。