魔法先生ネギま 雨と葱   作:朝来終夜

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第09話 平和を望む者、争いを望む者

 夜明けと共に、ネギ達はマンションを辞した。

 魔法関係者達がこぞって謝罪し、引き留めようとするも、フェイト達に阻まれてその思いは断念された。あれから彼らはフェイトとクルトを引き連れ、その足で駅に向かい、始発電車で神戸の地に降り立った。

 すぐさま茶々丸が近くのホテルに連絡を入れ、借りた部屋に全員がなだれ込んだ(代金はクルト持ち)。女性陣はネギを残して風呂に向かい、男性陣は例の取引を締結させていた。

「これが頼まれていた魔法陣。固有時制御により、特定範囲の時間を完全に固定させてしまう魔法陣です」

「確かに受け取りました。ネギ・スプリングフィールド君」

 フェイトも魔法陣を確認し、これを複製・拡大させて魔法世界に展開すれば、魔法世界をその時間のまま固定し、崩壊するといった事態を防ぐことができる。無論、固定するのは世界そのものだけなので、そこに住む住人達には一切の影響を及ぼさないで済む。

「これより我々は完全に君達を擁護することができます。如何なる状況であっても、君達が望まない限り魔法世界との繋がりは、我々が責任を持って断ち切ります」

「もし向こうから接触があったとしても、必ず僕達が間に立つ。君達は思うまま、生きるといい」

 クルトの宣言にフェイトの補足。それを聞いてネギは安堵からか、そのまま座っていたソファの上で眠り込んでしまった。

「……本来なら、彼らは魔法世界に招かれて、父親と同じ英雄となっていた筈なのにな」

「けれども彼らは魔法世界から逃げ出した。これで全てじゃないかな?」

 フェイトは役目を終えたとばかりに部屋の外へと歩き出した。その背中にクルトは声をかける。

「ところで、君は彼の父、ナギ・スプリングフィールドの居場所を知っているのかい?」

「……知る必要はないよ。その時が来れば彼ら(・・)は勝手に何処かへと消える」

 もしかしたら、息子に会いに来るかもしれないな。

 そう言い残して、フェイトは去って行った。役目を終え、これからは一人の人間として生きるために。まあ、ネギ達の生活を守る仕事は、今後も続けていくことになるだろうが。

「結局僕達は、何も変わらなかったな」

 アリカ姫の時も、今回の一件も、自分は何一つできなかった。クルトはその悔しさを口の中で思いっきり噛み潰した。

「……次は守ってみせる。三度目の失敗はない」

 その呟きを聞く者は、誰一人として居なかった。

 

 時は流れて四月。

「お前ら来んな、っつったろうが!!」

「まあいいではないか千雨。お前の新しい生活の幕開けなのだぞ。もっと笑え」

「しかし大きい学校ですね、ここ」

 千雨は三年生となり、今は神戸の公立中学校の生徒となった。手続き等はフェイト達に任せっきりだったが、特に問題はなかったようだ。

 今日は始業式。初登校の日なのにも拘らず、いやだからこそ、千雨の後に続いて、ネギ達はここに居るのだ。

「よし、写真を撮ろう。新たな生活の始まりをここに刻むのだ!」

「ったくこいつは……」

 呆れながらも、千雨はこの面子に笑いかけながら、偶々校門に立っていた教師にカメラを頼んだのだ。

「これ撮ったらとっとと帰れよ。あっちも今日から開店だろうが」

「分かってる。だから早く笑え!」

 ネギとエヴァンジェリンは、何を思ったのか喫茶店を開いたのだ。資金はクルト辺りから引っ張ってこれるし、紅茶についてならネギが、コーヒーならばフェイトが得意分野だった。ネギを店長、エヴァンジェリンをマネージャーとし、フェイトとその仲間達を店員として雇い入れたのはある意味豪胆だと、千雨はそれを聞いて感心してしまったほどだ。

 しかも、喫茶店で働いている内は幻術を使って外見年齢を誤魔化すと言った徹底ぶりである。もっとも、近い内に二人共幻術ではなく実際に年齢を上げる予定だったりするが、正直勝手にやってくれ、ってのが周囲の心境である。

 あれから麻帆良からは何も言ってこないが、平和であるならばそれに越したことはない。

「はい、チーズ!」

 ネギとエヴァンジェリン、千雨と茶々丸。四人の逃亡者達は、今はただ笑って、被写体となった。

 

END

 

Ending ~Minority Resistance~

 

僕達は 常識から外されたMinority

誰にも理解されず ただ逃げ出した

偉い奴は ただ伝えればいいと言う

けれども僕らの 声を聞く者は居ない

 

だから手を出した だから足を出した

僕達はResistance さあ、常識に刃向おう

 

運命なんて 常識なんて

知ったことじゃない

押し付けられた常識 なんて役立たずの鎖

他人(ひと)の世界に 目を向けるのはやめろ

僕達が向き合うべきは 自らの常識(ルール)だけさ

 

さあ僕らの常識を 全てに刻み付けろ

 

 

 

 

 

 

 

以下没エピローグ

『はい、チーズ!』

「完璧よ、皆!!」

 教室の前方に降ろされたスクリーン。そこに映された『白き翼(アラアルバ)自主製作映画』を見て、明日菜はクラスメイト+αの面々を振り返って言った。

「卒業までに間に合うか内心ひやひやしたけど、完成したのは皆のお蔭よっ! これでネギま部(仮)の資金源も確保されたような「あの、明日菜さん」――……何よ、ネギ?」

 ネギは挙げていた手を降ろし、明日菜に問いかけた。

「これ、本当に公開するんですか? 周りが結構カオスな状況なのに」

 状況を説明すると、チョイ役の小太郎がふてくされてどっかに消え、くじ引きでヒロイン役になってしまったエヴァンジェリンは微妙に自暴自棄になってやけ酒をかっくらい、仲間役になった千雨は頭痛で寝込んでしまい、タカミチに至っては教室の隅で体育座りをして膝を抱えて、

「トリプルT……なんか三流ヒーローっぽいな…………」

 と呟いていた。特に高音は酷く、自らの人生だと錯覚して飛び降り自殺を図ろうとするのを愛衣とナツメグによって取り押さえられている。しかも出番のなかった面々は映画の台本を書き換えろと執筆者であるのどかに詰め寄る始末だ。

「これ放映したら卒業前にクラスが空中分解しますよ!? しかも被害者付きで!!」

「うーん、もしかして失敗?」

「失敗? じゃありませんわ明日菜さん!!」

 教壇に立っている明日菜に、あやかが詰め寄って指を突きつけた。

「散々私に協力を願っておいて、なんですかこの映画は!! せめてもっと別なものを製作すれば良かったではないですか!!」

「そうよ!!」

 そう叫んで、教室にアーニャが飛び込んできた。

「なんで唯一の出番で私がネギに首を絞められなきゃいけないのよ!? 本気で怖かったんだからね!!」

「あー、えーと……」

 何時の間にやら二人に加わって、教室に居る面々が総監督である明日菜を教室の隅に追いやっていた。

「……撮り直そっか?」

 全員の答えは一致する。

 

『明日菜(さん・君)のアホーッ!!』

 

没エピ 完




 ……と、没エピローグで止めておけば良かったにも関わらず、時間ないのに更新していたら案の定エタってしまった物語ですが、ネギ君がとうとう本命晒したので、物語が思いついたからと原作+没エピローグの世界軸でダラダラと執筆しようとしています。どこまで続くかは知りませんが、続く限り閲覧して頂ければ幸いです。物語の進行次第では『魔法反徒ネギま』の方の続編も掲載していきますので、お楽しみに。
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