魔法先生ネギま 雨と葱   作:朝来終夜

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魔法先生ネギま 雨と葱 1.The future after seven years
第00話 そして没は正規の物語へ


 この度の新作である『魔法先生ネギま 雨と葱』とは、第09話『平和を望む者、争いを望む者』内にて掲載された没エピローグ、具体的に言うと『原作再構成だと思っていたら、超S級戦犯ASUNAによる自主製作映画だった』という、読者の一部に多大な迷惑を掛けた話(うろ覚えですが、嘗ての感想内にてココアをキーボードに吹いてしまった話がありました)を前提として、『魔法反徒ネギま』という映画を製作した彼らの元に、明日菜が未来から帰ってきた世界での物語です。

 

 

 

 そして原作では……ネギは千雨とくっつきました!!

 

 

 

 正直『3-Aの女子で誰が好みですか?』という質問には『千雨一択』という作者側の理由(好み)で『魔法反徒ネギま』内で千雨に彼氏は作らない、と決めていたのですが、千雨とネギがくっつくと聞いて、この度の新作を思いつきました。というか思いついてしまいました。今後は映画内での裏話も交えつつ、独断と偏見と自己解釈で執筆していきますので、前作同様ついてこれる人だけついてきてくれれば嬉しいです。『魔法反徒ネギま』に関しても、今後執筆していく予定なので併せて読んで頂ければ幸いです。なので当分エタらないと思います。何故ならまだ『魔法世界残業編(4,5ヶ月は持つ)』があるから!!

 感想、評価も随時募集しています。今度は可能な限り返信していきますが、場合によっては『ざまぁ!!』と返しますことをご了承下さい。悪態すらも『やぁい、負け犬の遠吠え~』と読者様を煽るような作者この野郎なので。

 それでは、次回から始まります新作、世界線で言うところのパターンB+α(原作に『魔法反徒ネギま』成分を含めた原作再構成)の物語である『魔法先生ネギま 雨と葱』をどうかお楽しみ下さい。今回は特別編のスタッフロールとNG集、時系列を盛大にミスった没話をどうぞ。

 

 

 

Staff

ネギ・スプリングフィールド ネギ・スプリングフィールド

長谷川 千雨 長谷川 千雨

エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル エヴァンジェリン・A・K・マクダウェル

絡繰 茶々丸 絡繰 茶々丸

チャチャゼロ チャチャゼロ

タカミチ・T・高畑 タカミチ・T・高畑

近衛 近右衛門 近衛 近右衛門

近衛 詠春 近衛 詠春

レヴィ(レヴェッカ・リー) 柿崎 美砂

ロック(岡島緑郎) 釘宮 円

ダッチ 春日 美空

ベニー 椎名 桜子

アーニャ(アンナ・ユーリエウナ・ココロウァ) アンナ・ユーリエウナ・ココロウァ

ネカネ・スプリングフィールド ネカネ・スプリングフィールド

スタン 早乙女 ハルナ

メルディアナ魔法学校長 大河内 アキラ

犬上 小太郎 犬上 小太郎

葛葉 刀子 桜咲 刹那

神多羅木 明石 裕奈

フェイト・アーウェルンクス フェイト・アーウェルンクス

栞(声のみ) 栞/ルーナ

天ヶ崎 千草 近衛 木乃香

ガンドルフィーニ 春日 美空

高音・D・グッドマン 高音・D・グッドマン

佐倉 愛衣 佐倉 愛衣

夏目 萌 夏目 萌

クルト・ゲーデル 長瀬 楓

龍宮 真名 龍宮 真名

エキストラ 3-A一同及びボランティアスタッフの方々

 

監督 神楽坂 明日菜

脚本 宮崎 のどか

脚本監修 綾瀬 夕映

演出 龍宮 真名

村上 夏美

撮影・編集 朝倉 和美

設備管理・小道具 葉加瀬 聡美

 

Sponsored 雪広財閥

 

And... 観客の皆様

 

 

 

※よくあるエンディング後の一幕

千雨「……おい」

 あ、ちーちゃんどったの?

千雨「ちーちゃん言うなっ!! ……ふと思ったんだが、最後のオチ、NTR連発しまくった挙句、お前とくっつくとかじゃねえだろうな?」

 ……さ~て引っ越しだ。次は関西でお仕事だぞイェイ!

千雨「答えろよっ!! また読者相手に喧嘩売るようなオチ用意したんじゃねえだろうなっ!!」

 いやだなぁ今回はタイトル通り、ちゃんとくっつけるからさ。さて――

千雨「……バッドエンドやデッドエンドだったら、こっちにも考えがあるぞ」

 はっはっは、二次創作とはいえ作者に勝てる登場人物等……

 

 

 

千雨「シャーリー姐さんを呼ぶ」

 勘弁して下さいすんませんでしたっ!! まともな結末用意しますからぁ!!

千雨「というかまた間違えてんだろうが。原作じゃあ大学進学組全員卒業式後の春だろうが!! なんで大学4年の夏休みなんだよ!?」

 夏休みでのネタが次々と浮かんできたからです。変えようかと思いましたが、個人的に面白いので、いっそのことこのまま突き進んでやろうと思いました。後悔はしましたが反省はしていません!!

千雨「……本当に呼ぶぞおい」

 というわけで、第1話の前述にも記載しますが、大学4年の夏休みという設定で物語は進みます。時間軸どころか世界軸そのものが違うからと思って頂けると助かります。近いうちに感想のユーザーのみ設定を解禁しますが荒らしてもかまいません。基本ユーザーからの感想にしか返信しませんので。

 だからシャーリーだけは呼ぶな。本気でお願い。じゃないとエタるどころか核弾頭ネタぶっこんで自爆します。DとかDとかDとか!!

 ホント、ホントやめろよなおい!!

 

 

 

 

 

 

第01話 現在逃亡中につき、詳細は後日に NGシーン

「もちろんですよマスター。事前に人伝に購入した家が数件、宝塚にありますので、しばらくはローテーションで移り住んで相手の様子を伺います。問題ないと判断したら、本命である神戸へと引っ越して計画は完了です」

「セリフを間違えるな馬鹿弟子っ!!」

「あべしっ!?」

「はいやり直し~」

 エヴァンジェリンがネギの頭を引っ叩くと、千雨が数度手を叩いて撮影の中断を伝えた。

「……あの~何処を間違えてましたか、マスター?」

 そう問いかけるネギに、エヴァンジェリンは自らの弟子を指差して答えた。

「その呼び方だ間抜け」

 

第02話 泡沫の夢見が予想以上に悪かったらしい NGシーン

「それにしてもネギ君。いくら時間稼ぎとはいえ……このかに魔法をばらして関東に嫁がせる等というデマを流さなくてもいいだろう!!」

「ん~……でもうち、おじいちゃんにお見合い勧められてたで?」

「ちょっと待ってくれ……本当か、このか?」

 詠春の撮影をしている中、ふとカメラの横にいたこのかの呟きを聞き、撮影中にも関わらず彼は娘に詰め寄っていた。

「でも今更だけど、ネギを私達の部屋に住ませる必要、あったのかしら?」

「もしかしたら、ネギ先生と近衛をくっつけようとしてたのかもな」

 等と明日菜と千雨が話しているのを聞き、更に眼光を鋭くさせていく詠春。

「皆すまない……ちょっと用事が出来たので失礼する」

 そう言い残して、詠春は撮影現場を後にした。

 ……後程、学園長の叫びが学園都市に響き渡ったとか。

 

第03話 魔法教師相手の逃亡劇。危機一髪もあるよ NGシーン

「向こうはすぐには来ないだろうと高をくくっているはず、この隙に彼らを確保して麻帆良学園に帰りましょう。ただでさえ急な出張で彼とのデートをすっぽかしてしまったんだから早く挽回しないと婚期が……」

「はいカット~。刹那さん、もうちょっと感情的に!」

「いや、えっと……感情的と言われましても」

 明日菜からの指摘に刹那もどうしたものかと悩みだす。すると、カメラから目を離した和美が声を掛けてきた。

「それじゃあさ、例えば誰かに冷たくされたって想像してみたら? 結局は冷たくされた後に愚痴るシーンだし」

「想像って、冷たくされると言われても……」

 と呟きつつも、刹那は脳内で誰かに冷たくされたらと想像してみる。

『せっちゃん、ちゃんと焼き鳥も残さず食べてぇな』

「共喰いやんこのちゃん!?」

「……ちょっとベクトルずれてるわよ、刹那さん」

 

第04話 オリジナルはオリジナルでやる! だから二次創作は二次創作をやれ!! NGシーン

 下水道の天井が上から爆発して瓦礫が降り注ぐ。

「ネギ先生!! 大丈夫か!?」

「カット!! 本当に大丈夫、ネギ!?」

 そして瓦礫の一つが、ネギの頭を直撃したのだ。

「アタタタ……どうにか」

「にしても……爆薬の位置おかしくない?」

「いや、目張りの位置からずれてる。多分原因これだな」

 明日菜が不思議がる中、千雨が足元の目印を指差してそう答えた。

 この場面では天井の爆発を合図に、隠れていた千雨とエヴァンジェリンが上から飛び込む手筈なのだが、落下地点にギリギリ被る位置でネギが倒れたために、瓦礫を被ったのだろうと千雨は推測した。

「やっぱり爆薬はやめた方がいいんじゃないか?」

「そうよね~やっぱりエヴァちゃん、お願い」

「断る。これ以上下らんことに魔法を使いたくない」

 と喧嘩になる明日菜とエヴァンジェリンを尻目に、千雨はネギの頭に手をやる。

「まあコブもできてないし、大丈夫だろう。……ん、どした?」

「あっ、いえ。何でも……」

 薄暗闇なので、ネギの顔が赤くなっていることに千雨が気付くことはなかった。

 

第05話 この世で一番腹が立つのは、中途半端に読んだくせに全て理解した気でいる奴らだ NGシーン

「どうやら普通で二駅みたいですね。全員分の切符を買ってきます……千雨さん?」

「……ん、ああ悪い寝てた」

「カット! ……ちょっと、しっかりしてよね。千雨ちゃん」

 早朝の撮影ということもあり、立ったまま器用に寝ていた千雨は欠伸を噛み殺しきれないとばかりに、大袈裟に首を回した。

「つぅか神楽坂、別に早朝じゃなくても良かったんじゃないか?」

「何言ってるのよ。早朝直ぐに潜伏先の鍵を受け取るシーンなんだから、朝日の背景は絶対に必要なのよ!!」

 と、元々新聞配達で朝に強い明日菜に詰め寄られるも、夜遅くまでパソコンを弄っているので逆に弱い千雨は、辛うじて冷静に返した。

「いや背景だけ撮って、後で繋げりゃよくね? もしくは幻覚魔法」

「……魔法嫌いじゃなかったの、千雨ちゃん?」

 何を今更、とばかりに千雨は肩を竦めた。

「こうなりゃとことん魔法を利用して幸せになる、って決めたんだよ。実際それで昨日も徹夜でFXを……あ」

「朝早いって言ったでしょう!! 魔法以前にちゃんと寝なさい!!」

 その間ネギとエヴァンジェリンはずっと寝ていたとか。演技じゃなく本気で。

 

第06話 凶乱の宴に負傷者はつきもの NGシーン

「とはいえ裏手に回った人間が少ないな。ほとんどは表か上だろうけど……あいつら大丈夫かな、ってあっ、しまった!?」

「カット!! どうしたの千雨ちゃん!?」

 千雨の叫びに、明日菜達は慌てて駆け寄る。

「やっべ~、下のクレイモア地雷。電源入れっぱだ……」

「なんだ、そんなこと。大丈夫よ今はこっちで撮影しているから、下には誰も……」

 ドガドガドガドガ……!!

 ギャァァアアアア……!!

「……気のせい、だよな?」

「うん、気のせい、よ。……多分」

 現実逃避している間も、一階に設置したクレイモア地雷によって傷つけられた学園長は助けを求めてその手を虚空に掲げていたのであった。

 

第07話 漸く全員集合。謎解きは戦乱の後で NGシーン

「悪いが頼めないか? ……僕には彼の過去を語る資格はない。僕自身も、彼らと同じ穴の貉だと思うから」

「……分かったよ、トリプルT。……すまんでござる」

「はいカット~……皆、ちょっと休憩入れるわよ」

 セリフ間違いに明日菜はカメラを止めるように指示、何度もリテイクしている為、時間も時間だからと一度休憩をはさむことにしたのだ。

 そんな中、タカミチは配られた水のペットボトルを飲んでいるネギに近づいた。

「ああ、ネギ君。ちょっといいかな?」

「どうしたの、タカミチ?」

 同じく受け取ったペットボトルの水を口に含みながら、タカミチはネギに問いかける。

「『トリプルT』って綽名、誰が考えたんだい?」

「さ、さあ、いつの間にか誰かが言い出してたと思うけど……」

「……正直、それだけで何度もリテイクを受けているとへこむんだよね。本当、誰が考えたんだろう……」

 溜息を零すタカミチから顔を背け、ネギは内心汗をダラダラと流していた。

(言えない。明日菜さんがタカミチのことを忘れる為にどうしたらいいか、ってしずな先生に何気なく相談したら、『トリプルTって皆で呼んであげたらどうかしら?』と言われた、って言えない。絶対に……)

 よくある話だが、犯人は結構身近にいたりする。

 

第08話 過去編。折られた杖と、その矛先は如何に NGシーン

「僕達は悪だけど、畜生じゃない。そして目的は遂げました。……もうこれ以上、犠牲を生む必要はありませんよ」

「ネギ……」

 年の離れた友人に諭され、千雨の手から力が抜け、SIGP230は地面に落ち、

 パンッ!

『うわっ!?』

 暴発した。

「カットカット!! 皆大丈夫!?」

「空砲だから大丈夫だとは思うが……」

「皆さん、怪我はありませんか!?」

 ネギと明日菜が周囲の安否確認を行う中、千雨は落とした銃を拾い上げて一度弾倉を抜いた。

 そして無事を確認し終えた明日菜に千雨は話しかけた。

「……なあ、やっぱり安全装置(セーフティレバー)掛けないか? 流石に弾入った状態だとおっかなくて落とせないって」

「ええ~気付かれたらリアリティゼロじゃん!」

「いや、空砲でも安全考慮しろよ。てかそこまで誰も見ねぇよ」

 千雨の指摘に明日菜がブゥ垂れていると、そこに真名が近づいてきた。

「だったら改造しようか? 少しパーツを弄ればセーフティレバーを逆に設定できるけど」

「ホントッ!?」

 真名の提案に明日菜が喜ぶも、そこに水を差されてしまう。

「それで、改造にいくらかかるんだ?」

「パーツ自体を裏返すわけにはいかないから特注かな? とはいっても予備を加工するだけでどうにかなりそうだから4,5万円でどうにか手を打とう」

「……いいんちょ~!!」

 中学生にはあんまりな金額に泣きつく明日菜だが、スポンサーがうんと頷くことはなかった。

 そしてこのシーンは結局、落とす前と後で別々に安全装置(セーフティレバー)を切り替えることで決着がついたのだが、暫く明日菜が拗ねたのはまた別の話。

「……これでも結構割安なんだけどね」

「相場知らなけりゃ誰も分かんねえよ」

 真名のぼやきに千雨が返していたのもまた別の話。

 

 

 

未公開シーン 時系列を約2年(ナギの昏睡期間)思いっきり無視した失敗作。他に執筆した部分は、そのまま新作にて使用しています。

000 若干20歳と16歳

 長谷川千雨が大学生になって学んだことと言えば、独学で辛うじて理解していた知識の補強位だった。彼女にとって情報科学とは、その程度のものだ。

 国や大学によっては飛び級も可能だろうが、ここは日本で、入った大学はなまじ歴史がある分閉鎖的なので、地道に進級するしかない。

「アチ~引き籠りて~」

 夏真っ盛りなのにも拘らず、煙草に火を点けるという矛盾を身体全体で表現しながら、長谷川千雨は大学の喫煙スペースにあるベンチに腰掛けていた。それというのも、今現在暇という状況からだった。

 ……いや、昨日までが騒がし過ぎたからだ。

「……元気そうだったな、あいつ」

 思い浮かべたのは昨日同窓会で出会った面々。そして、かつて中学の担任を務めていた少年の姿だった。

 立派に成長していても、変わらない笑顔を浮かべていた彼、ネギ=スプリングフィールドを思い浮かべてから頭を掻き毟る。昔のことを思い出したからだ。

『好きですっ!!』

「ちっ……」

 今でも付き合いはある。主に電話だけで直接会うこともなかったから、今回余計に思い出してしまったのだ。

 しかしそれも昔のこと、既に五年は経っている。

「帰るか……」

「今日はこれから、どうするんですか?」

「大学にはレポート出しに来ただけだしな。講義もバイトもないし、どうしようか……」

 吸殻を灰皿に投げ入れ、千雨はスラックスのポケットに手を入れたまま歩き始めた。

「ところで千雨さんは、将来どうするんですか?」

「流石にFXだけで生きてくつもりはないからな。まあ、まだ時間はあるし、ゆっくり考えるさ」

 何よりもネギの父、ナギ=スプリングフィールドの一件が片付き、世界は平和を手に入れた。今更世界の為にどうこうする必要なんてないのだ。だからこその余裕である。

「だからバイトもやってみたんだが、正直趣味の延長みたいな感じで……ん?」

 ふと、千雨の足が止まった。

 大学にも知り合いはいるが、理系学部なので女子はほとんどいない。男子とも付き合いはあるが、精々講義で顔を合わせる程度だ。おまけにサークル活動は半月で辞めてバイト三昧、大学の知り合いと関わることはない。

 だから用事がない限りは誰ともつるんでない。さっきも一人で煙を吹かしていた筈だ。

 では誰が話しかけてきたのか?

 恐る恐る振り返ってみると、昨日久しぶりに会った男がいた。いや、年齢的にはまだ少年で通用する筈だ。そもそも出会ったのが中学時代で、相手は当時10歳の男の子だったのだ。若干20歳の自分にとっては若々しことこの上ない。

「……なんでいる?」

「せっかくなので久しぶりにお話でもどうかな、と「いや違う。なんで私の居場所が分かった!?」――日本の大学に興味があって見学していたのですが、そしたら先程見かけたので声を掛けたんですよ」

「……って、ただの偶然かよ」

 肩を落とし、軽く溜息を吐いてから改めて振り返った。

 そこにいた中学時代の担任、ネギ=スプリングフィールドをゆっくりと見上げ、眼鏡越しの懐かしい眼差しを見つめた。

「ところで千雨さん、確か誕生日は2月で未だ19歳じゃ「ある意味20歳超えてるだろうが。別荘とかの関係で」――それはそうなんですけどね……」

「というかお前も16歳に見えないだろうが、ネギ先生よ。……とりあえず喫茶店にでも行くか」

 行きつけの喫茶店にネギを案内しながら、千雨は話を続けた。

「……にしても先生。背、伸びたな」

「もう先生じゃないんですから、普通に名前で呼んでくださいよ。千雨さん」

「……考えとくよ」

 手をひらひらと仰ぐ千雨の横を、ネギも一緒に歩いて行った。

 

 

 

「で、どうしたんだ今日は? 昨日会ったばかりだろ」

「いえ、昨日の同窓会とは別件です」

 ネギと向かい合って座り、コーヒー片手に千雨は問いかけた。

「覚えてますか? 五年前のこと」

「ブーッ!?」

「ワーッ!?」

 思わず咽て零したコーヒーを拭う千雨。ネギも慌ててハンカチをテーブル越しに差し出してきた。

「……だ、大丈夫ですか、千雨さん?」

「ああ、うん。なんとか……」

 煙草を取り出そうと思ったが、いつもの喫煙席でなく入口よりの禁煙席なので灰皿がない。仕方ないので残ったコーヒーを飲み干し、脇に避けていた冷を手繰り寄せた。

「そう言えば昔告られたな、とさっき思い出してさ……」

「いやぁ、早いものですよね。五年、って」

 そそくさとミルクティーを飲んでいるネギを見て、一瞬どつこうかと拳を握り締めた千雨だったが、ふと『五年』という単語に何か引っかかりを感じて思い留まった。

「五年、か。五年と言えば……あ」

 そこで漸く、千雨は思い出した。思い出してしまった。かつての自分の発言を。

『ガキは趣味じゃねーんだ。五年後に出直しな』

「まさか、お前……」

 一応魔法界含めてのニュースにも目を通していた。ゴシップ関連で『ハーレムルート』とか『エロコメ主人公』とかネギに集まる女共を見て周囲がいつも騒いでいたが、その中で特定の誰かと付き合ったとかいう話は一切聞いたことがない。精々が『ネギくんを慰めるアスナおねえちゃん♪』とかいう頭の悪い記事位だ。

「はい、千雨さん……」

 ネギはカップを置くと、静かに立ち上がって千雨の傍にしゃがみ、彼女の手を取ってから告げた。

「ちゃんと五年後に出直してきました。好きです!!」

「やっぱりかコラーっ!! そして出てこい3-A共!!」

 ここまで来たら、流石の千雨も気付いてしまった。大学を出た辺りから視線を感じていたのだが、大方外国人のネギが珍しいのかと思っていた。しかし、間違っていた。

 昨日、しかも夏季休暇中に同窓会があったのだ。おまけにここは麻帆良学園都市内、だったら連中がまだ居てもおかしくない。

「あちゃ~やっぱりばれたか」

「千雨ちゃんこんにちは~」

「……お前らなぁ」

 思わず頭を抱えてしまう千雨。とりあえずネギと繋いでいる手を解き、改めて座り直した。

「いいじゃん、そのまま結婚しちゃいなよ千雨ちゃんさぁ~」

「お前は黙ってろ朝倉ぁ!!」

 千雨の拳は和美にあっさりと捌かれてしまう。おまけに耳元でボソッと話しかけられるおまけ付きで。

「でもさぁ、五年越しの思いにはちゃんと応えてあげなよ」

「…………あ~くそ」

 あやか辺りが暴走するのを恐れて、千円札をテーブルの上に置いてから和美の横を通り抜けた。

「あっ、千雨さ「とりあえずちょっと待ってくれ。気持ちの整理がしたい」――あっはい……」

「言っとくけど、極端に考えんなよ。お前が嫌いならさっさと振ってるし、最初から口も聞かねえよ」

 千円札を取り出した財布を懐に仕舞い、千雨は店を後にした。

「じゃあまた今度、ゆっくり会おうな。……できればこいつらのいないところで」

「また連絡します!」

「千雨ちゃん待って~!!」

 ネギと周囲に軽く手を振って喫茶店を辞した千雨は、人気がないのを確認してからスマートフォンを取り出した。

 

 

 

「……ネギの親父の昏睡期間はどうした!? 没!!」

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