魔法先生ネギま 雨と葱   作:朝来終夜

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引越しは済みましたが、開梱作業中の為、感想解禁だけしておきます。かえって感想なくて良かった……

しかし三巻は買います!!


第04話 映画上映と題した、半分ただの紹介コラム『賭博師は祈らない』

「そういえばさ……」

 ネギ尾行御一行様の一人である明日菜が、ショッピングモールに着いた途端、ふと立ち止まって他の二人に声をかけた。彼女の目には、壁に掛かっている映画の紹介ポスターが貼られている。

「ネギ達が観ようとしているこの『賭博師は祈らない』って、面白いの?」

「結構面白いらしいよ。元々はラノベの話なんだけどね、歴史系よりの賭博ものだよ」

 というか、まんまラノベ作品です。

「舞台は昔のロンドンで、そこで博打で生計を立てている男が、偶然奴隷を買って二人で暮らす話なんだって。ほら、この娘がその奴隷」

 取り出した手帳を広げて読みながら、和美は説明を続けた。

「……で、二人で暮らしてた内に絆みたいのが芽生えたのかな。最後はその奴隷を助ける為に、賭博場相手に大立ち回りだってさ」

「アクション?」

「いや、博打だって」

 タイトル否定するなよ、と和美は明日菜をジト目で睨みつけた。

「この作品の魅力の一つが、賭博のシーンなんだって。説明は分かりやすい。下手なファンタジーよりイメージがつきやすい。何より博打を通じて描かれる登場人物の心象や人間模様が最高、だってさ」

「……それってギャンブルが嫌いな人間だと、かえって面白くないんじゃないの?」

「そう言う人間は最初から手を付けないから大丈夫。……まあ、博打の面白さと一緒に怖さも語っているし、ある程度分別付くまでは手を出さない方がいいかもね」

 等と語らってはいるが、本来の目的はネギ達の尾行である。

「あ~レディース。そろそろ行かないか?」

「……ああ、そうだった!」

 ナギの一声に明日菜は慌ててネギ達を探し始めた。しかし和美は慌てることなく、二人を先導してモール内を歩き出していた。

「こっちこっち。流石にチケットは用意できなかったから、上映が終わるまで近くの売店にいようか」

「まあ、尾行ばれても困るしな」

 物珍し気に周囲を見回しているナギがそう答えながらついてくるが、それを見て明日菜は和美に耳打ちした。

「……せっかくだし見て回らない。どうせ時間まで暇だし」

「確かに。もう上映始まってるし……」

 手帳と腕時計の文字盤を眺めながら、和美は明日菜の意見に承諾した。

「いいよ、じゃあ見て回ろっか。いいですよね、ナギさん」

「ああ、いい。うん、行こうか。せっかくだし」

 棒読み口調のナギを挟むようにして、明日菜と和美はモール内を散策し始めた。

 

 

 

 そして上映終了間際に映画館に着いた三人は、買い物袋をベンチの横に置いて、並んで座り込んだ。

「にしても、ネギの奴ちゃんとやってんのかね?」

「いや、父親よりかはしっかりやってんでしょ。何なのこの買い物の量?」

 服はまだ分かる。近場では売っていない調理器具も、最近料理にはまっていることを知っていれば理解できる。けれども、輸入品フェアの見たことない置物の数々が周囲を埋め尽くしている時点で浮かれていることは明白だった。

「というか、お金大丈夫なの?」

「ああ、クルトの奴から昔の報酬の残りだって、幾らか貰ってるよ。ネギからも仕送り貰ってるけど、そっちはあんまり使ってないな」

「へえ、ところでナギさん。仕事はしないの?」

「今のところはね。ネギからもせっつかれているし、そのうち何か考えないとな……」

 和美が映画のパンフレットを広げながら聞いてくるのをナギが答えていると、丁度上映が終わったのか、劇場から人がごった返すくらい出てきた。三人はナギが購入した置物の山に隠れ、ネギ達が来るのを待ち構えている。

「ネギ、大丈夫かしら?」

「せめて手を繋ぐ位はして欲しいところだが……」

 よくよく考えれば、映画も恋愛モノの方が良かったかもしれない。雰囲気さえ出てくれば、後は若い者同士どうとでもなる。

 そんなことを考えている内に、ネギと千雨が並んで出てきた。どうなる、と様子を見ていた三人は、別の意味で驚愕することとなった。

「一見クールだと思っていたのに、あそこまで熱くなるなんて……ホント賭博している時のラザルスさん(主人公の賭博師の名前)凄過ぎますぅ」

「死ねよ。リーラ(奴隷の女の子の名前)傷つけた奴全員死ねよ。頼むからさぁ……」

 微妙にポイントがずれているが、どうも映画の内容に感情移入してしまっているらしい。二人とも目頭を押さえながら、並んで映画館を出て行った。

「……あれっていい雰囲気、なのか?」

「ギリギリね、ホントギリギリね」

 ともあれ尾行再開である。再び受信機を引っ張り出して会話を聞こうとしたが、何故か砂嵐が吹き荒れていた。

「……あれ、壊れた?」

「もしかしてばれたんじゃない?」

「そんな訳ないわよ。ネギにばれないように魔力を使わない、完全に機械仕掛けの物を用意してもらったんだから!」

「知ってる、明日菜……」

 明日菜の発言に、和美は彼女の肩を掴んで宥めた。そして、もう片方の手の親指を立て、ある一方に視線を移させた。

 

 

 

「……映画の盗聴・盗撮は犯罪なんだよ」

 その先に書かれている看板には、こう書かれていた。

『当映画館では盗聴・盗撮防止の為、入場時に探知機を用いて各種通信機器をチェック致します。ご了承ください』

「最近の映画館って、そこまでやるの!?」

 やりませんが、正直やって欲しいです。ついでに上映中に携帯点ける馬鹿も逮捕して欲しいです。後できないくせに人のクレジットカードを乱雑に扱う屑店員も追放して下さい。

 

 

 

「でもあの盗聴器は何だったんでしょうね? もう少しで入場拒否されるところでしたよ……」

「大方、お前のファンか敵だろ? もしくは過保護な姉貴分」

 なんとなく犯人に心当たりがある千雨だが、別にいいだろうと適当に誤魔化すことにした。

 二人は映画館を出た後、フードコートにて適当な飲み物を購入してから休憩していた。本来ならば喫茶店とかに入るところだが、生憎と混雑していたので妥協してここにいる。

 ハーブティーにコーヒー用のミルクを入れながら飲むネギの向かいに腰掛けた千雨は、買ってきたばかりのコーヒーに砂糖を入れて掻き混ぜていく。

「……で、これからどうする? 何か見たいものとかはあるか?」

「そうですね……」

 ネギはショッピングモールの入り口に置いてあったパンフレットを広げ、モール内に何があるかを確認していく。

「……あ、千雨さん。コードギアスのイベントやってますよ」

「マジかっ!? うわ知らなかった~」

 コードギアスは、偶々千雨がアニメを見てドハマりし、購入したDVDを郵送でネギに布教していたのだ。以来、しばらくの間は所用を片付けた後に感想を言い合う習慣ができた程である。

「せっかくだし、行ってみるか?」

「はいっ!」

 二人は手持ちの飲み物を飲み干し、イベント会場へと向かった。

 

 

 

 その後はオタク寄りなイメージではあるが、概ねデートといえるものとなった。

 アニメストーリーをまとめた年表を眺めた後は、登場人物達が描かれた立て看板を携帯で写真に収めていく。ネギがルルーシュの立て看板と並んで同じポーズを取っているのを千雨が撮影し、交代で蹴りを入れているカレンと同じポーズを取ろうとして倒れかけたのを互いに苦笑いしたりもした。

「あ、コスプレもやってるみたいですよ」

「よし、やってくか」

 といっても人数が多かったので、黒の騎士団構成員の格好しかできなかったが、ツーショットを撮ってもらった後に、丁度イベントの時間か何かで出てきたゼロのスーツアクターと三人一緒に写真も撮れた。

「おらおらおらっ!!」

「千雨さん先行しすぎですよ~!!」

 KMF操縦体験ブースでは仮想戦場でグロースター(コーネリア仕様)を軽快に動かす千雨に遅れるようにして、ネギがサザーランド(ジェレミア仕様)を操作して追いかけていく。その数瞬後にザンバラ頭の男が操作する無頼・改(藤堂仕様)に撃墜されてしまったが。

「このピザおいしいですね~」

「本当、結構いけるな」

 C.Cセレクトのピザを食べて小休止してから、売店ブースをさまよってグッズを冷やかしていると、ギアスの紋様が描かれた水晶が付いたリストチェーンが売られているのを見つけた。

「……お、これいいな」

「買いましょうか? 出してもらった映画代代わりに奢りますよ」

「そうか……じゃあ記念に頼むわ」

 それぞれの手首に巻かれたリストチェーンを眺めながら、満足した二人はイベント会場を後にした。

「てか、黒似合わねぇな。ネギ先生」

「千雨さんだって、緑似合ってないですよ」

「言ったな、こら!」

 ネギの首に腕を回して締め付ける千雨。背丈は変わっても、二人の関係は昔と変わらず、いや昔よりも親密に変わろうとしていた。

 

 

 

「……お揃い色違いのリストチェーンとか、もう大丈夫じゃないかしら?」

「まあ、少なくとも昔の通りにはなったよね。アニメイベントってのが、微妙に千雨ちゃんらしいけど」

 イベント会場を遠巻きに眺めていた明日菜達は、様子を見る為にいた喫茶店でお茶を飲んでいた。ナギはネギ達がイベント会場に入った途端に、荷物を置いて出かけてしまったが。

「いやぁ、楽しそうだったぜ。もういいんじゃねえの?」

 丁度戻ってきたナギだったが、その発言に和美は首を傾げた。

「ナギさん、買い物に行ってたんじゃないの?」

「いや、面白そうだったからスーツアクターに紛れてきた。ゼロに化けてネギ達と写真撮ってきたぜ!」

「私達も誘ってよっ!!」

 とはいえ、三人だと目立つので一人で潜入してきたのは間違っていない。元々そう割り切っている和美は、憤る明日菜を宥めつつ、ナギから話を聞いた。

「それで、これからどうするかは聞いてきましたか?」

「いんにゃ、下手したらこのまま解散かね。はしゃいではいるが、夕飯の話は一切してないみたいだし」

 そうこう言っている内に、ネギ達が移動し始めたので明日菜達も手早く荷物をまとめて追いかけ始めた。

「もう大丈夫そうだし、荷物もあるから俺は抜けるわ。頑張ってくれ~」

 待たせたお詫びも兼ねて代わりに会計してくれたナギに軽く礼を言い残して走り出した二人だったが、少し動いたところで動きを止めていたネギ達を見て慌てて物陰に隠れた。

「どうしたの?」

「どこか電話しているみたいだけど……」

 通りの端に寄って携帯でなにやら電話している千雨と、背中を向けて遠くを見ているネギ。やがて電話が終わったのか、携帯を閉じると同時に両手を合わせてなにやら謝りだしている。

「何かあったのかしら?」

「このまま解散かな? あ、でもネギ君何か言ってる」

 盗聴できない以上、会話は推測するしかないが、それでも解散するには様子がおかしい。

 ネギ達は移動しているが、向かっているのは最寄り駅のある出口ではなく、千雨のバイクが停めてある方の出口だ。

「……ねえ、おかしくない?」

「確かに、解散なら別にこのままでもいいのに。あ、ネギ君もしかして見送りに向かったのかな?」

「きっとそれよ」

 しかし二人は別れるどころか、そのままバイクに乗って移動し始めてしまった。

「……まさか」

「なっ、なにどうしたの朝倉?」

 不穏な空気に気圧される明日菜に、和美は昨晩千雨と話した内容を簡潔に伝えた。

「じゃあ、私達を狙っている誰かを千雨ちゃんが突き止めたの?」

「いや、どっちかというと千雨ちゃん側の伝に何か引っかかったのかも。それでネギ君を遠ざけようと謝罪するも、逆に見抜かれてついていくと押されて二人で……」

 

 

 

 

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