魔法先生ネギま 雨と葱   作:朝来終夜

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 本当は前後編とアニメでよくある手法を取ろうかと思ったのですが、こうなったら書いたります。皆、打ち切り迄応援よろしく!!

シャーリー「……いや書けって。もしくは『魔法世界残業編』再掲して勉強しろ。来月資格試験じゃないの?」

 とうとうここまで出てきたか、このドS!!

*詳しくはブログ、もしくはTwitter参照

シャーリー「……いや、紹介しろコラ」


第13話 こんな親子の対話、ってあるんだろうな……

 レセプションの翌朝、ネギはマンションの屋上にいた。

 倉庫での戦いの後、仕事の残りを片付け終えてから帰宅したネギは、先に帰っていたナギ達への挨拶も御座なりに、早々に寝てしまったのだ。そして、習慣となっている早朝鍛錬の時間に目を覚まし、屋上へと昇ってきて、今に至る。

「フゥ……」

 麻帆良学園で教師をしていた頃、古菲に師事を受けていた頃からの慣習で辛うじて身体を動かしていた。例え屋根のある場所とはいえ、雨が降る中でも、だ。

「フッ……ハッ!!」

 震脚、同時に放たれる肘撃(ちゅうげき)。肘打ちの威力を使い、身体を反転させての靠撃(こうげき)

 時計回り、一度止まって反時計回りに。掌底も加え、次々と攻撃を繰り出していく。見えない敵、見えない相手。だが宙に描いたイメージに向けて、ネギは攻撃し続けた。

 それを何回、いや何十回繰り返しただろう。何かを振り切る様にネギの動きは加速し、同時に思考も徐々に飛んでいく。

 

 

 

「なあに拗ねてんだよ、ネギ」

 

 

 

 父親(ナギ)の手が息子(ネギ)の手を掴むまで、それは続いた。

「……父さん?」

「そうだよ。お前の偉大なお父様だよ……ちょっと休め」

 勢いよく放され、軽くよろけるネギに、ナギはタオルを投げ渡した。二人は静かになり、黙ったまま見つめ合う。

「……父さん達は知っていたの? 千雨さんが戦っていた相手のこと」

「詳しくは聞いてねえよ。エヴァから聞いちゃいたが、実際に来る可能性も低いから、って本人すら眉唾話にカテゴライズしてやがったし」

 タオルで汗を拭くネギだが、その瞳はどこか剣呑としていた。

 それを見たナギは、(おもむろ)に肩を回し始めた。

「さて、と。相手がいないとつまらないだろ……」

 ナギは構えた。そして掌で挑発するように、指を数度手前に倒す。

 無論その相手は、息子のネギだった。

「……来いよ、相手してやる」

「別にいいけど……」

 タオルを投げ捨て、ネギも構えた。

 

 

 

「……ちょっと機嫌悪いから、加減できないよ」

 

 

 

 そしてネギは、ナギに薙ぎ飛ばされた。いや、ギャグでも比喩でもなく物理的に。

「いやぁカウボーイビバップ見て覚えたけど、意外と使えるな。截拳道(ジークンドー)って」

「くっ!?」

 ネギは駆けた。牽制に突き出した掌底をナギに放つ。向こうも大した威力はないものと軽く捌くだけで対処する。

(……ここだっ!?)

 そしてネギは頂肘(ちょうちゅう)を放った。事前に距離を縮めていた上での一撃。

「甘ぇよ」

 それすらも、ナギは捌いてしまった。肘に合わせて身体を逸らし、すれ違い様に足を叩かれるだけで、ネギは簡単にこけてしまう。

「アタッ!? ……まだだっ!!」

「ハァ……いい加減気付けって」

 その後、四、五回程捌かれたネギは、そのまま屋上に仰向けになって寝そべってしまった。ナギはその横に腰掛け、片膝を立てて見下ろしている。

「なん、で……?」

「お前が機嫌悪い(・・・・)からだよ」

 ネギの揚げ足を取るような口調で、ナギは何故勝てたかを話し出した。

「感情的になって攻めるから、直線的な攻撃しかできなくなってたんだよ。だからおっさんの俄か拳法でもあっさり捌かれてんだよ。……まあ、俺が天才だってだけなんだがな」

「……魔法学校中た「何か言ったかコラ」――痛い痛い痛いって父さん!!」

 頭に拳をグリグリと押しつけられ、仰向けに呻くネギを見下ろしながらお仕置きするナギ。

「……ったく、いつの間にか言うようになったじゃねえか」

「まだちょっと機嫌悪いからね……ねえ、父さん」

「何だ?」

 ネギは身体を起こしながら、ナギに問いかけた。

「……僕って、頼りないのかな?」

 そう問いかける息子(ネギ)に、父親(ナギ)は立ち上がりながら簡潔に答えた。

「心配される程度には、頼りないんじゃねえの?」

「ははっ、違いないや……」

 先に立ち上がったナギに手を引かれながら、ネギは立ち上がった。

「……もっと強くならないと」

「それでいいんだよっ!「あいたっ!!」――さあて、朝飯にしようぜ」

 

 

 

「何だかんだ父親よね、ナギも……」

「どうせ年の功だろうがな」

 ナギに背中を強く叩かれて、咽るネギを眺めながら、明日菜とラカンは屋上の入り口に佇んでいた。空に晴れ間が見える中、互いに笑いながら近づく二人を見つめていたが、やがて背を向けて先に階下へと降りていく。

「……さあてご飯食べたら、千雨ちゃん達が抱え込んでいるものを聞きに行きましょうか」

「物好きだな、自分から火種に飛び込むなんて」

「何言ってんのよ」

 呆れるラカンに振り返った明日菜は、腰に手を当てて言い放った。

「人生常に戦いでしょうが」

「違ぇねえ……ガッハッハ!!」

 ラカンが額に手を当てて笑っていると、ネギ達が降りて合流してきた。

 全員で並んで戻っていく面々。今はまだ、気持ちが曇ることはなかった。

 

 

 

「……父さん達は来ないの?」

「お前らの戦いだろうが、年寄り(ロートル)巻き込むな」

「俺も死ぬかもしんないしな。お前ら、俺の身体(これ)作り物だって忘れてないか?」

 アスナと並んで外出しようとするネギに、ナギとラカンは手を振ったままそれぞれ椅子とソファに腰掛けていた。

 適当にコーヒーを飲んでいる二人に背を向けたネギだったが、ふと部屋に戻ってから再び明日菜と並んで出て行った。

「朝倉達ももう向かっているでしょうし、急ぎましょうか」

「そうですね。タクシーでも呼びましょうか。……僕もバイクの免許取ろうかな」

「……あんた、その杖は飾りなの?」

 口喧嘩をしながら出ていく二人の罵声を聞きながら、ナギとラカンは目配せした。

「「だって明日菜さん乗せて飛べないでしょう」――賑やかだなあいつら……おい、気付いているか?」

「「なにおう。あんたが根性無しなだけでしょうが」――おう、大分前からな。……下手したら今朝からいたんじゃねえの?」

「「だから痛いですって明日菜さんっ!?」――だろうな……っていうか、あいつらさっさと行かないかな。せっかくのシリアスシーンなのに」

 その発言に従ったのか偶然なのか、ネギ達が立ち去るまで敵は現れなかった。より具体的に言うと、約三十分そのまま待ち構えていたにも関わらず、敵が一切動かなかったのだが。

「……おい、どうなってやがる?」

「俺が知るかよ。あれか、サブキャラにはまともな戦闘シーンは与えられないってか?」

「だからメタ発言止めろって『Prrr……』――……電話?」

 コーヒーの入っていた筈のマグカップを置いて立ち上がったナギは、静かに電話に近づき、受話器を手に取った。

「はい……今朝からの視線はお前か?」

 電話の相手を察し、ラカンもマグカップを置いて立ち上がった。カーテンの陰に身を隠しながら、ベランダから外を警戒しつつ、電話での会話に耳を澄ませている。

「用があるならいつでも掛かって……え、そうなの? 御宅も大変だな。分かったよ、じゃあ後でな」

「……視線の主か?」

「ああ……」

 ゆっくりと受話器を置き、ナギはラカンの方を向いた。

「……『相棒が世界珍味麺食べたいと愚図り出したから、先にラーメン屋行ってくる』ってさ「アホかーっ!!」――……とうとうお前もガチのツッコミに入ったか。今度アルの奴も巻き込もうぜ。でないとやってらんねえわ」

 財布と魔法発動媒体の指輪を持ち、ナギはラカンを促した。

「もうついでに俺達もラーメン食いに行こうぜ。ちょっと早いけど、昼飯には丁度いいだろ」

「はあ……怒ってても仕方ねえや。世界珍味麺ってことはタカミチのところだろ、こうなったら敵さんと一緒しますかね」

 ラカンもナギに続いて、マンションを後にした。

 

 

 

 カラン、カラン……。

「……おっ、来たね」

「遅いよ二人共~」

 店の中にいた泉と、先に来ていた和美が振り返ってネギ達を迎えた。他には紅茶を淹れている上条と、テーブル席で本を読んでいるエヴァンジェリンだけだった。

「すみません、皆さん。お待たせしました」

「大丈夫だって。時間通りな上に、朝倉が来たのだって五分位前だ」

「朝倉……」

 ジト目になる明日菜の視線に和美は苦笑しながら、紅茶を口に含んだ。

「そんじゃあ、話しますか……さて、何処から話すかね?」

「とりあえずは、事前知識からでいいんじゃない?」

 泉の提案に、上条は頷いて同意した。確かに、共通の知識があった方が話が早い、そう考えてのことだろう。

「じゃあまずは座れよ。紅茶でいいか?」

「ミルクティーでお願いします」

「私も同じのでいいわ」

 ネギと明日菜が座るのに合わせて、上条は二人の前に淹れたての紅茶を置いていく。備え付けのミルクも一緒に置いたのを見て、泉の方から口を開いた。

「二人って小説とか読む? 例えば、ネット小説とか」

「ネット小説なら、千雨さんから薦められたのを幾つか、ですかね。のどかさんにも紹介されたりしますが、そちらは電子書籍とかなので違いますね。明日菜さんは?」

「私? 最近はあの子(・・・)から薦められたポケスペしか読んでないわね」

「それ漫画!! 電子出てても漫画!! というかチョイス渋いね!!」

 激高してツッコむ泉。しかし明日菜は軽く手を振って誤魔化した。

「冗談よ冗談、私も電子書籍だけよ。『天頂-TEPPEN-』シリーズとか」

『天頂-TEPPEN-』。DMMゲームの一つ。出所してきた極道の男を主人公にした任侠もの。但しR-18部分があるので、未成年の方は要注意。

「……本当に渋いね。神楽坂さん」

「明日菜でいいわよ。私も名前で呼んでもいい?」

 何でもいい、と泉は返事をした。

「じゃあ改めて……泉こなたです。よろしくね」

「同じく上条当麻。一応(・・)年も近いから、ざっくばらんに話しかけてくれたらいいさ」

 ポットに残った紅茶をエヴァンジェリンにサーブしてから、上条もカウンターに戻って続けた。

「話を戻すけどさ、だったら『転生もの』ってジャンルは知らないか?」

「何それ?」

 首を傾げる明日菜に、ネギは説明した。

「大体十年位前ですかね。ネット上で自分の書いた小説を公開できるようになった頃に流行ったんですよ。簡単に言うと、死んだり何らかの要因で違う時代や別の世界に生まれ変わったり転移したり、まあ例えるなら、今の明日菜さんが魔法世界のお姫様になると言うのを、過去とか関係なしに神様的な何かが強引に行った結果、と言いますか……」

「平たく言うと、事前知識持ったり新しい力を得たりした上での第二の人生を妄想している、ってだけだな」

 上条が説明を引き継ぎ、明日菜はなんとなくだが理解したように傾けていた首を戻す。そのまま横を向き、紅茶を飲んでいた和美の方を向いた。

「朝倉は分かる?」

「一応ね。これでもジャーナリストだから、その手の文章も読んでるし……だから」

 カウンターに肘をついたまま、朝倉は視線を明日菜から上条に移す。しかし、その視線には僅かに険しさが澱んでいた。

 

 

 

「なんとなく分かっちゃった。……二人も、いや、あの植木耕助とかもそうなんじゃないの(・・・・・・・・・)?」

 

 

 

 その一言に、上条達は頷いた。

「そう。俺達もあいつも、厳密には植木耕助は違うかもしれないが、……転生者だ」

 上条の言葉を皮切りに、和美は腰の警棒に手を回し、ネギは立てかけていた杖を掴んだ。

「えっ、えっ何? だって、二人共味方じゃ……」

「そうですね。でも……どう生きたいか(・・・・・)によって、それは変わってきます」

「明日菜、言っとくけどね……」

 和美は油断なく上条達を見つめながら、明日菜にネギとの行動の理由を話した。

「転生者や転移者、その手の類が混ざるだけで良くも悪くも……その世界は壊される(・・・・)んだよ」

 その和美の言葉を、上条も泉も……否定しなかった。

「というか、よく信じられるな?」

「……まあ、そう考えれば辻褄が合う、ってだけなんですけどね」

 警戒を解かないまま話す二人を見て、上条はカウンターから出てきた。特に武器を持った様子もなく、両手もそれぞれポケットに突っこんだままで。

「とはいえ、さっきの言葉通りだから、俺達も最初は関わるつもりもなかったんだけどな」

「そうも言ってられなくなっちゃってさ~やんなるよね~もう」

 泉もカウンターに両肘をついて、頬を挟むように顔を乗せた。あまりに隙だらけで、ネギと和美も得物を持つ手を少し緩めてしまう。

「……悪いが事情ができてな。だから近づかせてもらった、って訳だ」

 上条はネギを見つめた。ネギにはどこか、その顔が哀しげに見えていた。

 

 

 

「なあ……主人公(ネギ先生)

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