上条は必死になって近づき、右手をぶつけようとする。
彼の右手に宿る力は
けれども、その知識は相手も持ち合わせている。
「すげェよなァベクトル操作って……こンなこともできるンだからよォ!!」
襲い掛かる土の腕に、上条は右手を当てて打ち消そうとする。
しかし、上条の持つ力は右手だけじゃなかった。
「どォしたァ、土は幻想じゃねェぜ」
実際には初めて使う、原作と違ってオンオフできるようにしてあるとはいえ、この能力は凶悪過ぎてあまり使う機会がなかった。いや、覚悟がなくて試しに使うことすらしてこなかった。
(……るかよ)
それでも上条は使うと決め、右手でベクトル操作の支配を解いた土塊に左手を触れた。
(……こんなところで、死ねるかよぉおおおお!!)
「
その左手は、土塊を一撃で分解した。
「なっ!!」
その
実際は触れるだけで分解する凶暴な能力だが、上条は左手で直接触れてから念じることで分解できるようにしてある。
「ぅううらああああああああああ…………!!」
その力を持って、上条は突き進む。
土塊を分解しながら突き進んだ先に、
「なめンじゃ「うらぁ!!」――がふっ!?」
原作通りに、
「……やれよ」
「っ……!!」
右手は
殺すだけならば。
上条は内心で葛藤する。このまま殺していいのか、と。
殺さなければならないのか?
殺さなくてもいいのではないのか?
今迄人を殺すという発想がなかったために、上条の行動はそこで停止してしまう。
「なァ、知ってっかァ? 戦場で二番目に死にやすい奴はなァ……」
だからこそ気付かなかった。
「『殺すかどォか迷う奴』なンだって――」
ダァン!!
「よ、ォ……」
学園都市の能力者第一位に
「よく知ってるよ……そんなことは」
今生での妹が容赦なく、自らが抑えていた襲撃者の頭蓋を撃ち抜く為に銃口を向けていたことに。
「兄さん、大丈夫?」
「…………」
硝煙が残る『カノン』を一度振り、煙を絶ってからホルスターに戻したキノは、その右手を上条に伸ばした。手を貸すつもりだったが、一向に相手から手が伸びる気配はない。
「……兄さん?」
「……んで、」
上条が呟く。
「何でお前は、簡単に……人を殺せるんだ?」
見上げる眼差し、上条に冷めた眼を向けられながらも、キノは平然と答えた。
「それは……前世で人を殺したことがあるからだよ」
上条が見つめる中、キノはしゃがんで目線を合わせながら話していく。
「家庭内暴力が絶えない家でさ、ある日母さんに暴力をふるっていた父さんの背中を、包丁で刺したんだ。一応は情状酌量とかで放免にはなったけど、殺しの罪は消えなかった……」
視線が交わる中、二人は顔を逸らさずにいた。
「いつまで経っても、人殺しの過去は消えなかった。向けられるのは過去に対する憐憫か、過去を責めたてる批難か。どっちにしても、前科のある人間に対して、他人の目は冷たいんだ」
「……それでも、お前は生きたいのか?」
「生きたいよ。人間だからね」
キノの即答に、上条は漸く顔を上げる。
「兄さんは違うの?」
「……そうだな。悪い、助かった」
「いいよ。人殺しには変わりないんだし」
漸く立ち上がり、
「うわ、見たかったおっぱ「兄さん」――……ゴホン、まあ二人共無事で良かった。うん」
キノのジト目に対して、上条は咳払いして誤魔化す。事情は分からないが、状況は大体飲み込めてきた。
「にしても憑依系の転生者か。完全に転移する為に俺達を殺そうとするなんて、どんな事情だか……」
「そうだよね。なんでボク達を殺すとそうなるんだろう……って、兄さん?」
腕を組んで悩んでいると、ふと上条の顔が青ざめていくのを見て、キノは不思議そうに問いかけた。
「どうしたの?」
「……なあ、狙いは
上条が首を振る。見つめている方角を見て、キノも漸く事情を飲み込めた。
「もしかして、俺達
時は戻り、上条が運営する喫茶店では泉達が店内の掃除をしていた。
「……というか、せっかくの休日に何やってるんだろうね、私達」
「そういうのは掃除してから言えっ!!」
モップ掛けをする
春ではないとはいえ、陽だまりが心地よい店内では穏やかに時が過ぎていた。
「そう言えばこなちゃん」
「ん~なに~?」
食器を片付けた
「最近上条君とよくそのゲームしてるけど、面白いのそれ?」
「面白いかもね~若干頭使うけど、運に左右される要素少ないし」
「そうなんだ~私もやってみようかな~」
片付け終えた高良も興味を持ったのか、泉達の元へと向かっていく。どうやら何のゲームか聞こうとしているらしい。
「……いやちょっと待て。なんか今一瞬ありえないところからラブ臭が――」
等と
「あ、すみません。今日は定休日でして……」
手早く対応しようとするも、その外見に圧倒されてしまう。
褐色の肌にサングラス、特に目立つのは顔に刻まれた×字の傷跡だった。
「……
それは、錬金術師を狩る者だった。故郷を壊され、家族を殺された恨みを晴らさんが為に、自ら修羅と化した男と同一の存在だった。
突然の来訪者、それも予想外の人物に思わず呟く
「……って、なにすんのよっ!?」
「いやかがみん床見てっ!!」
スマホを捨て、席から跳ね降りた泉が勢いのまま
「錬成痕があります。本物の錬金術……まさか、私達と同じ――」
「じゃあなんで私達が襲われなきゃいけないのよっ!?」
突然の訪問者、しかも転生者らしき人物の襲撃に誰もが委縮した。
「――ヒュッ!!」
「……フン」
軽く息を吐いた
「……って固っ!!」
「こなちゃんっ!?」
何か仕込んでいるのか、それとも筋肉量の違いか。
泉の蹴りは効果を見せず、逆に体勢を崩してしまい、身動きが取れなくなった。そこへ容赦なく、
「死ねっ!!」
「直接的すぎるっ!!」
腕
「ぎゃふっ!?」
『(こなた・こなちゃん・泉さん)っ!?』
背中から叩きつけられてしまい、泉は目を回しながら床に崩れ落ちてしまった。追撃する為か、
「こなちゃん逃げて~!!」
まともに動けない泉目掛けて、
「死ねっ!!」
降り降ろされる破壊の右手を見て、
「……こなたにっ、私の大事な友達にっ!」
更に
「――手を出すんじゃないわよっ!!」
その球は迷わず
よろける
「みゆき、そいつ吹っ飛ばしてっ!!」
「錬金術を使えるのは、あなただけではありませんっ!!」
錬成反応の光と煙が発生し、中から飛び出した角柱が
「もう大丈夫だから、つかさ。……こなた、無事!?」
二人して駆け寄ると、丁度泉も回復したのか、軽く頭を振りながら、上半身だけを起こした状態で返事をする。
「いやぁ、助かったよかがみん。まさしくツンデレの「うるさいわっ!!」――オォウ、まだ響く~」
泉の無事を確認してから、
「それにしても何なの、あいつ」
「まったくだよね。あそこはせめて『神に祈る間をやろう……』って言って欲しかったかな……」
「死に掛けといて何をのんきなっ!!」
そうこうしている内に、
「ああそうこうしている間に!!」
「みゆきさん、ショットガン!!」
頭を抱えて叫ぶ
「泉さんっ!!」
「ほいさっ!!」
投げ渡されるショットガン。
泉はポンプアクションで弾丸を薬室に送り、銃口を
「……一発だ」
「それ『アリソン』の方!!」
「……やっぱりショットガンは
「だから言ってる場合かっての」
「かがみ的には嬉しくないの? 種類は違えど、相良君と同じショットガンなのに」
「……言わないで。最初
とりあえずとばかりに、四人は店の外へと出た。無論、
「……で、こいつどうするのよ?」
「目的が分からないと、なんとも言えませんね……」
とはいえ、このままにしておけば、また襲われるかもしれない。
「しょうがない。とりあえずかがみ、
泉が
同時に、
「えっ、どうしたのこなちゃん?」
後ろを向く
「――頂いたよ。その
そして、光の中から現れた男が手を伸ばし、
*お知らせ*
感想欄に【質問】と入れてから、書かれた質問に関しましては内容を問わず必ず返信します。ユーザーも通りすがりも問いません。それどころか問答無用で、最新話の後書きに質問と回答をコピペして掲載していきます。
皆さん、どしどし応ボッ!?
シャーリー「……いいから勉強しろ」
ちょっとした気晴らしなのに……
シャーリー「……後騙されるな。こいつは昔、自称『読者の敵』を気取ってた馬鹿だぞ。つまり面倒臭い質問に対しては全部『ざまぁ』って返すに決まってる」
失礼な。まともな質問には必ず丁寧に返しますよ。ふざけた内容に関してしか言いません!!
シャーリー「……やっぱり言うんだなおい」
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というか、活動報告もコメント返しした方がいいのでしょうか?
あそこまで来るとは思ってなかったので、気が付いたら三件もあったんですが。
まあなんにしても、もう少し余裕ができれば他の小説也書きたいと考えていますので。これからも拙作を宜しくお願い致します。では
(……ネタバレに関しては『今後の活躍に期待して下さい』と返そうとしていたのはセーフだよな?)