魔法先生ネギま 雨と葱   作:朝来終夜

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第31話 After Story アスナの冒険Vol.1-2

「つーか、茶々丸が片付けて数日しか経ってないのに、なんでこんなに散らかせるんだよ?」

「馬鹿者、人間生活していればゴミが増えるものだ」

「黙れ吸血鬼!! てめえの思考がゴミだ!!」

 最低限のゴミを退けた面々は、服を着たエヴァンジェリンを含めて車座に腰掛けていた。遅い朝食であるピザとナギ手製の野菜炒めを腹に詰め、漸く一心地着いたエヴァンジェリンは腹を摩りながら足を伸ばしている。

「ちなみにシオン君だっけ、君達も魔法を知っているの?」

「まあ、この世界に来てからっすけど。気はともかく、魔力あるのは今のところスモーキーとララだけなんで」

「というかシオン君も転移者じゃないの?」

「少し違うな。転移者はスモーキーだけで、俺達はあいつのチート能力だったか、で()び出された、って形でここにきたらしいからな」

 本人も詳しいことは分かっていないのか、サイン片手に質問してくるこなたにシオンはそう返した。隣にいたナギも、千雨がエヴァンジェリンを不用意に『吸血鬼』と呼んでいたのでそう聞き、アスナ関連も含めて問題ないと思い、魔法隠匿は考えずにいいと判断した。

 千雨が不用意に発言した可能性は無きにしも非ずだが、その時はその時どうにかしただろうと、寛いでたラカンも話に加わってくる。

「へえ、てことは強いの?」

「少なくとも体術だけなら、おっさんより上だわ」

「言ったな、コラ。……てかなんでナギだけ若干敬語で俺タメ口?」

「こっちの方はまだ礼儀知ってるからだよ。嫌なら『ピザ泥棒』と呼ぶぞ」

「お前も共犯だろうが!?」

 ちなみにピザの件は、千雨の説得とナギの料理とエヴァンジェリンの諦観のおかげで示談が成立しました。というかシオン達のピザ屋の常連だったらしく、人柄を理解していた上にナギ達と遭遇したという状況から、全容を把握したらしい。

「いや、ポイントを貯めるとぬいぐるみが貰えるんだ。こんなのとか」

 そして見せられるチラシ。

「……CLAMP版デフォルメにしたRUDEの皆じゃん」

「ちなみにデザインはララが担当している。本当は『SWORD』全員揃えたかったんだが……」

「やめとこうよ。無断使用は肖像権の侵害だって」

 こなたも流石に呆れてチラシを避けた。『CLAMP』に関するシオンの疑問を無視して。

「さて、腹も膨れたし……ゲームの続きでも「ふざけんなコラ!!」「ポケモンスタジアムやらせろ」――ぎゃふっ!?」

 腹に二本の蹴り受けたエヴァンジェリンが転がっていき、そのまま壁際の戸棚にぶつかる。しかも勢いを殺しきれずに、倒れた戸棚の下敷きになってしまった。

「ああ……悪い、やり過ぎた」

「千雨も謝ってるから許してあげ『アスナ』――……ごめんなさい」

 しれっと一人だけ逃げようとするアスナに一喝したナギ達は戸棚を戻し、力仕事に(背丈の関係で)加われなかったこなたがエヴァンジェリンを引っ張り起こした。

「まったく、また散らかして――」

 

 

 

 ――カサッ

 

 

 

「――……ん?」

 戸棚を起こしてから頭を掻いていたナギの足に、何か軽いものが当たった気配がした。何かと拾い上げてみると、封がされたままの一通の便せんだった。

「なんだこれ?」

「ん? ああ……」

 立ち上がったエヴァンジェリンがナギの声に振り向く。

「……そんなところにあったのか」

「何それ?」

 好奇心疼く面々を代表してこなたがエヴァンジェリンに問いかけた。しかしナギから手紙を受け取った後、そのまま適当に封筒を抉じ開けてしまう。

「昔送られてきた手紙なんだが、丁度茶々丸が家に来た日だったから後にしようと置いといてそのままだったんだ」

「……おい、それ何年前の手紙だよ?」

「それ本当なら、もう十年になるぞおい」

 ラカンと千雨がツッコむも、エヴァンジェリンは我関せずと取り出した便箋を広げた。

「何々……『前略 闇の福音(ダーク・エヴァンジェル)殿』」

 

 

 

『突然の手紙、失礼する。手紙を書くのは不慣れな為、無礼な文言を読まれてもご容赦願いたい。

 挨拶にも精通していない為、速やかに本題に入らせて頂く。今回文をしたためたのは貴殿の実力を見込み、仕事を依頼したいからだ。

 内容は妖魔の駆除、場所は同封した地図に記載されている。

 報酬として貴殿に掛けられている『登校地獄(インフェルヌス・スコラスティクス)』に関する情報、『ナギ=スプリングフィールドの行方』について教える。

 時間はいくら掛かっても構わないので、来て頂けると助かる。

 以上

 

 追伸 できれば十年以内にしてくれると助かる。それが限界だ』

 

 

 

「なあ、エヴァ……」

 手紙の内容を把握し、千雨がエヴァンジェリンの肩に手を掛ける。

「……この手紙の依頼をこなしていれば、さ」

 しかし、その手に握力が宿り、徐々に掴んでいる肩から悲鳴を上げさせていく。

「もしかしたら……親父(ナギ)さんの件、もう少し楽にできたんじゃないだろうなぁ「千雨、怖い」――大丈夫だアスナ、これはお説教だから」

「何処がだ放せ痛いイタイ!?」

 肩を掴んでいた手を払い退けるエヴァンジェリン。そのまま千雨と取っ組み合う中、こなたとシオンはアスナと共に同封されていた地図を覗き込んでいた。

「てことはそろそろ行かないとまずいってことだよね」

「かなり端だが、ギリギリ麻帆良の敷地内だな。未開発区域か?」

「そこ、確か小さな遺跡があったはず」

 地図の一点を指差すアスナを、こなたとシオンの視線が挟みこむ。

「前に学校の遠足で近くまで行ったことがある。望遠鏡越しだけど、確か小高い丘の上に小さな遺跡が残っていた。先生達は『危険だから近付かないで』って言ってたけど」

『危険?』

 何故危険なのか、とエヴァンジェリンにコブラツイストを掛けていた千雨に三人の視線が寄る。

「……ん? なんで私?」

「いや、学園内のことなら千雨が調べた方が早いじゃん」

「ああ……ねぎ、代わりに調べろ」

『はい、ちうたま!!』

 電子精霊のねぎが近くに置いてあったエヴァンジェリンの携帯を取り、そのまま麻帆良学園のデータベースへとアクセスし始めた。

『HP上では落盤の可能性がある、と出てました』

「落盤、ね……」

 逆エビ固めでエヴァンジェリンの足を拘束しながら、千雨は思考に耽る。

「何か気になるの?」

「その程度なら麻帆良学園都市(ここ)の人間が調べていてもおかしくないだろうが」

 フローリングをひたすらタップするエヴァンジェリンを無視し、千雨は体勢を変えることなく話を続けた。

「なのに『遺跡は危険だから近付くな』だけ、ってのが妙に気になる。人払いや認識阻害か……ねぎ、遺跡はいつからある?」

『少なくとも麻帆良学園都市が生まれた頃からありました』

 ごほうびぷりーず、という発言を聞き流して千雨は立ち上がり、即座に反撃してきたエヴァンジェリンを蹴り転がして踏みつける。

「ぎゃふるすっ!?」

「なのにずっと放置されていた、別に常に忙しいという訳でもないのに。それこそ魔法使いが行きゃ十分な話じゃないのか? 優先度合いが低かったからか?」

「エヴァにゃんだいじょうぶ~?」

 こなたがしゃがんでエヴァンジェリンの顔色を伺うが、彼女は息を荒げたまま悔し気にフローリングを拳で殴った。

「くそう、封印さえ……あれ、そう言えば魔力だけは戻った筈…………さっきから魔力が使えないだと?」

「誰が封印解けた吸血鬼と真正面から殴り合うか」

 足を退けた千雨はエヴァンジェリンを立たせてから、懐から取り出した携帯端末大の装置を見せた。

「ガジェット・ドローンに組み込まれていたAMFを携帯して使えるようにしたんだよ。バッテリーはめちゃくちゃ食う上に影響範囲は狭いが、殴り合うには十分だろ?」

『我々電子精霊群は事前に対策パッチを当てているので平気でーす!』

「お前……もう完全に出鱈目人間にカテゴライズされるんじゃないのか?」

「安心しろ、自覚はある……嫌という程に」

 頭を抱える千雨に、エヴァンジェリンも流石に怒りを鎮めて腰に手を当てた。軽く鼻を鳴らしてから、アスナ達が広げていた地図に目を向ける。

「その遺跡なら知っているぞ。確か、魔法使いが一人調べようと近付いたんだが、急に杖が不調になったとかで引き返してきたんだ。以来、縁起が悪いからと誰も調べに行っていない」

『杖が使えない?』

 全員が首を傾げる中、離れて手紙を読み返していたナギとラカンは、便箋を閉じてから近寄ってきた。

「その遺跡だが、俺達が行ってみるわ」

「杖が使えない、っつっても俺達なら何とかなるだろ」

 チートキャラを自称する二人が行くということで話がまとまりかける。

「私も行きたい」

 しかし、ここでアスナが何故か挙手して参加の意を示してきた。

「面白そうだから行ってみたい」

「いや、遊びじゃないからね。アスナ」

「まあいいじゃん。私も行ってみたいし」

 と、さらにこなたも参加を表明してきた。

「じゃあ俺も。図書館島行ってみようかと思ってたけど、そっちも面白そうだし」

 おまけにシオンも行くと言い出してしまい、ナギとラカンは呆れて息を吐いた。

「お前らな~」

「もういいんじゃね? 面倒臭いし」

 呆れたナギにラカンが諭して、この場の全員で遺跡に向かうことで話が纏まってしまう。

「……って、私もか?」

「来いよ、私も行くんだし」

 千雨も呆れながらだが、携帯の時計を確認してから手を叩く。

「じゃあ一度解散して、各自準備してから再集合な。集合場所は丘の麓。全員で遺跡前に移動してから昼食、それから探索ってことで」

『異議なし』

 千雨の提案から各自準備をしに、エヴァンジェリンの家を去って行った。

「よく考えてもみろ。あの二人をほっといたらまた変なことに巻き込まれかねない。だったら近くにいた方がまだ安心できる」

「千雨……それは苦労人の思考だぞ?」

「……だが同じ苦労なら最初からの方が干渉できる分まだいい、だろ?」

 呆れて無言で頷くエヴァンジェリンに背を向け、千雨はどことなく肩を落としながら帰って行った。

「まあいいじゃん。エヴァンジェリンも行こう」

「はあ……仕方ないか」

 エヴァンジェリンも支度をしに二階への階段に足を掛けた。階段を登りながら、アスナに話しかける。

「お前は準備しなくていいのか?」

「私は元々出掛ける準備ができているからOK」

「じゃあ一緒に行くか。ちょっと待っててくれ、ついでにお前の着替えも貸してやろう」

 

 

 

 自宅へと向かう道すがら、ナギは隣を歩いているラカンに話しかけた。

「しかし、まさかこんなところに手掛かりがあったとはな……」

麻帆良学園都市(ここ)に向かった形跡があっただけだもんな。大方お前の過去(ツケ)を辿ってた、ってところか」

「それが移動せずにじっとしている、ってのがちょっと気になるが……まあいいか」

 ナギはエヴァンジェリンの便箋にだけ(・・)書かれていたサインを思い出していた。

 

 

 

 ――A.S

 

 

 

 と記載されていたサインを。

 

 

 

 




 この度、世界の優しさを知りました……アンケート回答ありがとうございます。この嬉しさをばねに暫く頑張ります。

 こうなったら書いたりましょう。アンケート結果によっては変わるかもしれませんが、例え月一になっ――ぶべらっぱ!?



シャーリー「……一生掛ける気かコラ。せめてくたばる前に完結させろ独身早死希望者」



 だいじょう、ぶ……結婚相手を見つけたら、そう言えなくなるから。ちゃんと長生きしようと努力するから。



シャーリー「……いや無理だろ受け身の癖して。せめて婚活して来いよ」



 それで結婚できたら誰も苦労しないよ……
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