魔法先生ネギま 雨と葱   作:朝来終夜

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1周年記念特別話

「……さて、こうして集まってもらったのは言うまでもない」

「あの、父さん?」

 ネギの実家であるマンションの一室。

 スプリングフィールド家の人間がその場に勢揃いしていた。

 具体的にはネギ、アリカがテーブル席に腰掛け、その二人を見下ろすように立っていた。

「この状況、明らかにおかしいと思うんだけど……というか僕今仕事中!!」

「いいじゃねえか、どうせクルトとの仕事が終われば麻帆良に帰ってくるんだろ?」

「だからって時空をあちこち歪めないで!!」

 後それネタバレ!! と叫ぶもナギは我関せずと事前に用意したホワイトボードをネギ達の前に用意する。

「後、僕母さんとの再会シーンやってないんだけど「ああ、それどっちにしてもカットするって」――なんで親子の再会をカットするのさ!!」

「なんでも『そんなもん他の作家様達が腐るほどやってんだよ。だから要約(ダイジェスト)で済む個所は全てスキップする』ってさ」

「……もしかして、今迄の映画予告(もど)きが要約(それ)?」

「とことん腐ってるな、朝来終夜(ここの作者)は」

 流石のアリカも呆れながら、ティーカップの紅茶に口を付ける。

 少し口に流し込んでから、ティーカップを置いてナギに視線を向けた。

「別にいいんじゃね? エタらなければ」

「だからって……」

「まあ、こればかりは仕方ない。ネギとはカットされたシーン内で再会を果たすとして」

 僕未だ母さんと会ってないんですか? というネギの発言に元の時空でな、と両掌を合わせて謝罪し、アリカはナギに続きを促した。

「それで、一体何をするつもりだ?」

「決まっているだろう……」

 ナギはホワイトボードにペンを走らせると、バンと叩いて読み上げた。

 

 

 

 

 

「…………テコ入れだーっ!!」

 

 

 

 

 

『…………ヘァ?』

 ネギとアリカは、その発言に奇声を上げてしまう。

「説明しよう。テコ入れとは物事や作品に手を加えることで視聴率(UA数)を伸ばす為に改善を行うことだ「いや、それは知ってるよ」――……要するに、だ」

 おもむろにナギは、自らの携帯電話を取り出してネギ達に見せた。

「お前ら、この小説のUA数どう思う?」

「えっと、大体9000(2018年11月末時点)半ばかな……」

「そんなものではないのか。原作は『UQホルダー』という続編に移行してしまっているのだ。『魔法先生ネギま』単体の二次創作だけでは人気を集めるのも難しいだろう」

 ネギとアリカの感想を聞き、ナギは静かに別の小説の小説情報(小説投稿サイト『ハーメルン』内にて)を幾つか掲示した。

「分かるか? この小説よりも掲載期間が短かったり総文字数が少なかったりしている作品の方が……UA数が上なんだよ!!」

「確かに……お気に入り登録数も感想数も、言ってしまえば評価者数もむこうが上だね」

「しかし……何故ここまで差がついたのだ?」

 不思議そうに首を傾けるアリカに、ナギは腕を組んで一度、低く唸る。

「仕方ないだろう。朝来終夜(あの馬鹿)が『魔法反徒ネギま』を書いていた頃の某小説投稿サイトじゃあ、何でもあり展開をかましまくる作者に、ちょっとでも気に入らないとすぐ(けな)す読者と、ろくな状況じゃなかったんだ。現在投稿している小説投稿サイト『ハーメルン』(ここ)の空気には合わないんだよ」

「そんな中で日間ランキング一位(某小説投稿サイトにて、実際に取りました。当時の皆様本当にありがとうございます)なんて半端に取ってたから、朝来終夜(あやつ)が現状の実績を『実力通りじゃない』と呻いているのか」

「『自分の書きたいようにやる。結果なぞ知るか』ってスタンスは何処にいったんだろう、朝来終夜(あの作者)……」

 等と言っていても始まらない。

 ナギは軽く手を叩いて二人を注目させて、手振りで意見を求めた。

「取りあえず、お前らなんか言ってみろ。今後の『雨葱』はどうすればいいのか」

「その略称でいくのか?」

「じゃあ……こんなのはどう?」

 そしてネギは、テコ入れのアイデアを話し始めた。

 

 

 

 

 

 虫憑き。

 夢を喰らう特殊な虫達に取り付かれた人間の総称である。

 虫に取り付かれた者は夢を喰い尽くされると死に至り、逆に虫を殺されると意思と感情を失って廃人となる。

 しかし、その夢を喰らう虫に取り付かれなければ、死んでしまう少女がいた。

「…………おじさん(・・・・)

 悪夢(ナイトメアのメモリ)に取り付かれた少女、長谷川千雨。

 危うい均衡を保つ彼女が中学生になる時、運命の出会いを果たす。

「新しく担任になりました、ネギ=スプリングフィールドです。みなさんよろしくお願いします」

「なんだ、ガキか……」

 教師と生徒、(世代的には)小学生と中学生、男と女。本来ならば深く関わることはない、筈だった。

 

「駄目ですよ……それ以上手を汚させたりはしない!!」

「綺麗事ほざいてるんじゃねえぞ……クソガキがぁ!!」

 

 正義を勘違いした少年と、現実に打ちのめされた少女は、何度もぶつかり合う。

 そして、彼女の(かたき)が目の前に現れた。

 

「放せっ!! こいつだけ――」

 パァン!!

「……駄目ですよ。あなたを、同じところに堕とさせたりはしない!!」

 

 そして結ばれる仮契約(パクティオー)。しかし肝心なものがないとカモが叫ぶ。しかし千雨は大丈夫だと前へ出た。

 

「大丈夫、持ってるよ。来たれ(アデアット)!!」

 

 取り出したのは形見の物品(ガイアメモリ)、喚び出したのは恩人の持ち物(ロストドライバー)

 

「力を貸してくれ、鳴海のおじさん……変身」

 

 少女は骸の戦士となり、魔法使いの傍らに立つ。

 

 

 

 ――魔法先生ネギま ~悪夢憑きの少女~

 

 

 

「さあ、お前の罪を……数えろ」

 

 

 

 

 

「って言うのは「朝来終夜(作者)の没ネタじゃねえか!!」――あばっぷ!?」

「……この世界で仮面ライダーネタはありなのか?」

「一応『ライダー』歌ってたガキがいたからいいんじゃね?」

 殴られて椅子から転げ落ちたネギが起き上がる中、ナギは頭を掻いた。

「つうか早々に千雨ちゃんヒロインにしてんじゃねえよ」

「いや、ヒロインなのかこれ?」

「最近じゃあザラだぞ。戦うヒロインなんて」

 そこはかとなくジェネレーションギャップが生まれているが、会議は淡々と進行する。

「大体、あのオチって確か『お互いに知らぬ間に同じ大学の大学生になって、隣同士の席で講義を受ける』とかどっかの漫画のエンドまんまじゃなかったか?」

「そんなんじゃ映画になんないわよ。舐めてるの?」

「明日菜さんにだけ(・・)は言われたくないんですが……って、なんでいるんですか?」

 立ち上がったネギが声のした方を向くと、何故かそこには明日菜がしれっと、アリカの隣の席に腰掛けていた。勝手に淹れた紅茶に舌鼓を打ちながら、ネギ達を見回していく。

「大体ね、テコ入れならなんで私を呼ばないのよ。というかネギ、今私『だけ』って強調しなか「気のせいですよ」――……まあ、いいわ」

 カップを置くと明日菜は立ち上がり、ホワイトボードの前に移動する。そのついでにナギをネギの隣に追いやった。

「そもそも映画ってのは「小説のテコ入れですよ」――どっちも似たようなものじゃない。大切なのはエンターテイメントよ」

「エンターテイ()メントですよ、明日菜さん」

「一々細かいのよバカネギ……物語なんて大きな矛盾がない限りは大雑把(おおざっぱ)でいいのよ。大切なのは楽しむ心!!」

 そして明日菜はペンを走らせ、ホワイトボードを叩いて注目させた。

「というわけで、『魔法世界残業編』が明けたら、このストーリーで行きましょう!!」

 

 

 

 

 

 それは、ネギの誕生日に企画した旅行での出来事である。

 

「失せろ餓鬼っ!!」

「千雨さん。せっかくの旅行に暴力はよしましょう」

「しかし……けっこう治安悪いんですね、この辺り」

「人の多い所なんて大抵そんなもんだ。田舎方面や日本が平和すぎるんだよ」

 

 舞台はエジプト。悠久の歴史が彩る砂漠の都に彼らは降り立った。

 

「貴方達、ちょっといいかしら」

 

 眉唾(まゆつば)な遺跡探索のイベントを楽しみにする面々に、近付いたのはゴスロリドレスと髑髏が特徴の防具を身に着けた少女。

 

「あの遺跡にだけは近付かないようにしなさい。せっかくの観光を台無しにしたくはないでしょう?」

 

 しかし、遺跡は眉唾等ではなかった。

 

 中国は三国志の武将達と似て非なる世界から来た少女達と、時に争い、時に協力して、彼らは呪術の真実を知る。

 

 

 

 ――魔法反徒ネギま 四人の逃亡者達 ~中東歴史探訪編~

 

 

 

「気分出したいからって完全に魔法を使えなくする奴があるかーっ!!」

 

 

 

 

 

「……明日菜さん、これ結局続けられなくなった続編ですよね? 『魔法反徒ネギま』の」

「ここぞとばかりに出してくんじゃねえよ」

「まだ続ける気か、(くび)るぞ神楽坂明日菜」

「まあまあお二人共、それよりも予告が半端な長さという点をつつきましょう。いい意味で」

 ネギのツッコミに、千雨、エヴァンジェリン、茶々丸も口々に発言を吐露(とろ)した。

「てか、なんでエヴァ達がいるんだよ?」

「ああ、私が呼んだのよ。もっと呼ぼうかと思ったけど、流石に作者が捌ききれない(収拾がつかない)から止めといたわ」

「もっと早く言って欲しかったんですけど……」

 部屋着を若干恥ずかしがるネギを無視して、千雨とエヴァンジェリンは茶々丸が新しく淹れた紅茶を受け取り、それぞれ味わって飲んでいく。

「さて……テコ入れなんてする暇あるならとっとと魔法世界(ムンドゥス・マギクス)救えって言いたいところだが、幸いここは何でもありの特別編(メタ空間)だ。今回だけは特別に、私も協力しよう」

「……意外とノリノリね、千雨ちゃん」

「知らんのか? こいつ創作(この手の)話は結構イケる口だぞ」

 感心する明日菜と膝を立てて抱えるエヴァンジェリンを無視して、今度は千雨がホワイトボードの前に立つ。

「大体お前らは二次創作ということに甘えてオリジナリティを()き過ぎなんだよ。原作トレースが過ぎるとそれはもう『1.5次創作』だ。ハッキリ言って書く意味がない。かといってオリジナル展開を混ぜすぎても、逆にそれでオリジナルの小説を書けばよかったと、激しく後悔してしまうだけだ」

 ホワイトボードに一通り書き終ると、千雨はペンの(ふた)を叩き込んで面々に振り返った。

「大事なのは蛇足感を出さずに、いかに原作と向き合えるかだ。だから私はこの話を提案する」

 

 

 

 

 

I'm not saving the world(私は世界を救わない)……」

 

 無限なる荒野に立つ少女。

 無骨な装甲服の上に深紅のコートを纏い、周囲に突き立てられた銃器を構える。

 

I only want to kill wizards(魔法使いを殺すだけだ)……」

 

 ――立派な魔法使い(マギステル・マギ)スレイヤー

 

 

 

 

 

『ちょっと待て(ぇい)!!』

「……さっきまで『ゴブリンスレイヤー』読んでて思いついたんだが、やっぱ駄目か?」

「というか、それ以前に千雨ちゃんどっぷり魔法使い側の知り合い増えちゃったでしょ?」

 千雨がやっぱり駄目か、と腕を組む中、明日菜はスプリングフィールド一家やエヴァンジェリンを指差してから問いかける。

「今更殺すだの魔女狩りだのできるの?」

「あ~……流石に無理だな。よっぽどの理由がない限り」

 誤魔化(ごまか)す様にホワイトボードを乱暴に消してから、千雨はエヴァンジェリン達と立ち位置を入れ替えてから下がった。

「まあ、千雨の意見も一理ある。確かに蛇足感丸出しな小説は読む気が失せて結局放置してしまうものだ」

 茶々丸に抱えられながら、エヴァンジェリンは手を大きく動かしてペンを(おど)らせていく。

「世間に(みずか)らを(さら)け出す手段も増え、ただでさえ過多(かた)な情報が錯綜(さくそう)しているからといって、無理に相手に媚びる必要はない」

 書き終わり、茶々丸に降ろされたエヴァンジェリンは代わりにペンを預けさせてから天を(あお)いだ。

「大切なのは『自分が楽しむ』という過程をなくさないことだ。しかし、それだけだと独り善がりな駄文になりかねん……正直に言って、私はまず、そのことを世間に知ってもらいたい」

 そもそも、とエヴァンジェリンは一つ前置きに語り出した。

「よく原作の登場人物に説教している二次小説を見かけるが、まともな社会人から見れば『何言ってんだこの世間知らず』としか思えん。上辺だけしか話を知らんのに、登場人物の背景を(かんが)みずに説法したところで、実際は小馬鹿にされるのがオチだ。なのに説教された相手が驚愕(きょうがく)するだの反省するだの、ご都合主義にも程がある」

 そこはかとなく敵を量産しながらも、エヴァンジェリンは(ようや)く本題へと話をシフトした。

「『海賊とよばれた男』でも言っていただろう、大切なのは説得力だ。だから自分が書くことを楽しみながら、相手を納得させるだけの話を用意しなければならん。今回はまず、説得力に重点を置いて考えてみよう」

 

 

 

 

 

 ――立場をなくした男、高畑・T・タカミチ

 

 ――幸運をなくした男、上条当麻

 

 異なる境遇を持つ男達の、奇妙な旅が始まった。

 彼らは当て所なく、ただ線路の上を歩いた。

 時には焚火(たき)を囲み、時には食事を取り合い、時には回送電車に追いかけられもした。

 互いに喧嘩しつつも、いつしか二人は認め合い、肩を組んで旅を続ける。しかし、それを邪魔する者がいた。

「しずな先生達が探してましたわよ。早く帰って来て下さい!!」

 高音・D・グッドマン(追跡者)に見つかり、平和な旅に暗雲が立ち込める。それでも二人は歩みを止めない。

「嫌だ!! 僕達は旅を続けるんだ!!」

「戦おう!! 高畑先生!!」

 家出した二人を止める為、高音は覚悟を決める。

 

「いい大人が反省せずに逃げ回らないでください!! いいかげん帰りますわよ!!」

 

 

 

 この物語を、全てのイニシャルが『T』の人に捧げる。

 

 

 

 ――TRIPLE 『T』. Lord to Rain and Green Onion.

 

 

 

 

 

「……ただの家出話?」

「いや、でも案外ありかもしれないぞ」

 明日菜が呆れる中、千雨は他の面々とこのテコ入れ案について協議していく。

「昨今理由は様々だが家出する人間は結構多い。そういう人達への対立命題(アンチテーゼ)になるんじゃないか?」

「確かに、説得力を持たせるということは、究極的には相手を納得させることですからね」

「別に二次創作だからって、社会派に転向してはいけないわけじゃないしな」

 若干政治寄りになってきたので、話についていけていない明日菜は手を叩いて話をテコ入れに戻らせた。自分がまともなのかどうかという疑問を抱きつつも、明らかに別方向に話題をシフトさせていた面々に割り込んでいく。

「はいはい、次行きましょう次」

「せっかくだ、茶々丸。お前も何か言え」

 そうエヴァンジェリンに促された茶々丸は、ハア、と少し考え込んでしまった。

「別に適当でいいんじゃないか? 自分のやりたいように提案して見ろよ」

「そうです、ね。では……」

 千雨にも促され、茶々丸は漸く自らの考えを話し始めた。

 

 

 

 

 

「ちさめ、さん……」

「あんまり、こっち見るな……」

 騒々しい結婚式も終わり、月が昇り始めた頃。風呂上がりの千雨は純白の下着姿(ランジェリー)で身体を飾り、ネギの前に――

 

 

 

 

 

『いろんな意味でやめんかぁ!!』

「ぼほはっ!?」

 茶々丸はアリカとエヴァンジェリンにぶっ飛ばされ、ホワイトボードごと倒れ込んでしまう。

「そうだ僕は新世界の神になるんだ!! さあ来いリューク、僕にデスノートを!!」

「削除削除削除削除削除削除削除削除…………………………………………削除ぉ!!」

「ちょっとネギ、林檎(りんご)持って叫ばないで!! 千雨ちゃんも延々と知ってる名前書き取らないでそれただの黒いノート!!」

『ネギ×千雨』ルートのR18展開を提案されかけ、明日菜の制止も聞かずに奇行に走るネギと千雨。将来的な希望も吹っ飛ぶレベルでの超展開に、思考がついていけずに暴走してしまったのだ。

「落ち着けお前らっ!!」

 そしてナギも二人を止める為、一度黙らせようと隣人からの苦情も覚悟して壁に向かって拳を叩きつけようとした。

 

 

 

「おい、お前ら近所迷惑――ごはっ!?」

「……あ、悪いラカン」

 

 

 

 しかし、その拳は無断で入ってきたラカンの腹に当たってしまう。一応音は立ったので二人を制止できたのだが、ナギの意識は自らが打っ飛ばしたラカンの方に向いていた。

「いきなり入ってくんなよお前なぁ……危ないだろうが」

「奇声発しまくってるお前らに言われたかねえわ。ご近所さん代表して俺様が抗議に来る羽目になったんだぞ。……バイト上がりなのに」

 ナギの手に引き起こされながら、ラカンは腹を(さす)りつつ、先程迄奇行に走っていた面々を眺めていく。

「……で、お前ら何やってたんだ」

「実は「なるほど、テコ入れか」――……まだなんも言ってねえよおい」

「俺様に不可能はねぇ。というか、なんで呼ばねえんだよそんな面白そうなことに」

 アリカに拘束されてエヴァンジェリンにネジを巻かれている茶々丸の横を素通りし、微妙に上がる嬌声を聞き流しながらホワイトボードを立て直すラカン。

 軽くペンを走らせてから、手を叩いて全員の注目を集めた。

「前々から思ってたんだが、朝来終夜(作者)の偏見が混じっているせいでこの世界にはろくでなししかいない様な表現が多い。だがそんなことはねえんだよ。世界には善人も多いんだってことを話さねえとキリがねえぞ」

 ホワイトボード上に書き取られたのは『LOVE&PEACE』の文字。しかし全員が白けた眼差しをラカンに向けている。

「分かってるよ。『魔法反徒ネギま』の時点で正義だの悪だのと語っちまってるから、今更平和主義に転向なんてできないってんだろ? そんな心配はいらねえよ。こいつさえ見れば分かるさ」

 パチン、と指が鳴らされると同時に、部屋に入る者達がいた。

 彼等は玄関だけでなくベランダからも侵入し、ホワイトボードを退けてから次々と器具を設置していく。

「スクリーン設置、展開完了」

「プロジェクター設置、設定は問題ない」

「おいレコーダーがないよ!?」

「そこのラップトップ接続すればいいんだよ。ピントは合わせたか?」

 設置が完了すると、そのうちの一人がラカンに近づいて一枚の紙を突き出した。

「仕事は完了した。請求書に従って代金を支払ってくれ。振込時に領収書がいる場合は別途連絡を」

「おう、ご苦労さん」

 そして彼らは部屋から撤収していった。

「……なんでスモーキー達(RUDE)が来るんだよ?」

「こんなこともあろうかと、バイト上がりに頼んどいた」

 千雨の呆れた様な呟きに、ラカンはあっけらかんと答えてしまう。正気に戻って早々に、ますます頭を抱え込む彼女を放置し、ラップトップのキーボードを操作して一つの動画ファイルを再生させた。

「まあ、見てみろって……」

 

 

 

 

 

 世界に希望はない。

 

 奴隷として生きてきた俺が言うのだから間違いはない。

 

 世界に希望を作るしかない。

 

 奴隷から解放された俺が言うのだから間違いはない。

 

「……ナギ・スプリングフィールド、か」

 

 ある男を殺す、それだけで大金が手に入る。それだけの筈だったのに……

 

 ……最も憎むべき世界を、俺は何故か救う羽目になっちまった。

 

 

 

 ラカン・サーガ ~赤き翼(アラルブラ)戦記・外伝~

 

 

 

 ――これは、ある男が生み出した伝説の一説に過ぎない。

 

 

 

 

 

『……って、主役を変えるなっ!!』

「ぶぎぇっ!?」

 スクリーンごとふっ飛ばされたラカンを放置し、ナギは腕を組んで頭を抱えた。

「つーかこれ以上好き勝手されたら、それこそ収拾がつかなくなっちまう。もうこうなったら俺の意見でいくぞ!!」

「父さんそれ横暴!!」

 しかしナギに蹴り飛ばされたネギには、父親を止める術はなかった。

「つーわけで、再掲載が終わったらこれでいくぞ!!」

 無情にもナギの提案が発表――

 

 

 

 

 

 ――されなかった。

 

 

 

 

 

「…………あれ?」

「父さん、何しようとしたの?」

「いや、ネタ元である銀魂で新OPと新EDが流れた通りに『雨葱』の前章を要約したOP……の妄想でも垂れ流そうかと「無理だよ小説投稿サイト『ハーメルン』(運営)に殺されちゃうよ!!」――……え、でも『マイレジ』OKだったじゃん?」

「あれ朝来終夜(作者)妄想(オリジナル)っ!! 創作の範疇(はんちゅう)!!」

 そのネギの叫びをきっかけに、不満を貯めこんでいた面々が暴れ出してしまった。

 待たせるのも申し訳ないので、読者様はその間、アニメ銀魂の11番目のOPを『雨葱』キャラに置き換えて妄想して頂ければ――ぼっ!!

 

 

 

 

 

シャーリー「……最後まで読者任せにするな、こら」

 

 

 

 

 

「あ、あれ。シャーリー姐さん?」

「やべえよ。とんでもない人が朝来終夜の死体(とんでもないもの)引っ提げてきやがった」

シャーリー「……この馬鹿が死んだので、地の文はないが気にするな。それよりも、締める前にやってもらうことがある」

「やってもらうことって、一体何?」

シャーリー「……大丈夫、一言で終わるから。入って」

「すみません。失礼します」

「えっと、どちら様ですか?」

「はじめまして、魔界の王ガッシュ=ベルのパートナーだった高峰清麿と言います」

「王様のパートナー?」

「そんなVIPがこんな所に……いてもいいな。元王族のカミさんもいるし」

「王権がないだけで、血統的にはまだ王族だ」

「いやいや、まずは話を進めようぜ」

「はい、実は次回掲載予定の件できました」

「なんだ?」

 

 

 

 

 

「((ブリ)饅頭を前面に出して)この度は魔界陣営(こちら)の不手際で、登場人物(そちら側)の一人を一回殺してしまう事態になり申し訳ありませんでした!!」

『最後の最後でネタバレしやがった!!』




 アンケートは現在も募集中です。

 url:https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=189781&uid=213900

 予定としては再掲載後に週二か月二ペースで『魔法先生ネギま 雨と葱2』を掲載していこうと予定しています。本当は次章の要約(ダイジェスト)もやりたかったんですが、ネタバレが酷そうなのでブログのみに掲載したいと思います。現状はアンケート結果に関わらずこの予定でいきますので、御了承下さい。
 また、今回掲載した分を含めて要約(ダイジェスト)の物語を見たいという意見も、アンケートの回答に含めたいと思います。
 皆様コメントの程、遠慮なくお願い致します。

シャーリー「……二年目もやるの?」

 それまで続くかな……
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