次回、勇者アカシとキセキの仲間達
最終回 刑事告訴
赤司「見なければ、親でも許さない」
ウェールズの小高い丘に、二人は居た。
目の前に映るのは丘から見える景色と、自分達と同じ高さもある十字架だった。
「……あいつの墓か」
「はい……」
ネギはここに来る前に寄った花屋で購入した、ライラックの種を魔法で咲かせると、墓のすぐ近くに植えた。
「少し早いですけど……花束よりかは寂しくないかと」
「そうだな……」
二人は目を閉じ、静かに黙祷を捧げた。二人を出会わせた、ライラックの少女に。
「……なあ、ネギ」
「何です? エヴァさん」
ネギはエヴァンジェリンの方を向く。しかし彼女は空を、何処か虚空を見つめていた。
「私は悪だ。だからこそ、私はあいつからお前を奪いたい」
「エヴァさん……実は僕、夢を見たんです」
ネギはラカンとの試合の最中に見た夢を、夢の中で出会ったエヴァンジェリンのことを語った。
「『……ありがとう、私を受け入れてくれて』、そう言って、彼女は消えました」
「そうか……そうだな…………」
だが、夢は夢だ。言ってしまえば、都合のいい願望かもしれない。
それでもネギは、その夢のおかげで漸く決心がついた。彼女に挨拶したら、前へ進もうと誓って。
「彼女から貰ってしまいましたが、答えは得ました」
「……もう、立ち止まらずに済むのか?」
「ええ、僕はもう立ち止まらない。全てを受け入れる闇のように、僕は前に進み続けます」
そうネギが言い、互いに視線を絡ませた。
「……貴女を愛しています。いつまでも、僕の傍に居て下さい」
「喜んで……」
互いの手を取って抱き締め合う二人。徐々に高くなる陽に照らされて、伸びていた影が重なって一つになった。
END
Ending ~Like a Lilac~
出会いはそう 唐突に
偶然から生まれた君は すぐに役目を果たした
けれども僕は その手を思わず掴んだ
幻だと分かっても 手放すことができない
そのRealを手放したくなくて 仮初の現実を選んだ
でも君は消えてしまった 僕を置いて消えてしまった
僕は偽物を愛した 僕は本物を愛した
どちらも同じで どちらも違う
僕にとっては愛しい人達
……不誠実でも良かった
貴女と共に居られるのならば
以下没エピローグ(カモが生かされた理由)
「
『なっ!?』
突然の声に二人は唇を離し、足元に視線を向ける。気が付かないうちに魔法陣が敷かれており、その横ではカモが丁度出てきたカードを手にはしゃいでいた。
「兄貴に姐さん。仮契約成立おめでとうっす!! いやあ、漸くキスしましたね兄貴、向こうの姐さんの時なんてアリアドネー留学が確定するまで告白しないなんて言うもんだからまだまだかかると――」
ダンッ!!
どちらが主人でどちらが従者だったのか、今となっては知る術はない。何故なら出てきたカードは、ネギのグロック17に撃ち抜かれ、丘の下へと落ちていったからだ。
「あ、兄貴……?」
「カモ君……何で僕が君を引き入れたと思う?」
銃口をカモに向けるネギの横では、エヴァンジェリンが右掌の上に氷を顕現させていた。もし弾丸が残っていれば、その手にジャッカルを握っていたかもしれない。
「……仮契約を口実にエヴァさんとまたキスするためだよ。つまり君を生かしていたのは、
「なあ、ネギ。ということは、もうこいつは……殺してもいいよなぁ?」
じりじりと下がるカモ。敢えて同じ速さで距離を詰める二人。そのせいでオコジョ妖精の恐怖度はうなぎ登りに増していた。
「それ以前に……空気読めよ小動物」
「……てへっ!」
カモのウインクを合図に、二人は駆けだした。逃げ去ろうとするオコジョを追いかけて。
「待てこら小動物!!」
「大人しく駆逐されろ害獣!!」
カモの周囲の地面は、ネギのグロック17とエヴァンジェリンの魔法の射手でえぐれていった。おそらく
『馬鹿馬鹿しい程に……楽しげだな』
没エピ完
後から読み返してみても、明らかに普通のエピローグなので変えたいと思っていましたが、いい機会なので変えます。今から流れるのが本当の没エピローグです。では、お楽しみ下さい。
――FIN
「……感動よ」
苦節百余年、明日菜は今まで眠り続けてきた。
世界を守る礎として、その苦労が今、報われた気がしていたのだ。
「もう、感動以外にこの状況を表せる言葉が見当たらないわ……」
魔法世界の確執、逃げ出した者達の成長、新たな仲間と明かされぬ謎。
第一弾の『麻帆良学園逃亡編』では出し切れなかった要素をふんだんに盛り込んだ第二弾『魔法世界残業編』を見て、明日菜は自らの仕事に感心して流れる涙を拭い、立ち上がった。
「この作品こそ、魔法界の新しいバイブルになる。そう思わない、ネギ!?」
明日菜は振り返った。
麻帆良学園の大講堂を貸し切り、並べられたパイプ椅子の最前列中央の席に座っていた明日菜は、(何故か後ろの席に座りたがる)ネギ達の方を向いた。
「…………あれ?」
しかし、そこには誰もいなかった。
後ろの席に座っていた筈なのに、今は二つ後ろの列に腰掛けて腕を組んでいるあやか以外、全員が姿を消していたのだ。
「え、あれ……いいんちょ、皆は?」
「……明日菜さん」
目を開き、組んでいた足を解いて立ち上がったあやかは、静かに明日菜の前へと移動を始めた。性格かはたまた別に理由からか、パイプ椅子を避けずに通路となっている個所を通って。
「皆さんの卒業旅行を台無しにしただけでは飽き足らず、魔法世界の方々までも『
「ええ……皆楽しそうだったじゃん」
そう、撮影する間は楽しかった。
しかし大抵の物事はそうだ。物事を問わず製作途中は何もかもが楽しいものだ。けれども、その完成作品が楽しいものとは限らない、それが心理だ。
「まあ、それはいいですわ……しかし、今後はそうはいきませんわよ」
目の前に立ったあやかは、明日菜にあるものを突き出した。
「え……」
それは明日菜が皆に提案したものだ。
第三弾もやろう、ちょっとした日常話もやろう。その提案書だった。
「先程のどかさんが『もう書けませ~ん!!』と言って脚本の仕事を降りました。監修の夕映さんも同じく。それを機に他の方々も一斉に映画製作から手を引きましたわ。高校生活も始まることですし」
「そんな……私達の絆が途切れてもいいっていうの!?」
「『
激しく言い合う二人を隠れて眺めていたクルトは、頬を掻きつつその喧騒に背を向けた。
「……まあ、土下座のシーンだけカットしてくれれば、こっちは文句ないんだけどね」
後日、メイキング映像の中でスタイリッシュ土下座のシーンを見つけたクルトは、絶望のあまり明日菜に斬りかかりかけたが、それはまた別の話である。
……はい、本日を持ちまして、『魔法反徒ネギま 四人の逃亡者達 ~魔法世界残業編~』の再掲載を終了させて頂きます。皆様、楽しんで頂けましたでしょうか。
今後の予定は来週掲載しますが、一部を先行して活動報告で発表します。
URL:https://syosetu.org/?mode=kappo_view&kid=210622&uid=213900
更新頻度は少なくなりますが、これからも読んで頂ければ幸いです。
では次回、『魔法先生ネギま 雨と葱2』でお会いしましょう。