魔法先生ネギま 雨と葱   作:朝来終夜

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 ちょっとした小話です。
 GW終わりになりましたが、読んでも読まなくても本編には大差ないです。良ければどうぞ。
 一応次話に連動しています。


閑話 ネギ・スプリングフィールドへの疑惑

 ある車中での一幕。

「もしかしてネギ先生、ってさ……高学歴モンスターだったんじゃない?」

「いきなりどうした?」

 運転中の千雨に、助手席で本を読んでいたこなたが話しかけたことから、この話題は始まった。

 本来は暇潰しにと漫画を持参して読もうとしたのだが、喫茶店(いえ)に忘れてしまったので、仕方なく千雨の手持ちの本から一冊借りたのだ。それを流し読んでいたこなたは、ふと疑問に思ったことを口にしたのが、冒頭の一言である。

 簡潔に言えば、ネギ・スプリングフィールドの高学歴モンスター疑惑だった。

「まあ、どうせ到着まで時間はある。聞こうか」

「この本読んでて思ったんだけどさ……」

 まず、こなたは高学歴モンスターについて簡単に説明を始めた。

 簡単に話すと、高学歴等の華やかな経験はあっても、何かに挫折したことがなく、また他者の気持ちを測ることができないナルシシスト(某書籍準拠)であり、能力の有無を問わず自己を優先させすぎてしまい、周囲を不快にさせる存在であるらしい。それだけならまだいいが、自分が正しいと思い込み過ぎて、周囲に理不尽を押し付けることもままあるらしい。中には犯罪行為を押し付けることもあるとか。

「それでネギ先生が高学歴モンスターって……ああ、最初の頃はそうかもな」

「でしょう? 最初の授業で明日菜のこと、思いっきり馬鹿にしてたし」

「そういや能力の高さは自覚してても、教師については理解している様子がなかったな」

 特に渋滞に引っかかることもなく、千雨達の乗せるプレオは軽快に走行していた。

「ガキだからだと思ってたが……そう考えるとしっくりくるな」

「それもあったと思うけど、春先にエヴァにゃんと戦っている最中にも、ネギ先生がいい気になっていたと反省する描写があったんだよね」

「……エヴァとやりあった?」

 そこは今回流して、こなたは話を戻した。

「だから全く新しい環境に送り込んだのって、そういう天才特有の傲慢さを小さい内から矯正する目的もあったからじゃないかな?」

「いや、だったら教師じゃなくても留学とかで……ああ、そうか。だから教師なのか」

 千雨は自ら発言し、その途中で疑問を自己解決させた。

「たとえ失敗しても、立場が教師なら(ちがえ)ば生徒も簡単に手を出せない。表立っていじめられないし、訴えられてもワンクッション置く必要があるから、その間に魔法なりで対処可能。他にも似たような立場が用意されていたのかもな」

「そういうことだよ。今は使命に燃えているけど、それも今までの経験があったからこそ、だと思うし」

「今でも調子づいていたら、それこそ世界は終わっていた、か……」

 車は東京へと入り、直に高速道路からの出口も見えてくるだろう。

「次のパーキングエリアで一回停まるか」

「じゃあ、そこで運転交代ね」

 少しして見えてきたパーキングエリアに入り、二人は適当に飲み物を買ってから休憩スペース内のベンチに腰掛けた。

「……ということは、さ。千雨がネギ先生振ったのは正解だったかもね」

「ぶっ!?」

 飲んでいたコーヒーを噴き出し、幾度か咳き込んでから顔を上げた千雨は、缶をベンチの上に置いてからこなたに詰め寄った。

「てめえどこまで見てやがった!?」

「いや、だから前世で読んだ漫画での話だって。卒業式の日にネギ先生が千雨の所に行って告白して、あえて身を引いたところまで、ね」

「……その後は?」

 こなたは一度目を逸らそうとしたが、千雨に顔を掴まれてしまい断念する。

「そ・の・あ・と・は!?」

「大丈夫だって! クラスメイトに詰め寄られた後にモノローグっぽいことやった辺りでフェードアウトしたから!」

「……本当だろうな?」

(千雨の結婚相手のことは言わないでおこう。この世界線の話とはいえ……もう原作の話、当てにならないし)

 こなたは頷きながら、内心で軽く誓いを立てた。

「ただ……」

「ただ、なんだ?」

 何か嫌な予感がするも、こなたの発言を止める余裕が千雨にはなかった。

「……ネギ先生、未だにシスコン気味だよね?」

「ああ、それは……ちょっと、そっとしといてやってくれ」

 その点に関しては、正直どうしたものかと、偶に3-A(ネギ除く)でのグループトーク内で度々話されているが、未だに解決の兆しはない。

 ゾフィスの一件でさえ、最後には明日菜が手を貸したからネギが勝った側面もあるのだ。せめて一人で解決していれば……

「……まだまだ掛かりそうだな」

「その間は振り続ける気?」

「そもそも告白されてないだろうが」

 聞いてないことになっていると、別荘でのことを頭の片隅に追いやり、千雨は空になった缶を屑箱に投げ入れてから歩き出した。

「ちょっと一服してくる。車で待っててくれ」

「ほいほ~い」

 こなたも自分の紅茶を飲み干すと、空き缶を屑箱に入れて車の方に移動した。

「……あれ、そう言えば」

 こなたは一度千雨の方を振り返ってから、踵を返して再び歩き出した。

「まあ、当人達の問題かな?」

 かつて、千雨が言った『5年後に出直しな』という言葉を思い出し、またネギがナギ=ヨルダに挑んだのが5年後だったことを振り返りながら、詮無いことだと思考を絶ち切る。

(5年後にナギさん救って、そのまま告白でも決める気だったのかな? ネギ先生)

 その答えを知る者は、この世界には当人一人だけである。

 

 

 

 

 

「ぶぁっくしょん!?」

「風邪かい、ネギ君」

 その噂は現在、事務仕事をしていたその当人に降り注いだのは、言うまでもないだろう。

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