北方海の守護天使   作:h.hokura

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幕間-強襲の歌姫-

「久しぶりだね簪ちゃん。」

「久しぶりなんて言っている場合ではないと思うのですが。」

目の前で見る者を虜にする笑みを浮かべる世界の歌姫を見ながら簪は頭を抱えていた。

中央海のハンターギルドとホワイトドルフィン商会の癒着の為出撃を禁じられ港に待機中だったそうりゅうに彼女が訪ねてきたのは突然だった。

「あの・・・桟橋に艦長に会いたいと言ってきてる女性がいるのですが。」

艦長室で討伐作戦の終了を待っていた簪に乗員が困惑した様子で伝えてきた事が始まりだった。

「私にですか?」

突然の来訪者に簪もまた困惑させられていた、何故なら中央海に明乃とましろそして商会長の真雪以外に知り合いなど居なかったからだ。

「ギルドの関係者ではないのですか?」

「いえ違うようです、艦長の個人的な友人だと・・・まあかなり怪しい容姿の女性なんですが。」

サングラスをかけ帽子を深めにかぶりマスクをしていると聞いて簪は一体誰が来たのか首を傾げてしまう。

本来なら追い返すべきなのかもしれないが簪は何故か妙な予感が湧き上がってくるのを止められなかった。

「・・・分かりました、艦長室へ案内して下さい、あと念の為乗員を数名待機させ警戒をする様にお願いします。」

その女性が誰かを侵入させる役割を持っている可能性を簪は考え、艦の内外を警戒する様指示をだす。

数分後その女性が現れた、怪しさ溢れたその姿に簪は警戒を強めるのったが。

案内して来た乗員が艦長室を出た途端帽子とサングラスそしてマスクを外しその女性は素顔を見せる。

「えっ?」

腰まで伸びた銀の髪と青い水晶の様な瞳をした神秘的な美女の姿に簪は固まってしまう。

「久しぶりだね簪ちゃん。」

世界の歌姫神代 レイだったからだ、簪が固まってしまうのも仕方が無いだろう。

「久しぶりなんて言っている場合ではないと思うのですが。」

我に返った簪は何で超有名人のレイがそうりゅうに来るのか理由が分からずそう言ってしまう。

こんなところをマスコミにでも見つかったらとんでもない騒ぎになるのは確実だからだ。

まあ会う相手が女性ではスキャンダルにはならないかもしれないがレイにとって良い事は無いのではないかと簪は心配してしまう。

念の為乗員を部屋に残さなかったのは幸いだった、レイに気づけばそうりゅう艦内でも大騒ぎになっていたかもしれないから。

「ぶう~簪ちゃんと中々会えないのよ、こういう機会が無いければ。」

主な活動場所が中央海のレイと北方海で仕事をしている簪は気軽には会えない。

ちなみに少し拗ねて上目遣いでいう姿は流石に美人だけに破壊力は凄まじく、メンタル面で最近女性側になっている筈の簪でも眩暈がした程だ。

「神代さ、レイちゃんは世界の歌姫ですよ、そう気軽に会える訳はないと思うのですが・・・」

軽く睨まれてちゃん付けさせられる簪、この年でそんな呼び方は恥ずかしいのだがレイは容赦ない。

「はいそこまでだよ簪ちゃん、せっかく会えたんだからお話ししましょう。」

微笑みながらレイは簪の恥ずかしさなど気にも留めず艦長室のベットに座り隣を指さして座る様促してくる。

「いえ、別にそこではなくても・・・」

それに対しレイは答えず笑みを深くして簪に圧を掛けてくる。

仕方なく簪はベットに座るレイの隣に若干距離を取って座るのだが。

座った途端無言で肩が触れるくらいに簪に寄り添うレイ。

「あの・・・近くありませんか?」

「そう、女性同士ならこれくらい当り前よ。」

「そうなんですか?」

レイの言葉にそんなものかと簪は信じてしまった、それは女性歴(?)が短いうえに、シャルやクロエそれに姉に常日頃されている所為もあったからだ。

一方「簪ちゃんちょろい。」と思いつつ昔も今も変わらない簪にレイは内心微笑んでいた。

ところでシャルとクロエだが2人とも仕事があり、レイの来訪に気づいていなかったのは簪にとって幸いだった。

「あっそうだ、ブルーアークスの新しい主題歌どうだった?」

現在シーズン2が絶賛放送中のアニメブルーアークスで流されている主題歌の事をレイが聞いて来る。

タイトルは『青き海の天使。」

レイがブルーアークスの主題歌として特別に作ったものだ、アニメ同様世界的なヒットになっている。

もちろん簪の事を歌っているのは当然だった、レイ自身もインタビューなどで明言していた。

まあ姉である楯無はもちろんシャルとクロエもレイのその言葉を聞いて不機嫌になったのは言うまでも無い。

「いい曲だと思いますよ。」

自分の事を歌ったものという事を除けば素晴らしいかったと簪は思って答える。

まあ恥ずかしい方が先に来るのは仕方ないだろう。

「ふふふ・・・頑張って作ったからね、簪ちゃんを思ってね。」

いたずらっぽい笑みを浮かべレイが言うと簪は苦笑するしかなかった。

そうしてレイはちゃっかりと簪とお互いの近況を話したりしながら有意義な時間を過ごしたのだった。

なおシャルとクロエはレイが帰った後その強襲を知り簪が責められたのはここに記するまでもないだろう。

「ところでレイはどうして私が中央海に来た事を知ったのですか?」

「それはね・・・守護天使ファンネットで簪ちゃんの予定を知ったからよ。」

「冗談ですよね・・・」

「ふふふ。」

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