北方海の守護天使   作:h.hokura

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荒野のコトブキ飛行隊とのクロスと言うか、キャラを登場させてみました。
但し飛行機の存在しない世界なので、潜航艇にのってますが。
他にも話に合わせる為、設定を変更しています。
その点をご了承願います。



ー荒海のコトブキ潜航艇隊1ー

1.荒海のコトブキ潜航艇隊

N諸島・沖合い

 

オウニ商会の甲型潜水艇母船兼輸送船である羽衣丸はイリオモテ島の退避港に向かっていた。

その艦橋で・・・

「現在速力15ノット、退避港まであと一時間程で到着予定。」

航海担当のアンナが航法計器盤を確認して報告する。

「機関に問題無し。」

続いて機関担当のシンディが機関計器盤を見ながら報告する。

「ようやく到着ですね襲撃が無くて良かったです。」

操舵担当であるマリアがほっとした声を上げる。

「そう言う事は到着してから言った方が良いわよマリア。」

友人であるアンナが嗜めるように言う。

「やだアンナそんな怖い事・・・」

「レーダーにシーサーペントらしき反応、前方9千、速力10ノットでこちらに向かいつつあり。」

マリアの声を遮る様にセンサー担当のアディの声が操舵室内に響く。

「ほら。」

「ほらってアンナ・・・」

アンナの言葉にマリアは困った表情を浮べてしまう。

「副船長、シーサーペントが本船に向かいつつあり、至急操舵室へ。」

通信担当のベティが羽衣丸副船長のサネアツを呼び出す。

何故船長でなく副船長なのかは後で判る。

「ったく良い予感は当たらないのに悪い予感はどうして当たるのかね・・・」

そうぼやきつつ副船長のサネアツが操舵室へ入ってくる。

「接近中の反応、本当にシーサーペント?間違いない?」

「レーダーの反応は間違いなくシーサーペントです副船長。」

「あっそう・・・」

サネアツのささやかな期待はアディによって吹き飛ばされてしまう。

「副船長、甲型潜水艇隊の出撃許可をお願いします。」

マリアがサネアツに進言して来る。

「しゃあない・・・甲型潜水艇隊の出撃を許可する、あと総員戦闘配置!」

羽衣丸船内に総員戦闘配置のアラームが鳴り響く。

「甲型潜水艇の発進準備急げ!ぐずぐずしている奴にはケツの穴に魚雷ぶち込むぞ!!」

整備班長のナツオが整備班の連中に活を入れる。

「「「「へい班長!!」」」」

整備班員達はそれぞれの担当潜水艇に取り付き発進準備に入る。

「やれやれもう港に到着するって聞いていたんだがな。」

羽衣丸搭載の甲型潜水艇隊、通称コトブキ潜航艇隊の隊長を務めるレオナは潜水艦(艇)用の艦内服を身に纏い自分の潜水艇に向かいながらつぶやく。

「予定通り行かないのが世の常よレオナ。」

その横を通り過ぎながら声を掛けて来るのは副隊長でありレオナ長年の友人でもあるザラだ。

身体にぴったり張り付きラインがまともに出る艦内服が彼女のスタイルの良さを更に強調させている。

男どころか女の目にも毒だなとレオナは内心苦笑しながら言葉を返す。

「まったくその通りだな・・・さて給料分は働かないとな。」

「そうね今日の酒代の為にもね。」

既に開けられた潜水艇の指令塔上のハッチに飛び込むレオナとザラ。

続いて残りのコトブキ潜水艇隊の隊員達が続いてそれぞれの潜水艇に向かう。

「せっかく美味しいパンケーキが焼き上がったというのにシーサーペント許しがたし。」

そう叫んでハッチに飛び込むのはキリエ、その本能はシーサーペントと変わりがないと言われる少女だ。

「まったくタイミングを考えないですね、まあシーサーペントにそんな事を期待するのが間違いですが。」

上品な言葉遣いで毒舌を吐く、没落商会の元お嬢様と言われるエンマが続いて乗り込む。

「この海域でシーサーペントに遭遇する確立60%、これは予想されたもの。」

状況を客観的に話しながら潜水艇に乗り込むのはケイト、豊富な知識と優秀な技能を持つ少女だ。

「ちきしょうキリエに遅れるなんて、一生の不覚、こらまて。」

潜水艇隊最年少のチカが毒づきながら自分の潜水艇に向かう、本人は真っ向から否定するが、キリエにそっくりだと皆に認識されている少女だ。

「水素系及び酸素系供給システム・・・問題無し。」

既に乗り込んでいたレオナは両手をキーボードに乗せ発進前点検を開始していた。

「機関系・・・良し、航法システム・・・良し、センサー系・・・良し、環境システム・・・良し。」

各システムの計器表示や警告灯を確認して問題無い事を確認して行くレオナ。

「艇内システム全て問題無し、燃料電池作動開始。」

水素と酸素が供給され燃料電池が電力を生み出し始めるのを電圧計の値から確認するレオナ。

「電圧問題無し、ハッチ閉鎖を確認。」

規定の電圧に達した事を電圧計で確認し、レオナは頭上のハッチが確実に閉鎖されている事を確かめる。

「こちらレオナ、発進準備良し。」

『こちらもOKよ。』

『何時でも行けますわ。』

『出撃問題なし。』

『早く発進させて。』

『ならキリエより早くだせ!」

全員の発進準備完了を確認し、レオナが羽衣丸の艦橋に報告する。

「コトブキ潜航艇隊、全艇発進準備良し。」

 

「副船長、コトブキ潜航艇隊発進準備完了です。」

ベティがレオナからの報告を受けてサネアツに伝えて来る。

「良し!発進してちょうだい。」

「コトブキ潜航艇隊発進開始。」

羽衣丸の艦尾扉が開かれ、潜航艇格納庫の発進用レールに並べられた甲型潜水艇が現れる。

「ロック解除!さっさと行ってこい。」

ナツオの叫び声と共に、レオナの乗った潜航艇から順に海上に下ろされて行く。

海上に下ろされた潜航艇は直ぐに注水、海中に潜航して行く。

潜航したレオナ達は深度を取り、羽衣丸の艦底を艦尾から艦首に抜け前方に出る。

潜航艇隊の先頭を行くレオナは深度を上げ、指令塔を海面上に上げると、通信器を作動させる。

「こちらコトブキ潜航艇隊レオナ、羽衣丸へ状況を知らせてくれ。」

レオナは羽衣丸に無線電話で状況を尋ねる。

『接近中の目標は3匹のシーサーペントと確認、なお派遣艦隊には連絡済み、こちらに救援を寄こすとの事です。』

アディがレオナの問い合わせに応答してくる。

「了解・・・まあ救援が来るまでには終わらせるがな。」

『はい、それでは御武運を。』

羽衣丸との無線電話を終えレオナは全員に伝える。

「シーサーペントは3匹だ、各艇魚雷発射装置の安全装置解除。」

状況を説明し隊員達に安全装置を外すよう指示するレオナ。

『『『『『了解。』』』』』

全員からの返答が返って来る。

6隻のコトブキ潜航艇隊はレオナの潜航艇を先頭に速力を上げシーサーペントに向かう。

「まず私とザラが先制する、キリエ、エンマ、ケイト、チカ、皆はその後に一撃を、あまり近付きすぎない様に、では行くぞ。」

レオナとザラの潜航艇はそのままシーサーペントに直進、キリエ達4人はコースを変え攻撃に備える。

「距離600、目標情報入力確認・・・発射!」

右手のキボードを叩き発射をレオナが指示すると、潜航艇の下部に取り付けられていた魚雷が放たれる。

『こっちも発射・・・良し。』

続いてザラの乗った潜航艇も魚雷を発射する、それを確認したレオナは潜航艇の進路を変え離脱する。

レオナが離脱したのを見てザラも反対方向に自分の潜航艇を離脱させる。

次の瞬間、激しい振動が水中を通して潜航艇を揺らす。

発射された2本の魚雷は見事命中し海面上でシーサーペントはのたうちまわる。

それを見て残り2匹のシーサーペントは逃れ様と進路を変えるが、キリエ達がそれを見逃すわけも無く、2隻づつに別れ発射位置に付く。

「美味しいパンケーキを食い損なった恨み晴らさないでおくものか!」

かなり私的な怒りをぶつける様に魚雷を発射するキリエに呆れた様にエンマが言う。

「キリエ貴女ね・・・目標を確認、発射。」

キリエに続いてエンマの潜航艇からも魚雷が放たれる。

「目標データに問題なし・・・発射。」

淡々と呟やき発射装置を操作するケイト。

「そら行け!」

対して闘志むき出しで、まあキリエと張り合ってだが、魚雷を発射するチカ。

発射された魚雷は2本づつ各々のシーサーペントに向かって行く。

そのシーサーペント達は攻撃に気付き回避を図るが、魚雷は確実に距離を詰めて命中する。

先程と同じ激しい振動が水中を通して伝わって来る。

「羽衣丸へ効果を確認してくれ。」

再び指令塔を海面上に上げレオナが無線電話で羽衣丸へ連絡する。

『全てのシーサーペントの撃破を確認しました・・・お見事でしたレオナ隊長。』

アディから返信が入りレオナはほっと息を付く。

「ありがとう、それじゃ収容を・・・」

『レオナ隊長、こちらへ接近中の物体を確認、待機願います。』

「!?」

潜航艇隊の収容を依頼しようとしたレオナを遮ってアディの緊迫した通報が入る。

 

「接近中の物体は推進音から・・・シーサーペントではありません、これは潜水艦だと思われます。」

複合ディスプレイから顔を上げたアディが報告する。

「せ、潜水艦!?それって・・・」

サネアツが焦った声を上げる。

「右舷前方に接近中、深度を上げてます、浮上する模様です。」

慌てたサネアツが艦橋右舷側の窓に張り付くと、海面が急速に盛り上がり青い艦体が現れる。

「あれは・・・」

突然現れた巨大な潜水艦に艦橋に居る者は絶句して見つめるだけだった。

「そうりゅう・・・北方海、いえ全世界で最強の潜水艦よ。」

突然聞こえて来た声にサネアツ達が振り向くと・・・

「マダム・ルゥルゥ・・・」

オウニ商会の女会長、マダム・ルゥルゥがそこに立って居た、何時もの様に赤いドレスの上にマントのように紺色のジャケットを羽織った姿で。

「そして常時では無いけどあの北方海の守護天使様の乗艦している艦よ。」

「北方海の・・・守護天使・・・」

青いカラーの巨大な艦体の艦首を羽衣丸に向けて佇むそうりゅうを見つめサネアツは呟く。

「確かセキュリテイーブルー所属の潜水艦ですよね。」

アンナが呟く。

「セキュリテイーブルー・・・最近組織された北方海のギルド達が結成した艦隊。」

マリアが思い出した様に後を続けて言う。

「ええ、あのブリュンヒルデが作り上げた・・・彼女のカリスマと名声があればこそでしょうね、もっともそれだけでは無いんだけど。」

マダム・ルゥルゥは肩を竦め続ける。

「ブリュンヒルデの友人にして稀代の天才技師である篠ノ之 束、そして更識商会長の更識 楯無、この2人が居ればこそよね、特に更識会長、彼女が居なければ相反する利害を持つ各ギルドを纏め上げるのは不可能だったでしょうね。」

「マダム・ルゥルゥはその更識会長と会った事があるんですか?」

シンディが複雑な表情を浮べるマダム・ルゥルゥに質問して来る。

「何度か商会のギルドでね、まあ深く話したのはセキュリテイーブルー結成の協力を依頼された時だけどね。」

マダム・ルゥルゥは愛用の長煙管を取り出す、すると何も言われないのにサネアツがライターを取り出し火を付ける。

「歳はそう貴女達とそう変わらないのだけど、狸や狐が溢れる業界で生き残ってきたかなりのやり手よ、正直言って私もこれほど油断ならない相手は初めてだと思ったわ。」

「・・・・・」

アンナ達が顔を見合わせる、自分達の知るマダム・ルゥルゥは商売では完璧を誇る辣腕会長だ。

そんな彼女に油断ならない相手と思わせた、しかも同じ年頃だと言うのだから驚きは隠せない。

「ブリュンヒルデの名声、天才技師篠ノ之 束の存在、それらを武器に抵抗する連中を黙らせた、そして各ギルドの権益や権限を見事に調整してみせたわ。」

セキュリテイーブルー創設の裏側での更識会長の手腕に皆声が無かった。

「こんな相手なら敵対するより協力した方が良いと思って私も参加したのだけどね。」

長煙管を吸いながらマダム・ルゥルゥは艦橋内を見渡して言う。

「まあ今の話は忘れてちょうだい・・・その方が皆の為よ。」

意味深な笑みを浮かべ言うマダム・ルゥルゥにサネアツ以下艦橋要員の者は背筋を振るわせる。

「ああそうだわもう一つ言っておくと・・・守護天使様は更識会長の妹さんよ。」

その言葉に艦橋要員の皆は驚きの表情を浮かべ互いを見る。

「そうなんですか・・・すると守護天使も?」

姉の会長みたいな人物なのかと皆思ってしまったのだが。

「それが、あの会長の妹とは思えない素直で良い娘よ、まあ艦長としての能力はとても優秀だけどね。」

マダム・ルゥルゥは皆の反応に苦笑しながら答えるのだった。

一方レオナ達コトブキ潜航艇隊のメンバーも艇を浮上させそうりゅうの姿を見ていた。

『でっかいわね、あれがそうりゅうでしょ。』

ザラがレオナに話し掛けて来る。

「ああ、最大速力や水中での機動ではこちらが勝るが、甲型に劣らない高速力を持続出来るうえ武装も強力だ、その点じゃ敵わないな。」

レオナはディスプレイに写しだされるそうりゅうを見ながら言う。

『え~あんなデカブツ取り囲んで魚雷を打ち込んでやれば一撃じゃん。』

キリエがさも当然の様に言う。

「そんな状況にさせて貰えたらの話だ。」

溜息を付きながらレオナが答える。

『へっ?』

『確実に私達が発進する前に羽衣丸ごと沈められるでしょうね。』

キリエの驚いた声にザラが続けて言う。

『そうりゅうの索敵能力は羽衣丸の、いや既存の水上艦艇を越えていると言われている、98パーセントの確率で、こちらが捕捉する前に向こうに捕捉され攻撃される。』

ケイトが淡々と自分の推測を言う。

『それって本当ですの?』

信じられないと言う風にエンマが呟く。

「流石はあの天才技師である篠ノ之 束の作った艦という訳だ、それに皆も知っているだろう、そうりゅうを指揮しているのは北方海の守護天使だ、まあ常にと言う訳じゃないらしいが。」

『北方海の・・・』

『・・・守護天使。』

キリエとチカが呆然と呟く。

『シーサーペント撃破率98パーセント、船団護衛の成功率常時96パーセント、これだけの記録を持つ者は北方海いや中央海や南方海にも存在しない、それが北方海の守護天使。』

淡々と守護天使について話すケイト。

「同じ潜水艦乗りとしては悔しいが強敵と認めざるをえないな。」

レオナ率いるコトブキ潜航艇隊だって撃破率や護衛成功率で負けていないが、守護天使はそれを単艦でしかも困難な状況下で達成している。

「一度会ってみたいものだな・・・その守護天使に。」

そうりゅうが映し出されたディスプレイを見つめながらレオナは呟くのだった。

まあその願いはこの後叶うのだが、レオナがこの時点で知る訳も無かった。

 

「副船長、そうりゅうより通信、羽衣丸の状況を尋ねてきています。」

サネアツがマダム・ルゥルゥを見ると、彼女は頷いて見せる。

ちなみにマダム・ルゥルゥは商会の会長だが船長では無い、ではだれが船長なのか。

「ガーガー」

船長帽を被ったドードー鳥が廊下を堂々と歩いていた、そうこの鳥こそ羽衣丸の船長だった。

「当船に被害無し、潜航艇収容後に港に向かう、そう伝えてちょうだい。」

「了解です。」

アディが答え、そうりゅうに通信を返す。

「そうりゅうより『では港でお待ちしております、お気を付けていらっしゃってください。』との事です。」

先程聞いたマダム・ルゥルゥの言った通りの守護天使らしい言葉に、皆微笑んでしまう。

そうりゅうは進行方向を変え、急速に潜航して海中に消えて行く。

「そうりゅう離れて行きます・・・凄い速力ですね、甲型潜水艇に劣らない。」

アディが感心した様に報告して来る。

「潜航艇の収容を急いでちょうだい、後警戒も忘れずにね。」

「「「はい副船長。」」」

サネアツの指示にアディ達が返答すると、羽衣丸は潜航艇の収容を開始する。

潜航艇の収容を終えた羽衣丸は、イリオモテ島の退避港に到着する。

港内に停泊している艦船は数少なく、艦隊旗艦の名無し猫と警備用だろうタイプ11の魚雷艇、そして先に到着していたそうりゅうだけだった。

退避港に入港して来た羽衣丸にまず魚雷艇が接近して来る。

2基の機関砲と魚雷を搭載した魚雷艇は羽衣丸の周りを一周すると前方に出て誘導を開始する、水先案内人と言う訳らしい。

「副船長、7号ブイに停船せよとの事です。」

魚雷艇と通信していたアディがサネアツに報告して来る。

「了解っと、マリアちゃんよろしくね。」

「はい。」

少々軽いサネアツの言い方を気にせずマリアは羽衣丸を操舵する。

「機関四分の一へ。」

「OK、機関四分の一へ。」

マリアの指示にシンディが答え、出力指示レバーを操作し、羽衣丸の機関出力を下げて行く。

この辺は互いに慣れているだけに、連携はスムーズで、サネアツは細かい指示を出さずにすむ。

羽衣丸は速度を落としつつ、7号ブイに接近して行く、それを船外モニターで見ながらマリアは慎重に操舵する。

「機関逆転。」

シンディがマリアの声に出力指示レバーを操作しする。

「位置良し、機関停止。」

「機関停止します。」

羽衣丸が7号ブイ傍に停船する。

「錨を降ろしてちょうだい、あと名無し猫に連絡を。」

「了解です副船長。」

錨を降ろし羽衣丸は定位置に停船した事を名無し猫に伝える。

「・・・それじゃ行ってくるわ、名無し猫に挨拶にね、後はお願いね。」

マダム・ルゥルゥはそう言うと艦橋を出て行こうとするが。

「ああそう、乗員の皆に交代で上陸許可を出してちょうだい・・・まあ何も無い所だけど。」

振り向きサネアツにそう指示するマダム・ルゥルゥ。

「了解ですマダム・ルゥルゥ。」

姿勢を正すとサネアツは答える。

「それじゃ・・・」

頷くとマダム・ルゥルゥは艦橋を出て行く。

「マダム・ルゥルゥの連絡艇の用意を・・・あと上陸許可を、各科事でお願いね。」

「はい副船長。」

サネアツの指示にベティが答える。

「でもここじゃ鞄なんて無いわよね・・・」

アンナが溜息を付きながら呟く。

「はは・・・そうだね良い靴なんて有るのかな?」

残念そうにマリアが答える、何しろ北の果ての果てな所だ、そんなもの期待は出来ないと二人は思った。

「相変わらずね二人は・・・私は地に足を着けられるだけでも嬉しいけどね。」

ベティが苦笑しつつ言う。

「そうね生きているって実感が沸くわ。」

シンディもそう言って微笑む。

「まあ何も無いのは確かでしょうけど、せっかくだから楽しまないとね。」

各部への通達を終えたベティが話に加わって来る。

これからの事で盛り上がる女性陣。

「マダム・ルゥルゥと・・・いや無理だろうな。」

そんな女性陣を横目で見ながらサネアツはかないそうもない希望を思って深い溜息を付くのだった。




作品中では触れてませんが、甲型潜航艇のモデルは、日本海軍の特殊潜航艇の『海龍』です。
まあ世界観に合わせているので、全然別物ですが。

それでは
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