北方海の守護天使   作:h.hokura

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ー合法ロリ艦長セレスの救助作戦ー

「まだ戻っていないって・・・どこへ行ったて言うんだ。」

「話じゃあそこからしいがはっきり分からん。」

「だがあそこだとしたら早くしないと・・・」

その日北方海のイアス島で島民達が深刻な様子で顔を突き合わせながら話していた。

実は子供2人の姿が日が落ちる頃になっても行方が分からなくなってしまったのだ。

「自警団の方は?」

「今捜索してくれているが・・・」

話をしている島民達の下に自警団員が駆けつけてくる。

「港にあったボートが無くなっている、周りの連中に聞いたが誰が持ち出したか分からんらしい。」

「まさかそのボートで?」

島民達は最悪な状況に全員が押し黙る。

「三雲商会に捜索を依頼するしかないな、間に合えばいいんだが。」

暫くしてイアス島の三雲商会に居たセレスの元に島民達が救助を依頼する為訪れてきた。

「それじゃ子供達は海底洞窟の奥に取り残されたかもしれないと?」

「島から3時間程行った岩礁の海底洞窟に子供達は行ったみたいで。」

「不味い事にその岩礁にある洞窟への出入り口は潮の流れの関係で日が暮れる頃には水没してしまう。」

「しかも付近にシーサーペントが目撃されていて我々では・・・」

島民からの事情を聴き事態は急を要する事になるとセレスは判断する。

「そうであれば我々の仕事ですね、分かりましたお引き受けします、詳しい座標をお願いします。」

「お願いしますセレスちゃん。」

「その呼び方は止めて!」

島民達から岩礁の座標を聞くと、セレスは待機中だった乗員達に指示を出す。

「直ちにシルフィードへ向かい出港準備を開始します。」

指示を受けた乗員達は専用桟橋に係留中のシルフィードにセレスと共に向かい出港の準備を開始する。

20分後出港準備完了を受けセレスはシルフィードを出港させる。

「目標の座標へ進路を取ってください。」

2時間後シルフィードは子供達が探検と称して入り込んだ洞窟がある岩礁に接近していた。

「機関停止、探照灯用意。」

「機関停止します。」

「探照灯用意します。」

セレスの指示でシルフィードは岩礁の傍に停止すると探照灯が点灯し岩礁に向けられる。

左舷見張り所に出ると持ってきた双眼鏡を岩礁に向けたセレスは岩礁の近くで漂うボートを発見する。

「まだ洞窟内に居るみたいね。」

左舷見張り所から照らされたボート周辺を見たセレスが溜息を付きながら言う。

セレスにすれば岩礁の上か洋上に居てくれる事を願っていたのだがそうは行かなかった様だ。

「それでは救助を開始しましょう、準備をお願いね。」

「はい艦長。」

20分後準備完了の報告が艦橋に伝えられるとセレスは専用の艦長席(チャイルドシート?)から立ち上がる。

「皆、警戒をお願ね、もしシーサーペントが現れた場合艦の安全を優先して。」

「はい艦長・・・どうかお気をつけて。」

心配そうに返事を返す乗員達にセレスは大丈夫ですからと微笑むと艦橋を出ると甲板に向かう。

甲板では乗員達がボートと潜水用具を用意して待っていた。

「行きましょう。」

「「「はい艦長。」」」

小型クレーンでボートが海上に降ろされる、セレスと支援の乗員達は既に乗り込み済みだ。

海上に降ろされたボートはクレーンから外されると岩礁に向かって行く。

数分後セレス達は岩礁に上陸すると海水で満たされている洞窟の入り口を覗き込む。

この洞窟は住民の言によればU字型の洞窟らしく海水で満たされなければ一旦下方に降り暫し水平に歩いて再び登れば奥に到達するらしい。

子供達が居るとすればその洞窟奥だろう、そしてそこが海水で満たされるまで後1時間も無い。

「急ぎましょう。」

「はい艦長。」

セレスとペアを務める乗員はジャケットを脱ぎ海中作業のボディースーツタイプのつなぎ姿になると小型酸素ボンベ付のヘルメットを装着する。

そしてボートから降ろされた救助装備を手渡されたセレスと乗員は互いの装備を確認し海水に満たされた洞窟に入り潜水を開始する。

海中と違い洞窟の中は暗く水中ライトで視界を確保しながらセレスと乗員は潜って行く。

やがて底に付くと水平のトンネルを進み、セレスと乗員は上方へ向かうトンネルがある場所に着く、2人は顔を見合わせて頷きあうと上方へ向かって行く。

「わーんお母さん・・・」

「泣くなって、うう・・・」

2人の子供達は迫って来る水面に怯え泣きながらも洞窟の上方に逃げていたが最早それも限界に近づいていた。

今自分達の居る場所まで海水が満たされたらどうなるかは子供達でも分かっているだけに恐怖と後悔に押しつぶされそうになっていた。

彼らもこの洞窟の事は知っており海水が入って来る前に出る積もりだったのだが、珍しい石を見付け夢中で収集していて時間を忘れてしまったのだ。

ただ泣きじゃくるしかなかった子供達は突然目の前の海面が割れ何かが出て来た瞬間抱き合うと大きな悲鳴を上げる。

「・・・もう大丈夫ですよ。」

「「えっ?」」

だがそんな子供達は掛けられた優しい声に視線を戻しそこにヘルメットのバイザーを上げた2人に気付く。

「「うわぁぁんセレスちゃん!!」」

「よく頑張りましたね、さあ帰りましょう。」

その声に一瞬茫然とした子供達は次の瞬間泣きながら抱きついて来る、それを受け止めながらセレスが言う、ちゃん付けに表情を引きつらせながら。

「で、でも僕達お姉ちゃん達みたいに潜れないけど・・・」

まだ幼い彼らにスキューバダイビングの経験どころか知識も無いのは仕方ない話だ。

実は救助の際に一番問題なると思われたのはこの事だったのだが、もちろんその辺は考慮済みのセレス達だった。

「心配しなくても良いから、2人はこれを使って貰うから。」

そう言ってセレスが子供達に見せたのは救命ボールと呼ばれる水中用球体型避難カプセルだった。

高い防水性能と防寒性能を持ち空気は内蔵された小型ボンベから供給される。

通常は潜水艇の事故時に脱出用に使われているものを使ってセレス達は子供達を救助しようと考えたのだった。

これなら子供達でもパニックにならずに海中を移動できるからだ。

ちなみにこれは転生前の簪の世界で結局使われる事の無かったNASAのパーソナル・レスキュー・エンクロージャーとそっくりだった。

但しこの世界ではNASAなど無いので純粋にスキューバダイビングが出来ない者が海中から脱出する為のものとして開発された。

「分かったよお姉ちゃん。」

子供達も安心した様子でどうやら問題無いとセレスはほっとした表情を浮かべる。

セレスと乗員は子供達を救命ボールに居れて空気の供給を確認すると海中に潜って行く。

底に着いたセレスと乗員は救命ボールを持ちながら慎重に進み、上に向かう場所に到着するゆっくり浮き上がって行く。

洞窟入り口の海面に浮き上がったセレスと乗員は待ち構えていた乗員達に救命ボールを引き上げてもらうと自分達も続く。

上陸後救命ボールから出され喜び合う子供達を見て微笑むセレス。

「艦長!シルフィードから連絡です、シーサーペントが1匹こちらに接近中です。」

その言葉にセレスは緊張した面持ちで指示を出す。

「戦闘準備に入る様シルフィードに連絡を、皆戻りましょう。」

乗員達はセレスの指示を受けると装備を纏め子供達を連れセレスと共にボートに向かう。

「艦長!」

乗員の1人がシルフィードが停泊している方を指さす。

シルフィードの後方からシーサーペントが急速に接近して来るのがセレスの視界に入る。

「直ぐ迎撃に入って!」

乗員がセレスの指示を伝えるとシルフィードが動き出そうとするが、シーサーペントは思ったより急速に接近しており間に合うか微妙な状態だった。

艦に居ない為どうしようもないセレスは絶望に陥るが、次の瞬間シーサーペントの周りに水柱が上がり驚く。

「艦長、シルフィードから連絡です、潜水艦が突如浮上・・・そうりゅうだそうです!」

「そうりゅう!?守護天使様が来てくれたの!」

どうやらそうりゅうがシルフィードとシーサーペントの間に浮上し艦載砲で攻撃したとセレスは報告を受ける。

攻撃を受けたシーサーペントは進路を変え、そうりゅうは後を追って共に岩礁から離れて行く。

「急いで艦に戻ります。」

指示を受け乗員達はボートに乗り込むとセレスと共にシルフィードに帰還する。

「そうりゅうとシーサーペントの状況は?」

艦橋に戻ったセレスがセンサー担当に問い掛ける。

「そうりゅうは依然追撃中の模様・・・あっシーサーペントの反応が消失、撃破した模様です。」

「流石は守護天使様。」

感激して飛び跳ね始めたセレスを微笑ましそうに見る乗員達だった。

『艦長、そうりゅうの更識艦長から通信です。』

「直ぐに繋いで。」

そうりゅうがシーサーペントを撃破してから20分後連絡が入ってくる。

『リンドバーク艦長、お久しぶりです。』

「はいお久しぶりですね守護天使様、それにしてもなぜこちらへ?」

「はいそれは・・・」

簪はイアス島の沖合でシーサーペントの襲撃を受けた貨客船の救助を依頼され近くまで来ていた。

そして攻撃を受け逃げ出したシーサーペントがシルフィードが居るこの岩礁に向かっている事に気づき追ってきたのだった。

セレスが岩礁で子供達の救助を行っている事を恵理香はギルドの情報ネットワークから知っていたからだ。

『間に合って良かったです。』

「はいありがとうございます守護天使様。」

「ははは・・・守護天使様は止めて貰えると嬉しいのですが。』

セレスがまったく聞いていないのはまあお約束だった。

その後簪とセレスはまたの再会を約束しそれぞれの母港に帰還した。

港に到着したシルフィードから降りて来たセレスは連絡を受け待ち構えていた親達や島民達に迎えられる。

そしてセレスと共に降りて来た子供達は親達に抱きしめられ再び泣き出していた。

それを見ていた島民達がセレスを取り囲み賞賛してくる。

「流石だセレスちゃん!」

「今日も大活躍ね、またケーキを差し入れするわ、ショートケーキが良いいいかしら?。」

「おお今日もその姿は尊い、皆崇めるのだ!」

「「「「「うぉぉぉ!!!」」」」」

やがて子供達とその親達もその輪に加わりセレスを称え始める。

「ありがとう、あの子達が助かったのはセレスちゃんのお陰だ。」

「本当にありがとうセレスちゃん。」

「ありがとうセレスちゃん。」

「だからその呼び方は止めてよぉ!」

イアス島におけるセレスの名声は更に高まるのだった・・・セレスちゃん呼びで。

「だからその呼び方は止めって言ってるでしょう!!」

そんな切実な叫びも微笑ましいと皆に見られしまうセレスだった。

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