北方海の守護天使   作:h.hokura

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No.04ー繁殖地攻撃作戦2ー

「艦長、予定海域に入ります。」

出港してから6時間後、通常の航路を外れて前進していたまほろばは危険な海域に侵入しつつあった。

「総員戦闘配置、見張り及び電探は監視を強化して下さい。」

「総員戦闘配置繰り返す総員戦闘配置。」

「見張り及び電探は監視を強化。」

艦内にベルが鳴り響き、乗員達が皆配置についてゆく。

見張り員は露天艦橋の大型双眼鏡に取り付き、電探員はヘッドセットを付け表示装置を見つめる。

「第一から第三砲塔、自動装填装置作動開始。」

「第一魚雷発射管に通常魚雷、第二魚雷発射管に特殊魚雷装填。」

砲塔の自動装填装置が砲弾を装填し、魚雷発射管にも魚雷が自動的に装填されてゆく。

「全艦戦闘配置完了しました艦長。」

相川副長の報告に私は頷く。

「さあいきましょうか。」

 

前進を続けるまほろば、何か出てくるならそろそろと私が思っていると・・・

『艦長電探室です。進路前方より本艦に接近してくる目標を確認、数は2。』

やがてこちらの視界に入ってくる。

「シーサーペントです艦長。2匹とも中型です。」

大型双眼鏡で監視していた見張り員が報告してくる。

「第一砲塔射撃用意。」

『第一砲塔射撃用意、目標情報を射撃管制装置に入力。』

艦首の第一砲塔が射撃管制装置により旋回、二門の砲が角度を取り始める。

『目標捕捉確認、射撃準備よし。」

私は艦長席から立ち上がり双眼鏡で、こちらに突進してくるシーサーペントを見つめる。

まだ打たない、出来るだけ引き付け確実に命中させなければこちらがやられてしまう。

「射撃開始。」

『射撃開始。』

十分引き付けて射撃を開始、艦首の第一砲塔が火を噴く。

突進してきたシーサーペント2匹の頭部を砲弾が吹き飛ばす。

「取り舵30。」

「取り舵30。」

まほろばは進路を変更、撃破されどす黒い体液まみれの2匹を避けて前進を続ける。

「電探室より艦長、左舷後方より新たな目標が2、更にその後ろに3、急速に接近中。」

進むにつれシーサーペント達がわらわらとまほろばに集まってくる。

「後部第二及び第三砲塔射撃用意、撃破する必要はありません、接近を阻んで下さい。」

『第二及び第三砲塔射撃用意、目標情報を射撃管制装置に入力。』

艦尾にある第二と第三砲塔が後方から接近する目標に照準を合わせる。

『目標捕捉確認、射撃準備よし。』

「射撃開始。」

『射撃開始。』

第二と第三砲塔が射撃を開始、轟音が艦橋のガラスを激しく振動させる。

『見張りより艦長、後方の目標2に至近弾、その後ろの目標1に命中を確認。』

「取り舵戻して下さい、これで少し離れてくれるといいのですが。」

私は見張りからの報告を聞きながら命じる。

「取り舵戻せ。」

進路を戻しまほろばは更に進んで行く。

『後方の目標、3匹は脱落、1匹は不明、残り1匹尚も付いてきます。』

見張りからの報告が入る。どうやら1匹振り切れないようだった。

「左舷に並びます!」

左舷露天艦橋の見張り員が叫ぶ。

「左舷機関砲射撃開始。」

『左舷機関砲射撃開始。』

まほろばの左舷側に設置された機関砲がシーサーペントに向けられ射撃を開始する。

命中弾に身をよじるシーサーペントに更に追い討ちを掛ける機関砲、しかし離れ様としない。

「目標離れません、こいつ執念深い。」

思わず見張り員の少女がそんな愚痴を零すが、誰も突っ込まない。皆同じ気持ちだから。

「構いません、接近だけさせないで下さい。」

一匹だけに構っている暇は無い、接近させなければ十分だと私は判断する。

『艦長、電探室です、前方に目標の岩礁を確認しました。』

「艦長、左舷のシーサーペント命中弾多数を受け離れた行きます。」

どうやら目的地の手前までこれた様だ、邪魔者も居なくなった、あとは攻撃するのみ。

「取り舵一杯。」

「取り舵一杯。」

まほろば舵を左舷に切り、艦体右舷側を岩礁に向ける。

「舵を戻して下さい、右舷魚雷戦用意。」

「舵を戻します。」

『右舷魚雷戦用意。』

乗員達の復唱が艦内に響く。

まほろばは右舷側に特殊魚雷装填済みの第二魚雷発射管を旋回させる。

『第二魚雷発射管、目標左舷岩礁に照準よし!距離及び発射角に問題なし。』

「艦長、岩礁手前にシーサーペント5匹が立ち塞がっています。」

岩礁を守るため盾になるつもりの様だった、彼らも必死なのだろうがそれはこちらもだ。

「第一魚雷発射管をシーサーペントに向け発射!蹴散らして。」

『第一魚雷発射管発射します。」

魚雷4本が第一魚雷発射管から放たれ、着水すると海面下を疾走してゆく。

「魚雷到達、今。」

ストップウオッチを見つめていた水雷長を務める少女が叫ぶ。

その声と同時に岩礁手前にいるシーサーペント5匹に命中する魚雷、激しい音と水柱が上がる。

「岩礁への魚雷進路クリア。」

見張り員の言葉に私は第二魚雷発射管の発射を命じる。

「第二魚雷発射管発射して下さい。」

『第二魚雷発射管発射!』

特殊魚雷、通常魚雷と違い赤く塗装された、が発射管から発射される。

「取り舵一杯!両舷前進全速。」

魚雷を発射したまほろばを離脱させる、ここからは時間との勝負になる。

「魚雷命中まで30秒!」

水雷長がストップウオッチを見ながら報告する。

「あと20秒!」

「20秒前、総員衝撃備えて下さい。」

水雷長のカウントを聞きながら私は艦内放送で乗員達に叫ぶ。

艦橋の乗員達は機器などに掴まり、私も艦長席の肘掛を両手で握り締める。

「あと10秒・・・5秒、3・2・1、命中今!」

その瞬間先程の魚雷命中時とは比べものにならない音と艦が転覆してしまうかと思うほどの衝撃が襲い掛かってくる。

「「「きゃあ!!!」」」

艦橋の乗員達が悲鳴を上げる、いや他の乗員達も艦内各所で同じ様に上げているだろう。

私は悲鳴こそ上げなかったが、掛けていた眼鏡が吹き飛ばされてしまった。

やがてまほろばを襲っていた激しい上下左右の振動が収まってゆく。

「艦に損害が無いか確認を急いで下さい、目標はどうなりましたか。」

私は素早く艦内放送で指示すると、結果を確認しようとする。

「も、目標・・・・消滅、跡形もありません。ついでにシーサーペントも同じです。」

驚いているとゆうより呆れたという感じで報告してくる見張り員。

私は立ち上ると露天艦橋に出て、岩礁の方を見る。

攻撃前に岩礁のあった所には今や何も無かった。

大きさはまほろばの倍はあった筈だ、そしてその周りに蠢いていたシーサーペントは20匹は居たのだけど・・・・

どす黒い体液で汚れた海面上にはバラバラになった身体が浮いているだけだった。

「めちゃくちゃですね・・・相変わらず。」

傍らに来た相川副長が私に眼鏡を渡してくれながら言う。

「同感ですね、私達あんな物載せていたんですね。」

眼鏡を受け取りながら私は答える。今更ながらとんでもない物を扱っていた事に冷や汗をかく。

「艦長、艦に被害は・・・」

『わはは・・・この地獄の錬金術士の力を見たか愚民ども。』

報告しようとした乗員の声に重なるようにスピーカから艦内に声が響き渡る。

これって束さんの声?

『ちょ、束さん勝手に艦内放送始めないで下さい。』

どうやら束さんの様だ、どうやら勝手に艦内放送を始めてしまったらしく乗員の娘が止めようとしている。

「・・・束さん確か第二魚雷発射管の管制室に居た筈よね。」

例の魚雷の最終調整を行う為クロエさんと共に管制室行ってもらったのだけど。

「その筈ですが・・・何ですか地獄の錬金術士って?」

相川副長は呆れた表情で答える、まあ確かにあれは私もどうかと思うけど。

「自分の今の姿は仮初で、本当の姿はこの世界を滅ぼす為に異界から来た・・・らしいわ。」

時々束さんは自分の発明品の結果を見て興奮するとこんな事を言い出す。

・・・・何となく冗談に聞こえないのが恐ろしい。

「はあ、それで地獄の錬金術士ですか?」

相川副長はどう反応して良いのか分から様だった、まあ気持ちは分かる。

その後も束さんは地獄の業火に焼かれるのだとか、この邪眼が光って唸るとか続けている。

「よろしいのですかこのままにして?」

相川副長が聞いてくるが、私は肩を竦めて答える。

「まあ放置しておいても構わないでしょう・・・どうせ直ぐに静かになるでしょうし。」

「・・・・?」

私の答えに相川副長は不思議そうな表情を浮かべるが、直ぐに私の言った意味を理解する事になる。

『さあ愚民どもよ、私の声を・・・』

『束様。』

何時までも続くか分からなかった束さんの口上は冷たい声に突然遮られる。

これはクロエさんの声なのは私には直ぐに分かった・・・これから起こる事も当然に。

『あの様な発言はお止め下さる様散々申しあげた筈です・・・どうやら分かって頂けない様ですね。』

『えっとクーちゃん、その手に持っている物って何かな?いくら束さんでもそんな物使われたら・・・』

『問答無用です束様。』

次の瞬間凄まじい打撃音と女性としてはどうかと思う悲鳴が艦内放送で流れた。

「・・・・成る程よく分かりました艦長。」

十分理解出来ましたという表情を浮かべ相川副長は頷く。

「皆も気にしなくても構わないです、これで当分静かになるでしょうから。」

周りの乗員達も相川副長同様に理解しましたという表情を浮かべ頷く。

まあ自業自得だし、こうなったクロエさんに逆らわない方が身の為だから。

「それでは帰港しましょう、皆さんお疲れでした。」

「「「「はい艦長。」」」」

私の言葉に相川副長と乗員達は返事をするとそれぞれの部署に戻って行く。

・・・最早誰も、もちろん私もだが束さんの事を気にしていなかった。

 

ちなみに束さんは港に着くまでまったく意識を取り戻さなかった。

ほんとクロエさんは束さんに情け容赦無い事を理解させられた私達だった。

 

1645、繁殖地殲滅作戦終了。

 




戦闘シーンには結構手間取りました。
他の方は凄いですね、私はああはいきません。
何かこつでもあるんでしょうか?

次回は、シャルロットを登場させるつもりです。

それでは。
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