北方海の守護天使   作:h.hokura

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前回シャルロット・デュノアを登場させますと書いて、実は今回からだった事に
投稿してから気付いてしまいました、大変失礼しました。
ガールズラブも今回からでした。
ガールズラブですよね?まあ、男といちゃいちゃしているより女の子同士の方が
書いてて楽しいですが。
特にTS化した主人公とのからみは・・・


No.06ー巨大シーサーペントとシャル2ー

浮上し司令塔に出た私は持ってきた双眼鏡で施設を改めて見る。

焼失した建物は2棟あるが他の棟は無事の様だった、桟橋には小型の調査船がある。

「艦長!」

同じく施設を見ていた相川副長が私を呼びながら前方を指している。

何時の間にか建物前に防寒着に身を包んだ2人が立って手を振っている。

「ボートを下ろして下さい。」

「了解しました、ボートを下ろせ。」

相川副長が命令を伝えると、甲板に出てきた乗員達がボートを準備する。

やがて準備の出来たボートが桟橋に向かうのを見ながら安堵の溜息を付く私。

生存者が居てくれたの幸いだった、さてシャルロット・デュノアは無事だと良いけど。

 

10分後、生存者の一人を乗せボートが戻ってくるの見て、私は司令塔を降り甲板に向かう。

乗員の手を借りて甲板に上がって来た私と同じ位の少女を見て、最早驚く気にも成れなかった。

「デュノア商会のシャルロット・デュノアです。今回の救助感謝します。」

私の前に立つのはアニメ同様に金髪の髪を首の後ろで束ねた、中性的な顔立ちの美少女だった。

名前を聞いた時から予想はしていたのだけど・・・実際に会うと感慨深い。

「更識商会所属の更識 簪です。ご無事でなによりです。」

シャルロット・デュノアは私の名前を聞いて驚いた表情を浮かべる。

「更識商会の更識 簪・・・北方海の守護天使を救助に寄こすなんてあの人らしい。」

彼女が何を思ったかは何となく察しがついたが、私はあえて何も答えない。

現状私には何も出来ない、それに彼女だって安易な同情など迷惑なだけだろうし。

だから私は事務的に話を進める事にした。

「天使なんて過分なものですから、貴女以外の生存者の方は?」

「あと7人います、うち2人は衰弱が酷い状態です。」

私の態度をどう思ったか分からないけど、彼女も同じ様に事務的に答えてくれる。

彼女の言葉に頷いた私は傍らに居た乗員に指示をする。

「医務員の娘を何人か連れて行って容態を確認、他の人と共に収容をして下さい。」

「了解しました艦長。」

指示を受けた乗員の娘は頷いて返事をすると艦内に入って行く。

「更識艦長、僕も収容に立ち会います。責任がありますから。」

シャルロット・デュノアが言ってくる、責任感はアニメ同様強いらしい。

「分かりました、お願いします。」

私が同意すると彼女はほっとした表情を浮かべる。

その後シャルロット・デュノアは艦の医務員の娘達と施設に戻り収容に当たるのだった。

 

生存者達の収容が終わり私は司令塔の上から島を見ながら一息ついていた。

島とその施設は寂れて見える、いや本当に寂れているのだろう事はよく分かる。

「よっと・・・」

そんな時、司令塔のハッチから出ようとしているシャルロット・デュノアに気付く。

私は腰を落とし手を差し出して、彼女がハッチから出るのを手伝う。

「疲れてませんか?お休みになっていても構わないのですが。」

自分の傍らに立った彼女に私は尋ねると笑って答えてきた。

「いや大丈夫ですよ、むしろこうやって風景を見ていた方が落ち着く・・・何も有りませんけど。」

「・・・そうですか。」

私はそう言って彼女と一緒に島や施設の方を見る。

「施設の火災原因は老朽化だった様ですね。」

実は生存者達の収容と平行して、うちの機関員の娘達が施設を調べていたのだ。

これは織斑ギルド長の要請でもあったのだけど、多分デュノア商会に釘を刺す為だと思う。

ギルドは所属するシャルロット・デュノアの様な人間を守る義務があるからだ。

まあそれで彼女の待遇が変わるかは疑問だけど、多少はデュノア商会を牽制出来るとギルド長とうちの姉は考えているのだろう。

「・・・まあ何時もの事さ、僕は厄介者だからね・・・」

私の問いにシャルロット・デュノアは自虐的な笑みを浮かべて答える。

彼女はずっとこんな境遇で生きてきたのだろうか?自虐的で悲しい笑みに私は溜息を付く。

「御免ね、こんな話は君にするべきじゃないね。」

溜息をつく私を見て彼女は申し訳ない表情を浮かべて謝ってくる。

「お気になさらない下さい・・・私には聞いて上げる他思いつきませんし。」

正直言って私は無力だ、確かにこのゲーム世界については知っているし、舞台は違うが彼女の境遇も分かっている。

だが知っていたり分かっていても私にそれを変える力なんて無い。

「だから言いたいことがあれば遠慮なく言って下さい・・・付き合いますよ、ここまで関わったんですから。」

シャルロット・デュノアは私のそんな言葉に一瞬驚いた表情を浮かべるけど、直ぐにアニメでも見せていたあの笑顔を浮かべて私の肩に自分の肩を寄せてくる。

「え・・・っとデュノアさん?」

彼女の行動に私が面食らっていると彼女が答える。

「君は変わっているね、でも僕はそういうの嫌いじゃ無いんだ。」

まあ自分でも色々か変わっているとは思う、何しろ私は転生者で性別が変わってしまっていて・・・

「下手な同情の言葉を掛けるでなく、傍に居てくれるだけ、北方海の守護天使様はその名の通り天使だね。」

「・・・それだけは止めて下さい、結構恥ずかしいんですから。」

多分にからかいの入った言葉に私は恥かしくなる、特に彼女の様な美少女に言われると来る物がある。

「くすくす・・・じゃ簪と呼ばせてもらうね、もちろん簪は僕をシャルと呼んでほしいな。」

「シャル」アニメでは織斑一夏によって付けられた愛称だった筈だけど良いんだろうか?

まあここはISの世界では無いし、本人がそう呼べと言っているんだから・・・私的には恥かしいけど。

「はい、それじゃ呼んでみて簪。」

彼女は結構Sではないのかと思ってしまう、恥かしくてあたふたしている私を見て嬉しそうだ。

「・・・シャル。」

「うん簪。」

何だろうこの女の子同士の様な戯れ感、って私もシャルも女の子だったけ。

潜水艦の司令塔という場違いな所に突然発生した甘酢っぽい雰囲気は、次の瞬間響いてきた轟音に吹き飛ばされる。

私はシャルから離れると司令塔上に設置してある大型双眼鏡に取り付くと轟音の響いてきた方向に向ける。

その視界に入って来たのは流氷の上をまるで滑るように移動しているシーサーペントだった。

しかも今まで見た事の無いほど巨大なシーサーペントだ。

「艦長!!」

ハッチから相川副長が顔を出して私を呼ぶ。

「聴音機が接近してくる物体をって、今の音は一体?」

「こっちでも確認しました、接近してくるのは巨大なシーサーペントです!」

私は相川副長に答え命令を伝える。

「急速潜航!シャル、貴女も早く艦内に入って下さい。」

「うん分かったよ簪。」

「了解です艦長。」

相川副長は素早く発令所に降り、シャルも続いて降りて行く。

私はシーサーペントを一瞥するとハッチに潜り素早く閉じるとハンドルを回し密閉する。

そして梯子を滑る様に降り発令所に立つ。

「全ハッチ閉鎖を確認。」

「モーター切り替え完了!」

「注排水弁開きました。」

乗員達の確認や完了の報告が飛び交う。

「ベント弁開いて下さい、両舷半速。」

私の指示すると復唱が帰ってくる。

「ベント弁開きます。」

「両舷半速。」

操舵員が舵輪をまわすと床が前に傾斜し始める、乗員の娘達はそれぞれ何か掴まっている。

「深度70まで潜航して下さい。」

「深度70まで潜航します。」

「水測、目標は?」

「こちらに更に接近中です、何時もより航行音が大きい。」

「今までに見たことの無いほど巨大なシーサーペントですから。」

私の言葉に乗員達が驚いた表情を浮かべる。

「そ、そんなに巨大シーサーペントがなんで?」

「恐らく殆ど天敵の居ないこの海域だったからじゃないかな。」

相川副長の問いに私の代わりに答えたのはシャルだった、意外な相手からの返答に皆目を丸くする。

「これでもシーサーペントの研究が僕の仕事だから。」

シャルは肩を竦めて皆の疑問に答えて見せる。

「深度70です。」

「艦を水平に、両舷全速。」

「両舷全速。」

指示をしながら私は唇を噛む、水中にいる限り襲われないとはいえこのままと言う訳にはいかない。

 

シャルを無事救助出来て終わりと思ったのだけど、どうやら私の仕事はまだ終わりでは無いらしい。

 

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