北方海の守護天使   作:h.hokura

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No.04ー採掘船を救助せよ2ー

島の反対側に回ったアークロイヤルは海岸に接近して行く。

「1号車へ間も無く島に到着します。」

『1号車了解です。』

艦橋の乗員からの通信に、センチュリオン1号車の通信士から返答がくる。

「バラスト調節、艦首上げ。」

アークロイヤルは艦首上げつつバウスラスターを操作しながら海岸に近付いて行く。

「停止、艦尾の錨を下ろせ。」

着岸直前に艦尾の錨を下ろして着岸点に停止する。

「バラスト調節、艦首下げ。」

停止すると艦首を着底させ揚陸艦を着岸点に固定する。

「艦首扉を開け、ウインチ作動、道板を下ろせ。」

艦首突端の扉を左右に開き、ウインチを用いて道板繰り出していき、デリック・アームによって支持する。

「揚陸準備よし、全員の武運を祈ります。」

『了解、隊長より揚陸後アークロイヤルは予定通り回収地点へ移動しての事です。』

「アークロイヤル了解です。」

「全車発進、私に続いて下さい。」

センチュリオン1号車の車長席に着いていた愛里寿が指示する。

「了解、全車発進、1号車に続いて下さい。」

通信士が愛里寿の指示を全車に伝える。

そしてセンチュリオン1号車が道板を通じて海岸に降りると、1号車に続いて後続の戦車も降りてくる。

降り立ったセンチュリオンは4両だった、一旦全車が揃うのを待ち、やがて前進を始める。

「2号車は私と一緒にこのまま進みます、3号及び4号車は予定通り反対側のコースを進んで下さい。」

愛里寿の指示で2両づつに分かれたセンチュリオンは島の内陸部に分け入って行く。

「サトラガ及びそうりゅうに通信、こちら予定通り進行中と。」

「了解です隊長。」

入り江付近に待機していたサトラガに愛里寿からの通信が届く。

「これより入り江の外で待機します、総員戦闘配置!!」

ケイの指示で、サトラガの乗員達が戦闘体制に付いて行く。

「艦載砲射撃準備急げ。」

「機関室、何時でも最高速を出せる様にして!」

サトラガは戦闘体制をとって入り江へ向かって行く。

一方待機海域へ海中を進むそうりゅう発令所にて。

「それじゃあの入り江はシーサーペントの繁殖地の可能性が?」

艦長席に座る簪が隣の補助席に座るシャルに問い掛ける。

「うん高いと思うよ、だからシーサーペントにして見れば大事な所に侵入された様なものだろうね。」

大型共用ディスプレイに写された海図上の島を見ながらシャルは答える。

「それは・・・またとんでもない所に入り込んだものですね、彼らは知らなかったのでしょうか?」

シャルとは艦長席を挟んだ反対側に簪に寄り添うように立つクロエが疑問を投げ掛ける。

「採掘船が北方海に来るのは始めだとユリアさんは言ってましたから、気付かなかったのでしょう。」

溜息を付き簪は大型共用ディスプレイを見る、様は海域に不慣れだったわけで、本当なら誉められた話ではないのだが。

とは言え見捨てるという事は海で生きる者としては出来ない話しだ、もちろん簪自身としてもだ。

「艦長、戦車隊の島田隊長より作戦開始との連絡です、サトラガも待機に入ったとの事です。」

センサー担当が振向いて簪に報告してくる。

「了解です、これよりそうりゅうは戦闘体制に入ります。」

「「「了解です艦長。」」」

3人の乗員達は返答すると、それぞれのディスプレイを見ながらキーボードを操作し始める。

『総員戦闘配置繰り返す総員戦闘配置。』

「クロエさんも席に付いて下さい。」

艦内放送が流れるなか、簪が席に付くよう言うと、クロエは頷き空いている補助席に座る。

『魚雷・艦載火器管制室準備よし。』

『機関管制室配置に着きました。』

各部署からの報告後、発令所の照明が落とされる。

「では到着を待ちましょうか。」

島の内陸部を走行するセンチュリオン1号車の中で外部モニターを見る愛里寿。

島の地形図も重ねて表示されており、今のところ順調に走行出来ている事を確認する。

「3号及び4号車の状況はどうですか?」

「問題ないそうです、予定通り進行中との事です。」

愛里寿の問いに通信士の娘が答える。

「了解です。」

そう答えると愛里寿は立ち上がってハッチを開け、上半身を砲塔上に出して前方を見る。

進行するにつれ視界が開け、やがてセンチュリオン1号車は入り江側に出る。

「停止して下さい。」

「はい隊長。」

操縦士の娘が返答すると、1号車は停止し2号車も続く。

愛里寿は首に掛けていた双眼鏡を素早く目に当てて状況を確認する。

「あれが・・・採掘船ですね。」

幸い採掘船はまだ無事の様だった、愛里寿は視界を船から洋上に向ける。

そこにシーサーペントは居た、設置された機雷で傷ついたのか動きは鈍い。

採掘船は砲撃で何とか牽制している様だが、そう長くは持たないだろうと愛里寿は判断する。

素早く戦車内に戻りハッチを閉じると愛里寿は指示をする。

「前進、全車に距離1000まで接近後射撃開始せよと連絡して下さい。」

「了解、全車距離1000まで接近後射撃開始せよ。」

「距離1000まで接近します。」

通信士と操縦士の2人が返答、そして1号車と2号車は前進を開始する。

「距離よし、目標を照準しました。」

砲手の娘が報告に愛里寿はモニターを見て頷く。

「停止、射撃開始して下さい。」

「射撃開始。」

停車した2両のセンチュリオンが射撃を開始する、同時に1号車達と反対側にいる3号車達も。

そして砲弾は採掘船の砲撃を突破し襲い掛かろうとしていたシーサーペントの真正面に命中する。

絶叫をあげシーサーペントは突然の攻撃にのたうち周る。

「装填よし。」

装填手が次弾の準備完了を報告すると再び発射され、正確にシーサーペントに命中する。

しかも4両のセンチュリオン共にだ、この辺は戦車隊で高い撃破率を誇るだけはある。

魚雷や艦載砲に比べればセンチュリオンの戦車砲は強力と言う訳では無いが、的確な射撃は確実にシーサーペントの体力を奪ってゆく。

「隊長!シーサーペントが逃げます。」

センチュリオンの的確な射撃に耐えられなくなったのかシーサーペントは入り江の出口方向へ逃亡をする。

「射撃止め、サトラガに通信、シーサーペントがそちらに向かう。」

そして愛里寿は容姿に似合わない笑みを浮かべてこう続けた。

「狩りを存分に楽しみたし。」

「センチュリオン戦車隊より通信、『狩りを存分に楽しみたし。』です。」

「あの娘、時々歳に容姿に似合わない事言ってくるわね。」

その通信にケイは苦笑を浮かべると、肩を竦めて指示を飛ばす。

「アリスの言う通り狩りを楽しましょうか、前部第1及び第2艦載砲射撃準備。」

「第1及び第2艦載砲射撃準備。」

ケイの指示に火器管制担当の復唱が帰る。

「速度上げ・・・言っておくけど失敗したら全員反省会じゃ済まないからね。」

「「「了解です艦長。」」」

サトラガは速度を上げ前進する、するとその鼻先にシーサーペントが飛び出してくる。

「シーサーペントです、距離1200。」

「第1及び第2主砲、照準急いで。」

見張り担当の声に答えて即座に副長であるナオミの指示が発せられる。

『照準よし!』

火器管制室からの報告が艦橋に響く。

「撃ち方始め!!」

サトラガの前部第1及び第2艦載砲がケイの指示で射撃開始する。

こちらもセンチュリオン戦車隊に負けない正確さでシーサーペントを追い立ててゆく。

守護天使の活躍に隠れていたが、サトラガだって対シーサーペント戦では遜色のない実績がある。

乗員達の中にはケイの方が守護天使だと思っている者も少なくない。

「シーサーペント、予定通り目標海域へ向かっています。」

航海担当が報告する。

「OK!このままシーサーペントを狩場に追い込んであげるわ。」

艦橋の真ん中でケイが不敵な笑みを浮かべ叫ぶ、こちらも容姿に似合わない笑みだ。

その狩場に潜み獲物を待つそうりゅうにサトラガから通信が入る。

「サトラガより通信・・・『カンザシちゃん獲物を追い込むわよ、やっちゃって!!』だそうです。」

ケイらしい通信内容に発令所の面々は苦笑を浮かべる、かなりエキサイトしている様だ。

「了解したと返信して下さい、あと勢い余ってシーサーペントと一緒に突っ込んでこない様にと付け加えておくのも忘れずに。」

冗談半分の簪の言葉に再び発令所内に苦笑が流れる、ケイならやりかねない、全員の見解だからだ。

「マルチセンサーポスト作動。」

簪の指示で今まで海図を写していた大型共用ディスプレイに海上の様子が写る。

「レーダーに反応、シーサーペントとサトラガです、予定通りこちらに向けて接近中です。」

センサー担当が複合ディスプレイを見て報告する、全て予定通り、簪は満足そうに頷く。

「艦首発射管1番から8番に魚雷装填魚・・・念の為特殊ロケット弾の準備の方もお願いします。」

「1番から8番魚雷装填・・・特殊ロケット弾の準備も開始。」

火器管制担当が簪の指示を復唱、艦載火器管制室に指示を出すとディスプレイ上にそれぞれの完了の表示が出る。

「1番から8番発射管に魚雷装填及び特殊ロケット弾の準備完了・・・こっちは出来れば使いたくないですね艦長。」

簪は火器管制担当の言葉に困った様な笑みを浮かべ答える。

「出来れば私も使いたくはありませんね。」

「下手をすればシーサーペントだけでなくサトラガとそうりゅうも吹き飛ばされかねませんからね。」

機関・ダメコン担当は引きつった笑みを浮かべて言うとシャルとセンサー担当も同じ様な表情を浮かべ頷く。

「束様がご迷惑をお掛けします。」

クロエが謝罪の言葉を口にすると、彼女も苦労している様だと皆同情したのだった。




ハンターギルド 
ハンターを取りまとめる組合みたいなもの、仕事の斡旋や商会の監査等を担う。
もちろん更識商会も所属している。
ギルド長は織斑 千冬。 
ギルドはこの他に漁師の商会が所属する漁師ギルドや貨客船を運用する商会が所属する商船ギルドなど業種毎に存在する。
艦内作業服
艦船の乗員が乗船時に着る作業服でカラーやデザインは商会によって違いがある。
更識商会のものは黒のボディスーツタイプのつなぎに救命胴衣としての機能を持つ白のフード付きジャケットを組み合わせたもの。
防水+防火+防寒+防弾及び防刃機能を持ち、ジャケットを外すと海中作業時のウエットスーツとして使用出来る。
なお作業服の着用は任意の為、一部のハンターや漁師には着用していない者もいる。
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