北方海の守護天使   作:h.hokura

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そうりゅうの艦内服としてISスーツモドキを設定しましたが、どちらかと言うと
ヤマトの女性艦内服の方がイメージ的にあっている様な気がします。
・・・どうでもいい話ですが。




No.07ー巨大シーサーペントとシャル3ー

「全艦戦闘配置、艦首発射管魚雷装填急いで下さい。」

「全艦戦闘配置!全艦戦闘配置!」

「艦首発射管魚雷装填急げ。」

艦内にアラームが響くのが分かる。発令所の乗員達とシャルも緊張した面持ちだ。

「・・・簪は落ち着いているね、流石は守護天使と言う所かな?」

シャルが緊張しながらもからかい気味に聞いてくる。

「緊張しない訳ありませんよ、ただここまで来たら自分のやるべき事をやるだけです。」

そんな私の言葉にシャルは緊張が解れたのか何時もの微笑みを浮かべる。

「やっぱり守護天使の名は伊達では無い様だね。」

その信頼に満ちたシャルの笑みと言葉に私は照れてしまう、というか発令所の乗員達も何時の間にか同じ様な感じになっている。

「そりゃそうですよデュノアさん、我らの艦長なんですから。」

相川副長までそんな事を言い出し、益々照れてしまう、皆止めてほしいんだけど。

「両舷半速、面舵一杯。」

「両舷半速。」

「面舵一杯。」

私の指示に対し操舵員と機関員の復唱が響く。

「前方に目標です艦長。」

水測員の報告に私は頷く。

「舵戻して下さい、魚雷戦深度へ。」

「舵戻します。」

「魚雷戦深度へ。」

さあこれからが正念場だ、私は気を引き締める。

「艦長、魚雷戦深度です。」

「目標距離4千・・・接近中。」

相川副長と水測員の娘が微笑みながら報告する、まったくもう・・・

「魚雷発射管1番から4番発射用意。」

「艦長この状態で発射しても流氷に阻まれて命中は期待できませんが。」

「牽制出来れば構いません、急いで下さい。」

「了解、魚雷発射管1番から4番発射用意!」

私の指示に水雷長の娘が反論しかけるが直ぐに納得してくれる。

「目標感距離3千、速度速い!」

「1番から4番魚雷発射用意よし!」

水測員から報告に水雷員の用意完了の声が重なる。

「魚雷発射して下さい、水測爆発音に注意。」

「1番から4番魚雷発射!」

そうりゅうの魚雷発射管から4本の魚雷が放たれるのが計器盤に表示される。

発射された魚雷は水雷員の言った通り目標でなく流氷に命中、激しい爆発音と振動がこちらに伝わってくる。

「目標の様子は?」

「・・・足が止まった様です接近してきません。」

水測員の娘が聴音機を操作しながら報告する。

「警戒している様だね、簪はこれで後退するつもりかい?」

聞いてくるシャルに私は首を振って答える。

「・・・いえ多分後退したら必ず追ってくるでしょう、奴が獲物を簡単に諦めるとは思えませんし。」

だからこちらも容易に後退出来ない、そんな事をすれば・・・

「この海域のすぐ外には漁場があります、この時期多くの漁船が出漁して居る筈です。」

後退したら私達はその漁場のど真中で戦闘する事になるかも知れない。

多くの漁船を危険に巻き込む事になる、いやそれ以前にシーサーペントの前に無防備な人々を晒してしまう事になる。

だからこの海域で撃破するか少なくても封じ込めなければならないだろう。

「ただ魚雷では駄目ですが。」

シーサーペントが流氷群の上に居る以上、魚雷を使用しても氷に阻まれて効果は期待出来ない。

一応そうりゅうの後甲板には砲が有るが1門程度では火力は期待出来そうも無い。

どうすべきか悩んでいた私は格納庫にある例の物を思い出す、そう束さんの造ったあれを・・・

「・・・噴進弾を使いましょう。」

私の声に相川副長と乗員の娘達の表情が強張る、前回の魚雷の事を思い出したに違いない。

事情の知らないシャルは皆の反応に戸惑っている様だけど。

「皆さんの気持ちは分かりますが、あれなら海上を飛ぶので流氷に妨げられる事もありません。」

「しかしあれはまだ試射もしていないのでは?」

不安があるとすればその点だろう、まあ束さんの造った物だから問題は・・・無いともいえないか。

本来なら航海中に試射する予定だったのだが仕方が無い、実射と試射を兼ねる事になるけど。

この噴進弾については出発前に、実際に扱う事になる砲術員や機関員の娘達と私は束さんのレクチャーを受けている。

「速度も威力も従来の魚雷に負けないよ・・・もっともこれそういう目的で造ったんじゃないけど。」

束さんはこれで将来宇宙を目指したいらしい、何だかISでの彼女の夢を思い出してしまったけど。

「ぶっつけ本番でやるしかありませんね、責任は私が持ちます。」

「・・・分かりましたやりましょう、あと艦長だけに全部押し付けるつもりはありませんけど。」

私の言葉に相川副長が答える、他の乗員の娘達も同様だった様で私は頭が下がる思いだ。

「ほんと簪は信頼されているんだね凄いね。」

聞ていたシャルが感嘆した様に言ってくる。

「私には過分な気がしますが、あと言っておきますが私は乗員の娘達同様シャルの事信頼してますから。」

私の言葉にシャルは一瞬目を丸くし、何時もの笑顔を浮かべて答える。

「簪に本当に適わないね・・・ありがとう天使様。」

「・・・それは止めてと、もういいです。浮上して下さい、メインタンクブロー。」

「浮上!メインタンクブロー。」

だから微笑みながら答えるのは止めて欲しいのだけど副長。

例の浮き上がる感覚、それに続く洋上での揺れ。

「浮上完了です艦長。」

私は頷くと梯子を上り司令塔に上がる。後を相川副長とシャルが続いて来る。

司令塔に上がった私は持ってきた双眼鏡でシーサーペントを見る。

浮上してきたこちらを見て、威嚇する様に頭を振り上げる。

「相川副長発射準備を。」

「了解しました、噴進弾発射準備を急げ!」

相川副長の指示で格納庫の扉が開かれ、噴進弾が引き出されてくる。

そして引き出された噴進弾が発射用レールに設置される。

点検していた機関員の娘が振向いて手を上げてくる。

「発射準備完了。」

それを見た相川副長が報告してくる。

「噴進弾照準合わせ、急いで下さい。」

私は準備完了の報告に頷くと、砲術員の娘に指示する。

「了解、面舵20。」

砲術員は司令塔上の大型双眼鏡を覗きながら、艦首を目標に向けさせる。

発射用レールは砲塔と違い旋回しないから、発射したい方向に向けなければならない。

「舵戻せ、目標への照準良し。」

「甲板上の乗員は艦内へ退避。」

砲術員の報告を聞いた私は機関員達の退避を指示する。

司令塔上から相川副長が合図すると甲板上にいた乗員達が格納庫の扉を閉めハッチに飛び込む。

「退避完了です艦長。」

発令所からの報告を相川副長が伝えてくれる。

「では発射して下さい、総員ショックに備えて下さい。」

司令塔上の相川副長を含む乗員達とシャルが身構える、もちろん私も・・・

「発射5秒前、4・3・2・1、発射!」

砲術員がリモコンの発射ボタンを押すと、腹に響く音と共に煙があがり噴進弾が発射用レール上を滑走し前方に飛び出して行く。

これを見て流石に不味いと気付いたシーサーペントが身を翻して逃亡しようとしたが、間に合わず噴進弾が命中し派手な閃光と音、そして衝撃を起こす。

その衝撃に司令塔上の私達は振り回され落ちそうになる者も・・・私も再び眼鏡を吹き飛ばされる。

「シ、シーサーペント逃亡して行きます。」

振り回されながらも大型双眼鏡を覗き込んでいた砲術員が叫ぶ。

そちらを見ればシーサーペントは背を向け海域の奥へ逃亡を始めていた。

かなりダメージを与えた様でぼろぼろになっている。

「これで海域の外に出ようとは二度としないだろうね・・・」

飛ばしてしまった眼鏡を拾ってくれたシャルが返してくれながら私に話しかける。

「・・・ええ、そうですね。」

「?」

曖昧な返答にシャルが不思議そうな顔を見せるが、その時私は別の事を考えていた。

これってレギュラス?潜水艦に搭載して、浮上してから発射するとこなんかそっくりだ、にしても何でこんなマイナー兵器が出てくるんだか。

「簪?」

シャルの再度の呼びかけにようやく私は我に帰る。

「あ、すいません・・・そうであれば私達の勝ちなんですけど。」

結局は倒せなかったのだから、私には勝ったなんて思えない結果だけど。

「で簪はこれからどうするつもり?」

「一旦戻りましょう、姉いえ会長に相談します。後の事はそれからですね。」

彼女の問い掛けに私は肩を竦めながら答える。

「そうだね、僕もそれに賛成だよ。」

シャルの言葉に私は頷きながら、去ってゆくシーサーペントを見る。

酷い仕事だった・・・私はそう考えると深い溜息を漏らす。

 

11:45

シャルロット・デュノア救助作戦終了。

 




レギュラスって知っている人っているんでしょうか?
1956年頃にアメリカ海軍で開発された、今で言う巡航ミサイルやSLBMの先駆けみたいものらしいですね。
まあ、運用方法があれだったせいで早々と消えていったマイナーな兵器です。
私は好きですが。

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