北方海の守護天使   作:h.hokura

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ここでようやくIS主人公登場です。
ヒロインは2人です。



No.10ー織斑 一夏と更識 簪1-

「だから一夏は私の言う通りにすれば良いの。」

「そうやって一夏さんの意思を無視なさるのはいかがなものでしょうか。」

「う、うるさいセシリアは黙っていなさいよ。」

「あら事実を指摘されて逆ギレですか鈴さん。」

「おい二人共いい加減に・・・」

「「一夏(さん)は黙っていて(くださいませ)。」」

今艦橋内で騒いでいる二人の少女と彼女達に一喝された男。

それを見て私は艦長席に座りながら、深い溜息を着くしかなかった。

 

運命の出会い、綺麗な響きがするが、時にそれは厄介事と同義語な事を私は実感していた。

そもそもこんな事態になっているのは、私更識 簪がある男と出会った事から始まった。

 

姉から頼まれた用事を済ませ、商会に戻る途中。

通りから逸れた人通りの無い場所で数人の男達が誰かを取り囲んでいる場面に私は遭遇した。

どうやら囲んでいる男達は街のチンピラみたいだった、常に迷惑行為を働く困った連中だ。

また何時もの様に通行人でも因縁を吹っかけて金品でも脅かし取ろうとしているのかも知れない。

あんなチンピラ連中に関わりたくは無いのだが、ほっとく訳にもいかない。

とはいえ私に出来る事は余り無い、何しろ今は非力な女の子の姿なのだから。

だとすれば取る方法は一つしか無かった・・・正直いって私は気が進まないのだけど。

「誰か来て下さい、人が脅されています!!」

その容姿と声を使って助けを呼ぶという方法だ、これは非常に効果がある。

誰だって女の子が助けを呼んでいたら気になるだろう・・・何だか自分の容姿を利用している様で嫌になるが。

「おい今女の子の声が・・・」

「助けを呼んでいるみたいだ、こっちの方だぞ。」

辺りが騒がしくなり、チンピラ達は動揺する。

「不味いぞ、どうする?」

「ちっしょうがねえ引くぞ。」

チンピラ達は慌ててその場所を離れ様とこちらに向かって来る。

咄嗟に物陰に隠れる私、ここで鉢合せするのは避けたいところだ。

そして隠れる私の前を通り出てきたチンピラ達を駆けつけてきた住人達が見つける。

「いたぞ、またあの連中か?」

「おい、お前ら今日という今日は許さんぞ!」

チンピラ達はスピードを速めて逃げ出し、住人達はそれを追ってゆく。

それを見送り私は物陰から出て一息付く。どうやら旨くいった様でほっとする。

さてこのまま帰ろうとしたのだが、運命は簡単には許してはくれなかった。

「あれ、もしかしてさっきのは君が?」

助けた当人と鉢合わせしてしまったからだ、しかもその相手がよりによって彼というのは・・・

私はその遭遇に呆然となった、何しろその相手が織斑 一夏、インフィニット・ストラトスの主人公だったのだから。

「助かったよ、久々に戻って来てトラブルというのは不味いからさ。」

そう言って笑顔を向けてくる織斑 一夏、こう見ると本当に爽やかな好青年に見える。

「そうですか良かったですね、それでは私はこれで。」

だが私はこれ以上関わり避けたくて、その場を離れ様と思ったのだが。

「いや礼をさせて欲しいな、俺は織斑 一夏、ハンターなんだ、君はの名は?」

「・・・私は更識 簪です、更識商会で艦長をしています。」

とうとうお互い自己紹介までしてしまった、しかも礼をしたいと言って来るし。

「更識 簪って、もしかして北方海の守護天使の?」

まあ彼がハンターなら知っていても不思議ではないかもしれないが、こう面と向かって言われるのは気恥ずかしい。

「そう言われているのは確かですが私は・・・」

「そうなんだ、いや前からぜひ会ってみたいと思っていたんだ。」

人の話を聞いて欲しいのだけど、彼は感激している様でまったく駄目だった。

その後どうしてもお礼をしたいと言って織斑 一夏は私を放してくれず、結局根負けし一緒にハンターギルドへ向かう事になってしまったのだった。

 

ギルド事務所のホールに入った所で私と織斑 一夏はここの主であり彼の姉である織斑 千冬と遭遇する。

連れ立って事務所ホールに入って来た私達を見て、織斑ギルド長は険しい表情を浮かべた。

「千冬姉、久しぶり・・・痛てえ!」

「ここでは織斑ギルド長と呼べと何度も言っている筈だが。」

持っていた物を織斑 一夏の頭に振り下ろし、アニメと似た様な台詞を言う織斑ギルド長。

あちらでは教師と生徒、こちらではギルド長とギルド所属のハンターと違いはあるがやっている事は変わりが無い。

「す、すいません織斑ギルド長。」

頭を抱えながら織斑 一夏が謝罪するのを見て私は苦笑する。

するとそんな私の方を向いて真剣な表情で織斑ギルド長は言う。

「更識妹、個人的な嗜好をどうこう言うつもりは無いが、この男だけは止めておけ、後悔するぞ。」

「千冬ね、ギルド長それはどういう意味・・・」

「ギルド長、私にも選ぶ権利はあります。」

「って更識も酷い・・・」

アニメでの事を知っている身としてこう言ったのだが、ギルド長の口ぶりからするにこちらの彼もたいして変わらないらしい。

「それが賢明だ更識妹、織斑にはあの2人の事で身に覚えが無いとは言わせんぞ。」

「えっと・・・それは。」

多分それは織斑 一夏を巡って起こる一連の騒ぎだろうと容易に想像出来る。

そう言えば2人と言っていたけど誰の事だろうか?

シャルと篠ノ之 箒はアニメほど執着している様には見えないし姉である更識 楯無は、私にべったりで、まあこれはシャルもそういう傾向があるけど。

残りは三人だとすればそれは・・・

そこまで考えていた私は聞こえてきた声に我に帰る。

「一夏さん一体どちらへ行ってらしたのですか?」

「ちょっと一夏、何処まで行ってのよ?」

その声はあの2人だった、セシリア・オルコットと凰 鈴音。

私達の後ろから近づいて来て織斑 一夏を睨みながら言ってくる。

「セシリア、鈴・・・悪いちょっとその辺を散歩にな。」

織斑 一夏が苦笑いを浮かべ答える。

「まったく何しに此処へ・・・一夏?」

「その位で鈴さん・・・一夏さん?」

文句を続けようとした凰 鈴音と抑えようとしたセシリア・オルコットが私に気付く。

非常に不味い事になった、彼女達が織斑 一夏の隣に立つ私を見逃すはずが無い。

「一夏、その娘一体誰なの?」

「一夏さん、その方はどなたなのでしょか?」

その問い掛けに織斑 一夏はのん気そうに答える。

「ああ、更識 簪さん、そうあの北方海の守護天使さんだぜ。」

いや彼女達が聞きたいのはそれでは無いと思うのだけど。

「北方海の守護天使ってあの?じゃなくて。」

「私達がお聞きしたいのは何故一夏さんがその方と一緒なのかということですわ。」

まあ当然それが一番気になる点だろう二人にとって。

「ああ、実はさっき助けてもらってんだ、チンピラ連中に絡まれたところを。」

二人は私を不信そうにじっと見つめてくる、まあどうみても荒事に向いては見えないからだろう。

「私は回りに助けを頼んだだけですよ。」

不信を取り除く為補足しておくが二人の視線は依然きついままだ。

「お前達それくらいにしておけ、更識妹に迷惑を掛けるな。」

険悪な空気になりかけた場に織斑ギルド長が割ってはいる。

「千冬さ、織斑ギルド長、私達は別に・・・」

セシリア・オルコットが弁明しようするのを織斑ギルド長が一睨みで黙らせる。

「織斑さん、お礼は別にいいですから。それでは失礼します皆さん。」

逃げ出すタイミングを待っていた私はそう言ってこの場を離れるつもりだったのだけど。

「え、そんな訳には・・・」

「更識妹、お前には悪いが聞いてもらいたい事がある。」

止めようとした織斑 一夏の声に重なる様に織斑ギルド長が引き止めてくる。

 

やはり運命は簡単には許してはくれない様だった。

 

「水晶島ですか?」

ギルド長の口から出た島の名を私は思い出そうとした。

北方海を航海する人間としてこの海域の島々については頭の中に入っている。

「・・・まさか暗礁海域にある水晶島ですか?」

「そうだ、その水晶島だ。」

まるで近所にある公園の様に言う織斑ギルド長に私は顔を顰める。

なるほど、私を引き止めたのはこういう事だったかららしい。

「千冬ね、織斑ギルド長、暗礁海域って?」

千冬姉と呼ぼうとし、彼女の一睨みに言いなおす織斑 一夏。

「お前達の目的地のある海域はそう呼ばれている。」

「・・・別名、船の墓場ですね。」

ギルド長の言葉に私が付け加えると、織斑 一夏達3人の顔が引きつる。

「な、何よその船の墓場って?」

凰 鈴音が私を睨みつけながら聞いて来る。

「あそこは海流の流れが複雑かつ急な所で、多くの船を難破させてきたんです。」

水晶島はその名の通り水晶を産出する施設があった島だ、それが近くで起きた海底地震で島の周りの海流が変化してしまった。

以後、島に近づくのは困難を極め、施設は放棄されてしまった。

「まったく近寄れないのですか?」

セシリア・オルコットが聞いてくる、ギルド長は肩を竦めて答える。

「そうだ、並大抵の人間では近寄れないだろうな、更識妹いや更識艦長以外はな。」

織斑 一夏達3人が改めて私の顔を見てくる、懐疑、期待、困惑、それぞれの表情を浮かべ。

そんな3人を見て織斑ギルド長は苦笑いを浮かべる。

「まあそんな顔をするな、更識艦長はこれでも何度もあの海域に行って無事帰ってきているんだぞ。」

3人が顔を見合わせる、まあ気持ちは分かるけど。

しかしギルド長も簡単に言っているけど、そんな生易しいものでは無かったのだ。

艦体の損傷は無かったものの、機関は焼き切れる寸前、出来れば行きたくはない所だ。

「ギルド長、先程目的地と言っていましたが?」

私の問いにギルド長が答える。

「こいつらが向かいたいのが水晶島なんだ。」

そう言ってギルド長は織斑 一夏達を見る。

「俺達は水晶島にある物を取ってくるという依頼を受けたんだ。」

織斑 一夏も説明によると、かって水晶島で働いていた技師から頼まれたという事らしい。

「その為にこの3人を水晶島に連れて行って欲しい、これはハンターギルドから更識商会への依頼だ。」

 

こうして私はISの主人公とヒロイン2人と共に旅たつ事になった。

 

 

 

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