北方海の守護天使   作:h.hokura

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歌姫編最終話です。

果たして2人の関係は?
ってばればれすが(笑)。




No.22ー北方海の歌姫3ー

青白い月の光に照らされる神代レイ、ゲームでその姿を見たことがある私でも、こうして実際に会って見るとその神々しさに言葉が出ない。

「どうかされましたか艦長さん?」

神代レイの言葉に私は現実に引き戻される。

「いえ・・・それよりどうかしましたか?先程言った通り、夜間に甲板に出るのは危険ですよ。」

彼女は再び海上へ目を向けると話し始める。

「海を、夜の海を見たくなって・・・マネジャーさんに注意されたんだけどね。」

そう言って神代レイは手で髪を後ろに流す、その姿は本当に幻想的で、私はまた引き込まれそうになる。

彼女の神々しい雰囲気に・・・

「ねえ艦長さん、聞きたい事があるんだけど、いいですか?」

雰囲気に飲まれそうになっていた私に神代レイが問い掛けてくる。

「それは構わないですが、何をお聞きになりたいんですか?」

神代レイが私の方を向き、その青い目で見つめてくる、その時またあの光景が・・・

 

『かんざしちゃん、また会えるよね?』

『うん、レ・ちゃん、きっと会えるよ。』

 

「え・・・?」

今まではっきりしなかった会話と相手の顔が少し鮮明になってきて私は困惑する。

「・・・・・」

何も言わず神代レイは私を見つめ続ける、そして・・・

「どうしたのかんざしちゃん?」

「!?・・・・」

 

『かんざしちゃん、また会えるよね?』

そう言って泣きながら銀髪の青い目の女の子は問い掛ける。

幼い簪は悲しみを必死に押さえつけながら言う。

『うん、レイちゃん、きっと会えるよ。』

 

「レイちゃん?え、え・・・」

そうこの世界の更識 簪が持つ幼い頃の記憶、束の間の出会いの・・・

「でも彼女は・・・」

神代レイは混乱する私を見ると目をまた海上に戻し歌を歌い始める。

それは簪にとってとても懐かしい歌、あの光景に重なるもの?

歌を止め神代レイは私の顔を覗き込んでくる。

「懐かしい?これかんざしちゃんの前で歌ったものよ。」

「た、確かに聞いた覚えはありますが、もしかして他で聞いた事が・・・」

正直言って私はまだ確信が持てずにいた、目の前の神代レイがあの時の少女だと。

だけど神代レイは私の言葉に確信を得たとばかりに微笑んでこう言ったのだった。

「それは無いわ、だってこの歌、私のお母さんが作ってくれたんだけど、人前で歌ったのって一度きりだもの・・・かんざしちゃんとお別れする時にね。」

 

『かんざしちゃん、また会えるよね?』

『うん、レイちゃん、きっと会えるよ。』

『じゃその時の為にこの歌をかんざしちゃんに聞いてもらうね、再会して困らない為に。』

そう言ってレイはかんざしの前で歌ったのだ、後半泣きながらだったが。

こうして私こと更識 簪は、かって出会い共に過ごしたった神代レイと海上で再会したのだった。

 

「それにしても酷いな簪ちゃん、私の事直ぐに分からなかったわよね、私は直ぐに分かったのに。」

その後私達は甲板から食堂へ移動していた、流石にあのまま夜風を浴びているのは辛かったからだ。

当直の交代時間にはまだ時間があったので、食堂には私達2人以外人は居なかった。

テーブルを挟み入れた紅茶を前に私達は話していた。

「それについては申し訳ありませんでした、でも自分の知り合いが超有名人になっているなんて想像出来ませんでしたから。」

幼い頃、ほんの一時出会い、過ごした娘が、今やこの世界で知る者の居ない人間になっているなんて思いはしないと思うのだけど。

「そうなの?でも簪ちゃんだって北方海の守護天使様って言う超有名人なんでしょ?」

「それは限られた人達の間だけですよ、誰もがその名を知る貴女とは比べ物にもならないと思いますよ。」

守護天使の名は自分が居るこの業界での話の筈だ、まあ何故か北方海だけでなく中央や南方の方までその名が広まっているのには驚かされたけど。

だがそんな私に神代レイは思ってもいなかった事実を教えてくれた。

「ふ~ん、確かに簪ちゃんが北方海の守護天使様だとは思わなかったけど、天使様の名前なら私知っていたけどね。」

「へ・・・?」

神代レイの言葉に私は固まる、天使の名前なら私知っている、それってどう言う事なのか?

「結構有名よ守護天使様の事は、こばやし丸が襲撃されて乗客や船員の人達が、パニック状態だったのがまほろばが来てくれるって聞いた途端に収まったくらいよ。」

「・・・・」

「守護天使様が助けに来てくれるからってね。」

私は頭を抱えたくなった、守護天使の名は海運関係者間の話かと思ったのに、海運関係どころか一般の人達まで知られる存在だった事を知ってしまったからだ。

「・・・もしかしてこばやし丸の乗客の人達が鈴なりになって見ていたのって?」

「ええ、守護天使様を一目見たいって言ってね、あれは凄かったわ、気付かなかったの?」

「はい、てっきり貴女を見ているのかと思いましたから。」

つまり乗客の人達は私を見る為に、あんなに集まっていたという事になる。

「私は神代レイと言う事を隠して乗っていたからそれは無いと思うわ、あと貴女で無く、レイちゃんって呼んで欲しいんだけど簪ちゃん。」

衝撃を受けている私を神代レイは睨みつけ、掛けていた私の眼鏡を取ってしまう。

「それは、って返して下さい神代さ・・」

「レイちゃん。」

「いやお互いもうそんな呼び方・・・」

「レ・イ・ちゃん。」

私の眼鏡を返そうとせず、神代レイは何度も「レイちゃん。」呼びをさせようとしてくる。

結局私は根負けしてしまう。

「レイちゃん、私の眼鏡返してもらえませんか?」

「うん合格、でも会わないうちに眼鏡を掛ける程目が悪くなったの簪ちゃん?」

眼鏡と私を交互に見ながらレ、レイちゃんが聞いてくる。

「それは伊達ですよ、姉さんに言われて掛けているんです。」

 

アニメ同様視力が悪くないけど私は眼鏡を掛けている、もちろんIS用ディスプレイなんかでは無い。

ある日突然姉さんが眼鏡を持って来て「簪ちゃんこれからはこれを掛けて。」と言ってきたのだ。

私は当然何故と聞いたのだが・・・

「変な虫が寄ってこない様にする為だとか言ってましたが。」

何時もに増して訳の分からない事をする姉さんに最初は抵抗したのだったけど。

「簪ちゃん、分かってちょうだい、これはとても重要な事よ、貴女の貞操に係わるの!」

妙な迫力の姉さんに私は結局逆らえず、それ以来眼鏡を掛けて生活しているのだ。

 

「ふ~ん、なるほどね・・・確かに簪ちゃんのお姉さんの言うとおりね。」

私の顔をじっと見つめながらレイちゃんは納得した表情を浮かべる。

「それってどういう意味ですか?」

「簪ちゃんは気にしなくていいわ・・・守られるのなら私の為にもなるし。」

「・・・?」

眼鏡を私に掛け直しながらレイちゃんは言ってくるのだけど、後半の言ってる意味がよく分からない。

何だか姉さんが言いそうな事を言ってくるレイちゃんだった。

その後私達は交代時間になり他の乗員の娘達が来る前に別れた、ぎりぎりまでお互いの事を話しあって。

 

翌日

更識商会・事務所

『皆さんありがとう、ここで歌えて私は幸せです!』

テレビの画面の中でレイちゃん、神代レイがコンサート会場に居るファンにお礼を言っている。

彼女のコンサートは予定よりやや遅れたが無事開催された、まあまほろばが予定通り到着出来たからだが。

そのコンサートの中継を、私は商会の事務所で、姉さんとシャル、本音の3人と見ていた。

・・・姉さんと本音はまあ商会の人間だから居ても不思議では無いのだけど、何故シャルが居るのやら。

彼女は調査任務の無い時もこうやって来る事が増えてきた。

「簪と居たいからね。」

にこやかな、それでいて何処か逆らいずらい雰囲気をかもし出して、ちなみにその時の姉さんも似た様なものだが、本音はまあ何時も通りだ。

『ところで皆さん、ここへ来る前に言った通り、私は会いたかった人に再会する事が出来ました。』

会場がシーンとなり、いや私の居るこの場もだが、皆彼女の言葉を待つ。

『彼女は変わっていませんでした、まあ最初は気付いてくれませんでしたが。』

ここでそんな事を言いますかレイちゃん、というか先程から悪寒が止まらないのですが。

『再会出来て嬉しいし彼女はやはり私にとって最愛の娘だと改めて思いました。』

それって女の子同士でと言う事なのでしょうか?いやそれより私の近くに居る二人からの視線が。

『ですから私の我侭ですが、最後の歌はその娘の為に歌わせて下さい。』

レイちゃん、というかナチュラルにそう呼んでしまっているが、はそう言って頭を下げる。

『うおおお!!!レイちゃん、気にしなくていいんだ!!!』

『そうだ!応援するぞ、幸せになってくれ!!!』

ファンの皆さん、何故そこで感激したうえに応援するんですか?

『ありがとう皆、それでは『私の天使様』、聞いて下さい。』

レイちゃんはそう言うと、あの素晴らしい歌声で歌い始める。

所々、海を駆ける天使様とか、海に生きる人達を護るとか、入っていて私は肝が冷える思いを味合っていた。

だってあの2人の視線、益々冷たくなってきているんですから。

そんな私の状況を他所にコンサートは大いに盛り上がり終わる・・・

「さて、私は明日の仕事の準備にまほろばに行かないと・・・」

そうさりげなく言って私は立ち上がって行こうとしたのだけど、がっしっと両肩を掴まれる。

「・・・2人共痛いんですが?」

そう言って私は抗議するのですが。

「神代レイの言っていた最愛の娘って・・・簪ちゃんよね、だって天使様って言っているしね。」

顔は笑っているのに、そうは思えない迫力で迫ってくる姉さん。

「簪って確か神代レイと一晩まほろばで一緒だったんだよね、なるほどその時に再会した訳だ。」

姉さんと同じく全く笑って見えない表情でシャルが問い掛ける、いや尋問してくる。

「「時間はまだ十分あるよね、ゆっくり話をしましょうね簪(ちゃん)。」」

「わあ楽しみだなかんちゃん。」

どうやら今夜はずっと尋問されそうな感じだった、あと本音、貴女は何がそんなに楽しいんですか?

私はアンコールに答えるレイちゃんを見ながら深い溜息を付くしか出来なかった。

 

17:19

神代レイのコンサート終了

なお、私が眠れたの日付が変わってからでした。

 




まあ何時もの通りの結果になりました(笑)。
簪にとっては不本意でしょうが。

次回は、はいふりとISのドイツ娘達の競演でも書いてみたいと思ってます。
変わるかもしれませんけど。

それでは。

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