北方海の守護天使   作:h.hokura

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はいふりを完全に見ていない為、テア・クロイツェルはアニメとは別人かもしれません。
このゲーム世界のキャラだと思って下さい、もっとも他のキャラもそうですが(笑)。



No.24ーシュヴァルツェ・ハーゼ商会2ー

北方海ハンターギルド

私と相川副長は4人を連れて入って行くと、カンター前に立つ女性に気付く。

ギルド長の織斑 千冬だった、腕を組み入って来た私達を見ている。

「織斑ギルド長、お連れしました。」

私の言葉に頷くとテア艦長以下3人を見て話し始める。

「ようこそ北方海ハンターギルドへ、私は当ギルドを預かる織斑 千冬だ。」

「始めまして織斑ギルド長、アドミラル・グラフ・シュペー艦長のテア・クロイツェルです。」

織斑ギルド長の挨拶にテア艦長が威厳を持って答える、ほんと堂々としていて凛々しく見える。

「ブリュンヒルデにお会いできて光栄です、あとこちら副長の・・・」

「ヴィルヘルミーナ・ブラウンシュヴァイク・インゲノール・フリーデブルクです。」

こちらは幾分か緊張して挨拶をするミーちゃん、と言うか彼女の反応が普通らしい。

何しろハンター達にとってはブリュンヒルデの名は絶対だから、姉さんがそう話していたのを思い出す。

「お久しぶりです織斑ギルド長、今回の件、感謝を伝える様にと南方海ハンターギルドの長より言付かっています。」

ラウラ艦長が続けて挨拶をする、まあこちらは旧知の仲だから前と変わらない。

「ああ、ボーデヴィッヒも元気そうでなによりだ、ハルフォーフもな。」

「はい織斑ギルド長、ありがとうございます。」

ラウラ艦長同様にハルフォーフ副長も何事も無い様に答える。

「更識艦長もご苦労だったな、ああ相川副長もだが。」

織斑ギルド長は私と相川副長にもそう言ってくれる。

「依頼を果たしただけです織斑ギルド長。」

「あ、あのありがとございます千冬様・・・ってすいません!!」

相川副長の言葉に織斑ギルド長の視線がきつくなる、その呼び名を彼女は嫌っているからだ。

まほろばの副長である相川 清香は、私と違って女子海洋学校卒業では無く、ハンターギルドの養成学校の出身だった。

元々ハンターを目指していた事もあって織斑ギルド長を崇拝しているらしく、時々こう呼んでしまうらしい。

「ギルド長、ここで立ったままと言うのもクロイツェル艦長達も困るでしょうから。」

余りうちの副長を責められるのを見ているのも心苦しいのでそう助け舟を出す。

「・・・そうだな、失礼をしたなクロイツェル艦長。」

「いえ大丈夫です織斑ギルド長。」

テア艦長は微笑んで織斑ギルド長の謝罪に答えると私を見る、多分私の意図を察してくれた様だった。

「では皆こっちへ来てくれ。」

織斑ギルド長を先頭に私達がギルドの奥へ入って行く。

 

ハンターギルド・第3会議室

並べられた机にシュペーとレーゲンの艦長と副長が座り、その対面に私と相川副長、織斑ギルド長が座る。

「失礼します織斑ギルド長、資料をお持ちしました。」

そこにノックして入って来たのは、ギルドの事務を仕切る山田 真耶だった。

そうISで織斑 一夏達のクラス副担任だった女性だ、こっちの世界では織斑ギルド長の片腕を勤めている。

「ありがと山田君、何時も助かるよ。」

「いえ、ギルド長のお役に立てて光栄です。」

織斑ギルド長にお礼を言われ舞い上がってしまう山田 真耶に私達も苦笑する。

「それでは失礼します。」

私達のそんな苦笑に気付く事無く山田 真耶は出てゆく。

「では始めようか、まず・・・」

「織斑ギルド長、その前に提案があるのですが。」

始めようとしたギルド長にテア艦長が声を掛けて来る。

「提案?聞こうじゃないかクロイツェル艦長。」

怪訝な表情を一瞬浮かべたが織斑ギルド長は頷いて促す。

「頂いたデータを検討する事はそれなりに重要だとは認めますが、あくまでそれはデータです。」

淡々と織斑ギルド長を見ながら話すテア艦長、それを見ながらラウラ艦長は「また始まったか。」と言って溜息を付く。

「私は実戦に勝るものは無いと考えます、それによって得られるものは大きいですからね。」

それを聞いて織斑ギルド長はラウラ艦長と同じ様な溜息を付いて見せる。

「それは実際にシーサーペントとの戦いを見せろと言う事かクロイツェル艦長?」

なるほどテア艦長の言いたい事を私もギルド長同様理解する事が出来た。

「その通りです織斑ギルド長、幸いにもここには最適な人間がいます。」

そう言ってテア艦長は私を見る、つまり見せてみせろと言いたいらしい。

「クロイツェル艦長、それは我がギルドからの指示にありません、それを理解されていますか?」

ラウラ艦長はテア艦長にそう言って咎める様に言ってくる。

「クロイツェル艦長はそんな事理解されている、ボーデヴィッヒ艦長。」

テア艦長ではなくミーちゃんが不満そうにラウラ艦長に言い返してくる。

そんなミーちゃんを制止しながらテア艦長はラウラ艦長に答える。

「こちらでの行動についてはギルド長から必用に応じて変更しても構わない旨承諾を得ている。」

「あの狸が。」

テア艦長の答えにラウラ艦長は溜息を付くと、そう言って押し黙る。

「そちらの言いたい事は分かった、しかしボーデヴィッヒ艦長の言う通り私はそんな話を向こうから聞いてはいない。」

織斑ギルド長は目を細めるとテア艦長を見つめながら答える。

「前例が無いと?ブリュンヒルデとは思えない発言ですね。」

挑発しているのだろうかテア艦長は?織斑ギルド長はそれに肩を竦めて見せる。

「・・・分かった、更識艦長は構わないのか?」

それに対し私もギルド長の様に肩を竦めて答える。

「私は別に構いませんよ、クロイツェル艦長の言われる事も理解出来ますから。」

「艦長?」

私の返答に相川副長が驚いた声を上げる。

「簪艦長らしいな、まあ答えは分かっていたが。」

「はい艦長、まったくその通りだと思います。」

ラウラ艦長とハルフォーフ副長の2人は苦笑しつつ顔を見合わせて言う。

「それでは決まりですね、織斑ギルド長もよろしいですね。」

「更識艦長が承諾したなら別に何も言わん・・・但し彼女の指示には従ってもらうぞ。」

テア艦長の確認に織斑ギルド長はそう言って釘をさしてくれる。

「それについては了解しました、更識艦長、期待している君の指揮に・・・」

微笑みながら手を出してくるテア艦長、つまり期待を裏切れば指揮に従うつもりは無いと言う事らしい。

「失望させない様に全力を尽くしますクロイツェル艦長。」

そう言って私は出されてきた手を握り握手する。

「我々の方もよろしく頼む簪艦長。」

ラウラ艦長もそう言って握手を求めてくる・・・それは良いのだけどミーちゃんがかなり驚いた表情を浮べているのは何故なのだろうか?

兎も角、私はまほろばとシュペー、レーゲンによる艦隊の指揮を執る事になったのだった。

 

翌日ギルド専用埠頭

AM11:00

シュペーとレーゲンが停泊している所にまほろばも臨時に停泊していた。

既に燃料や弾薬の補給が行なわれており、まほろばとレーゲンは間も無く終わるのだったが・・・

「シュペーはあと40分程掛かるとの事です艦長。」

主計班の娘がまほろばの補給終了の報告と共に伝えに来てくれている。

「あっちは大型艦ですから仕方がありませんね、相川副長、こちらの出航準備は進めて下さい。」

「了解です艦長。」

相川副長は私の指示を受けると各部との連絡の為、艦内放送器に向かう。

「航海長、予定の進路ですが・・・」

航海長に予定進路を確認しようとした私だったが、艦内通話器のコール音に言葉を止める。

「すみませんちょっと待って下さい、はい艦長です。」

待ってくれる様に航海長に言って、私は受話器を取り答える。

『通信室です、シュペーの艦長から通信が入ってます。』

「シュペーからですか?」

一体何の話しだろうか?作戦に関しては洋上に出たところで説明する手はずだったのだが。

「・・・分かりました繋いで下さい。」

『はい艦長。』

通信室からの通話が切れ、接続時の雑音の後、テア艦長の声が聞こえてくる。

『出航前の忙しい時に失礼する更識艦長。』

「いえそれは構いませんが、何か御用ですかクロイツェル艦長。」

テア艦長の挨拶に答えると用件を尋ねる私。

『何、簡単な事なんだが、更識艦長は今回の作戦指揮を執る、つまり艦隊指揮官だ。』

言葉に何かを含んだ感じがして私は繭を顰める、大概こんな時は厄介事と相場が決まっているからだ。

『そこでだ更識艦長、我がシュペーの乗員達に一言欲しいと思ってな、そちらも忙しいかもしれないが、お願い出来ないだろうか。』

「・・・・」

テア艦長は私を試しているのだろうかとその時思った。

「訓示をしろと言う訳ですかクロイツェル艦長?」

『まあそういう事だ更識艦長。』

簡単に言ってくるが、私はまほろばの乗員の娘達にした事はあっても、他の船の乗員達になんて経験は無い。

『無理かな更識艦長。』

「・・・・」

一体テア艦長は私の何を知りたいのだろうか?・・・出航準備で忙しいと言って断る事も一瞬考えたのだけど。

「分かりました私で良ければ。」

『うむ、それではこの無線を艦内放送に繋ぐ、あとシュヴァルツェア・レーゲンの方でも聞くそうだから、そちらともな。』

レーゲンのラウラ艦長も絡んでいるらしい、いやテア艦長は最初からそのつもりだったのだろうと私は思った。

『・・・レーゲンと・・・向こうの・・・分かった・・・』

シュペーの方でレーゲンとの無線接続を指示している声が受話器越しに聞こえる。

『こちらの準備は終わった、更識艦長、それでは頼む。』

私は一息付くと何を話そうか考えた・・・その為、相川副長が何か指示している事に気付いたものの、深く追求しなかった。

「お早うございます皆さん、まほろばの艦長更識 簪です、突然こうなって・・・」

そこまで言って私は、自分の今しゃべっている声が艦内からも聞こえている事に気付いて相川副長を見る。

目が合った瞬間視線を逸らす相川副長、どうやら私の声が流れているのはシュペーとレーゲンだけでなく、まほろばの艦内でもらしい、犯人はずばり彼女だろう。

「・・・困惑されていると思います、私もそうですから。」

兎も角、私は話を続ける事にする、相川副長に関してはこれが終わった後でだ。

「まあ今日会ったばかりの私を信じろとは言いません、そんな事は難しいですから。」

そこで間を空けてから私は話を続ける、ここから先は私が何時もまほろばの乗員皆に言って事だ。

「ですから皆さんは自身の責任を果たして下さい、そして1人も欠けず港に戻りましょう、生きて帰り再び戦いに向かう、そう出来る事が最大の戦果だと思うからです、以上です。」

受話器を戻し私は息を付く、正直言って緊張させられた、本当にテア艦長は何を考えているのだろうか?

南方海ではその幼い容姿とは裏腹に、多くの戦果を上げている歴戦の艦長と織斑ギルド長には聞いていたのだけど、そんな彼女が一体私の何処に興味を引かれているのか正直言って分からなかった。

「流石艦長ですね、素晴らしい訓示でした、私は深く感動しました。」

まあその問題は今は置いて良いだろう、それよりも傍らで白々しい事を言っているこの副長殿をどうしてあげようか。

「相川副長、当直が終わったら艦長室へ来て下さい、2人でゆっくり話しましょう、ああ心配しなくても次の当直前にちゃんと開放してあげますから。」

多分かなり怖い笑みを私は浮かべているんだろうなと思いつつ相川副長に言う。

「え、それって私の休憩時間は・・・いえ分かりました艦長。」

抗議しかけた相川副長だったけど、私の笑みを見て観念した様だった、まあ私の知らないうちにあんな事をしたのだから反省して貰わないと困る。

「シュペーの補給が完了しだい出航します、相川副長お願いしますね。」

「・・・はい艦長。」

相当落ち込んでいる様だったが、実はそれ程私は怒っている訳ではなかった、相川副長もまほろば乗員の娘達の士気を高めたかったからと理解はしているからだ、だから話しをすると言っただけで説教をするつもりは無い。

久々に彼女とゆっくりと話をするのも良いと思ったのだ、出航前に皆のお気に入りのケーキ店で買ったケーキでも食べながら・・・

そんな私の思惑も知らず落ち込みながらも指示を出す相川副長。

彼女に悪いと思いながらも内心にやにやしてしまう私だった・・・もっとも後で思考と行動が完全に女の子だと気付き、暫らく落ち込んでしまった私だったが。

 

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