「ある妹達の会話」
「束さん今度の改装の・・・」
ドック事務室に入って来た私はそう声を掛けようとして、そこに居るのが束さんで無い事に気付く。
自分と同じ年頃の少女、私の声に振向いた彼女を見て私は内心驚く。
長身で長い黒髪をポニーテールにしている少女・・・もしかして彼女はあの娘?
「姉に用があるのか?申し訳ないが今席を外しているんだ。」
「いえ、約束があった訳でなないので構わないですが・・・」
喋り方や声もアニメそっくりだ、そんな彼女は私の反応に気付いて自己紹介をしてくる。
「ああ失礼した、私は篠ノ之 箒、ここのドック責任者である篠ノ之 束の妹だ。」
やはり彼女だった、ISヒロインの一人して織斑 一夏のファースト幼馴染みの娘だ。
「束さんの・・・私は更識 簪といいます。束さんには艦の事で色々お世話になっています。」
すると私の自己紹介を聞いた篠ノ之 箒が、じっと見つめて言う。
「じゃあ君が姉の言っていた北方海の守護天使なのか?」
「・・・まあそう呼ばれているのは確か、えっとどうしてそれを?」
私の二つ名である北方海の守護天使はこの海域の関係者ぐらいしか知らないと思っていたので、ちょっと驚く。
「っとすまない、姉が手紙によく書いてきてくるので名前を覚えてしまった。」
肩を竦め微笑んで彼女は答える、こう見ると本当に凛々しい少女な事がよく分かる。
アニメでも織斑 一夏に関わらなければそんな感じだった事を思い出す。
そう言えば彼との関係はこの世界でもファースト幼馴染みなんだろうか?
「そうなんですか、それは少し恥かしいですね。」
束さんが手紙に書いていたと言うのは知らなかった。
まあ束さんに妹が居て、「とても可愛いのよこれが!あ、もちろん簪ちゃんもだけど。」と言う話は結構していたけど、手紙に書かれていたとは初耳だった。
「恥かしがらなくてもいいと思うが、姉は可愛いくて格好いい娘だと書いていたぞ。」
そう言われたら余計恥かしいです篠ノ之 箒さん、というか妹宛ての手紙に何書いているんですか束さん。
「ところでうちの姉が色々迷惑と掛けていないだろうか?」
ちょっと心配そうな表情を浮かべ聞いてくる篠ノ之 箒さんに私は苦笑しながら答える。
「それはまあ・・・でも頼りにしている方ですよ。」
暴走しなければだけど・・・
「そうか、色々すまんな・・・あれでもう少し真面目にやってくれれば尊敬できるんだが。」
どうやら彼女も姉の事で悩んでいる様だ、その辺私にも覚えがあるので同情してしまう。
「ふふふそうですね、そう言えば束さんはどうされたのですか?」
私の質問に篠ノ之 箒さんは困った表情を浮かべ答えてくれる。
「クロエさんが突然来て『束様、今日という今日は許しません。』と言って連れ出していった、姉は『助けて箒ちゃん。』と言っていたが、彼女の迫力に止められなかった。」
束さんまた何かクロエさんを怒らすことしたんだろうか?ほんと懲りない人だ。
「そうですか・・・まあ何時もの事ですから気にしなくてもいいですよ。そう言えばクロエさんの事も知っているんですね。」
「ああ、そっちも手紙で。もっとも本人だと知ったのは、姉が連れていかれた後だったが。」
事務室に居た職員の人に教えられた、と篠ノ之 箒さん。
「まったくあの人は何をやっているんだか・・・傍に居られないから心配でしょうがない。」
深い溜息を付いて彼女は肩を落とす。そんな彼女に同情しつつ私は気になることを聞いてみる。
「篠ノ之さんは普段はどうされているんですか?」
束さんの話では遠くに行っているとは聞いていたのだけど。
「中央海のドックで技師を目指して勉強中の身だ。将来は姉の様になりたいからな。・・・姉は性格は別にして技師としては優秀な人だからな。」
「なるほど・・・お姉さんの様な技師を目指してですか。」
「そんなところだ、なれるかどうかはまだ分からないがな。そう言えば君にも姉がいると手紙に書いてあったが。」
「ええ、私の所属する商会の会長をやってますよ。」
どうやら姉の事も手紙で紹介済みらしい。
「私達とそう年が変わらないというのに・・・君の姉さんも優秀な人らしいな。」
「そうですね会長としては優秀です、でもそれ以外では困ってしまう事も多々ありますけど。」
そんな答えに篠ノ之 箒さんは気になったのか聞いてくる。
「君も姉の事で苦労しているのか?手紙では妹の事をとても大事にしていると書かれていたが。」
「大事にしてくれるのは嬉しいですが、その・・・色々過剰なんです愛情が。」
ああなると、普通の姉が妹に持つ愛情とは次元が違うのでは無いかと思ってしまう。
「・・・そうか、まあうちの姉もそういうところがあるかもしれないな。」
「お互い苦労しますね篠ノ之さん。」
「そうだな・・・っと私の事は箒と呼んでくれ、君は姉とは親しい様だからな。」
二人揃って溜息を付いた後に彼女が言ってくる。
「分かりました、それでは私も簪と呼んで下さい。」
「そうさせてもらう、改めて宜しく簪。」
「はいこちらこそ箒さん。」
私達は微笑みながら改めて挨拶を交わすのだった。
その後、お互いの姉の愚痴や、私の仕事の事とか箒さんのドックでの勉強の事など話した。
そうしている内に束さんがお仕置きを終えたクロエさんと帰って来た。
「あ、いらっしゃい簪ちゃん・・・ふ~ん箒ちゃんと仲良くなったみたいだね、いい事だよ。」
嬉しそうに箒さんに抱きつく束さんに、私は苦笑し、箒さんは赤くなりながらも迷惑そうな表情を浮かべる。
「まったく・・・クロエさんのおしお、いや話は終ったのか?」
「うん、何時もながらクーちゃんの愛がこもった・・・」
「そんな物込めた覚えはありませんが・・・簪様いらっしゃいませ、お迎えできず申し訳ありませんでした。」
冷たい視線を束さんに向けながらクロエさんが挨拶してくる。
「うんお邪魔してますクロエさん。」
何時もの光景に苦笑しつつ私はクロエさんに挨拶を返す。
「それではお茶を用意してまいります、紅茶でよろしいですか簪様、箒様?」
「「はい。」」
私と箒さんの返事にクロエさんが微笑みながら紅茶の準備を始め様とする。
「クーちゃん、束さんは・・・」
「束様はドックの水でよろしいですね?」
相変わらずクロエさんは束さんに情け容赦なかったが、私も箒さんも気にしなかった。
その後は皆クロエさんの入れてくれた紅茶を飲みながら話をした。
何かと構おうとする束さん、迷惑顔ながらも嬉しそうな箒さん、二人は本当に仲のいい姉妹だった。
なお、二人はこの後に一緒に出かけるらしい、箒さんの都合で明日には中央海に帰らなければならないので食事でも行くとの事だった。
「それでは楽しんできて下さいね。」
私はそう言ってその場を辞した。
家へ帰りながら離れ離れに暮らすあの姉妹を思う、アニメと違いまったく会えない訳ではないが、やはり寂しいだろうとは思う。
そう考えれば、何時も一緒に居られる私達は、仮初の姉妹かもしれないが、幸せなのかもしれない。
だったら大切にしてあげないと、私は思ったのだけど・・・
「簪ちゃんお帰り、お姉ちゃん寂しかったわ。」
姉は裸エプロンいやこの場合は水着エプロンで迎えてくれました・・・
小一時間私が姉を説教したのは仕方が無かったと思う。
19:15
ドック訪問終了。
束さんと箒の二人の姉妹も好きですね、原作やアニメではあまり幸せな関係には
描かれていない印象を私は受けているのですが。
まあそれだったら私の作品の中くらい仲のいい幸せな姉妹したいかと。