黒兎と灰の鬼神   作:アマシロ

29 / 33
昨日ぶりに続いての更新となります。

閃ⅣのEDの致命的なネタバレを含みます。


その26:黒兎と灰の騎神

 

 

 

 

 

 転移してきた<黒の騎神>。

 通常の起動者の搭乗を待たずに現れたそれは、完全に<黒の史書>が崩壊しつつあることを感じ取っているが故の焦りであり、同時にその好機―――アルティナを失えば、リィンが容易く呪いに飲まれるということへの確信でもあった。

 

 

 

 

 

 

「――――――ぇ」

『―――――――コレデ、ワタシノモノダ』

 

 

 

 

 

 だが―――――全て知った上でこの場に立った剣聖が、その程度で出し抜かれるというのは<八葉一刀流>を、その後継たるリィン・シュバルツァーを舐めすぎていた。

 

 

 

 

 

『ああ、そうだな――――――この瞬間(とき)を待っていた』

 

 

 

 

 <黒>の声の力、“贄”としての衝動に抗うリィンが、小さく嗤う。

 振り下ろされる<黒の騎神>の剣はしかし、駆け抜けた銀の閃光に阻まれる。

 

 

 

 

 

『我は<鋼>――――全てを断ち切る者! <聖技・グランドクロス>!』

 

 

 

 

 

 それこそは、かつて獅子戦役を駆け抜けた騎神にして聖女の駆る<巨イナルチカラ>の一片。<銀の騎神>アルグレオンの槍が、<黒の騎神>イシュメルガが磔にする。

 

 

 

 

『バカナ―――――ナゼ、貴様ガ此処ニ……』

『今は語る口など持ち合わせてはいません。――――――耐えてみなさい』

 

 

 

 

 

 放たれるのは、伝説にすら語られる<聖女>の武威。

 眩くも神々しいばかりの極光が炸裂し、吹き飛ばされたアルティナをいつの間にやらヴァリマールから降りていたリィンが抱きとめる。

 

 

 

 

「大丈夫か、アルティナ」

「リィンさん!? ――――い、一体何が――――」

 

 

「まさか普通に終わるとは思っていなかったからな―――――少し伝手を頼った」

 

 

 

 <銀の騎神>は奥義を叩き込まれて膝から崩れ落ちたイシュメルガに馬上槍を突き込み、パイルバンカーの如きその内部機構が炸裂。いつぞや粉々になった神機αのように容赦なく追撃した。<核>に届く風穴を開けられたイシュメルガはしかし、それでも剣を振るって黒い風を起こし、強引にアルグレオンを引き剥がす。

 

 

 

 

 

『巫山戯ルナ―――――予定ドオリ死ニ、生カサレタ聖女ノ分際デ――――!』

『さて。私だけだと言った覚えはありませんが』

 

 

 

 

 その言葉に応えるように、イシュメルガを背後からの焔が襲う。

 

 

 

 

『俺を圧倒してくれそうではあるが―――――なんつーか、イマイチ燃えねえ(・・・・・・・・)な。今日のところは満足してんだ。気分よく帰らせろや』

 

 

 

 

 黒い焔――――ゼムリアの常識の通じない、理外の焔。<火焔魔人>がイシュメルガの翼を焼き尽くす。

 

 

 

『ま、迷惑料代わりだシュバルツァー。派手に燃やしてやろうじゃねーか』

「正直助かる。……燃えないゴミも、アンタなら燃やせそうだからな」

 

 

『ハッ、俺を焼却炉扱いするんじゃねぇよ。だがまあ―――――前からデカブツを燃やしてみたいとは思ってたぜ』

 

『フザケルナ―――――余所者ゴトキガァァアア!』

 

 

 

 

 騎神の中でも最強を誇った<黒>の翼が、あり得ざる高温で歪み、融ける。

 焦ったように禍々しい剣でマクバーンを狙う<黒の騎神>だが、対抗するようにマクバーンもアングバールを引き抜き―――――。

 

 

 

 

『アァ? ……ちっとばかしキツイか』

「ならば、助太刀させてもらおう――――――絶技・洸凰剣!」

 

 

 

 

 <光の剣匠>に、<火焔魔人>。

 本来であればまだ相容れることのない両雄が並び立ち――――なお互角。異能という面ではマクバーンが群を抜き、技術ではヴィクター・S・アルゼイドが群を抜く。しかし純粋な破壊という点において、ヒトの身で騎神に挑むというのは無謀が過ぎる。むしろ互角であることを称えるべき局面で――――。

 

 

 

『ったく、俺は疲れてるんだしなんとかしてくれ。<鋼>でも<灰の小僧>でもいいが―――』

「ふむ。だが、その必要はないかもしれぬな」

 

 

 

「ええ、お任せいただきましょう。師よ―――――王技・剣乱舞踏!」

『バカナ――――!?』

 

 

 

 

 

 

 飛び込んできた<黄金の羅刹>の放った戦技が均衡を崩す。僅かに浮き上がったイシュメルガの腕を、アングバールと洸凰剣が斬り裂く。

 狂ったように武器を振るうイシュメルガだが、アルグレオンはそれを軽くいなして鋭い一撃を与え。それをじっくり炙るマクバーンを守るように帝国最強の剣士二人が剣を構える。

 

 

 

 

 

『―――――ガァアアアッ! 何ヲシテイルノダ、起動者ヨ――――疾ク我ニ乗リ込メ!』

 

 

 

 

 

 どうしようもない劣勢に焦った<黒>は、己の契約者を呼びつけ――――。

 低く艶のある声が、それに応える。

 

 すなわち、ギリアス・オズボーン。

 <鉄血宰相>が、煌魔城の入口側。アルグレオンとオズボーンでイシュメルガを挟むようにして立っていた。

 

 

 

 

「やれやれ、人使いの荒い―――――だが、困ったな。<(ケルン)>に穴が空いていては如何に私といえども役目を果たせそうにない―――――契約が果たせず、実に心苦しいがね」

 

『……私の方を見て言わないでもらえますか。貴方の提案通りでしょうに』

 

 

 

 どこか軽やかに言うアリアンロード――――リアンヌに、オズボーンは肩を竦めて応える。

 

 

 

「さて、な。私は『もしもケルンに穴が空いては契約を果たせず辛い』と最悪の事態を相談していたに過ぎん――――無論、実行されてしまったのは痛恨の極みだが。逆に問おう、どうやって私が乗り込むのだね?」

 

『ドライケルス……貴様―――――赦サヌ、絶対ニ赦サヌゾ――――!』

 

 

 

 

 

 噴出する怨念が、怒涛の勢いでオズボーンに迫る。

 が、せき止めるように放たれた魔術による焔と、“匣”がそれを許さない。

 

 

 

 

「――――ええい、馬鹿者どもが! ヒトを除け者にしおって――――しかも勝手に勢揃いして、力を貸せとな!? もっと早くに頼めというのだ―――!」

 

「いやぁ、僕も教官として鼻が高いですねぇ」

 

 

「婆様!?」

「……って、トマス教官かよ!?」

 

 

 

 <緋のローゼリア>に、聖杯騎士団の<匣使い>。

 それぞれ唖然とするヴィータとクロウを尻目に、アルティナを抱えたリィンはそのまま<緋の騎神>近くの足場に飛び移り、クラウ=ソラスとアルティナに目線をやってから言った。

 

 

 

 

「……すまない、アルティナ。もう一度だけ頼めるか?」

 

「――――はいっ!」

『………了解です』

 

 

 

 

「『リミット開放、トランスフォーム――――――ブレイブモード!』」

 

 

 

 アルティナがクラウ=ソラスに向けて手を掲げ、眩い煌きと共にその姿が一振りの刀に変わる。

 

 

 

 

「『―――――虚無の剣(アロンダイト)!』」

 

 

 

 

 ふらついたアルティナをリィンが抱きかかえるようにして支え、刀を構える。

 眼前にはテスタ=ロッサ―――――呪われし<緋の騎神>。

 

 蒼い煌きを湛える黒刀を手に、瞑目。

 全てが闇に覆われた視界の中で、感じるのは自らの生命と、魂。抱えた温もりと、眼前に鎮座する巨大な存在の煌きと―――――それに巣食う黒い呪い。

 

 

 

 

「天然自然―――――八葉を以て万象を識る―――――<零ノ太刀・無銘一閃>」

 

 

 

 

 その、黒き呪い“のみ”を一刀で斬り捨てる。

 万象を識り、斬るべきもののみを斬る。本来であれば刀すらも完全に己の一部とした剣聖が放つべきその業を、“刀そのもの(アルティナ)”と意思を一つにすることで擬似的に再現する。

 

 

 

 

 

『ガアアアアアッ!? 何故ダ――――何ナノダ、コノ痛ミハ――――我ニ傷ヲツケルコトナド不可能ナハズ――――!』

 

 

 

 

 

「帝国の闇を斬り裂く一閃―――――全く、本当にユン老師には敵わないというか」

 

 

 

 呪いの一部を斬り裂かれたのを感じたのか、イシュメルガを操る<黒>が悲鳴をあげる。

 

 目で見えないもの、斬れるはずのないものを斬る<無>の型―――――かつてそうあれと手紙で伝えられ、実際にそのための剣技を身につけるに至った。どこまで“識って”いるのやら、飄々とした師匠に僅かに笑みを浮かべたリィンが、アルティナの頭に優しく手を置いた。

 

 

 

 

 

「ありがとう、アルティナ。これで全て終わらせることができる――――君のお陰だ」

「リィン、さん――――」

 

 

 

 温かい想いに応えるように、自然な笑顔を浮かべたアルティナに背を向けて、リィンはイシュメルガへ―――――<黒の騎神>に向けて跳ぶ。

 

 

 

 

 

「本当にありがとう――――ずっと、俺を支えてくれて。最高のパートナーだった。きっと、もっと多くのことを学んでいけるはずだ。だから――――さようならだ、アルティナ」

 

「……リィン、さん?」

 

 

 

 

 

 一歩一歩、前に進みながら刀を構える。脳内に語りかけてくるのは、かつても共にイシュメルガを討ち果たした未来のアルティナで。

 

 

 

『―――――やっぱり、不埒ですね』

「……いや、他に手がないんだから勘弁してくれ……」

 

 

 

 

 

 焦ったがために<黒の騎神>を自ら操った帝国の呪いの塊とでも言うべき<黒>は、<銀>と<火焔魔人>、<緋のローゼリア>と<匣使い>によって封殺されている。

 

 そして至るべき<鋼>は、“最初から手の内にある”。

 

 

 

 

「来い――――“<鋼の騎神>”、ヴァリマール!」

『任セルガイイ―――!』

 

 

『―――――何故ダ』

 

 

 

 

 

 それは、<鬼の力>がリィンの意思によって解き放たれるように。

 

 力を温存していたヴァリマールが、真の姿を解き放つ。未来において全ての相克を越え、ほぼ<鋼>と言って良かったヴァリマールが過去に戻り、吸収していなかった<蒼>を打倒したことで――――<真の鋼>に至った姿。

 

 

 

 未来にて呪いを受け、大気圏外に出るしか無かった<黒キ鋼>とでも言うべき姿ではあったが――――この瞬間、この次元に<灰>と、<蒼>を除いて二体の騎神が同時に存在するという矛盾が発生する。

 

 

 如何に元が至宝といえども、いや、至宝を分割したものだからこそ。同時に同じものが二つ存在することはできない。

 ならばどうなるか―――――混ざるか、消えるか。その二つに一つ。

 

 

 

 そしてこの場合――――より強い力を持つ<鋼>にこそ、どちらを選ぶかの選択権がある。

 

 

 

 

『―――――何故ダアアアアアァァァァッッ!』

 

 

 

 

 消えていくイシュメルガに取り残されるようにして現れた呪いの塊――――<黒>が、<鋼>となったヴァリマールに取り憑こうとするが、既に完成されたものにあとから付け足す余地などない。

 

 自らが<鋼>になるには、錬成されるその時には中に紛れていなければならなかった。弾かれたその<黒>に、リィンは冷酷な目を向けて呟いた。

 

 

 

 

「俺の大切な人達に、これ以上手は出させない。だから――――――ホロビヨ』

 

 

 

 

 焔が刀に宿る。

 未来で<鋼>としてあらゆる呪いを引き受けて研磨されたリィンの太刀は、ただ<鋼>に至ることのみを望んだ<黒>などよりも遥かに鋭い。

 

 

 

 

 

 

『終ノ太刀――――<無明一閃>』

 

 

 

 

 

 それは、呪いという無明を斬り裂く純粋な一閃。

 <守る>というリィンとアルティナの想いが凝縮された一撃であり、それこそ枯れ葉を斬り裂くようにあっさりと消えた<黒>を顧みることなく、溢れる黒い呪いの力から遠ざけようとするかのように刀を地面に置こうとし。

 

 

 

 

『――――こんな身体のまま置いていかれても困るのですが』

 

 

 

 

 思念体として、半ば幽霊のように現れたアルティナにリィンは僅かに驚いたように“灼眼”を見開いた。

 

 

 

 

「……いや、てっきりもうクラウ=ソラスから出られないのかと思っていたからな」

『ややこしそうなので大人しくしていただけです。ちゃんと責任を取って私も連れて行って下さい』

 

 

 

「――――息子よ。責任はキチンと取るのだぞ」

「いや、絶対分かっているだろうアンタは黙っててくれ……」

 

 

 

 茶化すように言う、<黒の騎神>が<鋼>に統合されたことで既に消えかかっているオズボーンにリィンはどこか疲れたように言い。

 

 

 

「ふむ……リアンヌ、息子が反抗期なのだが――――」

「……リィン・シュバルツァー。このヒトは結構天然なところがあります」

 

 

 

 と、同じく消えかけているリアンヌことアリアンロードが柔らかい笑顔でフォローするのはとんでもなくシュールだったのだが、そこに泣きじゃくる幼女 (にしかみえない)ローゼリアが混ざって更に混沌としてきた。

 

 

 

「ふ、ふざけるでないぞ!? 何故もう消えかかっておるのだ! もう少し待て、せめてあと10年くらい妾の愚痴を聞いてから逝かぬかぁ!」

 

「おお、ロゼ。……少し縮んだか? 好き嫌いは治っていないようだが、ちゃんと食べると良い」

「あるいは、貴方の手料理なら食べるやもしれませんが」

 

 

 

「なぬ!? ……そ、それは少し食べてみたいような――――…いや、やっぱり無理じゃな。って、なおさら消えるでないわこのたわけー!」

 

 

 

 

 毒気を抜かれたリィンは、少し思うところもあったため仕方なくアルティナの虚無の剣を抱えてヴァリマールに乗り込み――――。

 

 

 

 

『そろそろ限界だ――――頼む、ヴァリマール』

『うむ。大気圏外まで任せるがいい――――』

 

 

 

 

 <鋼>が完成していなければ、今のリィンでも呪いを断ち切れる。

 しかし、一度未来で完成した呪いに関してはどうしようもない。だから、誰にも迷惑をかけない遥かな空にヴァリマールごと持っていく――――。

 

 

 

「待って―――――いかないで――――リィンさん!」

 

 

 

 緋の騎神の前の足場から身を乗り出すようにしてヴァリマールに手を伸ばすアルティナに、リィンは一度完全に解き放ったことで制御できなくなりつつある自身の“贄”としての呪いを顧みつつ淡く微笑む。

 

 

 

「ごめんな、アルティナ―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『その必要はないわ――――!』

 

 

 

 

 

 ARCUSが、音を立てて鳴っていた。

 “Ⅶの環”の専用着信音―――――どれだけ離れていても繋がる、アーティファクトを利用した通信。

 

 

 ARCUSⅡになってから実装された、今はまだなるはずのない音が鳴っていた。

 

 

 

 

『―――――聞こえていますか、リィンさん! 今、<時の至宝>を使ってそちらに干渉しています!』

「……エマ?」

 

 

 

『聞くがいい、リィン。呪いを引き剥がすには聖獣の力を借りるより他にないらしい。そして、まだ聖獣が生きているその時間ならば可能だ』

『……ユーシス』

 

 

 

『既に必要な協力は要請してある――――だから、諦めるんじゃない!』

『マキアス……』

 

 

 

『……離れていたって、家族は助け合うものでしょ?』

『フィー……』

 

 

 

『きっと大丈夫、リィン達なら……リィンと、僕たちⅦ組なら!』

『エリオット……』

 

 

 

『必ずや、リィンを助ける翼になってみせよう』

『ガイウス……』

 

 

 

『だから、共に前に進むがよい』

『……ラウラ』

 

 

『ま、そういうわけだ。いい加減諦めろよ、リィン』

『クロウ……』

 

 

『だって、僕たちが揃えば―――――』

『……ミリアム』

 

 

 

 

 

「「「「「「「「「「きっと、できないことなんて無いんだから!!」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 ARCUSを輝かせ、激しい戦闘でボロボロになった制服を着たⅦ組の仲間たちが煌魔城の最上層に集う。疲労困憊で、一騎当千の腕なんて無くて。ぶつかり合って、背中を預けて、ずっと共に歩んできた仲間たち――――。

 

 

 

 

『みんな、どうして……』

 

 

『決まっているじゃないですか、リィン教官!』

『それが、教官の築き上げてきたものです』

『私達も、リィン教官のことが大好きですし』

『ハッ、すかした態度を取ってきた分、大人しく返されるんだな』

 

 

 

 新Ⅶ組の声に応えるように、更に新たな声が響く。

 

 

 

 

「贄により古の血が流れし時、<黒キ聖杯>への道は開かれん―――――ならば、開いてもらおうじゃないか!」

 

 

 

 薔薇が舞う。真紅の薔薇――――陽気な声と共に降り立った皇子、オリヴァルト・ライゼ・アルノールが、床に突っ伏してるカイエン公の手にナイフを握らせると指先を軽く切って血を流す。

 

 たまたまというか、ついさっき贄としてセドリック皇太子を<緋の騎神>に乗せようとしたカイエン公は条件を満たしており――――――煌魔城という内戦の歪みが集中している場所であったこともあり、<巨イナル黄昏>を起こそうと<黒キ聖杯>が顕現する。

 

 

 

 

 

 それはさながら、<黒キ聖杯>が解けた時の逆回しのように――――いきなり名もなき聖獣の眼前に放り出された面々はしかし、慌てることなくリィンを見つめた。

 

 

 

 

「……困ったな。その、正直確実に成功できる技じゃないんだが」

 

 

 

 どこか居心地が悪そうに、虚無の剣を持ってヴァリマールから出てきたリィンに、消えかけのオズボーンが語りかける。

 

 

 

「なに、リィンよ。何度でも試すが良い―――――消えかけではあるが、その程度は務めを果たそう」

「……ありがとう、ギリアス父さん」

 

 

 

「では私も、及ばずながら力にならせてもらいましょうか」

「百人力ですよ………ありがとうございます、リアンヌさん」

 

 

 

「ならば妾も頼るがよい、リィン・シュバルツァー」

「ありがとう、ロゼ」

 

 

「なんで妾に一番砕けておるんじゃ……!?」

 

 

 

 

 

 そうこうしている間に、涙で目を真っ赤に腫らしたアルティナがリィンの前に立つ。

 今しがた置いていこうとした身として、何というべきか迷うリィンに、アルティナはミリアム同様の見事なタックルを決めつつ、ジト目で消えかけの虚無の剣を見つつ言った。

 

 

 

「―――――“私”も消えるつもりだったんですね」

 

 

 

『……ええ。同じ時間に同じ人物は二人はいられません――――クラウ=ソラスのふりを止めれば、わたしも消えます。元々死んでいる身ですし』

 

 

 

「では―――――…リィンさんをなんとかするために、協力してください」

『それは――――後悔しませんか?』

 

 

 

 

 このアルティナと、未来のアルティナは別人で。

 具体的にはリィンにラヴがあると思っていたり、ラヴはないと思っていたりする。だから、混ざり合ってしまえばどうなるか分からない、と未来のアルティナは言う。

 

 

 

「構いません―――――これからも、リィンさんを傍で支えられるなら」

『そう、ですね。……本当に、仕方のない人ですから』

 

「……なんだかものすごく恥ずかしいんだが」

 

 

 

 実の父親の前で、なにやらものすごい恥ずかしいやり取りを抱きつかれながらされたリィンは流石に若干いたたまれない気持ちになりつつ、一つになったことで煌きを取り戻した虚無の剣を、アルティナと一緒に握る。

 

 

 

 

 

「リィン教官(さん)――――――」

 

 

 

 

 

 

 

 振り抜いた刀は、僅かながらも聖獣に正気を取り戻させ―――――引き剥がされた呪いを、豪華過ぎる面々と、Ⅶ組の仲間たちの波状攻撃で抑え込む。

 

 

 返す刀で、呪いを斬り捨て―――――。

 

 

 

 

 

 

「―――――これからも、よろしくお願いします」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 






とりあえず後は後日談で完結となります。
……え、打ち切りっぽい? ソンナコトナイデスヨー。
ちょっとPS4が使えないせいで展開が確認できないだけです。ええ。

兎にも角にも、この地雷原を読了して下さった方に最大の感謝を。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。