ポケットモンスター・レジェンド   作:かるな

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3ヵ月程空いてしまいました...




第3話 アルバ島へ②

「気持ちいぃ~!」

 

「ピッカ~!」

 

 

 

サトシとピカチュウは、船のデッキから大海原を見渡していた。

 

先日の体調不良が嘘のようである。吹き付ける海風は心地よく、昼間ということもあり暖かい。

 

 

 

「喜んでもらえたようで何よりだよ」

 

 

「シオンさん!おはようございます!」

 

 

 

ふと後ろからシオンに声を掛けられる。彼女が不意に人に話し掛けるのは珍しくない。

 

最初はビックリしていたサトシだが、次第に慣れて、落ち着いて返せるようになってきた。

 

 

 

「おはようサトシ君。船のアナウンスで既に知っているかもしれないが、もうすぐカロス地方に到着するよ。前話したように君の付き添いを役員に任せるのだが...。君の知っている人物に任せようと思う」

 

 

「もしかして、マリーさんですか?」

 

 

「あぁそうだよ。彼女にはもう既に伝えてあるから、カロスに着いたら先に船から降りて待っていてくれ。彼女にも急ぐようには言っておくが、何しろ仕事が多くて忙しいみたいだからね。許してやってくれ」

 

 

「俺は気にしてないので大丈夫ですよ!むしろ付き添いまで用意してもらって申し訳ないです」

 

 

「サトシ君はうっかりしているところがあるみたいだから、念のためさ。まあ、マリー君も似たような者だがね」

 

 

 

シオンに痛い所を突かれたサトシは苦笑いしながら、照れ隠し気味に頭を搔く。

 

 

 

「そう言えばシオンさん。この船には俺の他にもトレーナーが居るんですよね?」

 

 

「勿論だよ。それがどうかしたかい?」

 

 

「それが、俺以外のトレーナーを見たことがなくて...」

 

 

 

サトシの言葉を聞いたシオンは少し考える素振りを見せると、何かに納得したような顔をする。

 

 

 

「もしかすると、余り他のトレーナーに会うのを避けているんじゃないかな?これから同じ大会に出る者としては、手の内は少しでも見せたくないだろうからね」

 

 

 

成程、と思ったサトシは、足元にいる相棒のピカチュウを見る。

 

いつもボールにはピカチュウを入れないため、自分だけが相手に情報を与えていると感じてしまった。

 

 

 

「まあ、一体見られたからってそこまで変わるものじゃないさ。そこは心配しなくていい。同じポケモンを持っていたとしても、育て方や覚えている技は違うわけだしね。だが、これから一緒に島へ向かうというのに、全く会わないというのは余り良くないね。何か改善策を考えておくよ」

 

 

 

シオンはそう言うと、サトシに別れを告げてから船内へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

数時間後、船はカロスへと到着した。

 

シオンに言われた通りに、先に船から降りてマリーを待っていたサトシは、長旅の疲れを感じさせるように大きく伸びをする。

 

 

 

「お待たせサトシ君!ごめんね、ちょっと手間取っちゃって...」

 

 

「大丈夫ですよマリーさん!今日はよろしくお願いします!」

 

 

 

今日と言ってももう夕方だが、目的の場所へは飛行タイプで大型のポケモンが支給されているらしく、遅くとも日をまたぐ前には着けるとのこと。

 

合流した2人は、取り敢えず外に出てから打ち合わせをしようということで、港の近くにあるカフェへと向かおうとしていた。

 

そのとき...

 

 

 

「やあサトシ君久しぶり。待っていたよ!」

 

 

 

不意に掛けられた言葉だが、この声はカロスに来てから何度も聞いたことのある陽気な声。

 

その声に2人が振り向くと、そこには白衣を着て、少々髭の生えた男性がにこやかに立っていた。

 

 

 

「プラターヌ博士!どうして此処に?」

 

 

「サトシ君がカントー地方の代表になった事は聞いていたんだがね、先日君がカロスに来るという連絡を受けて、もしかしてと思って色々準備をしてきたのさ」

 

 

「色々な準備ですか?」

 

 

「ああ。その事で少し話があるんだけど、申し訳ないですがマリーさん。少し席を外してもらってもいいですか?」

 

 

 

サトシとプラターヌ博士の会話を見守っていたマリーは、唐突に自分へ矛先が向いた事に戸惑いながらも快く了承し、近くにあるポケモンセンターへと入っていった。

 

 

 

「博士、話って何ですか?もしかして、あまり聞かれちゃいけない事なんですか?」

 

 

「まずいという訳では無いけど、本人の前では話辛いのさ。でもまずは、僕がサトシ君のために準備してきたものを見てもらおう」

 

 

 

プラターヌ博士はそう言うと、後ろを振り返り、手を高く上げて何かに合図を送った。

 

すると、遠くにいた2匹のポケモンがそれに気付き、こちらへ向かって走ってきた。

 

一匹は体格が大きく、体色は紫色を貴重としており、もう一匹は細身で、青色を貴重としていた。

 

その2匹のポケモンは、サトシにとってかけがえのない相棒達であった。

 

 

 

「ヌメルゴン!それにゲッコウガまで!」

 

 

 

サトシが2匹との再開に歓喜の声を上げると同時に、2匹がサトシへと飛び込んだ。

 

 

 

「驚いてくれたかな?君がカロスに寄るということは、もしかしたらこの2匹の力が必要なんじゃないかなと思ったのさ。いや~、苦労したよサトシ君。ヌメルゴンの所在はシトロン君が知っていたから良かったが、ゲッコウガに関しては全く分からなくてね。僕の所の研究員を総動員させて見つけ出したのさ」

 

 

「ありがとうございますプラターヌ博士!久しぶりだなお前達!元気にしてたか?」

 

 

 

サトシとピカチュウがその2匹とじゃれあう姿を微笑ましい目で見ていたプラターヌ博士だが、もう一つの重要な要件をサトシに伝える。

 

 

 

「再会を喜んでいる所すまないが、君にどうしても伝えなきゃならない事があるんだ。これは、さっきマリーさんに場を外してもらった事にも関係する」

 

 

「それって、マリーさんに聞かれたらまずいってことですよね」

 

 

「それに関しては僕には分からない。何しろ、アルバ島に関連する情報はただの噂でしかないからね。ただその噂も、本人の前では言い辛いことなのさ」

 

 

「博士、その噂っていうのは...」

 

 

 

サトシはこれからも知る情報に不安を覚えたが、博士が自分に教えてくれるということは何かに役に立つ事なのだろうと思い、腹を括った。

 

 

 

「アルバ島には、島を管理する役員が居ることは知っているかい?」

 

 

 

「はい。代表...シオンさんから聞いています」

 

 

 

「その役員の中にはトレーナーが何人か居るんだ。これは普通の事なんだけど、問題はそのトレーナーの強さ。特に、ナンバーズと呼ばれるトレーナー達には気をつけた方がいい。聞く限りでは、チャンピオンよりも強いトレーナーがその中には何人か居るらしいからね。僕は実際にバトルを見ていないから、にわかには信じられないけど、もし出くわしたらさっきも言った通り、充分気をつけて欲しい」

 

 

「アルバには、俺が知っている人達よりも強い人がいる...!」

 

 

 

普通のトレーナーなら、「チャンピオンよりも強い」という言葉を聞いただけでも萎縮してしまうが、数々の苦難を乗り越えてきたサトシは、その怖さを楽しむようになっていた。

 

自分よりも強いトレーナーがいるのは当然で、そのトレーナーと戦う事で己を高めていきたい。

 

そんな向上心がサトシの感覚を鈍らせていた。

 

 

 

「さて、必要な事は伝えたし、君の相棒達も無事に送り届けた。僕はこれでおさらばするよ。メガシンカの研究についての論文を書かなくちゃいけないからね。では、サトシくん。武運を祈っているよ!」

 

 

「ありがとうございます!博士も研究頑張ってください!」

 

 

 

2人はガッチリと握手をすると、博士が街の方へと歩いていく。

 

そのついでに喫茶店へ入った博士は、話が終わった事をマリーへ伝えて、そのまま帰っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「う~ん...予定よりかなり早く用事が済んじゃったんだけど、サトシ君は他に何かしたい事はある?例えばショッピングだったり、誰かに会いに行ったりだとか!」

 

 

「持ち物は向こうで揃えちゃったので大丈夫です。会いたい人は居ます。でも、今じゃないと思うんです。これは俺が勝手に思ってることなんですけどね...」

 

 

 

少し恥ずかしいことを言った自覚があるのか、軽く笑いながら頭を搔く。

 

そんなサトシに「そっか」と返したマリーは船へと戻る。

 

 

 

「マリーさんも、トレーナーだったりするのかな?」

 

 

 

そんな事を呟きながら、サトシもマリーの後を追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「マリー君から話は聞いているよ。事が早く済むのは良い事だ」

 

 

 

船に戻ったサトシは、マリーから応接室へ行くように言われ部屋に入ると、代表もといシオンが待っていた。

 

カロスでの用事が済んだ事を伝えようとしたのだが、既にマリーが報告していたらしい。

 

これといってサトシが話す事は無かった。

 

 

 

「本来ならここで、君の用事と合わせてジョウト地方で止まらなかった分の日数を消化する筈だったんだが、それは無くなった」

 

 

「と言うことは、もうアルバ島へ向かうって事ですか?」

 

 

「いや、停泊の手続きはもう既に終えているからね、何か暇潰しをしようと思うんだ」

 

 

「暇潰し...ですか?」

 

 

 

戸惑うサトシの顔とは対照的に、シオンの顔には不敵な笑みが現れている。

 

 

 

「今日の昼、他のトレーナーに全く会っていないという話をしていただろう?その話を役員にしたところ、彼らも私と同じで良くないと感じてね。親睦を深める為にも、小さな大会を開こうと思うんだ」

 

 

「大会ですか!?」

 

 

 

親睦を深めると言われたのでパーティーを思い浮かべたサトシだったが、どうやら違ったらしい。

 

 

 

「嬉しいようだね。もう既に他の参加者には話をしてあるが、皆君のように嬉しそうな顔をしていたよ。やはりトレーナーたるもの、バトルをせずにはいられないらしい。それと、これが大会の簡単なルールだ。集合時間と場所も書いてあるから、時間厳守で頼むよ」

 

 

 

シオンは懐から折りたたまれた紙をサトシへと渡した。サトシはすぐさま紙を広げて中を確認する。中には正真正銘大会の事が書かれていた。シオンに礼を言ったサトシは、直ぐに作戦会議をするべく相棒のピカチュウと共に自室へと戻って行った。

 

 

 

「さて、ただの交流戦じゃ面白味が無いからね。こちらからも1人出すとしよう」

 

 

 

1人部屋に残ったシオンは、そのような事を考えていた。

 

 

 

 




シオン「久しぶりだね諸君。今回は、次回行われる大会のルールを説明しよう。まず、この大会はトーナメント形式で行われる。そして参加者には自分の手持ちの中から1体を選択。その選んだポケモンのみを使ってバトルを行ってもらう。また、バトルの途中で道具を使用するのは禁止。持ち物を持たせるのも禁止だ。以上がルール説明だ。質問がある者は、随時申し出ること。では、また次回会おう」




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