スーパーロボット大戦Z Another Reactor 作:ドロイデン
ということで、他のをエタらない程度に緩くやっていきたいと思います、はい
―とある都市―
「……おなかがすいた」
ミナ・ディートは何時ものように倉庫に容れられた自分の愛機のコックピット席に背を預けながらため息をついていた。
まさか株価の暴落で勤めいた軍を『若いから別の就職簡単だよね』という理不尽な理由で辞めさせられ、別の普通の会社に入社できたと思えばまさか社長が不正をしていたということで倒産、現在二十二歳という若さでこの体たらく、もはや悪運と言ってもいい。
退職金代わりに軍から貰った新型……というかまともに動かないからって、唯一まともに動かせるからという理由だけで押し付けられたこれを売ればなんとかなりそうな気もするが、そんな伝などあるわけがなしで、資金源でもあるから手放せずにいた。
ここ最近はそうでもないが、前は周期的な次空震動(以降次震)によって現れるへんなモンスターを狩っては報償金で生活するには充分だったのだが、とある個人的な目標……というか
「もうお魚は飽きたな~お肉が食べたいな~」
意味がないと分かっていても言ってしまうのは、軍人育ちの仕方ない性なのか否かは別としても、ミナ個人としては無い物ねだりの現実にため息しか出てこない。
その時だった。突然外からウーというけたたましい音が流れた。
「襲撃!?」
ある意味幸運だった。襲撃ということは少なからず人手が必要になる。つまりこの場面で活躍すれば――
「報償金でビールと焼肉が食べられる!!」
なんとも女性らしくないというのは本人自身が分かっているのだが、生活苦の彼女にとってはこれが無ければ生きるか死ぬかの瀬戸際のようなものなのだ。甘んじて受け入れるしかない。
「行くよ『ピスカシア』!!」
コックピットのエンジンを入れ、倉庫の天井を開けて空へと飛んだ翠のカラーリングをした機体は、主の戦場へ向かうのだった。
「うっひゃあ、今日はいつにも増して獲物が多いな」
戦場に降り立ったミナが見たのは、広野にうようよと現れた恐竜のようないつものモンスターだった。その数は6体。
「さってと、手柄奪われるのは嫌だから、ちゃっちゃと蹴散らすとしましょうかね!!」
そういってフットペダルを全開にし、手に装備されたロングウィップブレード『アルレシャ』を抜いて振るった。
それはまるで意思を持つように動き、不規則な動きで目の前のモンスターを半ばから突き刺し、
「あらよっと!!」
なんとも気の抜ける掛け声と共に真っ二つに分断する。爆発する寸前に左手の『アルレシャ』で尻尾の一部を切り裂くいておくのを忘れない。キルスコアでもあり、食い扶持である現金と交換する為の大事な物だからだ。
「さて、お次はっと!!」
すぐに回収しながら鞭をしまうと、籠手に内蔵されたレーザー砲で敵を射つ。これでも元軍人、銃と扱い方は違うがそこは慣れというもので、的確に、しかも機体のエネルギーを消費し過ぎないギリギリの出力で的確にモンスターの足を止める。
「サーチアンドキル!!」
そこから『アルレシャ』を鞭ではなく剣として構えて二閃、ものの見事に首と尻尾を二体のモンスターから切り落とすという技巧で再びモンスターを爆発させる。
「さて……」
次はと言おうとした瞬間、ミナは思わず舌打ちした。正規軍のマシーンがやって来たようだ。
『『ピスカシアのミナ』殿、あとは此方に任せてもらおうか』
「……人の食い扶持を奪いやがって」
『此方とて正規軍としての面目もあるのだ、報償金も払うし機体の補給整備だって受けさせる。だからどうか頼む』
軍人の言い分も分からなくはない。国の大事に正規軍より早くどこぞの馬の骨ともわからん傭兵に全て持っていかれたのでは面目丸潰れ、いい恥さらしだ。
「……了解した。そちらの基地へ向かわせてもらう」
『済まない、感謝する』
私の苦虫を噛み締めた言葉に軍人はただただ謝り、通信を切った。
「「「「かんぱぁーい!!」」」」
戦闘後、補給整備のために『ピスカシア』を軍の連中に預け、ミナと通信の時の軍人であり元同期……カルカ・ローントレムとその部下数名と共に焼肉屋へと来ていた。
「かぁー!!やっぱり戦ったあとのビールほど美味しいものは無いわね!!」
「相変わらず君は潔いほどに凄い飲みっぷりだな」
「そらそうよ。しかも久しぶりのお肉だからね~次の戦闘まではお預けだし」
自慢の白い髪をくるくると右手で巻きながら、器用に利き手の左手で肉をパクつく。
「しかも食べ放題で飲み放題だからね。採算取るためなら幾らでも食べるわよ」
「そうか……なぁ、ホントに軍に戻るつもりは無いのか?」
その言葉にミナはピタリと箸をとめ、回りにいた彼の部下達の目も真剣なものに変わった。
「前にも言ったが、ワンオフ機である『ピスカシア』を操れる君が軍に戻ってきてくれと言ってる部隊も少なくない。俺の隊だってそうだ」
「良く言うわよ、どうせ上の連中は『ピスカシア』をデータ取りのモルモットにしようとしてるだけじゃない」
この国……ピスケルアは回りを海に覆われた海洋国家だ。島としてはさほど大きくはなく、人口はのべ5千万人。地上用機体より水中戦を得意とする機体が多いのが実状だ。
その中で地上戦、水中戦、さらにはやろうと思えば程度の空中戦ができる『ピスカシア』は国としては手元において研究したいのは当然だった。ミナにしか動かせないにしてもそれは必要経費と考えれば安いものだろう。
「だがあのモンスターも出る度に強さが増している。下手をすれば此方が危うくなる時だってある」
「まぁ言わんとする事は分かるけど……」
「……もしやまだあの事件を引きずっているのか?」
その言葉に彼女はピクリと眉を細めた。
「何度も言ってるがアレは君のせいじゃない、悪いのはそれを上層部だ、君自身に罪は全く無い」
「……そうじゃない、そうじゃないけど……結局は私が皆の夢を奪った事には変わりないんだ」
「それは……」
彼には否定することは出来なかった。事実だけ見れば、確かに彼女の言うことが事実だからだ。
『お前の独りよがりで……お前のせいで!!』
あの時言われたその言葉が、まるで呪いのように付きまとって離れないのだ。
「……ごめん、今日はもう帰るね」
「……ならせめて勘定は我々に払わせてくれ、それぐらいは」
「良い、自分の分は自分で払うから」
そう言ってお札を二枚出すとミナは夜の街へと消えていく。まるで目的もなく歩く亡者の如く……
―倉庫―
何時ものようにしまわれた愛機のコックピットに彼女は座ると、ハッチを閉めずに倉庫の天井を眺めていた。
「私は……ただの独りよがりの小娘なのかな……」
ミナ以外に誰もいない、静まり返った中で呟いた言葉は風邪と共に消えていく。
「ねぇピスカシア……お前はどう思う?……私は独りよがりなのかな……」
機械である愛機が答える訳がないのだが、彼女はまるで語りかけるように呟いた……その時、目の前で空間が歪むような感覚に彼女は襲われた。
「な、次震!?まさかこんなところで!?」
あり得ないとは言わないが、昼間起きてすぐに起こるなど前代未聞、聞いたことが無かった。
ミナは慌ててコックピットを閉める。戦闘になると思ったのと同時に、次震に飲み込まれて死亡など最悪すぎる。
「いったいどんな奴が出てくるのやら!!」
ストレス解消とでもしようかと意気込む彼女の目の前が白い光が眩しく輝き……
「……へ?ここどこ?」
気がつけば何処かの砂漠に一人で立っていた。
『そこの所属不明の機体!!此方はブリタニア・ユニオン、ナイト・オブ・セブンの枢木スザクだ。そちらの所属を聞かせてもらおう』
「……まさか、世界越えちゃった……私?」
時にこれは破壊事変から暫くたったとある日、そして後のイノベイターたる少年が新しいガンダムと出会う、その少し前の出来事だった。
機体イメージは『ディアムド』の背中のパーツを『ハルゴラGS』の翼を取り付けて槍を外した感じです。カラーリングは翠ベースに所々灰色が混ざってる感じです