スーパーロボット大戦Z Another Reactor 作:ドロイデン
―アヴァロン 船室―
「いや~助かったよ。急に次震起きて気付いたら砂漠のど真ん中とか下手したら死んでたからね」
久方ぶりのベットに座りながら、体を伸ばして助けてくれた騎士様……枢木スザクにミナは感謝した。
「いえ、此方も偶々向かう先の道中に次震の反応があって何事かと思ったので、改めまして自分は枢木スザクです」
「堅苦しいのは嫌いだから別に良いよ。私はミナ・ディート、ミナって呼んでよ」
「分かりました。しかしあなたの機体……なんとも独特な雰囲気をしてますよね」
枢木の言葉は此方の機体のことを知りたいと暗に示しているに同意だった。
「私の稼ぎ元の機体でね、昔アッチの軍に居た頃から乗り回してるんだよ」
「……では今は?」
「株価暴落で人件費けちった軍にリストラされて、退職金代わりにこいつを乗り回して傭兵家業してたよ。主に次震で出てくるバケモン殺すね」
「次元獣を!?」
バケモン……次元獣の名前が出てくるとは思ってなかったのか枢木は驚愕していた。
「知ってるのかい?」
「ええ、この世界で少し前に起こった戦争なんですが……破壊の王によって産み出された生物兵器、それが次元獣です」
「ふーん?で、その為の触媒は?」
「……話によればですが、次元獣は破壊の王が、人間に次元力を作用させて作り出される存在だそうです。さらに言えば、次元獣の元になった人間……というより武人の強さによってその姿は変わります」
「……そっか」
その説明に憤るのはミナだった。自分の食い扶持を稼ぐためとはいえ、まさか同じ人間を殺していたとは思わなかった。
「まぁ、過ぎ去った事は仕方ないとして、これからどうすべきかね」
「どうとは?」
「文字通りだよ、私は言わば此方の世界じゃお客様だ、下手に干渉するより、何処かの街で下ろしてもらって平穏無事に過ごした方が良いと思ってさ」
「戦える力を持ってるのにそれを使わない、と?」
「そうじゃないけどさ、世界が平和なら私は戦う必要ないでしょ?それに戦ったところで後ろだても無しだと、補給とか現金だって貰えないんじゃ特は無いじゃん」
ミナ・ディートは目標に対して努力はするが基本的に現実主義者だ。故にこの状況を冷静に判断してるに過ぎないと言われればそうである。
「それでも、力を持つならば平和のためにそれを使うべきだ」
「……君、見たところ17~8歳ぐらいだよね?私の思ってるで合ってるなら、ナイトオブって階級に付くってことは軍部ではそれなりの上位だよね?」
「……そうです」
「その階級がこの世界でどうなってるのかは知らないけど、そんな軍上層部の人間が勝手に傭兵を雇ったなんてなったら大問題よ。最悪私みたいにクビにされる可能性も0じゃない」
「なら国連の部隊に」
「幾ら軍上層部の人間でも、どこぞの馬の骨とも分からない女を推薦して通るわけが無いでしょ、現実を見ろちゃんと」
ぐうの音も出ない正論なのだが、どうにも枢木のその目は諦めていなかった。
「……はぁ、だいたい、なんでそんなに守るとか戦うことに拘る、その年なら学生やってておかしくない年代だろ」
「確かに一応エリア11で学生はしてますが」
「……待った、今エリアって言った?植民地でも持ってんのおたく?」
「……この世界には日本という国が二つあったんです。片方は未だに存在してますが、もう片方は……数年前に戦争で」
「ふーん、まぁ見たところ、多元世界って言うだけあるし当然だろうけど、独立運動とかしてないの?そのエリア11は」
どんな頭が良くない人間でも、自分が住んでる場所をいきなり奪われたとなったら、普通その国に対して反乱……ないしレジスタンスなんてものが出てきても可笑しくはないはずだ。だが、
「確かにレジスタンスは活動してました。けど俺はそれではダメだと、社会と現実を受け入れて組織として生きた方が良いと思ってます」
「……てことは君、そのエリアって方の日本人なんだ。ふーん、へー……正しく裏切りの騎士だ」
「な!?」
私の言い分に怒りを覚えたのか彼はミナを睨みつける。
「何?事実じゃないの?」
「裏切り……俺のどこが裏切りと?」
「まずレジスタンスの何処を悪と決めつける?植民地に住むそのブリタニア人にとっては確かに悪だが、元々は彼らが先に住んでいた土地だ。レジスタンスが活動するほどということは、それだけ本国がその現住民達に対して納得させるだけの譲歩をしてないことになる」
「ブリタニアの基本理念は弱肉強食、常に強くあるべきだと……」
「そんな理論が通じるのは獣の世界だけだよ。獣は生き残るためにそうするのかもしれないけど、人類には言語で分かりあうことができるのにね」
「……まるでゼロみたいな考え方をしますね、貴女は」
睨み付けるようにそう呟く枢木にミナは首を傾げた。
「ゼロ?数字かなにか?」
「エリア11のテログループの一つ、黒の騎士団を束ねるリーダーだった男です。貴女の物言いは、まるでそのゼロと同じでした」
「ふーん、まぁそれは別に構わないんだけどさ……窓から見える青いのって味方か何か?」
「はぁ?」
ミナの指摘に枢木は窓の外を確認する。そこには青く塗られた大型の機体が空中ないし地上を駆けながら接近してる姿があった。
「カタロン!?そんな、予想よりも早い」
「?なにそれ?」
「……所謂反連邦政府を掲げてるテロリスト達です。目的は恐らく捕まった仲間たちの解放です」
「反政府運動……どうやら決まったわね……」
そう言ってミナは部屋を出ると、先程機体を置いた格納庫へと走った。枢木もそれに慌てて追いかけるが出だしの差で彼女は自身の機体に乗り込むと、機体の左腕を動かしかの白い機体……ランスロット・コンクエスターの足を撃ち抜いた。
『な、何をしてるんです!?』
「見たところ貴方の機体が一番面倒な相手に見えるからね、悪いけど暫く使えないようにさせてもらっただけ……よっと!!」
さらにハッチを無理矢理切り裂き、自由になった機体を宙に身を任せる。翼のスラスターをコントロールし、彼らの進む先へと機体を向ける。
「カタロンメンバーへ、こちら『ピスカシア』のミナ・ティードです。そちらを援護します、了承されたならば通信をお願いします」
『……こちらカタロンメンバー、ライル・ディランディーだ。今そっちはブリタニアの船から出てきたように見えたが?』
「早い話、次元転移でいきなり来たところを保護して貰っただけよ。証拠にナイト・オブ・セブンだっけ?そいつの白い機体の足を船の中で撃ち抜いてきたから、暫くの時間稼ぎはしておいたわよ」
『……なるほど、了解した。見たところ此方の機体よりスペックは上と見た、遊軍コードと目的の座標をやるから先に行って敵部隊を排除してもらいたい』
要するに斥候してやり易くしろ、という事だった
「別にそれは構わないけど、敵さん全部叩き潰して良いんでしょ?」
『当然だ。特にオートマトン背負ってる奴は何がなんでも落としてくれ』
「オートマトン?」
『対人兵器だ。キルモードで投入されたら捕まってる一般人は一瞬で肉塊になっちまう』
その言葉を聞いた瞬間、ミナの中で何かが入った。怒りとは違う何かが肉体全てを細胞単位で思考へと向かわせる。
「……ならすぐにでも落としておくわ、コードを此方へ」
『了解……そっちへ送信したぜ』
「確認した、悪いけどここからは一気にいかせてもらうわ!!」
フットペダルを一気に踏み込み、背中のスラスターを全速力で加速へと回す。一瞬で遠くへと消えた翠の巨人に、ライルは静かに口笛を吹いた。
基地へ到着したミナを出迎えたのは、『ジンクス』及び『アヘッド』総勢十数機のアロウズのMS部隊だった。
「……貴方達はただの兵士かもしれないけど、私の
スラスターのスピードを緩めず、両手の『アレルシャ』をブレードモードで抜刀する。
「悪いけど、ここで倒させてもらうわよ!!」
その叫びと共に近くにいたジンクス1体に接近する。
「まずは相手を捕まえる!!」
左籠手からのビームを連射し、右籠手を射出し取り付けられたロープを胴体に巻き付ける。
「そこから接近して力を剥ぐ!!」
伸びたロープを引っ張りつつ、自身も接近して距離を詰め、両手のブレード二本で四肢を全て切り裂く。
「最後は相手にリリースしつつ諸とも撃破!!」
巻いたロープと籠手を回収し、残った胴体を別のジンクスの胸部へと蹴り飛ばしぶつけると、左側で収束していたビームで2体諸ともコックピットを破壊する。
「私と『ピスカシア』の『フォーマルハウト』に隙は無いのさ!!」
それを見たアロウズは皆恐怖した。あそこまでの技量を持つ相手を自分達が相手しなければならないという事に。
『く、枢木卿はまだ到着されないのか!?』
『そ、それが枢木卿もあの敵に機体の一部ヤられたのこと!!』
『何だと!?あのナイトオブラウンズがか!?』
アロウズ……ないしブリタニアを知ってる人間からすればラウンズの実力は折り紙つき、一人で一個師団クラスの戦力と考えられるほどの強者が、まさか負けるとは微塵にも思わなかった。
ミナ自身も、ナイトオブラウンズの実力を過小評価してないがために、あの機体の一部を破壊したのだ。故に枢木スザクが出てくるとは思ってなかった。
しかし、だからこそ彼女は気づかなかった。あの船の技術者が、とてつもない変態だということを。
「!?アラート!?」
突如として後ろから飛んできたビームに驚きつつ彼女は回避し、飛んできた方向の映像を確認する。そこにはどういうわけか、機体その物が復活したかのように、何事もなく完全修復されている『ランスロット』の姿があった。
「そんな!?確かに機体の一部を破壊したはず!?」
『残念でした~、僕がいる限り、足の1本ぐらいなら、パーツさえあれば『ランスロット』の修理なんてすぐにできちゃうんだよ~』
通信越しに現れた白髪の眼鏡……いや、変態の言葉にミナは歯噛みする。だったら両手も消し飛ばしておくべきだったと。
『アロウズ、そちらの相手は君達では無理だ。俺が何とかする』
『く、イレブンからのし上がっただけのやつが偉そうに……』
アロウズのパイロットからすれば面白い話ではなかった。元々は奴隷当然だった身分のやつがいつの間にか自分達の上に立っていて、さらに実力も圧倒的となれば寧ろ好感を持つやつの方が少ない。
「ちぇ、来ちゃったか枢木……」
『ミナさん、悪いがこうなった以上そちらを倒させてもらう。投降してもらえれば命までは取らない』
「……寝言いってるの?、一般人の皆殺しを黙殺してまで欲しい命なんてあるわけないでしょ」
『そうか……ならば……!?』
剣を抜いて突撃しようとしたランスロットが、まるで跳ねるようにその場から立ち退く。すると次の瞬間、狙ったように先程まで彼が立っていた場所に三発のビームが飛んできた。
慌ててそちらを見ると、そこにはジャンクなりかけのマシーンが接近してきていた。
『ガンダムエクシア……刹那か!!』
『枢木スザク……』
どうやら知り合い……というほど仲の良い間柄では無いようにミナには見えた。
「なんだか知らないけど、そこのガンダムのパイロット、貴方の目的はここに捕まってる人間でいいの?」
『……貴様は?』
「ミナ・ティード、訳有ってカタロンの味方をしてる。こっちはオートマトン持ちを何とかするから、その白いのの相手を頼んでも良い?」
『……了解した、オートマトン装備の機体は背中に特殊なバックパックを装備している』
「了解!!」
ここに、ミナ・ティードの転移後初の戦闘が始まった。
ピスカシア武装・必殺技現在
・サマカー(籠手)ビーム砲
・アレルシャウィップ
・アレルシャブレード
・フォーマルハウト(必殺技)