INFINITE・STRATOS NEXT ~戦いの果ての答え~ 作:タナト
フロム脳設定全開なので読者さんのお気に召すか少し心配です。
「今日は、クラス代表を決めてもらう。代表対抗戦などに参加してもらう、クラス長のようなものだ。自薦他薦は問わない、誰かいないか?」
入学式の翌日のHRで千冬は開口一番にそう言った。
クラスがざわつき始める。そして、
「はい!織斑君がいいと思います」
との声が上がった。
「あー!私もそう思います!」
それを皮切りに賛同の声が次々に上がる。
「織斑か…他にいないか?いなければ無投票当選になるが…」
「俺は辞退します」
レイは即答した。今でも十分そうなのにこれ以上面倒ごとは増やしたくない。
「…しかしそれでは他の者が納得せん…」
「納得いきませんわ!」
割って入るように後方の席の少女が叫んだ。
「ただ、男がISに乗れるというだけでもてはやしすぎですわ!それにこの私を差し置いて男がクラス代表だという屈辱を一年間味わえと言いますの!そのような大役はこのセシリア・オルコットにこそふさわしいですわ!」
いかにも高飛車な少女は怒り心頭といった感じだった。
オルコット、か…レイはその名をもう知っている。彼は入学にあったって著名なIS搭乗者に目を通しておいた、その時その姓から彼の目には止まっていた。だが彼の知るウォルコットとは真逆の性格だと感じた。
「俺は彼女でいいと思いますよ。俺と違って実績がある」
レイは感情を込めず事実を素直に言った。言い分はともかく無駄な重荷に負わされるよりましだからだ。
「え~、織斑君の戦うとこを見てみたいな~」
しかし、クラスからは反論が上がる。
「そんな、私はイギリスの代表候補生ですのよ!そんなこと…」
「静かに!」
勝手にヒートアップしていくクラスを千冬が沈める。
「まぁ、確かに織斑はISでの公式戦の経験は皆無だ。それを踏まえるとオルコットが適役となるが、諸君の意見を考慮し、1週間後に模擬戦を行い、その結果を以って決めることする」
クラス中が騒然とする。
「織斑先生!私が素人に負けるとでもお思いですか?」
なおもオルコットは食い下がる。
「そうかもしれんが、このたび織斑に専用機が支給されるとのことだ。できれば早く実戦データを取りたいとの御達しだ。貴様には悪いが付き合ってもらう」
またもクラスがざわめく。
「専用機が…まあ、そういうことでしたら…」
とセシリアもやっと食い下がった。
あのおじさん達ちゃんと納期に間に合わせてくれるかな…
レイは本当ははもっと早く完成して自分の手に渡っているはずの専用機の担当技術者の顔を思い浮かべる。
「織斑の専用機は4日後に届くことになっている。いいか、3日でものにしろ」
千冬はレイを見て言った。
「俺の意思はやはり無視するんですね。ですが確かに専用機は試してみたい。やって見ます」
やはり特殊すぎる立場上拒否は不可能と理解したのでレイは平然と返した。
「無様な醜態をさらすことになると思いますが、それでもよろしくて?」
キッ!っとセシリアはレイを睨んでくる。
「もちろん、やるからには勝ちに行きますよ」
レイは微笑んで答えて見せた。
「おおー!」
と周りから歓声上がる。
「…分かりました。こうなったら、正々堂々戦い、完膚なきまでに叩きのめしてあげますわ!」
セシリアの啖呵でその場は一様終息した。
その日の昼休み、レイは箒と昼食をとっていた。
「一夏…あんなこと言って大丈夫なのか?」
箒は心配そうに言った。
「やりようはある。俺の専用機がどんな性能かにもよるけど」
相変わらず整然としているレイに、箒は頼もしさを感じていた。
「お前は相変わらず超然としているというかなんというか、頼もしいな」
箒は何かを懐かしむような表情をする。
「ただ面倒になれているだけだよ」
レイは苦笑する。
笑うしかない、ことだった。
「だが、私としてはお前がやられるのは見たくない。できる限り協力はさせてもらう…何か私にできることはないか?」
うれしい申し出ではあった。
「そうだな~、箒には4日後に機体が届いたら練習相手になってほしい」
「そうか、それくらいなら喜んで引き受けよう。だがそれまでの4日間はどうするんだ?」
箒はさらに聞き返してくる。
「それまでは、相手の分析と戦略の構築だな。代表候補生で専用機持ちともなれば、ネットにいくらか情報も載ってるだろうし。あとはひたすら体力トレーニングかな」
レイはつらつらと言う。
これはリンクス時代ひたすら繰り返してきたことだった。
「そ、そうか…なら私も付き合わせてくれ」
あまりに模範的な対応だったので自分が力になれる気がしなかった箒だが、それでもそばいたいと思っていた。
「ン…、面白いことは何もしないよ…腕立て伏せとか腹筋とかその辺。ISはイメージだけじゃなくて自分の身体動作も動きに関係してくるから、体も鍛えとかないとね」
うっ、と一瞬彼女は動揺する。好意を持つ男子の前でそのようなことをするのは気が引けるからだ。
どうしようか少し悩んでいたが彼女にあるアイディアが浮かんだ。
「なぁ、一夏。一緒に剣道をするのはどうだ?」
それなら、二人きりでいられる上に、箒自身の成長も見てもらえるので一石二鳥であった。
「単純な運動より効果的かもね、頼める?」
レイはその提案に乗ることにした。
その日から放課後にランニングと剣道の稽古を二人で行うことになった。
IS学園 武道場
「はあっ!」
気迫のこもった声とともに繰り出される箒の斬撃をレイは竹刀で軽くいなした。その後も箒からの攻撃は続いたがレイは反撃せず、躱し続けた。
戦法はリンクス時代から変わっていない、いなし、躱し相手に隙ができるのを待ち続ける。これが剣の達人などなら猛攻やフットワークを駆使し相手の隙を「つくる」ことができるのだろうが、彼はそれができない。代わりに彼はひたすらに相手の隙を「待ち」、「探す」。そして相手の動きのわずかな揺らぎを、確実にとらえ衝くのだ。
「胴っ!」
レイの竹刀が箒の胴に入った。
そのあとレイは数歩下がり、面を外した。
「今日はこのくらいにしておこう、箒」
「ああそうだな。長く続ければいいというものではない」
そのあと二人はシャワーを浴び、武道場の休憩スペースでくつろいでいた。
「いや~、箒も強くなったな。スピードも角度もするどくなっていなすのも大変だったよ」
レイはポカリを飲みながら言った。
しかし、箒は褒められたにもかかわらずむすっとした顔をしていた。
「それでもお前に勝てんのだ。お前の防御技能は相変わらず規格外だな」
「剣道自体してなくても、体は鍛え続けたからね」
箒はふとレイの横顔を見る。
昔は彼のいやらしいともいえる。相手の消耗を狙う戦い方が嫌いだった。だが今は彼の強さはもっと別のところにあると分かる。
「一夏…」
箒はため息をつくように言った。
「…ん?」
「私は…お前に教えてもらった強さをこの5年間探し続けた…まだ見つけられていない」
離れ離れになる前、彼が教えてくれた。『強さ』の定義。それは自分の価値観を大きく変えた。
「あんな中二病みたいな言葉、真に受けなくていいのに」
彼は苦笑気味に返した。
すると箒は目を丸くして、
「何を言う!あの言葉は、私にとってとても大事な言葉だ!」
と身を乗り出して言った。
「それはうれしいけど、言った自分も何も見つけちゃいないよ。そう簡単に見つかるものじゃないさ」
彼は困ったように微笑んだ。
「そうか。少し安心した。…あれをお前に教えたのはお前の尊敬する人だと言っていたな。どんな人なんだ」
箒は幼いころ彼が言っていたことを思い出し聞いてみた。
「『強さとは、目の前の現実を変える能力のこと。どんな能力でも何のために使うのかどんなことを変えたいのか、その答えが伴っていなければそれは本当の強さとは言えない』か、その人の口癖だったよ。その人はとてもまっすぐでどうしようもなく美しくて、そして確かに強い人だった。俺はまだあの人を追いかけてるんだろうな」
穂木の問いに彼は目をとしみじみと語りだした。それは抽象的でいまいち人物像がつかめない箒だったが一人だけ心たりがあった。
「もしかして、千冬さんか?」
「はずれ。姉さんよりずっとずっと強い人だよ」
千冬よりずっと強い?そんな人がいるのだろうか。
「なぁ、いったい誰なんだ?お前とどんな関係なんだ?」
聞けば聞くほど気になってしまうというものだ。
「それは秘密だ。…お、そろそろ武道場の予約時間も終わるし部屋に戻ろっか」
彼ははぐらかすような様子で立ち上がった。
昔からそうだ、レイにはどこか得体のしれないところがあると感じていた。だがそこに踏み込む勇気が彼女にはなかった。
「あ、ああ、そうだな」
話題を躱された箒だったが、やはり追及する気にもなれずその日はそのまま部屋に帰ることとなった。
七日後
はぁ、やっぱりこうなった…
とレイは『今』しがた届いた自分の専用ISの前でため息をついた。
「なんでも開発者の皆さんがぎりぎりまで調整を重ねたみたいで時間がかかったとのことです」
後ろから山田先生がフォローを入れてくる。
開発期間1年以上あったんだぞ⁉どれだけ時間かけてるんだよ。いくら予算が無尽蔵だからって調子に乗りすぎだ、あのおじさんたち。
レイがほとほとあきれていると横から声がかかった。
「これが一夏の専用ISか」
横にいた箒が目の前のそれに羨望のまなざしを向けている。
「名前はアーライエン、ドイツ語で絆の意だ。絆と言えば聞こえはいいがこの場合織斑自身を調べ管理する原義の手綱というべきだろうな」
さらに後ろから千冬が歩いてきて解説を加える。
レイはそれをほとんどスルーして再びアーライエンに目を向けた。
全身装甲で鋭角的なシルエットに濃い紺主体で関節部位はグレーだ。頭部ユニットには赤いバイザーが取り付けられている。外見的特徴と言えば、ほとんどのISにある背部の羽のようなアンロックユニットがないことだろう。そのかわり背部には大型の推進ユニットがあってかなりがっしりしてるように見える。なかなかにレイの好みだった。
第二世代機 アーライエン 試験用IS
男性初のIS操縦者である織斑一夏が発見され、その搭乗ISとして開発された機体。試験用の名の通り、織斑一夏の解析のためにドイツが主体となってかつ各国が共同で開発し完成した。貴重なサンプルである彼を守るため耐久性と信頼性に重点が置かれている。第二世代機であるのも未知の部分が少なくより安定した運用が可能であるためである。
実際の性能としては特徴がないのが特徴を地でいっており、量産機の平均値を全体的に1ランク上げた程度のもので突出したものはない。
これは、すでに一夏には極めて高いIS操縦能力が確認されており、これからさらに高まっていくであろう能力に対応していくためパーツ単位の換装により第三世代兵装の運用ができるレベルの拡張性が重視されているためである。なので拡張領域(バススロット)は圧倒的に広い。
開発者たちの間での裏のコンセプトとして究極の第二世代機というものがある。
納期に遅れた理由としては特例としてほぼ無尽蔵の開発費と長い開発期間が与えられたため開発者たちが悪乗りし自分たちの腕試しを兼ね極限まで完成度を上げようとした結果である。
「織斑、オルコットが待っている。ぶっつけ本番だがやるしかない。最適化を始めるぞ、データは入れてあるすぐにすむだろう」
千冬の指示でレイはアーライエンに乗り最適化を始める。その時間レイは用意された武装のデータを見る。
「なっ…」
そこにあった武装は一つ、砲身部分にブレードのついた汎用的なライフル一つだった。
「ああ、そうだ織斑、武装なら一つしかないぞ。後でドイツからあいつが来るときに持ってこさせるそうだ」
他人事のように千冬が付け加えてきた。
だが予想外の出来事に慣れすぎているレイはすぐにその事実を受け入れた。
ライフルの名前はカウル、ドイツ語で爪の意味か…
レイはライフルのスペックを見た。幸いカウルは射程、連射性、弾速すべてが高レベルでまとまっていた。中距離の堅実な戦いを好むレイにあった武装だと言えた。
そうこうしているうちに最適化は終わった。
(織斑、行けるか?)
最適化の間にオペレーションルームへ移動した千冬の問いかけにレイは上半身を動かしてみた。
AMSとまではいかないがよくなじんでいる。量産機とは比べ物にならない。
「行けます」
ぶっつけ本番なのはいつものことだ、できなければ負けるだけ。レイも一人の戦士であった。多少困難な状況でも一度始めた戦いは降りない。
「分かりました。では織斑君ピットまで移動してください」
レイはゆっくりと歩きだす。
(一夏、その…勝つんだぞ)
今度は箒が激励してくる。
「ああ、大丈夫勝つよ」
レイは力強く言って見せる。
そして、アーライエンはピットに立った。
レイは少しの間考える。
戦い、命をかけない戦い。けど少し傲慢な考えかもしれないがこれからの自分の戦いは少なからず世界に影響を与えていく。
だからこそどうしていくのか自分できちんと考えなければならない。さもなくば彼のようにすべてを失ってしまう。
―考えてください。なんのために戦うのかを―
戦いの中で見つけていくしかない、か。
レイはその思考にそう結論を付けた。
「アーライエン、出ます!」
リンクスはまた戦場に舞い上がる。
アーライエンは着地する。
「ワアァァァ!」
アリーナに出た瞬間、観衆から歓声がある。しかし、レイは目の前の敵しか意識に入れていなかった。
「まあ、武骨で品のないISですわね、男にはそれがふさわしいのかもしれませんが」
「………」
出てくるなりセシリアはレイを蔑んできた。
デザインに自信も口を出し、出来栄えも気に入っている愛機をけなされたレイは内心怒りがわいたが、彼はそのまま受け流した。
「しかし、入学そうそう私と戦うことになるとはあなたも不運ですわね」
「そういう同情は俺を倒してからにしてもらえる?」
戦いにおいて絶対など無いのだ。
その言葉でセシリアの表情が強張る。
「あなたに立場を教えて差し上げる必要があるようですわね」
怒気の籠った視線を彼に向ける。
(それでは、両者用意を)
試合開始が迫っていることをアナウンスが告げる。
「二度と立ち直れないほどに叩きのめしてあげますわ!」
ここまで来て例も言われるがままになっているのは嫌になってきた。
「一つだけ言っておく…」
そういいながら彼はカウルを呼び出した。
「?」
「—To noble—
高貴なる人よ、
—welcome to the earth—」
ようこそ地上へ。
その文言は、かつて仲間たちとともに世界に叩きつけた。勇ましき宣戦布告。
「…っ⁉あなた…」
(試合開始!)
そのアナウンスとともにブザーが鳴り響く。
二人は距離を開ける。そして、双方ライフルを構え、撃ち合いに突入する。
上方から狙撃する、ブル-・ティアーズに対し、アーライエンは地上で避けつつ応射していた。
ブルー・ティアーズ、イギリス製の第三世代機、遠距離射撃型でその特徴はBT兵器によるオールレンジ攻撃…
レイは事前に調べていた情報を思い出す。
レーザーライフルはうまく取り回せている。射撃に関してはかなり優秀だな。だがBT兵器制御の制度が未知数だ。まずは回避重視で相手の出方を探る。
レイは激しい水平移動を行いながら冷静に戦略を立てる。
一定時間ライフルによる撃ち合いが続く。
互いに被弾があった。だがレイに焦りはなかった。別に大差をつけて勝て、というルールは無い。相手より早く、シールドエネルギー削り切れば勝ちなのだ。これがリンクス時代なら、評価だ修理費だおn…セレンからの説教(拳付)だなどと気にする必要があったが今はそれがない。ましてや相手は第三世代機、総合的性能では相手に分がある、変な見栄を張る余裕などない。
蒼の光線と鉛色の弾丸が飛び交う。
互いにかする程度ので撃ち合いだ、セシリアは気づいていないがこれはレイのペースだった。互いの攻撃は当たっていたがレイ自身の効率的な回避と堅牢なアーライエンの機体構造から残エネルギー量の差はレイ優位でしかも開き始めていた。
そして、
「くっ、なかなかやるようですわね、よろしいならこのブルー・ティアーズで決めて差し上げますわ」
セシリアはついにしびれを切らし、ブルー・ティアーズを放出する。それらは独立して動き、多方向から砲撃を放つ。
「踊りなさい!このブルー・ティアーズが奏でるワルツで!」
レイもいったん射撃をやめ、回避に専念する。
なかなかの精度だな。けど情報どおりBT使用中の本機の稼働はできないみたいだ。かと言ってオールレンジ攻撃は厄介で下手に動くのは危険か、先にBTをつぶそう。
そう考え、レイはBTの機動パターンを探る。レーザーライフルの取り回しの癖は過去の試合の映像で予習できたが、BTとなるとさすがに相対しないと分からない。
「すごい、織斑君オルコットさんと互角に渡り合っていますよ」
オペレーションルームで山田先生は興奮した声を上げていた。
「あれが、一夏の動き…」
一方箒はレイの動きの精密さに驚きを隠せないでいた。しかし、隣の千冬は何ら表情の変化を見せず、ただモニターを見つめていた。
その会話の直後、試合が動く。
だいたいの機動パターンを学習し、レイは集中力の低下と相手を仕留めきれない焦りからブルー・ティアーズの制御が鈍ってきていることを感じていた。
そしてカウルから放たれる弾丸がブルー・ティアーズの一つを撃ち落とした。
—オオー!—
それに合わせてアリーナの観衆のボルテージが上がる。
「そんな、私のティアーズが…」
セシリアは明確な焦りを見せ、それが反映されたように砲撃の網が崩壊する。
その隙を見逃さず、カウルから放たれる弾丸がティアーズを打ち抜いていく、アーライエンはライフルを最小限の動きで取り廻し、微妙なスラスター出力を行い、踊るように機体の向きを変える。そしてそのまま4つのティアーズが打ち抜かれた。
レイは自分の望む挙動を寸分違わず再現する愛機に頬を吊り上げていた。
お前のことは好きになれそうだよ。アーライエン!
そのタイミングでアーライエンは飛び上がり、ブルー・ティアーズに接近する。
「ま、まだです!」
セシリアはティアーズが撃ち落とされた心の動揺を意地で飲み込み、残りのティアーズのミサイルを放とうとする。しかしその手さえも読まれていた。
その挙動を予測していたレイはカウルの照準をブルー・ティアーズのスカートに合わせていた。ミサイルが発射されるタイミングを瞬時に計算し、弾丸を放った。
それは発射直前のミサイルを誘爆させた。
「キャーッ⁉」
ブルー・ティアーズは落下し、地面に激突する。
その土煙が晴れた時、セシリアの首元には自分を見下ろして立つアーライエンのブレードが突き付けられていた。
「そんな…」
彼女は目の前の現実を飲み込めずにいる。
数瞬の沈黙の後、
「終止…」
告げられる冷酷な勝利宣言にセシリアは折れ、呟くように言った。
「私の、負けですわ…」
(勝者、織斑一夏!)
試合終了のアナウンスが流れる。
—ワアァァァ!—
大きな歓声が沸き起こる中、セシリアは独り、バイザーの奥に隠れた背筋が震えるほど鋭い精神を感じていた。
戦闘が短かったとは自分でも思っています。改善していきたいのでその辺も含め、評価・感想・指摘をいただけると嬉しいです。
※3/30戦闘部分に追記
※6/12戦闘部分に追記