テスト週間が終わって、心身ともにヘロヘロの作者です。
今回はちょっと長くなってしまいました。
しかも後半を除いて、ほぼ原作をなぞっただけに……orz
さらに未だに、雷児(主人公)のキャラが定まらないなど、問題が発生(汗)
とりあえず、本編どうぞ!↓
職員室から移動して数分後、俺と由比ヶ浜は部室の前に立っていた。
隣を見ると、由比ヶ浜は周りをせわしなく警戒していた。まるで、見知らぬ人に出くわした犬のようである。ここに来るまでにも、警戒心は薄まることが無かったし、そこまで知り合いに見つかるのが嫌なのだろうか。
ここについてから、「まだ待って!心の準備が出来てないっ!」とか言っていたが、明らかに矛盾してるよな……。はたまた、自分の中での葛藤か。
さっきに比べたら、俺の緊張の方は解けたし、ここは由比ヶ浜のために、一言かけておくべきかもしれない。
「由比ヶ浜さん。大丈夫なのか?」
「だ、大丈夫!大丈夫だよ!つる井?君」
「名前違うんだけど……。鶴見なんだけど」
「ご、ごめん! さっき、しっかり聞いてなかったかも……」
……名前をしっかり覚えてくれてなかった。やっぱ俺、嫌われてんのかな…。こんなかわいい人から嫌われるとか、涙出そうなんだけど。
あと、大丈夫と言う人ほど、大丈夫じゃない状況だったりするのはお約束。例としては、パワ○ロのダイジョーブ博士。あの人に何度、選手をダメにされたことやら……。
話が逸れた。本当は、由比ヶ浜にもう少し緊張を和らげて欲しいんだが、時間を掛けすぎるわけにはいかない。一度、依頼者本人に確認をする。例え、俺が嫌われていたとしても、これは仕事なのだ。細かいことは、いちいち言ってはいられない。
「名前の話は置いておくとして、心の準備は出来たか?」
「うん……。もう平気」
「オッケー。じゃあ、行くぞ」
本人が大丈夫そうなので、ドアを恐る恐るノックする。一回、二回と叩いて、中からの反応を待つ。多分、二人ともいると思うが……。
「どちら様ですか?」
室内から凛とした雪ノ下の声が聞こえてきた。とりあえず一安心だ。
入る前に手短に何の用件だけでも伝えておくとしよう。その方が、手っ取り早いだろうしな。
「雪ノ下さん。俺だよ、俺。今日、ある事情の女の子連れてきたんだけど……」
「……新手のオレオレ詐欺かしら? 今からでも遅くないわ。あなた、早く出頭しなさい。さもないと、警察呼ぶわよ」
「うおぉいっ!?自然に通報しようとするな! 鶴見だ!副部長の鶴見! 奉仕部に依頼がある女子を連れてきただけだから!」
「え? 鶴見君なの?」
「携帯持ち出して通報する気満々じゃねぇか……」
いきなりの急展開。どうしてこうなる。てか、中にいるなら見てないで止めろよ比企谷。俺の声ぐらい分かるだろうが……。
とりあえず、雪ノ下は通報することを止めてくれたようなので、ほっと胸を撫で下ろした。
「それならばそうと、先に言ってくれればいいじゃない」
「すまんな。緊急の用件は、ドアの外から手短に言うべきだと思ってな」
「どこの外国映画だ……。戦争でも始める気かよ」
ドアの隙間から、比企谷の独り言がボソッと聞こえてきた。
あながち間違ってはいない。いつでも俺と雪ノ下は、冷戦状態だ。なのに、雪ノ下に部下のように扱われる日々。この上司と部下の関係から、いつかは脱却したいものだ。
すると、その上司から鋭い声が飛んできた。
「あなた、依頼者を連れてきているのでしょう?そんな所で立ってないで、早く部室に入れてあげなさい」
「おう。じゃあ、開けるぞ。ほら、どうぞ」
「し、失礼しまーす」
ギギッ、ガラッと、何故か開きにくかったドアを開け、先に由比ヶ浜に入ってもらう。
部室の中から、ふわりとそよ風が感じられた。窓が開いていたようだ。
その風を感じながら、俺も由比ヶ浜の後に続いて部室に入り、ドアを閉める。相変わらず、殺風景と言うか、机と椅子しかないんだよな、この部屋。まあ、部員が特徴的だから、気にならんけど。少し周りをチラッと見ると、二人とも手元に本があるので、比企谷も、雪ノ下も本を読んでいたらしい。
由比ヶ浜も同じように、チラチラ周りを見ていたが、比企谷を見た瞬間に、「ひっ」と声をあげた。
「な、なんで、ヒッキーがここにいんのよ!?」
「いや、俺ここの部員だし……」
正確には部員の前に、強制的に入部させられた、がつくと思うが。
そう思っていると、比企谷が横目で本人に気づかれないように、由比ヶ浜を見ていることに気づく。その目は、好意的ではなく、疑っているような目だ。この人が自分にとって有害なのか、無害なのか、それを頭の中の記憶から、判断しようとしてるのかもしれない。
……というか、同じクラスなんだから、名前と顔くらい覚えておけよ。
余談だが、俺を見たときにも多少、こんな視線を受けた覚えがある。その時は、数秒で『あ、コイツ全く知らんわ』みたいな顔をしていたけど。思い出すの諦めんなよっ!また、話が脱線した。
一通り由比ヶ浜を観察していた比企谷は、ガタッと椅子を鳴らして立ち上がると、黒板側にポツンと一個だけ置いてある椅子を持ってきて、由比ヶ浜に座るように促す。
おい、それ俺の特等席なんだけど。なんで、キメ顔で女子に差し出してるの?
「まぁ、とにかく座って」
「あ、ありがと……」
比企谷の奴、マジで許さん……。八つ当たりめいた思いを抱きながら、ドアに体重をかける。俺の席は由比ヶ浜に座られてしまい、その特等席以外は座りたくないこだわりがあるので、立っていることにしたのだ。
少しの沈黙の後、雪ノ下が由比ヶ浜に声を掛けた。
「由比ヶ浜結衣さん、ね」
「あ、あたしのこと知ってるんだ……嬉しい……」
最後にボソッと小声で聞こえてきた。まあ、気持ちは分からんでもない。学校内の有名人に自分の名前を知っててもらったら、そりゃ嬉しいだろう。
俺の場合、相手の名前を知っていても、むしろ相手の顔が恐怖に染まることが多いんだけど。何故なんだろう? 普段の素行だろうか?
比企谷は、少し笑顔になっている由比ヶ浜を尻目に、雪ノ下に話しかける。
「お前、よく知ってるな……。全校生徒覚えてんじゃねぇの?」
「……そんなことないわ。あなたのことなんて知らなかったもの」
「そうですか……」
「別に落ち込まなくてもいいわ。あなたは何も悪くない。原因は、あなたの存在から目を逸らしたくなる私の心の弱さよ」
「ねぇ?お前、慰めてるつもりなの? 後半、俺が悪いみたいになってるからね?」
「慰めてなんかないわ。ただの皮肉よ」
比企谷が話しかけただけで、コレだけの罵倒が返すとは……。雪ノ下、恐ろしい子!
言葉一個一個に必ず毒が仕込まれている辺り、さすがだと思う。
だが、こんな時に限って、胸の内にある対抗心が俺の足を引っ張るのだ。
雪ノ下に毎度勝てない舌戦を挑む。負けず嫌いの血筋なんだろうか。
「皮肉にしちゃあ、ちょいと度が過ぎないか?」
左腕にサイコガンを持つ男を真似て、キザったらしい言葉を吐く。万能葉巻も全身赤タイツもないが。結構面白いんだよ、スペースコ○ラ。
いきなり話し始めた俺を、由比ヶ浜含め三人が見る。が、不意に雪ノ下が顎に手を当て、真剣な目で俺を観察し始めた。
「あなた……誰?」
「雪ノ下さん、さっき俺のこと分かってただろうが!」
「あら、私の記憶の中にある鶴見君は、いつも私に言いくるめられて唸っているのだけれど? 今のあなたでも私に対抗するなんて、まだ百年以上早いけどね」
「ぐぬぬぅ……」
「ぐぬぬとかやめろ。指ぬきグローブした暑苦しい奴を思い出すから」
お前は俺の師匠か! とでも言いたくなるような言葉を受け、沈黙する俺。
ついでに、比企谷が言った人物は財本座君ですね、分かります。無意識って怖い。
俯く俺を他所に、由比ヶ浜がキラキラした目を俺たちに向けて、爆弾発言をする。
「なんか……みんな楽しそうな部活だね」
「え?」
「は?」
「はぁ?」
この部活で初めて三人の息が揃った。嫌なシンクロである。
この様子を仲良しと認定できるなんて、とてもじゃないが俺は出来ない。
ましてや、平塚先生のからかいならともかく、本当の素で言ってそうだ。
三人が同時に睨んだためか、由比ヶ浜は、ひっと小さな悲鳴をあげ、両手をあわあわ動かし、必死に取り繕おうとする。
「あ、あの、なんていうかすごく自然だなって思っただけだからっ!ヒッキーもクラスにいるときと違って、そこの二人ともちゃんと喋ってるし……」
「いや、喋るよそりゃ……」
比企谷は苦笑いで答える。すると、雪ノ下がふと思い出したように呟く。
「そういえば、由比ヶ浜さんもF組だったわね、比企谷君?」
「え、そうなん……ハッ! そ、そういえばそうだったなー」
……咄嗟に嘘つくのが下手なんだな、比企谷。後半、完全に棒読みじゃねえか。
曖昧に誤魔化した嘘を、雪ノ下が認めるはずもなく、白い目が比企谷を射抜く。
「まさか知らなかったなんて言わないでしょうね?」
「俺でも、名前くらいは知ってたぞ、比企谷?」
雪ノ下と俺の追加攻撃に、ぐっ、と次の言葉が出てこない比企谷。その様子に、由比ヶ浜の目の色が変わる。
……あ、馬鹿を見る目付きになった。
「……クラスメートの名前知らないとか、そんなんだから、ヒッキー友達いないんじゃないの?キョドり方キモいし」
「Oh……」
先程までの由比ヶ浜からは想像できない様な言葉が飛び出した。女って怖い。
その言葉に、比企谷の眉がピクッと動いた。そして、何か悟ったような顔になると、明らかに敵意を込めた口調で呟いた。
「……このビッチめ」
「はぁ!?ビッチって何よっ!私はまだ処…ッ!うわわっ!なんでもない!」
反論しようとした由比ヶ浜の顔が、羞恥で一気に赤く染まる。手も、ワチャワチャ動かして否定する辺り、必死度が見て取れる。
それを見かねた雪ノ下が溜め息をついて、フォローに回ったのだが……。
「別に恥ずかしいことではないでしょう。まだこの年でヴァージ…」
「わーわーわー!ちょっと何言ってるの!?高二でまだとか、恥ずかしいよ!雪ノ下さん、女子力足りないんじゃないの?」
「……くだらない価値観ね」
そのフォローが恥ずかしかったのか、由比ヶ浜が声を必死にかき消していた。
てか、今の発言では、由比ヶ浜も女子力が低いことになってしまうんだが、それでいいのか。その理屈で言えば、俺の男子力もゼロになっちゃうんだけど。俺、童貞ですし。
だが、別の部分が気になったので、ちょっと低い声を意識しながら口を開いた。
「確かにくだらないな。だけど、それ以前に女の子が処○だの、ヴァー○ンだの、言うのが良くないな。貞操は結婚するまで守るべきだと、私は思うのだがね……」
「……鶴見君、今あなたが一番の危険人物なのに気づいてないのかしら?セクハラで訴えられたら、あなた確実に負けるわよ」
「なんか鶴見の後ろに、平塚先生のオーラが見えたような……ってこのビッチには言っても意味ねぇんじゃねえか?」
「またビッチって言った!ヒッキーマジありえないっ!……それにそういうことは好きな人とごにょごにょ…………」
二人の反対と、一人の賛成? をいただいた。にしても、由比ヶ浜は見た目は確かに派手系だが、中身は完璧に乙女だな。小声で乙女チック全開なことを言ってたし。
俺の耳は、結構聞こえがいいのだ。ただ、役立つ事が他人の独り言聞くだけとか、俺の生活の質の悪さが伺える。
由比ヶ浜が、話さなくなってしまうと、またシーンとした沈黙が訪れる。
比企谷は俺に、何か言いたげな視線を向けてきた、が何も言わずにまた目を天井に戻した。この空気になったのは俺のせいだと言いたいのか? 決して、言葉では言わない所が比企谷らしいな。しかし、さっき、ミスしたからな……。正直、やりたくないんだけど。どうしたものか。
俺が、どう話しかけようか悩んでいると、由比ヶ浜がすぅと息を吸い込んで、俺たち三人に話しかけてきた。どうやら、何か決心したようだ。
「……あのさ、平塚先生に聞いたけど、ここって生徒のお願いを叶えてくれるんだよね?」
「そうなのか?」
由比ヶ浜の質問に比企谷も便乗して聞いてきた。……二人とも雪ノ下の方にしか顔が向いてないのはどうしてなんだ。俺、そんなに答えられないように見えますか、そうですか。
心の中で涙目になっている俺のことなんて眼中に入れず、雪ノ下は二人の質問に答える。
「少し違うわね。あくまでも奉仕部は手助けをするだけ。願いが叶うかはあなた次第よ」
「どう違うの?」
「飢えた人に魚を与えるのではなくて、魚の獲り方を教えるの。ボランティアとは本来、そういうものよ。相手の自立を促すのが目的なの」
「な、なんかすごいねっ?」
雪ノ下の言葉に、納得しました! みたいな顔をしている由比ヶ浜。
だけど、多分中身は全然理解してないだろうな……。最後が疑問系になってるし。
全く俺には聞かれてないようだが、いい例えがあったので、そのまま口に出した。
「まあ、奉仕部は魔法のランプじゃないってことだ」
「あ!なんとなく、理解できたかも!」
「なんで、今の表現で理解出来るのか、私には分からないわ……。何一つ具体的で無いのに……」
俺の例えは、由比ヶ浜には共感されたようだ。だが、雪ノ下は呆れた表情でこめかみを押さえながら、呟いていた。
雪ノ下に対してちょっと勝ったような優越感があって、心の中でガッツポーズする。
ニヤニヤしていていると雪ノ下に罵倒されて、せっかくの勝利の余韻を邪魔されるので、顔をしっかり引き締めていると、珍しく比企谷が話を切り出した
「それで、その魔法のランプじゃない部活にビッチが来たのは、なんでなんだ?」
「ビッチ言うなしっ!」
比企谷の発言に、また由比ヶ浜は、顔を真っ赤にしてプンスカ怒っている。
それにしても、見ていた飽きないほど、本当に表情がコロコロ変わるな。
一方、普段と同じ冷たい笑みを浮かべている雪ノ下が、由比ヶ浜に顔を向けて、冷たい、けれどもどこか相手を思いやる口調で問いかけた。
「相談があって来たのでしょう? 必ず願いが叶うという訳ではないけれど、出来る限り力を貸すわ」
その言葉を聞いて、由比ヶ浜がもう一度、意を決したようである。が、視線が俺と比企谷の間を彷徨っていて、話すのを躊躇っている感じだ
「あのあの、あのね、クッキーをy……」
「比企谷君」
由比ヶ浜が言い終わる前に雪ノ下が顎で、ドアを指した。さっさとここから出て行けという合図らしい。
「……ちょっと、スポルトップ買ってくるわ」
比企谷はその視線を受けると、さりげなく席を立って、俺が背中を離したドアを、ガラッと開けて出て行った。
……って、俺が出るタイミング逃したじゃん!
こうなったら、せめて息を止めて擬態することにしよう。ドアの一部となってしまえば何もこわくな……
「鶴見君。何故出て行かないの? あなた、まさか女子の会話を堂々と盗み聞きする趣味なんて持ってないでしょうね?」
はい、やっぱ無理でした。マズイ、雪ノ下の俺を見る目が、犯罪者を見るソレになってる。
何かここを切り抜ける言い訳は無いのか!
頭の中を必死でフル回転させた結果、ある言葉に辿り着いた。
「……平塚先生とお話してくるわ」
何故だ……。何故、コレしか思い浮かばなかったんだ…!
しかも、『お話してくる』って何だよ!なんか誤解されそうで怖い。
改めて自分の思考の偏りに愕然としてしまう。
「そう。なら、ついでに職員室で家庭科室の鍵を取りに行って貰える?」
あれ? 見え見えの嘘をついたのにお咎めなしだ。意外である。
ここで何も聞かずに素直に行っても良いのだが、不自然に思われたら嫌なので、一応聞いてみた。
「それは構わないんだが…なんで家庭科室を使うんだ?」
「さっきの話を聞いていれば分かるでしょう?」
さっきの『クッキーをy……』で分かるのはお前だけだと思う。
どれだけ先読みして世の中生きてんだよ。宇宙空間行ったら、人と思念で話しできるようになったり、ニュータイプとか呼ばれたりしないよな? まあ、あり得ないけど。
そう思ったからかは分からないが、雪ノ下がキュピーン、と何か思い出したようである。
「あ、ついでに野菜生活100いちごヨーグルトミックスを買ってきてくれる?」
「おい、さっきの比企谷に頼めば良かっただろうが。なんでわざわざ俺に頼むんだよ」
鍵を貰って、それから買いに行くとすごい遠回りをしないといけなくなる。
そんな無駄な重労働したくないぞ。
俺の抗議を受けても、すまし顔をして上から目線で話を進める雪ノ下。
「頼み? 違うわね。これは部長からの命令よ」
「こんな些細な事に権力を乱用すんな! まあ、いいや……。ほれ」
言い合いをしていたら、いつまで経っても終わらなさそうなので、俺が折れることにした。
とは、言っても比企谷のように一方的に折れるのではなく、相手にある程度、リスクやら何やらを持ってもらうのが俺のやり方だ。
俺は、雪ノ下の近くまで行き、手の平を上にして、右手を差し出した。
しかし、俺の右手を見ても、頭に?を浮かべる雪ノ下。
「鶴見君。この手は何?」
「ジュース代。パシリぐらいは行ってやるから」
すると、雪ノ下は顎に手を当て、何か思案し始めた。まだ、何かあるの?買うなら早くして欲しいんだけど。
そして、十秒ぐらいの沈黙が訪れた後、キッパリとこう言った。
「嫌よ。この場合、私からあなたにお金を払う義務は無いもの」
「なんで!?」
「なんでだよ!!」
由比ヶ浜と俺が、驚きの声を上げた。シンクロしたのにビックリしたのか、由比ヶ浜が、俺と目を合わせると恥ずかしそうに目を逸らした。
やめて! そんな態度とられると、こっちまで顔が赤くなる。あ、やべ、鼻血出そう。
一人で暴走してる俺の内心など気にも留めずに、その理由を説明し始める雪ノ下。
「鶴見君。私にハイスクールのランチ……ではなくて、自販機のジュースを二回も奢らさせたことを、忘れたなんて言わないでしょうね?」
確かに覚えている。お互い負けず嫌いの所があるので、お互いに煽って、何回かこんなこともやっていたような気がする。ただし、リア充達が行う、『誰がパシリなるかを決めちゃおうゲーム』などとは全く違い、二人ともガチな真剣勝負なんだが。
けれど、そのことなら俺にだって、言いたいことがある。
「俺だって、雪ノ下さんに、ハイスクールのランチ……じゃなくって、昼休みの購買を十三回も奢らされた記憶がある!」
「なんで、二人とも途中で間違えたのっ!? しかもしっかり覚えてるんだ!?」
俺と雪ノ下の、何も有益な物を産み出さない不毛な争いに、由比ヶ浜が驚愕していた。
このくらいの数覚えてるなんて当たり前。なんなら、奢らされた分だけ、相手にミサイルを撃ち込んでしまうかもしれない。それ、マク□スプラスじゃん!
雪ノ下は、由比ヶ浜に言われてちょっと恥ずかしかったのか、コホンと咳払いをして、
一人でテンションが上がっている俺に再度、視線を向けた。
「とにかく、早く家庭科室の鍵だけでも取って来て頂戴。依頼者をここで待たせておく訳にもいかないわ」
「分かった。そのまま家庭科室行って、鍵を開けてくる。二人とも、比企谷来るまで待ってないといけないだろうし」
「あの男はノーカウントよ。待っている必要は無いわ」
相変わらず、俺や比企谷への風当たりは強いですね、雪ノ下さん。
苦笑いを隠しきれないでいると、急に由比ヶ浜がおずおずし始めて、何か言いたげな様子で雪ノ下を見ていた。
「……何かしら? 由比ヶ浜さん」
「雪ノ下さん。一人だけ、仲間外れは、やっぱ良くないかなぁ~なんて……」
「……っ! そ、そうね。少し待っていても良いかも知れないわ」
「ほ、ホントに!?」
由比ヶ浜のおかげで、どうやら比企谷は、おいてけぼりを食らわずに済んだようである。
けど、一瞬だが、雪ノ下の様子がおかしかったような気がしたが……?
まさか、比企谷や俺じゃあるまいし、過去にトラウマを持ってたりしないだろうけど。
第一、これくらいのトラウマでギブアップする雪ノ下なんて、逆に恐ろしい。
いや、むしろいいのか。泣き顔とか激レアじゃないか?
「鶴見君。そんな所で、鼻の下伸ばしてないで、早く職員室行ってきてほしいのだけれど?」
「の、伸ばしてなんかない! 分かった! 行きますよ!」
やっぱ、雪ノ下が泣き顔見せるとか、考えられねえよなぁ……。
これ以上、他に何か言われたら堪らないので、ドアを開けて教室を出ようとする。
ギギイィ…、と比企谷が出るときはすんなり開いたのに、今は頑なに開こうとしないドアを無理矢理開いて、外に出た。
ドアを閉めるために振り向いたとき、由比ヶ浜が、どちらに話しかけているのか分からないまま、呟いた。
「やっぱ、この部活って仲良いじゃん……」
その言葉に、俺と雪ノ下は顔を見合わせ、同時に答えを返す。
「全然、良くない!」
「絶対に良くないわ」
「全力で否定されたっ!?」
当たり前だ。由比ヶ浜もこの部活に入ってみれば分かる。
そう心の中で思いながら、閉まりにくいドアを閉めた。
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その頃、総武高校のとある場所にて。
「むしろ、仲は最悪まである」
スポルトップと男のカフェオレを二本持って、小声で独り言を呟く、目の腐った男子生徒がいたとか、いなかったとか……。
終わり方ホントに雑でスイマセン……。
こんな終わり方しか思い浮かばなかったんだよぅ……(泣)
これから、話を組み立てなくてはいけないので次も時間が掛かると思います。
プロットというのは、大事なんだと痛切に実感しました。
これからも読んでくれたら嬉しいです。
……あ、誤字脱字、があったらビシバシ送ってください!