やはり俺の青春ラブコメ計画は脱線している。   作:おるぱわ

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更新遅いのに、短くて本当にスイマセン。

あと、キャラ崩壊もしてるかもしれません。orz

それでも読んでくれる方に、感謝!<(_ _)>


やはり彼女のクッキーは……。

 

 

 

少し赤みが帯び始めた日差しの中、家庭科室に向かう男が一人。

黒に近い茶色の髪は寝起きのように整っておらず、目付きも寝不足で不機嫌そうに見える。

顔は、可も無く不可も無くと言った所で……、というか俺だった。

 

今は、途中の窓ガラスを見て、外の強風で乱れた髪を直している最中だ。

雪ノ下達と別れた後、職員室―→家庭科室―→外の自動販売機―→現在、という行動を行ったので、精神的な疲労度が倍プッシュである。

家庭科室の鍵を開けるのはまだしも、わざわざ外まで雪ノ下のパシリをする必要は無かったなぁ……。後で、ちゃんと代金を請求してやろう。

それよりも目下の問題は……

 

「さて、この勝負をどうしたもんか……」

 

今から行われるのは、『由比ヶ浜のクッキー作りの手伝い』だ。

雪ノ下のことだから、この予想はかなり的を得ていることは間違いが無い。

問題は、俺に『料理』に関する特技が全く無いと言うことだ。

 

実際、雪ノ下なら料理の腕は下手すればプロ級、そうでなくとも一般の上手い人より上の腕前を持っているだろう。小学生のときにその片鱗を見せていたからな。

とあれば、その技術を由比ヶ浜に教えれば、それで片がついてしまう。

 

比企谷はどうだろうか? 何も出来ないように見えて実は出来るのが、アイツなのかもしれない。

この予想は、別に全く当てずっぽうって訳ではない。

兄妹がいる、つまりは妹がいる場合、家事などの分担が発生する。それで大体、兄の方の負担が重いというのが、俺がアニメで見つけた統計だ。多分、今のアイツもそれに当てはまるだろう。

さらに、比企谷は頭が切れる。やる気が無くても何とかしてしまう。まるで氷○の○太郎みたいな感じだ。

対して、俺は一人っ子で、どちらかと言えば単細胞。そして、いつも空回るし…。

 

……って、いかんいかん! そんな弱気でどうする! いくら敗戦が濃厚な試合でも、諦めるわけにはいかない。

俺なりのやり方で、なんとかあいつ等に一矢報いてやるのだ!

 

気が付けば、もう家庭科室の前だ。

またもや、何故か開きにくいドアを無理矢理こじ開け、入室する。

ギギィ……。と、耳障りな音が聞こえたからか、中にいた三人が同時にこちらを向いた。

雪ノ下と由比ヶ浜はエプロンを着用しており、とても似合っていた。

窓が開いており、そこから入ってくる強い風に揺れるエプロンとスカートが、なんとも言えない気持ちを呼び起こさせる。これがフェチズムなのかもしれない。

だが、比企谷を中心に負のオーラが撒き散らされており、そんな気分ではなくなってしまった。ちょっと間が空いて、各々が口を開いた。

 

「…………あ、鶴見君。……お帰りなさい」

「…………やけに遅かったな……」

「あ、つるみん!どこ行ってたの?」

 

「お、おぉ……。自販機行ってて遅くなった」

 

……由比ヶ浜以外のテンションが地を這っているのは何故だ…。

てか、ツルミンって、なんか進撃の○人のア○ミンっぽいぞ。俺にはあんな賢い頭脳はありません……。後、髪の毛が少なそうに聞こえるから変えてもらうことにしよう。

それは置いといて、とりあえず、虚ろな目をしている二人に話しかける。

 

「そこの二人。俺が自動販売機に行ってる間に何があったんだ?」

 

比企谷が虚ろな目をしてるのは元からだから分かるが、雪ノ下までやつれた顔をしているのはちょっと何かヤバイ事があった気がしてならない。罵倒も無く、普通に話しかけている部分ですでに重症だと分かる。

俺からの疑問に、雪ノ下は深い溜め息をつきながら答えた。

 

「私には彼女があれだけ失敗を重ねれるのか、全く理解できそうに無いわ……」

 

その視線の先には、皿に盛り付けられた黒い物体……いや、黒い塊があった。

…………なんか予想より禍々しいデスヨ? もうクッキーと呼んだら、クッキーに失礼かもしれないくらいのレベルだ。念のために比企谷に問いかけた。

 

「……間違いなくクッキーを焼いたんだよな?」

 

「ああ…。ジョイフル本田の木炭みたいになってるが、最初はその予定だった」

 

「今は跡形も無い……という訳か」

 

「ちょっ、そこの二人! ま、まだ美味しくないって決まった訳じゃないじゃん!」

 

二人揃って、お通夜モードになりかけてる俺たちに由比ヶ浜がお皿を持って、必死にアピールしてきていた。

……確かにここまで苦い匂いが来るが、その健気な姿勢に感銘を受けた。

べ、別に今の由比ヶ浜の格好から、メイドさんを想像したわけではないぞ!

 

「まあ、見た目はアレだが食えないわけじゃなさそうだと思うんだが……」

 

「ホントにっ!? さっすが、つるみん!」

 

「おい、鶴見。コレをマジで食べる気かよ……。 馬鹿なの? 死ぬ気なの?」

 

俺が曖昧な返事をしていると、由比ヶ浜がキラキラした笑顔でめっちゃ喜んでいた。別にまだ食べるなんて一言も言ってないんだけど……。

一方、比企谷は驚愕した顔で俺を見ていた。いや、死ぬのはさすがに無いだろ、多分。

万が一は覚悟しないといけないと思うくらいで。

 

真っ黒な物体の前で、一向に手を進めず、時間だけが過ぎていく中、雪ノ下が突然立ち上がった。そして、突然の宣言。

 

「はぁ……。じゃあ、皆で食べることにしましょう」

 

「「はぁ!? 」」

 

俺と比企谷が、叫びを上げた。

え、雪ノ下さん、今までの俺らの話の流れ聞いてたの?遠回しに絶対に食べたくないって言ってんだよ?

だが、言った張本人は全く意に介してないようで話を続けた。

 

「もちろん、私だけ食べない、なんて卑怯なことは言わないわ。この依頼を受けた私にも責任があるのだし、その木炭…いえ、クッキーの失敗は分担して処理しましょう」

 

……正直、雪ノ下が自分からこんなこと言うとは思ってなかった。最悪、『鶴見君が全て処理しなさい』とでも、言われるんじゃないかと内心ヒヤヒヤだったんだが。

驚いたのは、比企谷も同じようで。

 

「…お前、ひょっとしていい奴なの? それとも俺のことが好きなの?」

 

「……比企谷君。やはりあなたが全部食べて死になさいよ」

 

「すまん、気が動転しておかしなこと口走りました」

 

みたいな、馬鹿なことを言っていたが。

これにて、一件落着!……ではなかった。

皆で食べる、つまり逆に言えば、みんながあの黒い物体Xを口に入れなければならないことになる。

それに気づいていたのか、比企谷が再度、冷や汗を掻きながら問いかけた。

 

「……それで、誰が最初に食べるんだ?」

 

「ハイ! 俺、三番がいいです!!」

 

「なっ!? 鶴見! お前に慈悲の心は無いのか!」

 

「うるさい! こういうのは早い者勝ちなんだよ!」

 

ふっ…勝った。この場合、味が分からない一番など論外。由比ヶ浜に一番をさせるのは気が引けるので、ベストな位置である三番を奪取した。

俺と比企谷が言い争うのを、雪ノ下が呆れ顔で見ていたが。

 

「結局、皆が食べるのだから、最初も終わりも変わりはないでしょう……」

 

そう言って、雪ノ下は皿を自分の方に寄せ、黒い塊を一つちぎった。

黒い塊を間近で見て、少し涙目になっていた気がしたが、目を閉じると意を決したように、黒い塊を一口かじる。

 

「……ッ!…………」

 

「ど、どう? 雪ノ下さん」

 

「え、えぇ…。だ、大丈夫よ」

 

一瞬、眉がピクッと反応したが、その後は無言で食べ切ってしまった。

若干、顔が青ざめているような気がするが、口に出さないってことは、そんなにまずくないってことなのか?

由比ヶ浜が問いかけても、あんまり反応返して無いし……。

その反応を見て、比企谷も、本当に嫌そうな顔をしながら、黒い塊をガリッと噛み砕いた。

 

「う!………んぐっ……」

 

「ヒッキー、どうかな?」

 

「…………」

 

比企谷も比企谷で、何かをこらえるような声を出して、何も答えてくれない。

あれ?コレ、三番選んだ意味無くない?

由比ヶ浜が、二人からあまり反応を得られなかったことで、若干涙目になってこちらを見ているので、良心がギギュッと締められる。

俺も仕方なく、黒い塊を手にとってみた。が、やはりなんとも禍々しい。

 

「つるみんは、答えてくれるよね?」

 

「……ええい、ままよ!」

 

仮面をつけた男みたく、未来の照準が決まらないまま、塊を口の中へ放り込んだ。

そして、力の限り噛み砕く。

その味の情報は、舌から入り、神経を伝って脳にダイレクトでその刺激を伝える。そして、脳から送られた命令を、自力で止める事は出来ず、口から言葉が飛び出た。

 

「うげぇっ! 苦い! 超苦い!! というか、マズ……ハッ!?」

 

ここまで言って、ようやく我を取り戻した。錆び付いたぜんまい人形のようにしか動かない首をギギギッと由比ヶ浜の方向に向けると……。

 

「……うぅ……ぐすん、えぐっ……」

 

「由比ヶ浜さん!? いや、あのね、今のはさ……」

 

由比ヶ浜はマジ泣きしそうになっていた。

必死に謝るために頭を回すが、その思考を凍結させる極寒の声が頭に響いた。

 

 

「鶴見君」

 

 

後ろを振り向くと、ブリザードのオーラを纏った我が部の部長、雪ノ下が視線で、俺を射殺していた。

その覇気にビビッて、ガタタッと椅子をにあたって大きな音を立てながら、後ろに後ずさる。質問したいことは、次から次に山ほど出てくるが、今は命を大事にしたかった。

 

「あ、あの、雪ノ下サン? なんであなたは、右手に包丁を持って、左手にクッキー(仮)の皿をもっているんですか!?」

 

「あら、これは偶然よ。包丁は何故か、気が付いたら持っていたわ」

 

ドンッと後ろの壁に背中が触れた。もう後ろには下がれない。前の時みたいに、ドアからも逃げられそうに無かった。

 

「ちょ、本当にヤバイって! 雪ノ下さん、目のハイライトが死んだまま、こっち来ると洒落にならないから!」

 

体がガタガタ震えながら、訴えかける俺の耳に、次の雪ノ下の澄んだ声はよく頭の中で響いた。それはさながら女神の審判のようで。

 

 

「鶴見君。男にとって、女の子を泣かせた罪は重いわよ」

 

 

この日、放課後に悲痛な男の悲鳴が聞こえたと言う情報が、校舎内にいた人達から、多くもたらされたらしい。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

職員室にて

 

『ぎゃあああぁぁぁ……』

 

「「「「 またあいつか…… 」」」」

 

「ハァ……。あの問題児はどれだけ私の苦労を増やすつもりなんだ……」

 

平塚先生は、今日一番の溜め息をついていたそうな。

 

 





毎度のように途中で切れました…。
やっぱり、時間が掛かっても長い方がいいでしょうか?

筆者も雷児のように、諦め悪く、泥臭く、真っ直ぐに頑張りたいですね……。
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