この世界には『セル』という生き物がいる。あまり『セル』という生き物については知られていない。
目覚めの良い朝だ。
「う~!まだもうちょっと寝たい…ううん、だめだめ。学校頑張って行かなきゃ」
私は中学二年生。早起きが苦手だ。朝ご飯を食べないことが多い。
「桜田 桃香行ってきま~す!」
「桃香、おはよう!」
「おはよう!」
今話しかけてきたのは大親友の美緒。お母さんがデザイナーで美緒自身もオシャレ好きだ。
「桃香、今日の香水どう?」
もちろん学校に香水は禁止だ。
「香水禁止なんじゃ…」
でも美緒は私の言葉も無視して話を進めた。
「ねえねえ、この学校ってセル退治の女子っているじゃん?」
「うん、いる」
セル退治の女子はいまで…十人ぐらいだ。
「でも、セルを退治する力?みたいなのを持ってる人じゃないといけないんでしょ?」
「ダイジョブダイジョブ」
美緒はいつもこんな感じだ。
「まあ、とりあえず行こうか」
「うん!」
「おっはようございます!」
美緒は目立ちたがり?みたいでいつも大声で挨拶をする。その挨拶にみんなが振り向く。
「おはよう」 「おはよう」 「おはよう」
でも、挨拶を返してくれるのは五人ぐらいだ。本当に悲しい。そんな様子をいつも苦笑いで見ている。
「たのもー」
そのやる気のない声に皆が振り向く。同じ中二の東堂 薫だ。はんなりキャラだ。
「春パイセンもいるよーせいとかいちょーもいるよ」
(変なしゃべり方だな…)
「ここに桜田桃香と星川美緒はいるかー!?」
生徒会長、小川 緑が大声を上げる。
「ひゃい!」
突然呼ばれたので変な声になってしまった。
「今すぐ理事長室に来てもらおう!」
(なんで行かなきゃならないの。私達なんかした?)
無理矢理理事長室に連れてこられた。この学校の理事長は生徒なのだ。お金の力みたいなものらしい。
「こんにちは…」
「おはようございます」
私達は緊張しすぎて挨拶が小さくなってきた。
「アリス早く話を」
「OK!話というのはあなた達もセル退治に協力してほしいの」
「「え!?」」
あまりにびっくりしたのでその場が静かになった。
「あなた達が新しく入る人ー?」
「さっき私たちのこと見たでしょ!?」
美緒が楽しそうに?東堂さんと話している。
「今日からこのクラスで活動してね。あ、私は小川 春よ」
「ちーっす!私、初音!中三でーっす!」
初音はとても元気だ。噂では学校一の元気っこらしい。
「初音と同級生の花蘭です。よろしくね。桃香ちゃん、美緒ちゃん」
花蘭は初音と反対で学校一おとなしい。
「せ・ん・ぱ・い!私のこと忘れてませんか!?」
「ごめんごめんって…誰?」
知らない子だった。この子が学校にいることさえ知らなかった。
「私は沙織ですぅ…はぁ…」
「ごめんね。沙織ちゃん」
「わあ…!ありがとうございます」
沙織は学校一変わっている生徒で有名らしい。
「私は理事長のアリス…わあ!」
「私は小川 緑。高三だ。」
「ちょっと~!緑~!私の自己紹介は!?」
「お前はもうしただろ!?」
この二人はよく喧嘩をするのか。初めて会った私にはわからない。
「ちょっと!?皆さん早く席に座りなさい!朝のホームルームが始まりますよ!」
その怒鳴り声に皆が一瞬で席に着く。
「皆さん、新しい人が来るといってもはしゃぎすぎですよ」
「は~い…」
お昼休みになった。
「ばー!」
「わっ!」
いきなり薫が驚かせてきた。
「そのリアクションぐっちょぶですー!」
「東堂さん!」
「薫で良いですー!」
新しい友達ができると思ったら嬉しくなる。
「じゃあ薫」
「はいー!」
「一緒にお昼ご飯食べよ」
「?」
なぜか薫は不思議そうな顔をした。
「もうちょっときつい命令が来ると思ったー」
「そ、そんなことしないよっ!」
薫といるとなんだか楽しい。
「では今から模擬戦をします!二人ペアをつくってください」
(二人ペアか…どうしよう?)
「桃香ちゃん!私と組もうよ!」
「初音先輩!?」
いきなり大声でしゃべりかけられたのは初めてだったからとても驚いた。
「いいですよ。今、誰と組もうか迷ってましたし」
「ありがとう!優しいな桃香ちゃんは~!」
「あははは…」
そして模擬戦が始まる…!
「桃香ちゃんは私のサポートをお願い」
「はい!」
今回の模擬戦は二対ニだ。対戦相手は薫とアリスだ。
「では、模擬戦…始め!」
私の武器はソードだ。初音は銃…ガンだ。
バンバン!
「桃香ちゃん!私は薫の足を狙うから、桃香ちゃんはアリスの攻撃を食い止めて!」
「え~!?」
びっくりした。アリスは高三でしかも一番初めからここにいるらしい。だから、攻撃威力も強いし、技術もいいはず。アリスがいるチームは勝ち確定だ。
(薫~!ずるいぞ!でも、美緒も応援してくれてる…頑張らなきゃ…!)
「はあ~!」
キン!
「あ!武器が!」
アリスが叫んだ。私が斬りかかった瞬間、アリスのハンマーが吹っ飛んだ。
「ご、ごめんなさい!」
勢いよく誤ってしまった。その時だった。私が油断しているときに薫が剣を持ってこちらに向かってきた。
「うわあああああ~!」
「ごめんね。わ、私がミスったせいで…大丈夫?」
「は、はい…」
初めての模擬戦だった。できれば勝ちたかったが、私はアリスの武器を吹き飛ばしただけでも良かった。
「でもすごいわよ!私のハンマーを吹き飛ばしたんだもの!全然OK!」
「ありがとうございます」
三人でさっきの模擬戦のことを話していた。その時だった。
ガラ!
物凄い大きな音が教室に響き渡った。
「皆、おはよう」
知らない女の子だ。
「善音ちゃんだ~!でも、今はおはようじゃないよ?」
「むか!」
沙織と同級生の善音らしい。
「私の名をきやすく呼ばないでくれる?」
「善音ちゃんだよね?」
「私は新人が入ったと聞いたんで手下を増やしに来ただけよ」
「嘘つき」
そんな言い合いを皆はしょうもなさそうに見ていた。
「ということで…私の手下に…」
「断るわ」
さっきからこれの繰り返しだ。善音と美緒の言い合いだ。
「さあ、美緒。善音様と呼び…痛っ!」
背後から薫が叩いた。
「友達をいじめるのはダメですー」
「薫ぅ~この裏切り者~!馬鹿!」
(あ~…やっちゃった…)
そうだ。本当にやってしまった。薫に『馬鹿』と言ったらとんでもないことになる。
私はどうなっても知らないぞ)
バチン!!バチバチバチ!!!
「痛い~!!!!痛い痛い痛い!」
薫の本性は鬼なのだ。
「おはようございます」
「おはよう。手下よ」
「私はいつ手下になったのでしょうか?」
このクラスは善音に勝手に手下にされているらしい。
「いつものことだよ」
「春先輩、おはようございます!」
「おはよう、桃香ちゃん」
皆が授業が始まるのを待っていた。その時だった。
「みんな大切な話があるの」
アリスが真剣な表情で教室に来た。
「本当にどうなってるの~?」
沙織が叫んだ。なぜかというと、突然巨大セルが現れたのだ。
「早く倒して帰るぞ」
流石生徒会長。いつも冷静だ。
(私も初めてのセル退治だ。頑張らなきゃ)
「え?」
沙織がまぬけな声を上げた。
「嘘…!でしょ…!?」
そこには巨大セルが千匹以上いた。巨大セル一匹でも大変なのに、千匹なんて絶対終わっている。
「い、一回退散……逃げるぞ~!」
アリスがめちゃくちゃな指示をする。
「ちょっと!戦わないのか!?」
「戦える相手じゃないでしょ!?」
「ったく!アリスは~!!」
また二人が喧嘩を始める。今は喧嘩をしている場合ではないというのに。
「よし。この善音様に任せなさい!」
「善音!何をやっている!?」
善音ははっきり言って馬鹿だ。どんどん追いかけてくる。だんだん距離が近くなる。
「わっ!」
「沙織ちゃん!」
どうやら沙織がこけたらしい。沙織にセルが近づく。セルが沙織に攻撃を仕掛けた。
「きゃー!」
もう絶体絶命、そんな時だった。
バン!ババババババン!
「え?」
さっきまでいた千匹のセルは一瞬にして消え去った。
「何やってんの!?馬鹿な人達」
「大丈夫?怪我はない?」
そこには宙に浮く二人の少女の姿があった。
「お前たちは誰だ!?」
教室で緑が叫んだ。
「まあまあ、怒らないでくださいよ」
「私達は…」
「佐奈ちゃんはいいわよ。私が説明するから」
「…」
どうやら佐奈はすねたらしい。この二人は結構仲がいいらしい。
「私は隣町の中学からこの中学校に転校しに来たんですよ~あなた達に力を貸すために…」
「あんたたち弱すぎっ!もうちょっと選ばれしものという自覚を持って!」
誰も言い返せない。少女たちの言ってることは本当のことなのだから。
「だが、先生には許可をもらっているのか!?」
「許可をもらったから来てるんでしょ!?」
二人が喧嘩を始めた。緑は人と喧嘩をしやすいのか。
「じゃあ、自己紹介をしましょ、佐奈ちゃん」
「そ、そうね。恥ずかしいことをしたわ…」
「佐奈ちゃんはえらい子えらい子。そして私はアリア父がアメリカ人で母が日本人です。」
アリアは自慢するように言った。
「私は佐奈」
「アリアは日本人ー?アメリカ人ー?」
「どっちもかしら?」
「もう嫌だ…」
驚きの言葉を佐奈が言った。
「佐奈ちゃん?」
「もう、セル退治はこりごりよ。さようなら」
「佐奈ちゃん!」
佐奈はどこかに行ってしまった。その後皆で学校中を探し回ったが佐奈は見つからなかった。