ヴルムシューターと合体したウォーグレイモンがウズシオの最後のライフを砕いた。メタルシードラモンを破壊した時同様、ヴルムシューターにガイアフォースの力を込めて、強力な弾丸として飛ばして、あまりの衝撃にウズシオは地下のバトルフィールドから吹き飛ばされてしまう。ウズシオは階段を転げるように落下し、地面に叩きつけられた。血は流したものの、死には至らなかった。
花火「・・・うぉぉぉぉぉおおお!!!」
花火は高揚からか、腹の底から大きな声で叫んだ。ウズシオには聞きたいことが山ほど残っていた。【暗黒】とはなんなのか、【オメガモン】とはなんなのか、考え出したらきりがない、今すぐにでも聞き出したいが、もう彼自身、体力の限界だった。いやとっくにそんなものは超えていたのだが、
アグモンのカードがウズシオの暗黒の力を吸収していく、ついでに別の場所で倒れている、ウズシオの【暗黒の使徒】アドスとビューの力も、おそらく、力の元となるウズシオを倒したからだろう。
そして花火はとうとうその場で力尽きて倒れてしまう。死んではいない、血もそんなに流れてはいなかったが、最初のバトルで流しすぎたのだ、
マキシオ「・・・ウズシオ!」
マキシオは地面に叩きつけられたウズシオの方へ向かう。
ウズシオ「・・・兄、さん」
ウズシオは花火に負けるとは思ってもいなかった。まさか自分が殺したと思った相手にやられるとは誰も思わないだろう。
マキシオ「なぜだ、なぜ違った、ウズシオよ一体いつから、こんなにも違う道を歩むようになってしまったのだ」
マキシオとウズシオ、アトーライの一族に生まれたこの2人の兄弟は昔は仲が良かった。だが、兄、マキシオが次世代王に決まった時、ウズシオはマキシオに嫌悪感や憎悪を覚えるようになる。みみっちく思われるかもしれないが、この兄弟にとって【王を継ぐ】と言うのはそれほど重要なことであった。
ウズシオ「・・・俺は、兄さんのような人になりたかった、誰もが認める、真の王に、ただただ・・・なりたかっただけだ・・・だから、違ってしまった、歩むべき道を」
ウズシオの口から発せられる言葉にもう覇気はない、アグモンが暗黒の力を吸収したからだろうか。
マキシオ「・・・誰もが認める、、、それは違うぞ、ウズシオ」
ウズシオ「?」
マキシオ「認めてもらうのではない、認めなければならないのだ。王自身が、国民も兵も、家族も・・・上の者が下の者を認めて初めて信頼関係が生まれる、初めて国が成り立つ・・・お前が行おうとしていたのは、ただの力による支配だ」
マキシオの言葉を聞いてウズシオは思った。「もう自分は完全に敗北しているのだ」と、相手になるわけがなかった。マキシオこそ、自分の兄こそ真の王に相応しい、自分のような人間がハナから王になれるわけがなかったのだ。
ウズシオ「・・・なるほど、流石兄さんだ、俺なんかとは住んでる世界が違うな」
次の瞬間、ウズシオの体がパラパラと灰になるように散っていこうとする。マキシオはこの光景に目を丸くして驚く。
マキシオ「ウズシオ!?」
ウズシオ「時間のようだ」
【メタルシードラモン】、それは【ダークマターズ】の一角にして【暗黒四天王】の力の象徴、1体1体はDパラディンの比ではないくらいの力を有するが、その代償はでかい、バトルに負ければその者は命を失うのだ、故に、【暗黒四天王】はあまり表舞台から姿を見せない。
マキシオ「待て!ウズシオぉぉお!お前は罪を償わなくてはならない!」
ウズシオ「今から死ぬんだもういいだろ?これで償える」
マキシオ「お前の罪は死んでも拭えない!私とともに衰退したアトーライを立て直せ!一生!それがお前の罰だ!だから・・・・だから、死ぬな!」
マキシオの目に涙が溢れる。ウズシオは自分の妻を殺し、罪をなすりつけ、王の座につき、挙げ句の果てには命より大事な【カイネ】にまで手をかけようとした男だ。本当なら死刑は免れない、だが、それでも生きていて欲しかった、弟だから自分の、たった1人の兄弟だから、理由など、これ1つで十分であって、
ウズシオ「・・・お人好しすぎだろ、兄さん」
ウズシオはその言葉を最後に身体全体が灰になって消滅する。最後の最後で、少し笑みを浮かべながら、
マキシオ「う、、、くぅ、、、」
マキシオが悲しみにくれているその時だった。突如地震が地下全体を揺らす、そしてバトルフィールドの中央に謎の紋章が浮かび上がる。
マキシオ「!?何事だ!?」
地震がおさまると、その紋章を中心に白く澄んだ光が投下される。そしてその光の中から白い装甲を着けた、巨大な聖騎士のようなスピリットが現れた。だが、赤白のマントを羽織っているものの、彼には両腕が欠けていた。マキシオはそのスピリットの正体に気づく。
マキシオ「あれはもしや、【オメガモン】!?でもなぜ」
そう、彼が【オメガモン】、史上最強のDパラディン、オメガバーストの起因となった存在とも噂されている究極体のスピリット、様々な伝説があるが、一説にはこのDワールドを一度オメガバーストの力で滅ぼしたと言われる。それ故にDワールドは別名【オメガワールド】とも呼ばれている。マキシオはウズシオの言葉を思い出す。
ウズシオ『因縁のあるデジタルスピリット使いが勝負し決着がついた時、伝説のDパラディン、オメガモンが現れる』
マキシオ「・・・彼とウズシオにも因縁があったということか!?」
確かに花火とウズシオにもまた1つの因縁があったのだろう。それによって花火の目の前に現れた。当の本人は気を失っているが、
オメガモンは倒れている花火を巨大な目でじっと見つめる。そして彼の胸部から白いカードが飛び出して行き、花火のデッキの中に置かれた。オメガモンはまるで役目を終えたかのように、目をゆっくりと閉じ、瞬間移動でもしたかのように、姿を消した。
マキシオ「・・・なんだったのだ、いったい」
マキシオはこの信じられない光景にただただ眺めることしかできなかった。
この後、Dポリス、副総司令官のサツマによって【解放軍】と国の兵との戦いは沈静化し、無事にアトーライの事件は幕を閉じた。ちなみに開いた王座は再びマキシオが座ることとなった、まぁ、当然のことだろう。そして、3日後、アトーライの城の城内
花火「ん!?、んーーーー、よく寝た」
花火がベッドからゆっくりと体を起こして、背筋を伸ばす、彼はあまりの疲労により三日間眠り続けていた。服装もまるで入院服のようなものを着せられていた。
菜々子「・・・ん?、あ!!花ちゃん起きてる!!」
花火が寝ていたベッドで突つ伏していた菜々子が目を覚ました。よほど花火のことを心配していたことが伺える。
花火「よお、菜々子、おはよう、ここどこ?」
菜々子「『よお』じゃないよー!!3日も寝てたんだよ!みんな心配してたんだよ!あとここはアトーライのお城!カイネちゃんの実家!」
花火「3日!?」
花火は三日間眠り続けていたのだ菜々子達が心配するのも当然だろう。花火は少々申し訳ない気持ちになる。そして花火、菜々子、小次郎はしばらくの間、カイネの実家のお城に厄介になっていた。
花火「ごめん、」
菜々子「最近無茶しすぎだよ?」
花火「分かってるって、悪かったよ」
カイネ「おーい、お二人さん、イチャつくのもいいけど、もう直ぐお食事ですよー」
そう言いながらカイネも花火の部屋に入ってきた。もうその表情は復讐に塗れてはいない、花火が寝ている間に菜々子や小次郎とも和解したのだろう。カイネはいつものように笑っていた。その様子を見て花火は安堵する。
菜々子「カイネちゃん!イチャついてないよ!」
カイネ「はは、分かってるよ、・・・ほれ、花火」
花火「!!おお、俺のゴーグルか!綺麗になってる!」
カイネ「約束だったからね」
花火のゴーグルは血だらけだったが、今では新品同然に輝いていた。菜々子はこれを見て自分もあることを思い出した。花火はそのゴーグルを再び自身の首にかけた。
花火「やっぱ、首元にこれがあると落ち着くなぁ」
菜々子「あっ!そうだ、私も返さないと・・・・はい!【炎魔神】!」
菜々子はあるカードを懐から取り出す、そう、【炎魔神】、花火が菜々子のデッキでは他の強い連中に勝てるかどうかわからなかったので取り敢えず菜々子に手渡したカードだ。
花火「ああ、忘れてた、・・・いいよ、やるよ【炎魔神】は」
菜々子「え!?なんで!?」
カイネ「親御さんの形見じゃなかったのか?」
カイネの言う通り、【炎魔神】は花火の両親が花火に残した最後のプレゼント、今まで花火は【炎魔神】をデッキから抜いたことがなかったのだ、菜々子は意外に思った、まさか花火が【炎魔神】を手放すなんて、と
花火「いいんだよ、もう俺には必要ない」
花火はそう言って部屋を出て城内へ行った。
菜々子「・・・どうしちゃったんだろう、花ちゃん」
カイネ「まぁいいじゃない、貰えるものは貰っときな」
ー城内ー
花火(元気でやれよ、炎魔神……これからは俺じゃなく、菜々子を守ってやってくれ)
花火にとって【炎魔神】と言うカードは特別だった、できるなら同然手放したくなかったが、【炎魔神】のカードが菜々子のデッキに入っている限り、菜々子を守ってくれるだろうと考えていた。高級カードなだけあって、効果も強力なのを花火は理解していたから、
花火(今思えば、あのカードがあったから小次郎とも出会えたんだよな、懐かしいな)
そう、【炎魔神】と言うカードがなければ花火と小次郎は決して出会うことはなかっただろう。これは3年前の夏、花火達がまだ、リアルワールドにいた時のお話、
ーリアルワールドー
晴太(はれた)『おぉーーい!花兄!!』
1人の少年が、花火の家のインターホンを背伸びをして鳴らしながら、花火を呼びかける。年は花火達よりも断然下で、花火のことを花兄と呼んでいた。
花火『・・・はぁい、はい』
今の時刻は夏休みの朝の7時、小中学生はラジオ体操が終わり速やかに家に帰る時間だ、花火はラジオ体操にはいかない、朝ごはんを作らないといけなかったし、何より、めんどくさかったのだ。
花火『どうした晴太、こんな朝早く、姉ちゃんと喧嘩でもしたか?』
晴太『お姉ちゃんと喧嘩なんてしないよー、ねぇ、バトル教えてよ!僕、花兄みたいに強くなりたいんだ!!』
この少年、【空野晴太(そらのはれた)】9歳、菜々子の5つ下の弟、花火のことは当然知っていた。晴多はたまに時間があるときにこうやって花火にバトスピを教えてもらっていた。花火からしたら教えると言うよりも一緒に遊ぶに近いが、今日は少し早すぎる、花火もまさか、朝早くにラジオ体操のカードをぶら下げて自分の家に遊びに来るとは思っていなかっただろう。
花火『またか、お前は、・・・まぁいいや、上がれよ』
晴多『わぁーーーい!おじゃましまーーす!!』
花火が許可した途端、晴太は勢いよく花火の家に上がる。花火はその際に、ばらけた晴太の靴をしっかりと踵を揃えて玄関に置き戻した。そしてー
花火『ほれ、【炎魔神】召喚、』
晴太『うわっ!出た!!炎魔神!』
花火『よし、いくぞぉぉぉぉ、炎魔神を、、』
花火と晴太はリビングのテーブルで、バトスピしていた。花火の家は基本1人、今彼を1人で育てている、花火の父の妹、【一木聖子(いちきせいこ)】は多忙な仕事スケジュールのため滅多に家には帰れない、だから、花火の家は基本1人なのだ。
花火『・・・悪い、晴太、トイレ行って来るわ』
花火は抱えきれないほどの強大な便意をその身に宿しながら、トイレへと急行する。晴太はリビングで1人になる、
晴太『【炎魔神】、カッケェ!!、1日くらい、怒られないよな?』
小さい子供の嵯峨なのか、晴太は花火の炎魔神を持ち出して姿を消してしまう。そして、カードショップへと向かった。
花火『ふぃーーー、スッキリしたー、お待たせはれ、た?
あれ?』
ーカードショップー
晴太『これで今日僕はは無敵だ!あいつに挑むぞ!!緑坂小次郎に!!』
晴太の挑むと言うのは、当時、バトスピチャンピオンシップジュニアクラスで、優勝し、その名を轟かせていた小次郎との勝負である。ただ、この時の小次郎は
小次郎『おい、ガキ、よく逃げずにきたな、』
晴太『友達のカードを返せ!』
小次郎『お前が勝ったらな!!』
この時の小次郎はグレていた、と言うよりかは天狗になっていたと言った方が正しいか、弱いバトラーからカード狩りを行なっていたのだ。晴太は友達のカードを返してもらうために、デッキを強くするために、花火から炎魔神を持ち出してきたのだ。
一方花火は炎魔神のカードが無いことに気づく、
花火『あれ?炎魔神は?』
菜々子『おぉーーい!花ちゃん?』
花火『うお!?!!ノックくらいしろ!!』
菜々子が唐突に花火の家のリビングに現れた。幼馴染だから遠慮がいらないのか、菜々子は花火の家を自分の家のように思っていた。一方の晴太は、
晴太『くっ、ライフで、受ける』
小次郎「ふっ、おれの勝ちだな、約束通りお前のカードをもらっていくぜ、・・・おっ!【炎魔神】なんて持ってんのか!じゃあこいつをもらうぞ」
晴太『待ってそれはダメ!大切なカードなんだ!!』
小次郎『待ってもクソもねぇよ、そう言う約束だ!』
晴太『くっ!』
小次郎は【炎魔神】のカードを取り上げる。晴太は涙を浮かべるが、こんなに朝早くにショップを訪れる客などほとんどいない、店員は掃除中でいない、つまり、頼りになる人は1人もいないのだ。しかし、
花火『・・・悪い、そのカード返してやってくんねぇか?俺のなんだ』
花火が小次郎の後ろからヒョイっと現れる。
小次郎『!!誰だおまえ!』
晴太『花兄、』
花火『全く、お前ってやつは、それじゃあやってることはこいつと変わんねえだろ?』
晴太『ごめん、花兄』
晴太は深く反省した。花火は菜々子から事情を聞いて、駆けつけたのだ、晴太はこのことは誰にも話してはいないが、流石は姉といったところか、どうやらお見通しのようだった。花火は晴太の頭をポンポンと軽く叩くと、小次郎に目を向けて言い放つ。
花火『お前が最近噂のカード狩りか、まさか、ジュニアクラスのチャンピオンとはな、その名が聞いて呆れるぜ』
小次郎『なんだと!?』
花火『じゃあこうしようか、お前が俺とバトスピして勝てば【炎魔神】はやる、逆に俺が勝てば、今までのカードを全部持ち主に返せ、そして、謝ってこい』
小次郎『あぁん?てめぇ、見た所俺と同じくらいの年頃に見えるが、まさか俺に勝つ気でいるのか?』
花火『当然、まさか、ビビってないよな?チャンピオン?』
小次郎『!!!いいだろう!受けてたってやるよ!』
花火の安い挑発に小次郎は軽々なってしまう。小次郎は一旦【炎魔神】のカードを花火に返す、デッキが40枚に満たなくなるのを察したのだろう。そして2人のバトルが始まる。だが、2人の実力の差は圧倒的で、
花火『【炎魔神】と合体した【ドラリオン】でアタック、【炎魔神】の右合体時効果で、【キングタウロス大公】を破壊!打ち上げろ!』
小次郎『なに!?』
これで小次郎のフィールドにはブロック可能なスピリットは消えた、そして、ライフは残り2だ。
花火『このアタックどう受ける?』
小次郎『くっ、まさかこの俺が、・・・ライフで受ける』
晴太『やった!花兄の勝ちだ!!』
小次郎は最後のライフの2つのコアをゆっくりと指でリザーブに置きながらラストコールを宣言した。バトルは花火の圧勝に終わる。
花火『・・・よし、俺の勝ちだ、約束は守ってもらうぜ』
小次郎『・・・お前、名前は?』
花火『?俺?、俺は一木花火だ、ついでに年はお前と同じだ』
小次郎は花火のバトルに戦慄していた。全くかなわなかった。まさかチャンピオンにまで上り詰めた自分が同年代の少年に負けるとは思ってもみなかっただろう。
小次郎(・・・まだこんなに強い奴がいたのか、こいつを目標にしたら俺はもっと強くなれるかもしれん)
この日をさかえに花火は小次郎から付け狙われることになる。小次郎も花火や菜々子と触れていくうちにどんどん今のようなキャラになっていったのだ。
ー現在ー
花火「そんなことあったなー」
小次郎「なにがだ?」
花火「うお!?、小次郎!!」
花火が城内のベンチのような場所に腰掛けていると、後ろから小次郎が声をかけてきた。急にきたからか花火は結構ビックリしていた。
小次郎「おいおい、3日ぶりでそれはないだろ?本当は俺が驚きたいんだぞ!」
花火「悪い悪い」
小次郎「そうそう、王様が起きたら来いって言ってたぞ」
花火「王様ってマキシオ王か」
花火は1人で、王室へと向かう。病み上がりなのもあるが、意外と石積みの階段が長くて辛かった。ようやくたどり着いた花火は大きな扉をゆっくりと開ける。
花火「失礼しますー」
マキシオ「おお!!起きたか!花火君!」
花火が部屋に入ってくるとマキシオは花火の無事を喜ぶ。花火達には国のため、娘のカイネのために戦ってくれたことにすごく感謝しているのだろう。
花火「・・・で、俺に話って?」
花火は単刀直入に聞いてくる。早く本題に入って欲しいのだろう。
マキシオ「・・・ッ!これは失礼、つい取り乱してしまった、先ずは今回の件、本当にありがとう!国をカイネを救ってくれて!」
花火「あぁ、いえーそれほどでもー」
花火は若干照れる、照れ隠しなのか頭の後ろをポリポリとかいていた。その後マキシオはすべて話したウズシオの最後や花火の目の前に両腕のないオメガモンが現れたことも、花火の探していたDパラディンの書斎が載っている絵本はウズシオによって燃やされていたらしい。
花火「・・・そんなことが、じゃあ俺のせいでウズシオが!?」
マキシオ「いや、そんなことはないよ、あいつはあの力を手に入れた瞬間から負ければあぁなることは知っていただろうから」
花火「・・・・・」
花火は少なからず罪悪感を覚えていた。あのまま負けていれば死んでいたのは自分だが、バトスピなんかで人が死ぬのは少々胸が苦しい。
マキシオ「あと、君には話さなくてはならないことがある」
花火「?」
マキシオ「ウォーグレイモンのことを」
マキシオは一層真剣な目で花火を見つめる。その視線だけでこの話がよほど大事なことだと伺える。
マキシオ「君は昔、この世界で本物のDパラディンと暗黒の力が戦っていたのは知っているそうだね」
花火「はい、カイネから聞きました」
遥か昔、Dワールドで起こった、Dパラディンの軍勢とダークマターズの激しい戦い、この戦いでDパラディンは敗北しかけたことで、仕方なくオメガバーストを起動したと、花火は武龍村でシュリから聞いていた。そしてその相手が暗黒だと知ったのはカイネのおかげだ。花火はこの知ってることをすべてマキシオに話した。
マキシオ「ほぼその通りだ、だが、少し違う、」
花火「え!?」
マキシオ「あの戦い、Dパラディン達の優勢だった、だが、ウォーグレイモンが奴らの暗黒の力に汚染されたせいで戦況が一変、Dパラディン達はウォーグレイモンを戻すために、オメガバーストを起動したのだ、」
花火「・・・そんな、仲間1人のために世界を捨てたのか」
花火はショックを受けた、今まで一緒に戦ってきた相棒のせいで、この世界が一度滅んだことに、他に救う方法はなかったのかと考えてしまう。
マキシオ「その後、ウォーグレイモンは暗黒の力もろとも消滅されたと伝えられてきた。他のデジタルスピリット達と同様にカード化することはなかったはずだ、しかし、なぜか今、そのカードは君が所持している」
確かに妙なことだ、消滅されたと言い伝えられてきたカード達が目の前にあるのだから、
花火「・・・王様、暗黒の力って何ですか」
花火はこのことについて大体は把握していたが、詳しくは知らない、改めてマキシオに暗黒の力のことを聞いた。
マキシオ「暗黒の力とは、ダークマターズが所持する凶悪な力のこと、彼らはこの力を使って世界を支配するつもりでいた。だが、4人ともオメガバーストによってカード化、暗黒の力も消滅と、言われてきたが、」
花火「『暗黒の力は消えていなかった』か」
暗黒の力は現にまだ、存在している、今まで花火達が戦ってきた【暗黒の使徒】達や、【暗黒四天王】だったウズシオ、強力なバトラー達に受け継がれていた。おまけに四天王クラスともなれば、人1人殺せてしまうほどのバトルダメージがあった。花火は特にそれを身を以て経験したため、このことはすぐに理解できた。
マキシオ「花火君、君はどうやら【暗黒の才能】があるようだ」
花火「才能?」
マキシオ「うむ、君は、暗黒の力を纏ったデジタルスピリットを使っていたね」
花火「あー、スカルグレイモンのことか、なんか知らぬ間にデッキに入ってたんですよね、あのカード」
マキシオ「暗黒の力を持ったカードはすべての人間が使えるとは限らない」
花火「!?!!」
ウズシオが暗黒の力を宿したカードと言っていた、スカルグレイモン、カードを所持していた花火はそんなこと言われるまで気づきもしなかった。花火は今までアグモンが暗黒の力を吸い込んできたことが原因だと考えていたが、
マキシオ「あの暗黒の力はきっと、ウォーグレイモンがもともと持っていたものだと私は思う。君のアグモンのカードが暗黒の力を吸い込むことができるのは、君に【暗黒の才能】があるからだ」
花火「俺にそんな力が?だから、アグモンは俺を選んだのか?」
オメガバーストでもかき消すことのできなかった暗黒の力、アグモンはそれを消すために【暗黒の才能】を持つ花火を選んだのだろう。自身の暗黒の力を御してくれるために。
マキシオ「だけど、その力にも限界があるはずだ、十分に気をつけてくれ、スカルグレイモンのカードは一度君の力が暴発した証拠だと考えている」
マキシオはスカルグレイモンのカードを花火の力が勝手に暴走して生まれたものだと考えていた、実はその通りであり、スカルグレイモンは花火の力がほんのちょっと暴発して生まれた力である。花火はポイズとのバトルが終わるまでその力にはあてられて自我をなくしていた。
花火「・・・・・・」
この事件を機に、花火は自分が他とは何か違うことを自覚していくことになる。それでも、やらねばならない、花火のこれからの目標は【暗黒の力を倒して、無事にみんなでリアルワールドに帰ること】だ。
ー白の大陸ー
ここは白の大陸のDポリスの本拠地、副総司令官のサツマは1人自室にこもり、考え事をしていた。
サツマ「結局、ほとんど、手がかりはなかった、・・・今度しっかりと総司令官殿に問わねばならぬな」
サツマが今、Dポリスに抱いてる疑問、なぜ反乱軍を最優先して捉えねばならないのか、それでなぜ、他の人々を見過ごしていいのかと言うもの、サツマだけではこの謎は到底解くことができなかった。いくら、反乱軍が、自分達の【オメガバーストを使って、世界をよりよくする】という計画を邪魔しようとしているとはいえ、それより危険そうな連中と遭遇したこともあり、尚更自分の今の気持ちを総司令官に伝えねばと考えていた。
ーどこか遠い場所ー
ここでは消滅したウズシオを除く、残った【暗黒四天王】3人が集結していた。3人になったので最早四天王とは言い難いが、
???「以上が、俺の部下からの伝言だ」
サツマとバトルした【カジ】はこの男の【暗黒の使徒】なのだろう。
ラフーキ「結局負けてんじゃん!ウズシオのやつ!あのクソ変態野郎!野心家!もう最悪だわ!」
子供のような容姿のラフーキがウズシオに対してきつい言葉をズラーッと並べる。
???「まぁいいではないですか、私達の計画もいよいよ佳境に入ることですしね、おそらく、【オメガモン】は復活しました、今はこの世界を彷徨っていることでしょう、ならば、捉えるまで、奴は今、両腕が欠けていますからね〜」
全く話の読めないこの会話、四天王達が一体何を計画しているのかは、まだ、彼ら以外にはわからない。話を聞く限りでは、今のところ計画通りのようだ。
最後までお読みいただきありがとうございます!
今回はほとんどバトル描写がありませんでしたが、次回からはまた盛りだくさんです!