それでは第37話、今回は新弾からあのスピリットが?
ではどうぞ!
第37話 覚醒する暗黒、漆黒の龍戦士誕生!
自身の正体を明かしたドューケ、その正体は【Dポリスの総司令官】、且つ、【暗黒四天王の1人で親玉】であった。第96回フロンティアリーグに優勝商品【クロノス・アルファ】を提示し、花火達と反乱軍をおびき寄せたのだ。
そもそも【クロノス・アルファ】を開発したのはドューケだ。彼はこの力を使い、今まで各所を自在に移動。反乱軍、Dポリス、暗黒四天王の計3つの顔を演じてきた。
イトニと菜々子を捕らえ、一体何を求めているのかはまるで見当がつかない。
花火「……菜々子、だよなぁ、?」
菜々子「……」
花火の言葉に一切口をきかない菜々子、いつもなら、調子よく言葉を返してくるのだが……まるで表情を変えようとしない。
ラフーキ「……無駄だよ、君の声は届かない。もうこの子は生きる屍、僕の操り人形だ」
カイネ「……生きる屍?」
ラフーキは人の魂を抜き取る力と、抜け殻となった人間を操る異能がある。菜々子も魂を抜け取られ、現在に至る。
小次郎「……菜々子君をそんなにして一体何がしたいんだよ!!」
ドューケ「……先も言いましたがね、おそらく最も邪魔になる花火さんをデリートするためですよ〜〜」
いまいち真意がわからない暗黒四天王の一味、だが、この世界においての解決する方法はただ1つしかないことは確かなようだ。花火も今までの経験でそれを熟知している。
ドューケ「……さぁ、あなたに選択肢はありませんよ、花火さん、菜々子さんと戦いなさい」
花火「……」
小次郎「……何を言ってんだ!!……応じるなよ、花火!こんなの無意味だ」
今確かなことは、ドューケは花火かシデンのうちどちらか1人、またはその両方をどかしておきたいということ。それ以外の真意は定かではない。花火は迷いながらも硬い口を開く。
花火「……わかった、バトルする」
カイネ「……おい!何言ってんだ!巨蛾姫の時みたいに、本体を倒せばどの道菜々子は蘇るだろ?」
花火「……今、菜々子の命はあいつらに委ねられているんだ。今は言う事を聞くしかない」
カイネ「……っ!!」
この状況に置いても意外にも冷静に返す花火だが、内心彼も相当焦っている。どうすれば菜々子を助けることができるか、その一心で、……菜々子の首に手がかけられている以上、花火達は彼らに従わざるを得なかったのだろう。
花火「……勝負だ菜々子、少々痛い目見ても、俺達のところに帰ってきてもらうぜ」
菜々子「……」
花火「ゲートオープン、解放!」
2人はゲートを開き、バトルフィールドへ行く。小次郎、カイネ、シデン、ラフーキもその会場へとゲートを開き、赴く。
ドューケ「……おや?いかないのですか、チョウシュウ」
チョウシュウ「……茶番には付き合いきれん」
そう言ってバトルヴァイスでゲートを開きどこかちがうところへ移動するチョウシュウ、それをよそにドューケは自分も観客席へと向かう。
*
花火「……お前とここで向かい合うのは初めてだな」
菜々子「……」
花火の受け答えに全く口を開かない菜々子。
ドューケ「……そうそう、この勝負で、あなたが勝ってしまったら………菜々子さんの命はないものと思っていてください」
花火「……わかってるよ」
カイネ「……卑怯すぎる」
どちらにせよ花火はバトルをするしかなかったのだが、これでは間違いなく負ける。だが花火は勝敗など見てなく、このバトルの間でなんとかして菜々子の洗脳をラフーキを倒す以外の方法で探すことを考えていた。
花火と菜々子、2人の哀しきバトルが始まる。先行は花火だ。
[ターン01]花火
スタートステップ
ドローステップ 手札4⇨5
花火「……メインステップ、ネクサス、龍射砲台を配置」
手札5⇨4
リザーブ4⇨0
トラッシュ0⇨4
花火の背後に西洋の龍を模した巨大な砲台が設置される。
龍射砲台は相手によってライフが減らされた時、相手のBP5000以下のスピリット1体を破壊する効果がある。花火はこの効果を駆使して極力バトルが長引くように仕向けるつもりだ。
花火「……ターンエンド」
[ターン02]菜々子
スタートステップ
コアステップ リザーブ4⇨5
ドローステップ 手札4⇨5
菜々子「……メインステップ、ピヨモンを召喚」
手札5⇨4
リザーブ5⇨0
トラッシュ0⇨3
花火「……!!」
花火はここで自分が犯したミスに気づく。菜々子のデッキには召喚時にネクサスを破壊してくるピヨモンが入っている。それを見越していたのならネクサスなど配置はしなかっただろう。やはり、どこか花火にも焦りが生じていた。
ピンクの体毛を持つ鳥型の成長期スピリット、ピヨモンは召喚されるなり、緑色の炎を口から放ち、花火の龍射砲台を焼き落とした。
小次郎「……あいつ大丈夫なのか?」
カイネ「……相当ショックだったのね」
いつものような冷静でいられない花火を心配する2人、このバトルを心苦しく思うと同時に何もできない自分達を情けなくも思っていた。
菜々子「……アタックステップ、ピヨモンの【進化:赤】、バードラモンに進化」
ピヨモンを進化させ、炎の巨鳥、バードラモンを召喚する菜々子。バードラモンはどこか悲しそうな目で花火を見つめていた。
菜々子「……バードラモンでアタック」
手札4⇨5
バードラモンはアタック時に1枚ドローする効果がある。まだ序盤中の序盤だが、この時点でアドバンテージ差は圧倒的に菜々子が有利と言える。
花火「……ライフで受ける」
ライフ5⇨4
バードラモンが強力な翼撃を花火のライフにぶつける。花火のライフは1つ砕け散ってしまう。あまり痛くないダメージから花火は暗黒の影響かはないと考えた。
ラフーキ「あいつ全然痛そうじゃないな」
ドューケ(やはりそうでしたか、あなたはもう既に…………、左をデリートするで正解でしたね、極力右も消しておきたいのですが)
意味深なことを呟く暗黒四天王達、やはり彼らにとってDパラディンの双璧は厄介極まりない存在なのだろうか。
菜々子「……ターンエンド」
バードラモンLV2(2)BP5000
バースト無
[ターン03]花火
スタートステップ
コアステップ リザーブ1⇨2
ドローステップ 手札4⇨5
リフレッシュステップ
リザーブ2⇨6
トラッシュ4⇨0
花火「……メインステップ、ピストジャサウルス、ロクケラトプス、アシガルラプター!召喚!」
手札5⇨2
リザーブ6⇨3
花火のフィールドに三体の地竜スピリットが展開される。このスピリット達は今まで花火と共に、アグモン達と共に戦ってきた勇猛なるスピリット達である。その召喚しやすい軽いコストから花火を支えてきた。
花火「……さらに、グレイモンを召喚!」
手札2⇨1
リザーブ3⇨0
トラッシュ0⇨2
花火の背後からのっそのっそとゆっくりフィールドに入ってくる立派な頭角を持つ地竜のデジタルスピリット、グレイモン、メタルグレイモンや、スカルグレイモンに超進化することで花火を支えてきたスピリットだ。
その地竜スピリット達はいつも以上に強い咆哮をあげる。まるで何かに怒りをぶつけているように。
花火「……バーストをセット」
手札1⇨0
花火のフィールドに裏側でセットされるバーストカード、このカードは流れを変えることはできるのか。
花火「……アタックステップ!………グレイモンでアタック!その効果でバードラモンを破壊してデッキから1枚ドロー!」
手札0⇨1
グレイモンが上空のバードラモンにめがけて炎を射出する。バードラモンに命中する。その炎はバードラモンの纏う炎よりも高温だったのか、そのまま焼き焦げながら墜落し、バードラモンは大爆発を起こす。
菜々子「……ライフで受ける」
ライフ5⇨4
花火「……目を覚ませ!菜々子!」
グレイモンの頭角が菜々子のライフのバリアに突き刺さる。ライフは1つ砕かれ、残り4つとなる。
菜々子は眼の色も顔色も変えずにただ対戦相手の花火を冷たい目で見つめるだけ、まるで機械のように。
花火「……これならどうだ!残った三体でアタック!」
手札1⇨2
菜々子「……それもライフで受ける」
ライフ4⇨1
残った三体の地竜スピリットでアタックを仕掛ける花火、ソウルコアが置かれているアシガルラプターの効果でデッキから1枚ドローした。
そして、三体の地竜の体当たりが菜々子のライフを無慈悲に破壊していった。
花火「……菜々子!!」
菜々子「……」
ダメージのショックでもまるでうんともすんとも言わない菜々子、普段の彼女だったら花火とのバトルでは間違いなく楽しげな声で笑顔で振る舞うだろう。
花火「……くそっ!ターンエンドだ」
ピストジャサウルスLV1(1)BP1000
ロクケラトプスLV1(1)BP3000
アシガルラプターLV1(1s)BP2000
グレイモンLV1(1)BP4000
バースト有
花火の有利な状況になったが、その顔には悔しさが前面に出ていた。バトルに勝っても菜々子の魂を取り戻さなければ結局は負けに等しいのだ。仕方のないことだが。
[ターン04]菜々子
スタートステップ
コアステップ リザーブ6⇨7
ドローステップ 手札5⇨6
リフレッシュステップ
リザーブ7⇨10
トラッシュ3⇨0
菜々子「……メインステップ、角タヌを召喚」
手札6⇨5
リザーブ10⇨9
菜々子のフィールドにツノを生やした狸型スピリット、角タヌが召喚される。コストがゼロであることから、これから何かがまた展開されることが容易に想像される。
菜々子「……ガルダモンを召喚」
手札5⇨4
リザーブ9⇨3
トラッシュ0⇨5
菜々子のフィールドに大きな赤い翼と鉤爪を持つ鳥人型の完全体スピリット、菜々子のエース、ガルダモンが召喚される。
菜々子「……そして、炎魔神を召喚」
手札4⇨3
リザーブ3⇨0
トラッシュ5⇨8
花火「……!!……」
フィールドに燃え盛る炎の中から巨大な人型ロボットが姿をあらわす。それは炎魔神、かつての花火の相棒にして彼の両親の形見とも言えるスピリット、……それが今、花火の目の前に降り立つ。纏うオーラはまさしく強者。
花火「……炎魔神……!」
小次郎「あいつの前に炎魔神がいるなんて」
菜々子「……ガルダモンと左合体」
炎魔神の左手から放たれる赤い光線がガルダモンに繋がれる。ガルダモンは一気に強化される。
菜々子「……バーストを伏せて、アタックステップ、合体スピリットでアタック、炎魔神の効果でバーストを破棄、BP5000アップ」
手札3⇨2
花火「……ぐっ!」
バーストカード【煌星銃ヴルムシューター】破棄
炎魔神の強大な拳が回転しながら飛んでくる。花火のバーストはあっさりとその拳に吹き飛ばされる。その拳は役目を終えると再び炎魔神の腕へと装着される。
花火は菜々子のデッキに炎魔神が入っていることすら頭から抜けていたのか。飛んだケアレスミスで有用な銃ブレイブを失ってしまう。
菜々子「……ガルダモンのアタック時効果」
カイネ「……不味い、効果がヒットしてシンボルを増やされたら花火はもう終わりだ」
ガルダモンはアタック時にデッキの上を1枚オープンしてそれがスピリットなら、ガルダモンに赤のシンボルを1つ付与する効果がある。もし、これが決まれば菜々子のフィールドの合計シンボル数は4、花火のライフをゼロにすることが可能になる。
バトルを見届ける誰もが固唾を飲んでそれを見守る。
菜々子「……」
オープンカード【エンペラードロー】
手札2⇨3
オープンされたのはマジックカード、花火はことなきを得た。小次郎とカイネも肩の荷が下りホッとなでおろす。
花火「……アタックはライフだ」
ライフ4⇨2
ガルダモンの強靭な鉤爪の一撃が花火を襲う。それは花火のライフを一気に2つもかち割った。
菜々子「……角タヌでアタック」
花火「それもライフだ!」
ライフ2⇨1
角タヌの体当たりが花火のライフをまた1つ砕く。いよいよ残りライフ1となる。
菜々子「……ターンエンド」
角タヌLV1(1)BP2000
ガルダモン+炎魔神LV1(1)BP10000
バースト有
花火「……安心したぜ、菜々子、お前はいつもどおりだ、ライフを減らすことしか頭にねぇ、いつものお前のバトルスタイルだ」
菜々子「……」
花火(もう少し、もう少しなんだ、できるだけこのバトルを遅延させる)
徐々に菜々子に戻ってきたい気がしていた花火はできるだけこのバトルを長引かせるつもりだ。
ドューケ「……無駄ですよ、花火さん、いくらやってもあなたの声などもう、届きはしない」
花火「……魂が抜けても記憶が残るはずだ、絶対に見殺しにはさせねぇ!」
ドューケ「ふふ、本当に面白い人間だあなたは、いや、【もう人間とは呼べませんか】」
花火「……!!」
小次郎「……!おいそれどういうことだよ!」
カイネ「……花火が人間じゃない!?」
シデン「……」
ここにいる誰もが衝撃を受ける一言。全く意味がわからない。人の形をした花火がちゃんと目の前にいるのに、それが人間ではないということが。ドューケはそれについて順を追って説明していく。
ドューケ「……花火さん、あなたは暗黒の力を吸収しすぎた。いくら才能があるからとはいえ、ね………決め手はウズシオの力を吸い尽くした時、あなたは最早人間などというの種族をとうに超えた存在だ」
花火「……」
ドューケ「……暗黒の力のダメージも自力の暗黒の力で中和しているようですしね、あなたはどちらかといえば私達暗黒四天王とほぼ同じ存在なのですよ」
操られているとはいえ、菜々子にも僅かながら暗黒の力が備わっていた。花火はそれを喰らっても物ともせずバトルをしていた。もっといえば、イトニとの勝負の時もだ。あの時イトニは完全に暗黒の力に目覚めていた。花火がバトルダメージをあまり感じなかったのは自分の力でそれを中和していたからだ。
花火「……お前らと同じにするなよ」
小次郎「……そうだ!お前らと同じにするなよ!!今目の前にいるのは間違いなく俺のライバル一木花火だ!」
ドューケ「……ふふ、そうですか、では引き続き頑張ってください」
ドューケの言葉など気にしてはいられない、花火はできるだけバトルが遅延できる方向に進めるように手を打つことを試みる。
[ターン05]花火
スタートステップ
コアステップ リザーブ3⇨4
ドローステップ 手札2⇨3
リフレッシュステップ
リザーブ4⇨6
トラッシュ2⇨0
花火「……メインステップ、マジック、グラウンドブレイク!炎魔神を破壊だ!」
手札3⇨2
リザーブ6⇨5
トラッシュ0⇨1
花火が放つマジック、グラウンドブレイク、その爆発は菜々子のフィールドにいる炎魔神のみを捉える。炎魔神は爆発に呑まれ、消滅した。
元エースカードを破壊することは花火としても辛いところがあるが、今ここで消しておかないとあとあともっと厄介になることは一番よくわかっていた。
そして次に破壊すべきなのはガルダモンだ。
花火「……来い!メタルグレイモン!召喚!」
手札2⇨1
リザーブ5⇨1
トラッシュ1⇨4
花火のフィールドにボロボロ翼を翻し、体の半分以上がサイボーグの地竜にして、完全体のスピリット、メタルグレイモンが現れる。
花火「……召喚時効果!ガルダモンを破壊!!」
メタルグレイモンはその場で胸部のハッチを開き、ミサイルを数発発射、ガルダモンに命中させて破壊に追い込んだ。
これで菜々子のフィールドには角タヌが一体、花火の遅延はほぼ成功したかに思われていたが。
菜々子「……相手のスピリットの召喚時効果発揮後にバーストを発動、【戦国覇王ギュウモンジ】、BP20000まで好きなだけスピリットを破壊」
花火「……な?!!」
そのカードが見えた瞬間、頭の血の気が一瞬なくなる花火達、すっかり忘れていた。菜々子にはこれがあることを。普段の自分なら絶対に犯さないミスを犯してしまった。
爆炎が花火のフィールドを襲う。その中で断末魔を上げながら散っていく。自分の五体のスピリット達を花火はただ眺めることしかできなかった。
菜々子「……その後召喚」
勢いよく、走り込んで菜々子のフィールドに駆けつけるギュウモンジ、黒い強靭な体に赤い炎の様な鎧は誰が見ても強者と感じさせる。
フィールドはまさしく絶望、花火の手札は残り1枚、しかもそれは最早召喚や煌臨するタイミングもない【ウォーグレイモン】、花火の引きが強いとはいえ、そもそもドローもできない。完全に積みだ。
花火「……」
自分が愚かすぎて声が出ない花火、小次郎達も何か声をかけてやりたいが、かけてあげる言葉が見当たらない。
花火「……ターン、エンド」
ラフーキ「……ひっひ、終わったな」
花火の負けがほぼ確定し、彼を嘲笑うラフーキ、その笑い方は少々特徴的。完全に戦意が損失した花火はただ一言、「ターンエンド」の宣言しかできなかった。
[ターン06]菜々子
スタートステップ
コアステップ リザーブ0⇨1
ドローステップ 手札3⇨4
リフレッシュステップ
リザーブ1⇨9
トラッシュ8⇨0
菜々子「メインステップ、ギュウモンジをLV2、に」
リザーブ9⇨7
戦国覇王ギュウモンジLV1⇨2(1⇨3)
なぜか、LV2で止まるギュウモンジ、この菜々子の妙な動きを見て、花火は確信する菜々子はまだ戦っていると、そう思っただけで力が、戦意が、再び蘇ってくる。
花火「……おい菜々子!!!いい加減思い出せよ!負けるな!!!魂抜かれたくらいでお前がくたばるたまじゃねぇだろ!!、負けるな!!負けるな菜々子!!負けるな!!!」
カイネ「……花火」
菜々子がアタックステップに入る直前、花火が口を開く。何度も何度も何度でも菜々子に自分の声を届かせるために。
ラフーキ「……ふふ、無駄だよ、無駄、む、だ?」
菜々子「……」
花火「……、菜々子」
菜々子の瞳から大粒の涙が流れていく。なぜだろうか、花火の声が届いたのか、彼女の脳や、耳が彼の声を感じ取ったのかはわからない。だが、確かに届いていた、花火の言葉は菜々子の元へと。
菜々子は涙を流しながら、アタックをしようとしていた手を止めてしまう。完全に洗脳が解けたわけではない。目は冷たいままだ。だが、本能で、そのアタックする手を止めていた。
ラフーキ「……な!?どういうことだ!!!!こんなの初めてだ、信じられない」
ドューケ「……くそ!もう少しで奴を倒せるというのに、………仕方ありませんね」
意外すぎる奇跡に驚愕する2人、ドューケは花火にトドメを刺すべく菜々子の立っている台へとバトルヴァイスを使ってワープする。
そして、菜々子の手を動かそうとするのだが、
ドューケ「……動かない!?」
その手はまるで岩の様に動こうとしない。ドューケがいくら力を入れてもなかなかギュウモンジのカードの方まで行かない。
ドューケは強行作戦に移行する。
ドューケ「……くっ!いい加減退きなさい!!」
突き出した右手が菜々子を押し倒す。尻餅をつく菜々子。ドューケは空いたスペースに居座り、自らが直接カードを動かそうとする。
花火「……菜々子!!……お前!そいつに触んなよ!!!」
ドューケ「……うるさい!くたばれ!」
小次郎&カイネ「……花火ぃぃい!」
無慈悲にギュウモンジのカードを動かすドューケ、強靭な4本の足で豪快に走り出すギュウモンジ、花火の手札はウォーグレイモンのみ、フィールドのカードは何もなし、これで完全に終わりかと思われた。が、
花火「……ドューケ、俺はお前だけは許さない、絶対に!!!!俺の大切なものを苦しめるお前を!!!」
喜怒哀楽の怒の感情が花火に流れ込む。菜々子は大事な存在、両親を亡くした後の自分の心の支えだった。自分にとっては家族とほぼ同じ存在。花火は許さない、自分の大事なものを奪っていくあいつが、ドューケが憎くて仕方ない。
殺意さえ感じるほどの暗黒の力が花火の体中から漏れてくる。まるで花火に新たな力を与えようとしているように。
花火「……………ぐっ、ぐぉぉぉぉぉお!!!」
ドューケ「……!!」
怒りの心に満ちた花火は、暗黒の力をその身に纏わせていく。目は赤黒く禍々しく光放ち、表情はどんどん鋭く、鋭利になっていく。花火は遠ざかっていく意識の中でウォーグレイモンのカードが、何か違うカードになっていくのが見ていた。
そして、
花火「……グ、ォォォォォォォォオ、」
完全に理性が飛んだ、最早人間とは言えない存在が目の前にいる。暗黒の力を持つ者と同じ、いや、それ以上の膨大な力を秘めた存在がこのバトルフィールドに立っている。
カイネ「……花火!?」
小次郎「……あの時と同じだ」
小次郎は初めて花火がスカルグレイモンを召喚した時のことを思い出していた。あの時も花火は我を忘れ、只々相手を倒すだけのキラーバトラーと化していた。
ドューケ「……これほど彼の力が増大していたとは、だが、どの道ここで終わる!やりなさい!ギュウモンジ!!」
走るのをやめないギュウモンジ、徐々に花火の元へと迫っていく。
花火「……俺ハ、手札カラ、ブラックウォーグレイモンノ効果ヲ発揮スル」
ドューケ「……なに!?」
花火の手札で禍々しく光るそのカードはまるで花火の怒りの感情を表したかのようなスピリット、ウォーグレイモンが塗り替えられた姿、暗黒に染め上げられたとも言えるカード、
ーそれが今、呼び出される。
花火「……ブラックウォーグレイモンハ、相手ノBP8000以上ノスピリットガアタックシテキタ時、コストヲ1ツ支払ウコトデ、召喚スル!!」
リザーブ6⇨5
ドューケ「……な!?このタイミングでの召喚!?」
花火「……コイ!!!漆黒ノ闇二染マリシ、龍戦士!ブラック、ウォー!!グレイモン!!!!!」
手札1⇨0
ブラックウォーグレイモンLV3(4)BP15000
リザーブ5⇨1
トラッシュ4⇨5
赤黒の炎の球体がフィールドを燃やしていく。その中で蠢く生命体が存在、それは赤黒の炎を切り裂き、焼き切ったフィールドへと降り立つ、それはブラックウォーグレイモン、ウォーグレイモンが暗黒の力に染まった、花火の怒りそのもの。
その姿はまるでウォーグレイモンを映す鏡だが、ブラックの名に恥じず色が黒い、髪の色も金髪になり、カラーリングがより、暗黒の印象を強める。
カイネ「……あれが、ウォーグレイモン!?」
シデン「……花火め、あんな隠し技を!?」
隠し技ではない、書き換えたのだ。カードを、俄かには信じられないが、確かに花火はカードを書き換えた、自身の暗黒の力をフルに使って、スカルグレイモンもそうやって生み出したカードだ。
決して前例がないわけではない。花火達の故郷、リアルワールドにもこのような、または似たような現象が稀にだが、起こることがあった。バトラーとスピリットの真の絆が起こす非科学的な現象とされているが、未だその確信はない。花火はその現象とはやや形質が異なっているが、自身の持つ暗黒の才能がこれと同じようなことをやってのけたのだ。
花火「……ブラックウォーグレイモンノ召喚時効果、BP12000以下ノ相手ノスピリット一体ヲ破壊スル!!角タヌダ!!イケ!!暗黒ノガイアフォース!!!!」
ブラックウォーグレイモンは両手を天に掲げ、両掌のひらの間隔に赤黒の炎の球を形成、それを角タヌに投げつける。角タヌのような下級スピリットがこの攻撃に耐えられるはずもなく無残に散って行った。
花火「……ギュウモンジハブラックウォーグレイモンガブロックスル!!!!」
突進してくるギュウモンジを体全体で受け止めるブラックウォーグレイモン、最初は勢いを殺せず、押されるも、直ぐにギュウモンジを制止させる。そのまま怪力でギュウモンジを持ち上げる、体格の差がまるで違う2体だが、ギュウモンジは軽々と持ち上げられた。ブラックウォーグレイモンはギュウモンジを地面に叩きつけ、横倒れになったギュウモンジにそのまま角タヌ同様、暗黒のガイアフォースで土手っ腹に風穴をあける。猛者であるギュウモンジも流石に耐えることができず、大爆発、無残にも儚くその命は散ってしまった。
ドューケ「……この力は恐らく、我々以上の、いや、下手をすればあの方よりも………やはり始末しておかねば………今ここで、」
花火「……俺ノターン」
ターンを行えないと判断した花火は強制的に自分のターンを迎える。理性を完全に失った彼はもう遅延などという考えはない。ただ、このバトルで勝つことしか頭にない。
[ターン07]花火
スタートステップ
コアステップ リザーブ1⇨2
ドローステップ 手札0⇨1
リフレッシュステップ
リザーブ2⇨7
トラッシュ5⇨0
花火「……アタックステップ」
メインステップはすっ飛ばし、そのままアタックステップへと移行する花火、勝ってはいけないことを忘れ、残り1つの菜々子のライフを消し飛ばしにいく。もっと性格に言えば狙うのはあの場にいるドューケなのだが………仲間達もその花火が漂わせる異様な空気からそれを察する。
小次郎「……おい!お前まさか」
花火「……ブラックウォーグレイモンデアタック!!」
走り出すブラックウォーグレイモン、最早誰に止められることのできない、花火の暗黒化。
ドューケ「……ぐっ!一木花火!!!この女が見えませんか!?、このバトルであなたが勝てばどうなるかわかりませんよぉ〜!?」
此の期に及んで菜々子を盾に自身の身を庇おうとするドューケ、その屑っぷりには誰もが呆れる。
そして、この瞬間にも奇跡は訪れる。ラフーキの胃が体調不良を起こす。
ラフーキ「……うっ、なんだ気持ち悪、お、おえっ!」
突然謎の吐き気に見舞われたラフーキ、直後、彼の口から白く輝く、宝玉のようなものが飛び出してくる。
ラフーキ「……な??菜々子ちゃんの魂が!?」
ドューケ「……なんだと!?」
そう、それは菜々子の魂、白く純然たる輝きを放つその宝玉のような魂はまるで彼女の心を表しているようだ。原因はわからない、Dパラディンを持つもの同士、強く惹かれあったのか、ただ単純にラフーキが体調不良だったのか定かではない。だが、菜々子の魂はラフーキの体内から飛び出してきたのだ。
その魂は瞬時に吸い込まれるように菜々子の元へと戻り、胸元からすうっと中に入っていく。そして、ゆっくりと目の色が戻っていく。
菜々子「……花ちゃん!!」
菜々子が目覚める。操られているときの記憶が存在しているため、今まで自分が何をしてきたのか、その愚かさを理解していた。彼女もまた、「花火を助けなければ」と一心不乱に考えていたのだ。
花火「……!!!!………グォォォォォォォォオ、」
菜々子の声に反応して、自我を取り戻そうと花火がもがき出しているのか、そう見えるように花火は苦しみ出す。
花火「……!!!ぐ、ウゥぅゥぅゥゥう」
時間はない、ブラックウォーグレイモンのアタックが有効中なのだ、走るのをやめないブラックウォーグレイモン、その黒いドラモンキラーの一撃が今にも菜々子とドューケを襲おうとしていた。
そして、最後のライフにブラックウォーグレイモンの黒きドラモンキラーの鋭い鉤爪が突き刺さろうとしたその時だった。
ブラックウォーグレイモンの身体が、氷のように変化し、細かく砕け散って行った。それはフィールド内の柔らかい風に飛ばされ、バトルフィールドの彼方へと姿を消す。
花火「……フラッシュマジック、リアクティブバリア、不足コストはブラックウォーグレイモンから全てのコアを取り除く」
手札1⇨0
ブラックウォーグレイモン(4⇨0)消滅
トラッシュ0⇨4
菜々子「……花ちゃん」
それは一瞬だった、一瞬のうちに、自我を取り戻した花火は、呼吸するように、引いていたリアクティブバリアを起動させたのだ、
リアクティブバリアの効果はアタックステップを強制的に終わらせるというもの、花火のターンはこれで終わりとなる。本来は自分のターンに使うものではないが、仕方ない。強制的に菜々子のターンとなる。
菜々子「……花ちゃん、その」
なかなか言葉に切り口が出せない菜々子、無理もない、不本意ながら敵にまんまと捕まり、このような状況を作り上げてしまったのだから、
花火「……大丈夫だ、わかってる」
ドューケ「……!!ラフーキ!!もう一度、空野菜々子の魂を奪うのです!」
ドューケはそう言って、ラフーキのいる観客席の方へと振り向くが、そこにラフーキはいない、いるのはシデンだけ、シデンは本来、花火側の観客席へいたはずなのにどうしてとドューケが思った瞬間にシデンが口を開く。
シデン「……こいつは俺が遊んでやる」
ドューケ「……ぐっ!負け犬目ェェェ!!!」
徐々にその作り上げていた性格が崩壊していくドューケ、シデンはラフーキが魂を吐いた瞬間に、そちら側に行き1人弱そうな暗黒四天王を始末するために元の空間に無理矢理転送させたのだ。一対一でバトルさせるために。
シデン「……お前もそのうち、俺が潰す、その時がDワールドが真に救われる時だ」
ドューケ「……そんなことをして、イトニがタダで済むと思うなよ!!」
シデン「……あいつはお前にとって必要なんだろ?なら別にどうにもしないはずだ」
ドューケ「……!!」
シデン「……じゃあな」
確信を突かれ黙ってしまうドューケ、シデンは理解していた。イトニが彼らにとって何か必要な存在であることを。だったら自分が動いても大丈夫と判断したのだ。
シデンはそう言い残し、自分も元の空間へと戻っていった。彼はまるでこうなることを見越していたのだろうか、花火が空野菜々子の魂を取り戻すということを。
ドューケ「……ぐっ!!!貸せ!!!」
菜々子「……きゃ!!!」
花火「菜々子!!」
ドューケ「……ピヨモンを召喚!!!やれぇぇ!」
ドューケは菜々子から強引に手札を奪う、そして、その中のピヨモンを召喚し、即座にアタックを仕掛けた。
ピヨモンは険悪な表情を見せる。ドューケに扱われるのが嫌なのだろうか、だがカードの向きには逆らえない、小さな翼を羽ばたかせ、飛翔する。
菜々子「……花ちゃん!!!」
花火「……大丈夫だっていってるだろう?、気にすんなって」
小次郎「……花火ぃぃい!」
カイネ「……花火!!」
他の者達ががどんなに声を揃えてももう遅い。ピヨモンのアタックは止まらない。
ピヨモンはクチバシの先端で花火の最後のライフを破壊した。
花火「……」
ライフ1⇨0
ドューケ「……再び消えろぉぉぉ!!!オメガの片割れぇぇえ!!」
どういうわけかは知らないが、ライフがゼロになった途端、足元から花火の体が粒子となって消滅していく。花火は怯えることなく、自分が消滅することを悟る。それと同時に決心した絶対に諦めない。と
菜々子「………花ちゃん!!!」
花火「……すぐ戻るさ」
その言葉を最後に花火は消滅した。ピヨモン以外のスピリットがいないこのバトルフィールドで、ドューケの嘲笑と、菜々子の泣き叫ぶ声だけが響き渡っていた。
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