「この街で一番強いのは俺だ」
古代中国の城下町みたいな造りの街のど真ん中でいきなり喧嘩をふっかけられてしまった。俺は特に戸惑いもせず力を解放する。
「ふんっ!」
まずは地面を蹴って高く跳躍。よくわからない五重の塔みたいなヘンテコな建物の屋根に飛び移った。相手もジャンプして追いかけてくる。
「☆@$ゞ⌘!」
相手が何だかよくわからないことを口走りながら殴りかかってきた。ひとまず避けながらお返しに回し蹴りを放つ。相手は建物をぶっ壊しながら吹き飛んでいった。
「とう!」
体勢を立て直した相手が再び突撃を開始。今度は足を突き出した飛び蹴りだ。いわゆるライダーキックである。完全に物理法則を無視して、加速しながら飛び込んでくる。だが、俺は逃げなかった。
「ふんっ!」
あえて全力で受け止める。それも防御の構えではなく、右ストレートでだ。拳と脚がぶつかり合い、衝撃波によって足場の建物はますます崩壊した。
「それっ!」
今度は相手が突然腕からビームを出してきた。すばやく飛び上がった俺には当たらなかったが、街の建物はかなりの数が一撃で破壊されてしまった。
とんでもない威力だ。あれに当たったら確実に死ぬと直感した。
「このままではやられてしまう。今は逃げるとしよう」
危機に陥った俺は通りがかった電車に乗り込んだ。電車に揺られながら俺は逃げ続ける。追われてる身の割にはずいぶん悠長な気がするが、どうしようもないのだから仕方ない。
「おい、君はいつまでこの船に乗ってるつもりだ!」
「はっ!なんだって!?」
慌てて窓の外を見ると、そこにはインドの港町の光景が広がっていた。ぶっちゃけ人生一度もインドになんて行ったことはないが、なんかそれっぽい感じだった。それに、今この船に乗っているのは俺以外みんなインド人なのが、ここはインドであることを証明している。
「本当だ!俺はいつのまにかインドに来てしまったんだ!」
どうしよう。今の俺はパスポートを持ってない。このままでは不法入国者になってしまう。いったい罰金は幾らくらいだろうか?上陸しないでそのまま日本に戻りますんで堪忍して下さい。
と、軽く絶望した時だった。急に船が座礁した。
「まずい!船が転覆するぅっ!」
そのまま海に引きずり込まれてブラックアウト。
次に目を覚ました時、俺は質屋にいた。俺は手持ちのiPhone8(ちなみに作者のスマホはiPhone7である)を店員に渡した。最新機種ゆえに通話相手の顔が立体映像として浮かび上がる優れ物だ。
「このスマホ幾らで売れますか?」
「3万円です」