時雨の特殊任務   作:雷電Ⅱ

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もう二月ですね
まだ寒いです
節分イベントが終わったと思ったらバレンタイン限定任務です
それに加えて、2月4日に戦艦の比叡が発見されたというニュースがあった為、関連して実装された任務までありました
運営さん、仕事が早い……

前回までの誤字脱字報告、ありがとうございます


第111話 航空自衛官との接触

「リンクよし。これで人工ワームホールは開きます」

 

「よし、始めてくれ」

 

宴会から数日後、皆はある施設に向かった。艤装は必要ないらしく、皆は手ぶらだ

 

 岐阜基地の実験室……嘗てはHPM兵器……電磁パルス兵器の開発していた場所だ。今は改装され施設は大きくなっていた

 

その部屋の真ん中には大型の機械が設置されていた

 

「提督、これって……」

 

「見覚えあるだろう。浦田重工業が保有していたワームホール維持装置だ」

 

まるで業務用の冷蔵庫が沢山並んでいるようだ。なぜ、これがあるのか?

 

「実は国はある問題を抱えていてな。逮捕した浦田重工業の関係者の中には、この世界の住民ではない人が多い」

 

「まさか、送り返すの?」

 

「人が多過ぎて警察関係者から刑務所が悲鳴を上げていると言ってきた。つまり、収容する場所も逮捕者を養うだけの予算もないんだ」

 

 提督曰く、あまりの人の多さに警察も裁判所も困っているという。予算もそこまでないとの事だ。かといって野放しさせる訳にもいかない。再び、浦田重工業のような組織が出て来る可能性もある。尤も、逮捕した者は大人しいが、数名は過激な事を喚いているという。ソ連やナチスなら強制収容所か毒ガスでやるだろうが、そんな事は日本には出来ない

 

「だから、ここの住民ではない人間と物を元に戻す。幸い、浦田社長は平行世界の日本で物理学者を抱えていたらしい。その資料を元に平行世界の座標を割り当てた」

 

「でも、逮捕した人達は何処にいるの?」

 

時雨は見渡した。誰もいない

 

「ここにはいない。ここから五キロ先の平野にいる。一斉に全部を転送するためじゃ」

 

「ぜ、全部!?」

 

時雨は唖然とした。提督の父親である博士はそんな事が出来るのか?

 

時雨がまじまじと博士を見たため、彼は慌てて言った

 

「いや、流石にワシ一人だけでは無理じゃ。国の支援があるからこそ可能になった事じゃから。国も追い詰められておったからな。ただ問題があっての……膨大な電力が必要だから関東一帯は大停電になる」

 

 いくら艦娘の創造主とは言え、支援がないと無理らしい。……ちょっと待って。関東一帯が大停電?

 

「それ、大丈夫なの?」

 

「表向きは全発電所の点検と称して停電予告はしておる」

 

時雨は空いた口が塞がらなかった。ここまでやるとは思いもしなかった

 

……しかし、逮捕者が多いためやらざるを得ないだろう

 

「それと僕に何の関係があるの?」

 

「簡単な事じゃ。逮捕者が平行世界にたどり着いたという観測者が必要じゃ」

 

時雨はこれを聞いて理解した。何をするのかを

 

「帰ってこれるの?」

 

「勿論。ただ、人工ワームホールを通過するとは言え、身体の負担は大きい。片道だけならともかく……往復となると」

 

 博士の説明によると一種の時空酔い……つまり、船酔いのような症状になる。しかし、片道旅行ならともかく、連続して往復するのはあまりよろしくない

 

あまりのショックで意識不明の重体になってしまう可能性がある

 

時雨は目を瞑った。以前、やったことがあるから問題はない

 

「いいよ。僕が行く」

 

白露姉妹達を始め、その場にいた人はざわめいていたが、時雨は牽制した

 

「分かっている。だけど、これは僕の仕事なんだ。以前にも体験したから」

 

 白露は何か言いたそうだったが、止めておいた。時雨が経験した事は知っている。そのため、何も言えない状態だった

 

「向こうの世界にいる猶予時間は74時間26分。この腕に装着する子機で往復出来る。但し、これは一度っきりじゃ。電力が持たないのでな。時間が来ると強制的にこの世界に連れ戻される」

 

時雨は時計のようなものを受け取りながら、聞いていた

 

「つまり、平行世界に行って囚人が無事に到着出来たかを伝えるための観測係?」

 

「そういう事じゃ」

 

博士は頷いた。しかし、他の艦娘からは不安の声があった

 

「済まない。質問させていいか?」

 

「どうした?」

 

長門は手を上げると疑問を口走った

 

「観測係が必要なのはわかる。しかし、囚人を送り出すために1人の艦娘を危険に晒すのは納得がいかない」

 

 長門の言い分は尤もだろう。なぜ、犯罪者相手にここまで手厚くやらないといけないのか?

 

『確実性を持たせるため』や『浦田重工業とは違う』と言われればそれまでだが

 

 

 

 何人かの艦娘も長門の意見に賛同していた。しかし、博士は予想はしていたらしく、ニヤリと笑うと手で制した

 

「落ち着け。ここまでは国の仕事じゃ。本題に入ろう」

 

「ほ、本題?」

 

長門を始め、全員は唖然とした。今、国の仕事と言ったのではないか?

 

「国からの依頼は『平行世界の住人を戻せ』と言っておった。観測係なんぞ一言も言っておらん。これはワシと息子のワガママじゃ」

 

「どういう……?」

 

「観測係の本来の任務はこの持ち主と会うためだ」

 

それはディープスロートのノートパソコンだった。知っている人はあっ!と声をあげた

 

「提督……いいの?」

 

「大規模な転送準備には時間がかかる。その前に観測係を送るが……別に現地の人間と接触するな、とも命令を受けてない」

 

提督は悪戯の子供のように笑った。一人分を送る電力は既に確保したという

 

つまり、今から平行世界へ行き72時間26分の間に……

 

「時間差はあるかも知れない。大量の紙と鉛筆を用意した。皆がこうして生きているのは、一尉のお陰だ」

 

 

 

 

平行世界

 

『……今回の事件を受けて○○政党の支持率は一気に下がりました。尚、宗教団体から賄賂を受け取っていたという政府関係者は行方不明となり、警察は何らかの事件に巻き込まれたとして捜査しています。これを受けて野党に転落した与党を初め各党は……』

 

個別病棟で横になっている1人の男性はニュースを見ながらもため息をついた

 

 ニュースはどれも過激な宗教団体と○○党を非難するものばかりだ。ちょっと前までは持ち上げていたのに、一切反省もせずにあっさりと切り捨てた

 

 やはり、武器兵器の不法所持は響いた。しかし、対人兵器ならともかく、重火器まで持っていたのだから驚くのも無理もない。戦車とヘリで革命と称して東京まで進軍する始末だ。警察はお手上げで自衛隊も○○政党である首相が防衛出動も出さなかった

 

 しかし、ここで意外な事が起こった。まず、中国が新興宗教を取り締まらない弱腰政権を非難した。(浦田結衣によって)殺された武器売人は元々、その国の出身である。更に駐日大使も何者かによって殺されたのだから、中国も溜まったものではない

 

 アメリカも不法所持していた兵器がなぜ、宗教団体が持っているのか?その事を激しく非難し始めた

 

 この2国からの非難に○○政党は対処仕切れず、防衛大臣は自衛隊法を全て無視して自衛隊に防衛出動を出した。宗教団体の傀儡になっていた首相には愛想が尽きたからである。防衛大臣は、その後周りが批判される前にさっさと辞表を出して去っていった。これを皮切りに次々と離党した議員が出たため、○○党の支持率は急速に低迷したのである

 

 一方、防衛出動に出動した自衛隊は、激戦はしたものの、相手は正規軍ではない。あっという間にクーデターは鎮圧され事件は終息した。関係者は全員逮捕。武器も押収した。中には自衛隊の旧式の兵器まで見つかったのだから自衛隊関係者は、驚いたという

 

 左翼団体や特定の市民団体などからは批判は遭ったものの、過激な宗教団体の実態が明らかになるに連れて声が小さくなった。何しろ、重火器が大量に出てきたのである。○○党や宗教団体は必死に弁明したが、完全に言い訳であるため、世間には全く通用しなかった

 

 未だに混乱している中で、ある空自の幹部は何者かに狙撃された。彼は1ヶ月、生死をさ迷っていたが、奇跡的に命はとりとめた

 

不意にテレビの電源が消えた。しかし、彼は真っ黒な画面を見続けている

 

近くにいた三人の内、誰かがリモコンで消したのだろう

 

「今回の事件で機密漏洩の疑いは晴れた。……すまなかった」

 

 公安から来た人は頭を下げた。本来ならこんな事はしない。プライドが高いからである

 

しかし、余りにも異質な事件にそうは言ってられない

 

 謎の男女が機密情報などを盗んだという証言が出てきた今、その二人を追わなくてはならない

 

しかし、二人は見つからないだろう。浦田は、手の届かない所にいるのだから

 

「それでは、失礼」

 

公安人は病棟から出ていく。そう言えば、名前は聞いていなかったな

 

 公安が出ていくのを確認すると残りの人は口を開いた。情報本部から来た草柳主任情報官と自分の上司である宮島三佐だ

 

「さて、君は浦田という人物に情報を渡したと。しかし、それはでっち上げだと。ここまではいい。しかし、浦田容疑者が今どこにいるか、本当に分からないのかね?」

 

「はい、検討もつきません」

 

「長田元3等陸曹の行方は?確か浦田にくっついていた元自衛官だ。アパッチヘリ強奪とパイロット殺害容疑もかけられている」

 

「分かりません。アイツとは仲は良くなかったので」

 

 事件が明るみになる中、宗教団体は元自衛官がアパッチを盗んだという証言をしたらしい。陸自も驚愕し、行方不明となった機体を再調査。証言通り、元陸自の隊員が盗んだということを突き止めた。だが、肝心の機体が何処へ行ったのか分からないという

 

「お前が撃たれた数日前に電話したのは分かったが、場所すら言わなかったのか?」

 

「はい。相手は何も言わなかったので」

 

 草柳は困惑した。彼の情報漏洩は白なのはいい。浦田に渡した情報もデタラメだ。本人の言うとおり、ゲームから作り出したものだ。警務(自衛隊では憲兵を警務と呼ぶ)も、浦田はよくこんなものを信じたなと呆れていたが

 

 だが、分からない事は彼のスマートフォンの着信記録が不明ということだ。なにしろ、東京都にある宗教団体の施設が爆発した地点だからだ

 

その発信記録も不明。まるで存在していなかったような……

 

浦田容疑者はどこから電話をかけたんだ?爆発さえしなければ証拠が出てきたものを

 

「分かった。後は宗教団体の悪事の情報をネットにバラした行為は特別に見逃そう。……可哀想だからじゃないぞ?訴える人がいないのでな。警察も自衛隊もそんな事で構っている暇はないのだ」

 

「はい」

 

 彼は短く答えた。しかし、草柳は返事を聞くと直ぐに病棟から出ていった。どうやら、仕事らしい

 

 しかし、宮島三佐はまだここにいる。何か用でもあるのか?彼の目線に気づいたのか、宮島は苦笑した

 

「いや、気にするな。実はお前にお見舞いの人が来てな。病院の受付でバッタリと会ったんだが、急いでいるというものだから私が特別に面談するよう取り計らった。彼女は新聞を見てこちらに来たらしい。本人も被害者らしくてな」

 

宮島三佐は笑ったが、彼は笑わない。寧ろ、なぜ死ななかったのか?

 

道を踏み外していないのに、人生は狂いっぱなしだ。せめて、一矢を報おうとあれこれやったが、焼け石の水だ

 

 宗教団体を崩壊させても彼は気が晴れなかった。誰と会っても、この気持ちは晴れないだろう

 

「誰です?」

 

「扶桑 時雨という少女だ」

 

「そうですか……」

 

 彼の視線は定まっておらず、答えも覇気がない。彼のベットの近くにある机には親戚や知人、そして同期からお見舞いの手紙や差し入れがあったが、彼は未だに手をつけていない

 

宮島三佐は早く食べないと腐るぞ?と茶化していたが

 

 

 

暫くして誰かが彼に声をかけた者がいた

 

田村 則正(たむら のりまさ)一等空尉ですか?」

 

 ふと顔をあげ扉に目を向ける。宮島三佐が入れたのだろう。セーラー服のような服装を着込み、眼鏡をかけている。髪は横はねており、髪飾りをしてる少女は大きな紙袋を下げながらお辞儀していた

 

そして、なぜだろう?何処かで聞いたような声だ。この少女……さっき時雨と?

 

しかし、彼は心の中で否定した。そんなバカな事はない。考えすぎだと

 

「僕は扶桑 時雨。ニュースで見たんだ。撃たれたって。だから、君の上司に無理を言って面会の許可を貰ったんだ」

 

「そうか」

 

 変わった名前だと田村は思ったが、彼は少女の言葉を聞き流していた。彼が撃たれたのは新聞に載った。そのため、ちょっとした有名人だろう

 

 今回の事件で被害者の数名から接触があったが、彼はあまり関わらなかった。事後の事は警察や司法がやってくれる。こちらも被害を受けた

 

少女は紙袋を机の上に置くと、話始めた

 

「僕は浦田からも酷い目にあった。僕だけじゃなく、仲間も。だから、君に会いたかった」

 

「俺は何もしていないさ。ただ、情報を流したり、告白したりしただけだ。お蔭で俺は撃たれてしまったが」

 

 田村は苦笑した。彼もまさか、浦田が異世界へ行って軍事侵攻するとは思わなかったが。しかし、そんな話は誰にもしていない。余りにも突拍子のない話だからだ。精神病院に連れていかされるのがオチだ

 

「世の中、正義なんて無かった。宗教団体は崩壊したが、今は分裂し、小規模となって活動している。もしかすると、また復活するだろう。命が幾つあっても足らない」

 

 尤も、彼が宗教団体と関わったのは、母親が入信したからである。その事から人生の歯車が狂い始めた

 

「これからどうするの?」

 

「さあ……どうなるかなんて分からない。ただ、娘にはまた会いたいと思っている」

 

「会わないの?」

 

「連絡が無くてな。……妻が堕落でもしない限りは大丈夫だろう」

 

 田村は肩をすくめたが、内心は違っていた。離婚した理由は母親の入信だ。負担が大きすぎて去ったのだ

 

彼もそれは理解していたし、止めもしなかった

 

「良かったら、僕達の所へ来ない?良いところだよ」

 

「いや、お誘いなら断るよ。もう懲りたからな。それに、冷遇されても自衛隊という組織に愛着はある」

 

 田村は笑いながら首を振った。左遷されたものの、折角の職場を手放すのも惜しい。それに彼はプログラマーでもあった。数日前には、お詫びとしてサイバー防衛隊に編入しないか?というお誘いがあった。特に問題はなかったため、本人は了承した

 

「……ところで、何処かで会ったかな?」

 

「どうしたんですか?」

 

「いや、聞いたことがあるような声だから。会っていたなら覚えているはずなんだが」

 

 田村は顎に手を当てながら聞いた。彼は撃たれて1ヶ月間も生死をさ迷っていた。リハビリも受けてようやく歩けるようになった

 

 後は回復するのを待つだけだが、役所の人が絶えず面談したお陰で入院生活が長引いてしまった

 

「気のせいだよ。それでは、僕はこれで。気が向いたり思い出したりしたら屋上に来て。まだ時間はあるから」

 

 女の子は丁寧にお辞儀をすると部屋から出ていった。出ていった後も、彼はどこで会ったのか、思い出そうとした。まるでお誘いのように聞こえたが、誰だろうか?

 

しかし、彼には考える時間さえ与えてくれないらしい。また、誰かが来たのだ

 

「あなた……大丈夫?」

 

今度来たのは何と彼から去った妻だった。娘と一緒に来たのだ

 

「パパ!」

 

 娘が駆け寄って来たため、無理やり笑顔で迎えた。そう言えば、もうすぐしたら、小学生だったな。ランドセルを買ってやらないと

 

「お前……どうして、ここに?」

 

 彼の質問に妻は答えてくれた。妻も夫の現状を上司から聞いて離婚したことに後悔していたという。夫が撃たれた事でショックを受け、見舞いに行こうか迷っていた。しかし、あの時はテロを警戒していたため一般人の面談は当面の間は禁止されていたため入れなかったという

 

「……そうか」

 

妻から聞かされた事に彼は目を伏せた。もう厄介事は起こらないようだ

 

そう願いたい

 

「ところで、このお土産と手紙の数は何?」

 

 机に妻も驚くのも彼は苦笑した。適当に答え、菓子も気に入ったら持って帰ってもいいと言った時に娘が聞いてきた

 

「ねえ?これは何?」

 

 ふと見ると娘は先程の女の子が置いていた紙袋を指差していた。妻も興味を持ったらしく紙袋から取り出したが、何やら沢山の物が入っている。しかも、全て紙で包んでおり中身は見えない

 

「何やらたくさん入っているな。何なんだ?」

 

お礼とは言え、ここまでするだろうか?

 

「あら、これは飛行機の模型ね。良くできている」

 

妻は箱から取り出しながら言った。確かに模型の飛行機だ

 

 しかし、この飛行機の模型は零戦だ。しかも、余りにもリアルだ。まるで、本物の零戦を小さくしたかのようなものだ

 

「あの女の子……なぜ、こんなものを?」

 

「さっき見舞いに来ていた女の子?私も廊下ですれ違ったけど、丁寧に挨拶してくれたわ」

 

妻もあの女の子に会ったらしい。入れ違いということか?

 

何か手紙でもあるのか?と探していたところ、小さなメモ紙を見つけた

 

 書かれている内容は非常に短かったが、彼は目を見開いた。ようやく、思い出した。色々な出来事があったため、記憶から忘れていた。若しくは、半信半疑だったかもしれない

 

内容を見るまでは

 

『ディープスロートさん、有り難う。提督も他の艦娘も君には感謝している。皆からのプレゼントだよ』

 

この文字を見て相手が誰なのか、思い出した。しかし、あり得るのか?この世界にやって来たと言うのか!?

 

「ちょっと待ってくれ。すぐ戻る」

 

彼はベッドから飛び出し、妻には待つよう言うと廊下を駆け出した

 

 リハビリを真剣にやって良かったと思った。すれ違う人達も不審な目で見送ったが、構わない

 

 階段をかけ上り、何とかして屋上に着いた。外は晴れており、いい天気である。周りには誰もいない。いや、フェンスには1人の少女が街を眺めていた

 

 間違いない。相手もこちらに気づいたのか、ゆっくりと振り返った。カメラを持っていたが、デジタルカメラではない

 

「お前だったのか……道理で聞いたことがあると思っていたが」

 

「うん。やっと思い出したんだね。僕は白露型駆逐艦、『時雨』。異世界から、もう一つの日本からやって来た艦娘だよ」

 

 時雨は自己紹介をした。艦娘については、先の戦いで電話の際、提督が簡潔明瞭に話したからある程度は知っている

 

「でも、向こうの世界も四年後とは限らないと博士は警告したけど、僕は気にはしていない。繋いだ時間軸がズレたのか知らないけど、まだ6ヶ月しか立っていないんだってね」

 

 時雨は笑顔で話していたが、田村は固まったままだ。彼女が言うには、向こうでは四年前の出来事らしい

 

どうやら、こちらの世界に来るときに時間がズレていたらしい

 

「どうやって、俺がディープスロートだって分かった?いや、何しにこの世界へ来た?」

 

「浦田重工業の書類から君の名前を見つけたんだ。浦田重工業の社員名簿に軍事オブザーバーの欄から君の個人情報が書かれた紙を見つけた。電話の際、航空自衛官と名乗っていたからこの人だろうって。また、この世界に来たのは2つあるんだ。1つは本来のものをここへ送り届けるため。もう1つは君にお礼を言いたいため」

 

 時雨は言うまいか一瞬迷ったが、はっきりと言った。田村は目の前の少女が信じられず、言葉が見つからない

 

「お礼なんて……俺は何も……ただ宗教団体や浦田を一泡吹かそうと」

 

「そのお陰で僕と僕の世界は救われた。あのまま、浦田についていたら僕達は酷い扱いを受けていた」

 

時雨は淡々と説明した。自分の世界ではどんなことが起こったのか

 

 

 

 艦娘である時雨は、ある戦いに巻き込まれた。深海棲艦と呼ばれる謎の軍団と戦うために造られたという。しかし、その深海棲艦は見たこともない強力な武装を持っていたという

 

 後で調べた所、それは半世紀以上の科学技術を用いた兵器であると分かった。戦艦アイオワが見破ったのだ。アイオワは湾岸戦争まで健在だったので現代兵器を熟知していたのだ

 

 時雨の上官である提督は、過去を改変するためにタイムマシンを作り上げた。しかし、容易ではなかった。限られた時間と資源で作り上げたため行く人は限られてしまった。また、時間稼ぎのために出撃し撃沈された艦娘も大勢いる。捕まってしまった艦娘も……

 

 提督はタイムマシンの存在と時雨に過酷で辛い任務を与えられた。時雨は、仲間と離れたくなかった。しかし、誰かがやらないと全滅してしまう

 

時雨は泣きながらも過去へ旅立った。与えられた任務を抱えながら……

 

 時雨は過去の提督を説得し、艦娘の創造主と接触する事に成功した。だが、彼らは仲が悪く軍を左遷された技官だった

 

半ば失望したものの、何とか彼らを説得し『艦娘計画』を再稼働させていく

 

 だが、その途中で邪魔が入った。浦田重工業だった。浦田重工業は、深海棲艦を倒す新兵器の開発に成功。国も国民も喜び、深海棲艦を駆逐する事に成功。浦田重工業は人類の救世主とまで言われた。深海棲艦はこの暴挙に怒り浦田重工業を奇襲、壊滅させた。深海棲艦は新たな兵器技術を身につけ、遅れて実用化した艦娘を攻撃したというのが表の歴史だった

 

 しかし、実際は違った。浦田重工業は人類の救世主ではなかった。侵略者だった。浦田社長は、以前に平行世界の日本に立ち寄ったらしく歴史を学んだ。最新鋭の兵器開発も平行世界から持ってきたに過ぎない。第二次世界大戦……太平洋戦争の事や深海棲艦の力を手に入れた妹の存在を知ると直ぐに実行した

 

 時雨は囚われ、浦田結衣から拷問を受けた。しかし、廃人になる直前に手を差し伸べる者達がいた。彼らも浦田重工業を倒そうと諜報活動していたという

 

 浦田が決起を起こし、日本は大混乱に陥った。鎮圧に向かおうとしていた軍は全滅の危機にあい、艦娘も結衣相手に大苦戦した

 

 しかし、強大な敵を前に艦娘も日本の帝国軍も怯まずに闘った。ディープスロートの電磁パルス兵器のお陰で戦況は変わった

 

 私設部隊を撃退し、ワームホールを破壊し、浦田重工業を崩壊させ、艦娘の宿敵であるH44改、浦田結衣を倒すことに成功した

 

 

 

「……そうか。本当に良かった」

 

 田村は時雨の話を聞いて安堵した。電話がかかってきた時は半信半疑だった。しかし、本当だった。多次元世界の存在や試作され凍結された電磁パルス兵器の設計図を実用化させたということは、その世界の住民は力を持っている

 

浦田は侮りすぎた。彼らを見くびっていたのだ

 

「浦田は死んだんだな。長田三等陸曹も」

 

「うん。提督が言っていた。長田警備隊長は乗っていたアパッチが撃墜されて死んだって」

 

「警備隊長になっていたとは……全く」

 

 田村はため息をついた。元々、長田は金の亡者だった。任期制隊員の事もあり、陸士の間は給料は少なかった。曹に昇任し、ヘリパイロットになったが、自衛隊に失望して辞めてしまい、民間警備会社に勤めていた。そして、浦田と接触したという

 

「長田は俺の友人でもないが……お前達に大分、迷惑をかけたな。代表として謝罪する。誤解しないで欲しいが、一部の人間が暴走してしまっただけだ。自衛隊だけでなく、この世界まで嫌いにはならないでくれ」

 

「頭を上げてよ。もう済んだ事なんだ。ただ、僕達は無事であることを伝えたくて。死んでしまったらどうしようか、迷っていたから」

 

 実際にこの世界に来る前にディープスロートが宗教団体に暗殺されてないか、心配だった

 

「そうか……向こうの世界はどんな感じだ?」

 

「良いところだよ。内戦の爪痕が残っているけど、復興は順調だし、僕達も弾圧されずに皆のために戦っているよ」

 

時雨はニコリと笑った。あっちでもとりあえずは一段落したようだ

 

「……一つ、嫌な事を聞くかもしれないがいいかな?」

 

「構わないよ。何?」

 

「浦田についてはお前が悩む必要はない」

 

「ッ!」

 

時雨は動揺し、顔が少し曇った。何か知っているのだろうか?

 

「お前の話を聞いて、浦田がなぜあんな行動したか、分かったような気がした。浦田はある作家に憧れたのかも知れない」

 

「ある作家?」

 

時雨は聞き逃すまいとしっかりと聞いた

 

「ああ……ちょっと癖が強くてな。俺も好きにはなれない。1970年にある作家が、憲法改正のため自衛隊の決起を呼びかけた事件だ。本人は陸上自衛隊の市ヶ谷駐屯地で総監を拘束監禁し、バルコニーに集まった自衛官達に向かって演説をした。勿論、自衛官の反応は冷たく、本人は自害した。だが、本人はこう演説した『日本は、経済的繁栄にうつつを抜かして、ついには精神的にカラッポに陥って、政治はただ謀略・欺傲心だけ』『諸君は永久にだねえ、ただアメリカの軍隊になってしまうんだぞ』と*1

 

時雨は驚いた。作家が過去に軍事基地へ侵入して高官を監禁しクーデター起こすよう演説するとは思わなかった

 

事件であったため、日本史には小さく載っていたため見逃したかも知れない

 

「俺から言わせれば、彼の言い分も分からない訳ではない。確かに自衛隊の立ち位置もあやふやな存在だ。自衛隊発足も元々はアメリカがやったことだからな。しかし、もう刀を振り回して他者をねじ伏せる時代は来ない。批判されるのがオチだ。だが、浦田はその作家に興味津々だったしい」

 

田村の瞳ははどこか遠くを見るような目だった

 

「浦田から去る前に聞かされた。なぜ、君たち自衛隊はクーデターを起こさないのかと。俺はこう答えた。国民の信頼を損ねるからだと。日本はアメリカの従属である質問については、日本はそういう国なんだと答えた。日本はアメリカとやり合う国力も軍事力もなく、外交は下手だ。だから、アメリカの顔色を伺うものなんだと。簡潔に説明はしたが、浦田はどうも納得がいかなかったらしい。歴史背景を詳しく説明しても納得しない人であるから、余り言わないでおいた」

 

 事情や歴史的背景などを知らない人は、『弱腰』や『言い訳』を使ってあっさりと切り捨てる

 

 確かにそれは正しい。一々、聞いていては時間がかかるし、聞き手は絶対に納得はしない。しかし、把握しない者が勝手な振る舞いをするのは危険過ぎる

 

「浦田は自分が住んでいる国を知らな過ぎた。浦田だけではないだろうが、どうもそういう輩が多くてな。国防を蔑ろにする傾向があるようだ」

 

「分かっているよ。提督は浦田が怪物になったって言っていた」

 

 尤も、提督が言った言葉ではない。浦田重工業から出てきた書類や過去に体験したアカシックレコードを見て思った事だ

 

 彼らは仕切りに軍や思想を嫌っていた。徹底的に潰したいらしく、帝国軍を傀儡にしたほどである。艦娘をあれほど異常に嫌っていたのも第二次世界大戦という産物を葬るためだろう。しかし、偏見が行き過ぎると、録な事にならない

 

「もう一度聞くけど、僕達の世界に来る?」

 

「遠慮するよ。変な輩がいても、俺にとってはここが故郷だから。思い出が沢山ある。それに、目標も出来たからな」

 

田村は時雨の誘いには首を振った。彼にとっては、ここが故郷だ

 

「分かったよ。会えて良かった、ディープスロートさん」

 

 時雨は右手に着けていた時計を見ていた。腕時計かと思ったら違う。光だしたのだ

 

田村もそれがなんなのかは知らないが、分かっていた。彼女は元の世界に帰るのだ

 

「何かあったら連絡して来い。戦闘要員ではないが、手助けくらいはしてやれる」

 

「分かった……有り難う」

 

今にも泣き出しそうな表情で、時雨は腕時計を見ていた

 

 これで本当に任務が終わった。彼も真っ当な人間だ。こんな人が僕達の世界にもいたら……

 

 

 

以前の時のように体が透けていく。元の世界へ戻ろうとしている。まもなく粒子となって、この世界から完全に消え去るだろう

 

最後の挨拶はどのように表せばいいだろうか?

 

 ――そうだ

 

「ありがとうございます、田村一尉」

 

時雨は表情に笑みを浮かべる。泣きながら、それでも無理に笑って

 

彼女は挙手の敬礼をした。彼女も軍に所属しているのだから

 

「元気でな、時雨」

 

 彼も同じように敬礼をした。もう会う日は来ないだろう。再び世界が混乱したりしなければ……

 

 

 

 光の粒子となって消えた時雨を見送った後、元の病室へ向かった。余り長い時間離れていては、看護師から怒られるからだ。廊下を歩く途中、慌ただしく走る数人の男性とすれ違った。それは、こちらと面談した警察と公安だったが、表情は険しかった

 

すれ違う時、彼らの愚痴を耳をした

 

「いままで行方が分からなかった容疑者達が、縄に縛られたまま見つかったって、どういう事だ!?」

 

「通報した住民からは激しい地震と共に現れたと」

 

「しかも、兵器が沢山出現したってどういう事だ!?宗教団体が隠し持っていた兵器か?だとすれば、また大騒ぎだぞ!」

 

 彼らは不平不満に言いながら走っていく。田村は振り返らずに病室へ向かった。病室には、妻も娘も待っていたが、妻はテレビを見て唖然としていた

 

「貴方、見て。××県の村外れで容疑者と兵器が見つかったって」

 

 妻はテレビの方へ指を指していた。彼も見たが、内心は分かっていた。時雨が来たのは、この事だろう

 

 恐らく、この世界に送る転送が可能になっため、送るついでにこちらに会いに来たらしい。その証拠にテレビは、生中継として山積みにされていた兵器類を映し出されていたが、その中の壊れたAH-64Dアパッチを見つけた。あれは行方不明になった時の陸自の攻撃ヘリだ

 

 時雨は撃墜したと言っていたが、映し出されていたアパッチは、何事も無かったかのように置かれていた

 

誰かが直したのだろう

 

彼は興味なさそうに紙袋に入っていた物を取り出していた

 

 零戦、F6F、瑞雲などの戦闘機の模型が六機。小さいが、戦艦長門と戦艦大和の模型が2つ。そして、アルバムがあった

 

 アルバムを手にした彼は一瞬、躊躇ったが、思いきってアルバムを開けた。そこには、沢山の写真が貼ってあった。時雨とその仲間が写し出された写真ばかりだ

 

 鎮守府と門に書いてあるが、写っている艦娘の姿は女子校のような感じだ。体育訓練もしているし、行事もある。しかし、戦闘は本物で彼女が操る能力は、凄まじい

 

 集合写真を見たとき、若い海軍士官と時雨が中央におり、笑っていた。皆も同じだが、どうやら俺のために撮ったらしい

 

(そうか……浦田の敵対者がまさか、こんな人達だったとは……)

 

 もし、この時代で女性が戦場に行くことになったら、世間は騒ぐだろう。女性差別というかも知れない。しかし、それはこの世界の日本の話だ

 

 向こうではそれが常識らしい。彼女も胸を張って深海棲艦という軍団と戦っているだろう

 

「パパ、それは?」

 

 夢中になっていたため、気がつかなかったのだろう。娘が覗くように覗いていた。妻も零戦の模型を手にとって不思議そうに眺めている

 

「変わった女の子ね。こんなものをプレゼントにするなんて」

 

妻も呟きながら零戦の模型を置くと、他のお土産の方へ手を伸ばした

 

 彼は心の中で微笑んでいた。妻や娘に多次元世界や艦娘などを話しても信じないだろう。しかし、心の中に仕舞うべきではない

 

彼女は確かに存在するのだから

 

「おいで……そうだな。ちょっとしたお話をしようか?」

 

娘を近くに座らせると彼は語りだした。娘に変わったおとぎ話をするのも悪くはない

 

 

 

「時雨、帰ったよ」

 

 時雨が光の中から現れると周りは一斉に駆け寄った。夕立や白露は現れるや否や抱き締めたため、時雨は対応に困ってしまった

 

 時雨が平行世界に行ってる間、周りは帰ってこないのではないか?と不安になり、ずっと待っていたのである

 

 

 

「そうか……本人も元気だったんだな」

 

 周りが落ち着いた後、時雨はいままで起こった事を報告した。向こうの世界のお金は浦田重工業から見つけたため問題は無かったが、彼を探すのに苦労した。幸い、ニュースで大きく取り上げられた事もあり、彼が入院している病院も分かった

 

 しかし、面談は予約が沢山いたため、時雨はその後でいいと了承したという。待合室で待っている途中で、宮島さんという人と会って面談を譲ってくれた

 

 

 

「浦田社長達が潜んでいた宗教団体も崩壊したから、復活する事はないよ」

 

「そうか……時間差はあったが、どうやら向こうの世界も一段落したようだな」

 

尤も、こちらの世界の存在は知らないようだ。それとも、秘密にしているのか?

 

 しかし、提督はその可能性を否定した。浦田が密かに持っていた物だ。向こうは、何が起こったのか分からないだろう

 

仮に気づいてもこちらの世界に接触する手段はないようだ

 

「まあ、俺としてはそれでいい。逮捕者の証言も向こうでは真に受けんだろう」

 

「兵器まで転送するなんてね。邪魔だったんだ」

 

 実はあの戦いの後、政府や軍は浦田重工業の兵器は回収を行った。兵器の設計図も何枚かは手に入った

 

強力な兵器と兵器設計図を手に入れたのはいいが、問題があった

 

 大本営は、軍の研究機関に研究される意向にだったが、とても手に終えるものではない。大手企業や大学教授まで参加させる事になり、巨大プロジェクトとなった

 

 それらの兵器のコピーを1日でも早く造り上げる事が、大本営の念願だったが。それは期待出来そうにも無かった

 

例えば、ジェット機の実用化は試作機はあるものの、実用化まではまだ先であるし、音速を突破する方法なんて容易ではない

 

 それに加えて、ジェット戦闘機が積んでいた兵器システム、特にその追尾システムについてはちんぷんかんぷんだ

 

 コンピュータも、代用品として真空管を使ってしまうと、一つの部屋くらいの広さを要する

 

これでは兵器とは言えない。とても、航空機に積めそうにない

 

 コンピュータも何台か確保できたが、電磁パルスのせいで動かない。試しに解体したが、さっぱり理解出来なかった

 

 電子兵器も理屈は分かっていても、兵器として作り出すには時間が要する。少なくともトランジスタや半導体を作らないといけない。工場も浦田重工業と深海棲艦によって破壊されたが、ようやく修復は終わった所である。量産する手段すら整っていない

 

 妖精の力もそこまで復元する能力は無い。限度はある。あくまで艦娘用の兵装を運用するためである。アイオワは現代兵器については分かっていたが、膨大な資源を食うため今は装備どころか再現もしていない

 

 破滅した未来では、大半の資源はアイオワに回していたから実現出来た。今はそんな状況でもないし、無理を言ってまで再現する必要性もない。ハイスペックの兵器を持って来ても負担になるだけであり、アイオワは現代兵器の開発には着手していない

 

「恐らく浦田社長が強気に出たのはこれが理由じゃろう。コンピュータなんぞ、我々には造れんと。だから、最新鋭兵器を独占出来たようじゃ」

 

「補給がある上にコピーされる心配もほとんどない。よく勝てたと思う」

 

提督は呟いたが、田村一尉がこの場にいたら驚くだろう

 

半世紀以上も差がある兵器を持った軍団と戦って勝ったからである

 

 大人と子供の喧嘩のようなものであり、フェアな戦いではないからだ。電磁パルス兵器と深海棲艦の姫級乱入があったため、辛うじて勝てたと見ていい

 

 

 

 そのため、膨大な数の兵器を鹵獲したのはいいが、余りにも多過ぎて保管する場所がない。かといって他国が浦田重工業の真の姿に気付き、欲しがるかも知れない

 

 直ぐには造り出す事はないだろうが、技術革新する可能性も否定できない。そのため、廃棄処分が難しくなった

 

何かいい案がないか迷ったとき、元帥は提案した

 

「平行世界の日本に送り返そう」

 

この言葉に周りは驚いた

 

「設計図はともかく、鹵獲した兵器をたくさん保管できない。中には自衛隊から盗んだ兵器もある。逮捕者も含めて送り返そう」

 

この鶴の一声で決まったという

 

 博士を中心にプロジェクトは進み、一年かけて完成したという。その時に、ディープスロートと接触出来ないか、と提督は話を持ち出したという。時空を往復するため艦娘に使者を送る事は決まったが、誰を送るか?

 

悩んでいるときに時雨が帰って来たという

 

そのため、時雨が使者としてディープスロートと接触することに成功した……

 

 

 

「また、会えるかな?」

 

 帰りのバスを待っている間、時雨は提督に質問した。もし、会うとしたらこっちはどんな災難に巻き込まれているのだろう?

 

「出来れば、平和な時に会ってみたいな」

 

何らかの拍子でこの世界に来たら……?

 

 しかし、提督は頭を振った。彼の人生に水を差す事をしてはならない。彼も向こうの世界で元気にやっているだろう

 

「さあ、鎮守府に帰るぞ。明日は3組を遠征に行かせないといけないからな」

 

一部の艦娘からは不平不満に言う者もいたが、本気で嫌っている訳ではないだろう

 

明日から再び、鎮守府の日常が始まるのである

 

*1
これは三島事件を指す。憲法改正のため自衛隊の決起(クーデター)を呼びかけた後、本人は割腹自殺をした




おまけ
時雨「帰って来たよ。お土産もたくさんあるし、写真も撮って来たよ」
提督「へぇ~。60年も経てば街並みも変わるんだな」
武蔵「これが呉で、こっちが佐世保?」
金剛「私が覚えている日本とは違いマース」
不知火「高層ビルがたくさん立ち並んでいる……」
大和「大和ミュージアムって恥ずかしいんですが」
アイオワ「お揃いね、Great!」
長門「長門博物館は……ないのか……無念……」
ガングート・タシュケント「それで平行世界では1つのソ連になったかい?」
時雨「……(諦めていなかったんだ)」


空自の人間と接触した時雨の話でした
まあ、田村一尉も家族を持っていますから平行世界には行かなかったようで……
再び会うのは来るのか?
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