折角なので、開催期間中に八景島へ行こうと思います
「チッ!ドコデ、コンナ戦闘機ヲ!?」
深海鶴棲姫は動揺した。明らかに艦娘が保有する従来機よりも早い。放たれた矢からは艦載機が出撃したが、その速さは目に追いつけない。数年前に裏切り者である浦田結衣が進化した際に持って来たもの(ハリアー)程ではないが、レシプロ機よりも速いのには変わりない。深海棲艦の艦載機が追いつこうと必死に追尾していたが、一向に距離が縮まらない
あれよあれよと言う前に既に敵機がやって来たのだ
「攻撃シテクル」
防空埋護姫は警告を発し、深海鶴棲姫は顔を覆ったが、何かが顔に当たった。爆弾だ。しかし、照準が甘いのか、それとも速すぎるだけなのか、外れが多い
また、対空射撃で三機が火を吹いて落ちていった
「フッ!チョット驚イタケド、私ヲ倒スノハ不可能!」
深海鶴棲姫は焼けて煤になった艤装を見ながら吠えた。確かに見た目は驚くものだろう。しかし、五航戦が放つ新型機は『速いだけの戦闘機』しか見えなかった
「見掛ケ倒シモイイ加減ニシロ!」
深海鶴棲姫は艦載機を再び放つと第三艦隊に襲うよう命じる
一方、第三艦隊は新型機が来てくれた事に喜んだが、ぬか喜びで終わっていた。というより、期待していた攻撃力よりも低いのだ
強いて言うなら『無いだけマシ』レベルである
「提督、橘花改は本当に役に立つのか!?浦田結衣が持っていたよりも弱弱しいぜ!」
『仕方ないだろ?うちらが造れるジェット機は、これが精一杯だ。これでも『艦だった頃の世界』よりも優れているぞ?』
「もっと強く出来なかったのか!?」
摩耶は叫んだの無理はない。四年前にハリアーやYak-38と交戦、攻撃を目の当たりにしたのだ。そのため、橘花改と噴式景雲改の攻撃能力が弱く見えてしまう。ハリアーは百発百中の対艦ミサイルに対して、橘花改は爆弾投下である
実際に『平行世界の日本』の太平洋戦争にて橘花改は試作で終わり、景雲改も計画段階である。飛行出来て攻撃出来ると言った事はある意味、凄いことであるが、そんな史実を摩耶は知る訳がない*1
『愚痴を言うな。増援が来るまで持ち堪えろ。浦田結衣が持っていたジェット機の残骸とドイツの艦娘、グラーフからの指導の下、ようやく和製のジェットエンジンが出来たんだ。全滅させたりするなよ*2!』
「言っている事が滅茶苦茶よ!」
瑞鶴が絶叫に近い声を出すのも無理はない。性能や運用に関しては橘花改に乗っていた搭乗妖精から一通り聞いたが、どう見ても扱いにくい代物だ
少なくとも戦闘機同士の格闘戦には全く向いておらず、ジェットエンジンも寿命が短い。一撃離脱、つまり速度を活かした攻撃しか出来ない航空機だ。恐らく、従来通りの艦戦の使い方ではダメだろう*3
唯一、救いなのは800kg爆弾である対艦爆弾を積める事だが、それだけだ。ロケット弾も積めるらしいが、今は必要ない。駆逐イ級がいればいいのだが、生憎近くにはいない
「瑞鶴、やるしかない。発艦用意!」
翔鶴は噴式景雲改の矢を構えると弓を引く。噴式は通常と違って力を使う。以前から明石の噴式のテストに何回も行っていたが、やはり緊張してしまう
折角の艦載機を失う訳には行かない
景雲改と橘花改は勢いよく飛び上がると敵艦に殺到した。景雲改は対艦攻撃を、橘花改は対空戦闘に専念した。但し、一撃離脱を行っているため、行ったり来たりしているのだが
北上も密かに配備させた甲標的と自身の魚雷管から魚雷を大量に発射し、鳥海達も砲撃を開始した。せめて、目の前の姫級2人を何とかしないと時雨達を助ける事が出来ない
別に沈める必要もない。中破大破にして追い出すだけである
一方、天龍達の組は苦戦していた。相手は20インチ砲を持つ姫級。浦田結衣がH44改の時に装備していた主砲と同じである
朝雲は大破しているが、士気は衰えず粘り強く戦っている。巨大な砲弾が不気味な音を出しながら飛んで来るが、皆は巧みに回避して接近している
「もう一度、魚雷を!当てれば!」
「主砲を撃ち続けて!けん制になるかも知れない!」
満潮の怒鳴り声に時雨は頷いた。戦艦に対して駆逐艦の主砲は豆鉄砲になるが、それでもけん制にはなるかもしれない
戦艦水鬼が一斉射撃を行った。他の艦娘は回避行動したが、雪風と満潮に巨大な水柱が立ち上がった。爆発音も聞こえた事から、命中弾があったらしい
「や、やったわね!?」
被弾した満潮は怒り狂っていたが、闘志は衰えていない。一方、雪風は奇跡的に無事である。いや、心配する必要は無かったようだ
「不沈艦の名は、伊達じゃないのです!」
「雪風、左から攻撃して!僕は右から!」
雪風と時雨は戦艦水鬼を挟又攻撃を行おうとしていた。これは両舷から挟み込んで時間差で攻撃する。これは両舷から挟み込んで時間差で攻撃する。狙われたフネは少しでも速度が落ちるとつかまってしまう。本来は空母の雷撃隊(艦攻隊)が得意とする攻撃なのだが、今は仕方ない
戦艦は駆逐艦のようにそこまで小回りが利くとは限らない。また、戦艦といえども雷撃には弱い。舵をやられると身動きがとれないかも知れない。戦艦ル級改flagship時の浦田結衣の時には大破にまで追い込み撤退させる事に成功した。『艦だった頃の世界』でも戦艦ビスマルクは舵をやられた事が敗因に繋がり、第三次ソロモン海戦では戦艦比叡も舵をやられたため悲劇が生まれた
姫級に効果があるかどうかは不明だが、やってみる価値はある
しかし、相手は戦艦。巨大な砲弾の雨を降らせて来る
「あの野郎と違っていい腕じゃねぇか、褒めてやるよ」
天龍も20インチ砲の砲弾を食らい、大破してしまった。軽巡の中で血の気が多い艦娘の1人だったが、相手は戦艦。分が悪い
「挟ミ撃チ……ソウハサセナイ」
戦艦水鬼は雪風と時雨を照準に合わせて砲撃を開始した。怪物艤装は咆哮を上げ、左右に展開しようとする時雨と雪風に照準を合わせる。しかも、迷いは全くない
(しまった!あの艤装怪物、頭が2つある!)
戦艦水鬼の艤装怪物は、戦艦棲姫よりも恐ろしい存在となっていた。浦田結衣の影響なのか?それとも、元々そんな力があったが、かくし球として今まで温存したか?
だが、そんな考えよりも自分の身の安全をしないといけない
(やられる!)
時雨は覚悟したとき、艤装怪物が爆発した。誰かが12.7cm主砲を当てたのだ
第三艦隊ではない。深海鶴棲姫によって阻まれて来られない
深海棲艦の艦載機が執拗に邪魔をし、神通や鳥海の援護を阻んでいた。天龍、満潮と朝雲は大破しており、従来の力が発揮できない
では、誰がやったのか?
それは――
「沈め!!」
「不知火!」
不知火が12.7cm主砲を乱射しながら突進していく。まさか……
「ダメだ!」
時雨は叫んだ。不知火自身が戦艦水鬼の注意を引こうとしている……
「……僕がやる!やるんだ!!」
時雨は叫びながら魚雷を発射した。遅れて雪風も発射した。双方から酸素魚雷が放たれた
挟又攻撃している事を確認した戦艦水鬼は、慌てず落ち着いていた。不知火の猛攻を無視。左に航行していた雪風に一斉射撃を行った
戦艦娘がいたら、間違いなく大破しそうな火力だが、水柱から現れたのは小破した雪風だった
「コノ攻撃ヲカワストハ……」
「不沈艦の名は、伊達じゃないのです!」
「貴様モ運マデ味方ヲシテ戦ウトハ……気二入ッタゾ」
不知火に向けて砲撃しながら魚雷をかわした。雷跡が見えないはずが、戦艦水鬼は分かっていたらしい
しかし、時雨は攻撃が外れても闘志は消えない。魚雷はまだある事もあるが、戦艦水鬼の戦い方を見ていた
戦艦水鬼は攻撃の手を緩めてはいない。砲撃も強力だ。しかし、攻撃を受け、大破した満潮や天龍には手を下さない。気を逸らそうと躍起になっていた不知火に対して攻撃し中破に陥った不知火に対してもトドメを刺そうとしない
「どうして僕達を殺そうとしないの?」
「ドウイウ意味ダ?」
「普通なら撃沈するはずだ。なのに、何で?情けでもかけているのかい?」
「情ケ?……フフ」
戦艦水鬼は動きを止めた。戦争にとってこれは自殺に等しい
「時雨……私ハオ前二会イタカッタ。何故ナラ、尊敬シテイルカラダ。私ヲ掘リ起コシタ日、オ前ハ居タ」
戦艦水鬼が話している間、周りは静まり返っていた。波の音も聞こえないと思ったほどだ。背後には雪風がいたが、戦艦水鬼を攻撃しようとしなかったのだ
体が動かないのではない。その時だけ戦艦水鬼の殺気が消えたのだ
「私ノ攻撃ヲ怖ジケモセズ、アロウコトカ、私二立チ向カッタ。ソノ時ノオ前ノ目ハ鋭カッタ。今マデ私ト戦ッタ相手ハ隠シテハイルガ、恐怖ガアッタ」
「それとどう関係あるの?」
「駆逐艦トハ思エナイ強敵ダッタカラダ。ソシテ、貴様ハ強運マデモ味方ニツケテ戦ッタ。私ニトッテ強者コソ真理。勇者ヤ英雄コソ友デアリ友情。『雑魚』ヤ『ガラクタ』ハ飽キルホド相手ニシテ来タ。ダカラ違イガ分カル」
敵であることには変わりない。しかし、浦田結衣のような残忍さや邪悪はない。狂騒的な笑いを響かせるような者ではない
時雨は両手に持っている砲を握り直すと再度、戦艦水鬼に向けた。今までは向けると同時に発砲していたが、今は違った。身構え戦う準備をした
それは、『失われた未来』や浦田重工業などと戦っていた身構えではなく、演習で戦うような感覚
赤城や加賀の一航戦がどんなに実戦に出ても、弓道の礼儀作法を怠っていないの同じ。まるでスポーツか決闘のような雰囲気だ
「僕は敵に敬意を払いたくなるような気持ちになったのは初めてだ」
こんな感覚は滅多にないだろう。戦艦棲姫……いや、戦艦水鬼はそういった性格かも知れない。雪風も不知火も身構え戦う準備をした。2人も逃げるという選択は無い。仲間と共に無事に生きて帰る。それだけだ
「ヤル気ニナッタカ。デハ、行クゾ!」
戦艦水鬼の掛け声と共に空気が変わった。肌にビリビリと刺さるような殺気が戦艦水鬼の全身から噴き出していたからだ
時雨も怖気づかず応戦した。日本の沖合いで意地とプライドの戦いが勃発した
時雨たちが戦っている間、鎮守府は攻撃を受けていた
足柄達の重巡や川内達の軽巡が駆逐イ級や軽巡ホ級などの進撃を止めていた。だが、南方棲戦姫は更に戦艦ル級flagshipを送り込んできた
比叡、榛名、霧島の高速戦艦や重雷装巡洋艦である大井は応戦した。大井は甲標的を展開させ必殺の酸素魚雷を食らわせていた。湾内の事もあってか、魚雷は次々と深海棲艦の艦隊に命中。中には、一撃で沈んだ下級の深海棲艦もいる
予備戦力はまだあるが、全て防ぐことは不可能だ。現に南方棲戦姫は浦賀水道を塞ぐような形で艦隊を展開させており、次々と敵を送り込んで来る
浦賀水道を抑えられては艦娘は外洋に出られない。潜水艦娘を送り込んだが、戦艦レ級の艦載機によって攻撃を受けた。戦艦レ級の艦載機は、空戦だけでなく、対潜哨戒機としても役割を果たせるらしい。伊58などは反転、撤退した
現在、鎮守府は戦艦ル級flagshipからの艦砲射撃を受けていた。膨大な破壊力を持った砲弾が降ってくる
水柱が立ち、鎮守府前にいる艦娘達は悲鳴を上げる。水柱を作った衝撃波が岸辺に襲ったのだ。予備戦力として迎撃に向かった艦娘の艦隊が向かい交戦している
そして、最悪の知らせが来た
地下室
「長門を率いる艦隊が南方棲戦姫にやられた。アイオワとガングート達が駆けつけて救助しているが……戦艦レ級のせいで苦戦している。サラトガも制空権争いに苦戦している」
アイオワとガングートを率いる艦隊が南方棲戦姫との戦いを引き継いだ。長門達は下がらせてドック入りとなった。高速修復剤を使いたい所だが、今は数が限られている。現在では、激しい砲雷撃戦が展開されているのだ
「提督よ、出し惜しみは負けるぞ?」
「分かっている。……だが、主力艦隊が一気に失うと残るのは軽巡と駆逐艦だけになるぞ」
武蔵と大和は出たくてウズウズしている。比叡達は戦っているのに、自分達は出さないのはなぜなのか?
いや、分かっているのだ。一気に攻勢に出れば大破は続出。目の前の艦隊を倒したとしても救助にいく艦娘がいない。基地航空隊も敵の航空攻撃によって滑走路をやられて離着陸ができない。一式陸攻だけでなく、防空戦闘機である局地戦闘機や陸軍機が飛び立てない
現在、急ピッチに修復を急いでいるが、間に合うかどうか
「提督、何を待っているんです?」
提督はチラチラと腕時計に目をやっていた。落ち着いてはいるが、何かを待っているかのようだ
「提督、一体何を――」
大和が声をかけたと同時に扉が勢いよく開いた。入ってきたのは扶桑山城だ
「扶桑型戦艦、扶桑が……キャ!」
扶桑と山城が司令室に入ってきたが、扶桑は何かに躓き、盛大に床に倒れた
「姉様!大丈夫ですか?」
山城がオロオロしている中、廊下の後ろでは額に手を当てため息をつく最上と呆気にとられている山雲と白露達が居た
「おい、まだ出撃していないのにこけるな……大丈夫か?」
提督は呆れ、大和達は提督と扶桑達を交互に見合わせた
「これはどういう?」
「今に分かるさ。――よく聞け!これから敵艦隊を突破して第二艦隊と第三艦隊を救助するぞ!」
提督は声を張り上げて指揮を始めた
「大和と武蔵は一航戦を率いて南方棲戦姫の艦隊を叩き潰せ。アイオワ達が持ちこたえているが、戦艦レ級のせいで不利だ。お前達が出撃して存分に暴れるんだ!」
「しかし、それでは救助に行く艦隊に損傷が出てしまいます!」
大和が懸念するのも無理はない。例え倒したとしても無傷は奇跡的に等しい。外洋に出れば敵に遭遇する可能性だってある。なるべく被害は最小にした方がいい。しかし、浦賀水道にいる敵は強力だ
何しろ、時雨達が戦っているのは深海棲艦の中で最強と言われている戦艦水鬼だ。しかも、姫級が複数いる
「救助は大和達がいくのではない。扶桑達だ」
「え?」
「大和と武蔵が南方棲戦姫の艦隊に突破口を開くんだ。その隙に扶桑達が第二艦隊と第三艦隊の救助に向かえ!」
提督の作戦に全員が唖然とした。扶桑達と白露型が救助に向かう?
「待ってくれ。時雨が相手している敵は戦艦水鬼だぞ!」
武蔵が指摘した。扶桑山城は改二とは言え、積める主砲は41cm砲だ。相手は50.8cm砲を持っている。とてもではないが、勝負にならない
「仲間を救うのも第一だが、鎮守府や都市も守らないとな。それに、何も全て相手する必要はない。戦艦水鬼の艦隊はともかく、南方棲戦姫は徹底的にやっつけないといけない」
どちらを優先的に救うか?確かに仲間は大事だ。友軍を見捨てる訳にもいかない
戦力低下にもなるが、艦娘の士気にも拘わる
しかし、軍隊というのは国や国民を守るためにいる。防衛戦に失敗すれば、国民からはタダ飯食らいと批判されかねない
実際は違うのだが、国民は軍の組織というのを知らない。艦娘も詳しく知らないだろう
今は艦娘の存在を国民は受け入れているが、この防衛戦で批判されかねない
よって、提督は日本本土に攻撃しようとしている艦隊を優先的に叩くことにしたのだ
「それに、第二艦隊と第三艦隊を救うのは扶桑達と白露達だ」
「え?わ、私達?嘘……」
「こんな時に嘘をついてどうする……お前達は一体、何だ?時雨とはどういう関係だ?満潮や朝雲は?」
この言葉に暗くなっていた山城はハッとした。いや、他の艦娘もだろう
白露達も顔を見合わせた
「扶桑、山城、最上そして山雲は第一遊撃部隊第三部隊だろ?白露達は大切な姉妹だろ?俺が行きたい所だが、残念ながら行けない」
「でも、助けに行くなら大和達のような強力な艦娘が――」
「いや、お前達だ。仲間だろ?姉妹だろ?自分達の手で救いたくはないのか?」
山城は意見具申したが、提督は言葉を遮った
「どうなんだ?嫌なら降りてもいい」
一瞬、地下室は静まり返った。聞こえるのは遠くで砲撃が繰り広げられているだけだ
誰も引かない。それもそのはずだ。ここで不幸や無謀などと言ってはならない。大切な仲間を救うためだ
軍隊において、生死をかけて闘わねばならない戦地では、部隊や隊員は仲間として強く団結する事がある
戦争だけでなく鎮守府は、1人で運営している訳では無い。そのため、仲間意識は自然と高まる傾向にある
「よし、大和武蔵は南方棲戦姫と戦艦レ級の気を引くんだ。扶桑達はその隙に外洋へ出ろ」
「しかし、私達は速度が――」
「出来ない事もないだろ?」
皆は提督が何を言っているのか分からなかったが、明石は微妙な顔をしていた。確かに機関部を調整すれば何とかなるだろう。その代わり、装備品を減らさないといけないのだが
鎮守府の港には、陥没孔や瓦礫で一杯だ。他の艦娘が必死になって応戦していたが、大規模で攻めて来た深海棲艦の前では心細い。比叡達も中破で満身創痍の状態だ
だが、そんな中、強力な砲撃で駆逐イ級などを蹴散らした艦娘がいた
戦艦大和武蔵と航空母艦である赤城加賀。そして扶桑山城が率いる艦隊。それを見た艦娘達は歓声を上げた。やっと主力艦隊を投入したと
「比叡、よくやった!入渠しろ!」
『は、榛名は大丈夫です!』
「お前が沈んだら誰が戦力の穴埋めをするんだ?増殖する訳でもあるまいし!つべこべ言わずに撤退しろ!」
提督の怒鳴り声で比叡達は慌てて撤退した。まさか、撤退命令を出すとは思わなかったからである
「旗艦、大和。南方棲戦姫と交戦します!」
『気を付けろ!』
大和と武蔵は鎮守府近海にいる敵艦隊に46cm主砲弾と51cm主砲弾を食らわした。巨大な破壊力は駆逐イ級どころか重巡ネ級まで一撃で撃沈したのだ
敵艦を一掃した大和武蔵達は苦戦しているアイオワに合流すると援護射撃を行った。巨大な砲弾が南方棲戦姫に命中し、戦艦レ級も一航戦の航空攻撃によって怯んだ
「アノ時ノ大和ト武蔵カ?……感服シタゾ。紛レモナク最強ノ戦艦」
「おい、51cm主砲弾を食らって小破なのは傷ついたな」
武蔵は呆れたように呟いた。南方棲戦姫や戦艦レ級は度々目撃され、交戦した事がある。しかし、この敵は16inch三連装砲を撃つだけでなく、艦載機も搭載し魚雷も発射する
戦艦レ級に至っては先制雷撃する能力があるらしく、交戦した艦娘は酷い目に合う始末だ
艦載機も異常に強く、強力な砲撃能力もあり、強固な装甲を身に纏っている。とても、厄介な敵である。浦田結衣が戦艦レ級の力を吸収したのも頷ける
「やっと来てくれたの?遅いわ」
「済まない」
武蔵は中破しているアイオワに謝罪した。だが、大和がアイオワに近寄った際、小声で作戦を簡潔明瞭に伝え、アイオワは微かに頷いた
「全主砲薙ぎ払え!」
大和の掛け声と共に46cm主砲が再び吠えた。武蔵も51cm主砲を発射し、アイオワもガングートも一斉射撃した。4人の戦艦娘が一斉射撃する姿はほとんどないだろう。敵艦隊もこの攻撃に危険性を感じており、回避行動に移ったが、巨大な砲弾は一隻ずつ撃沈されていった。赤城加賀の一航戦が放った艦載機が雷撃と急降下爆撃によって、更に敵艦隊は混乱した
「今だ、扶桑!さっさと行きやがれ!」
「山城、遅れないで!突撃よ!」
後方から扶桑達が猛スピードで横切る。本来なら扶桑型戦艦は低速である。しかし、扶桑山城は『改良型艦本式タービン』と『強化型艦本式缶』を同時に
装備。艦速を向上させたのだ。扶桑山城も敵艦隊には目も暮れず、駆逐艦並の速さで外洋に出ようとする
「ヤラセルカ!」
戦艦レ級は一斉射撃を受けても慌てず、横切ろうとしている扶桑艦隊に向けて魚雷を発射した
戦艦レ級の尻尾である艤装の口から大量の魚雷をまき散らしたのだ。数は40以上もあるのだろうか。重雷装巡洋艦である北上もビックリな魚雷の数である
「魚雷多数接近~。そうなるのね~」
「呑気言ってないで、避けて!」
間延びした口調で話す山雲に最上は慌てて警告を送った。折角、突破出来たと言うのに被弾しては意味がない。大和達や提督の作戦が無駄になる
波状に向かって来る魚雷を扶桑達は必死の回避行動でかわす。更に敵の艦載機も襲って来たのだ。対空砲火を打ち上げているが、気休め程度にしかならない。特に山城は必死の形で降ってくる爆弾と向かって来る魚雷を躱していた。しかし、針路はある方向に保ったままだ
追撃する敵の攻撃を躱す中、不意に敵の追撃が止んだ。射程圏外に出たのだろう
「こちら扶桑。無事、外洋に出られました。山城、涼風、五月雨が小破しましたが、作戦に支障はありません」
『よくやった。迎えに行ってやれ』
無線で無事を伝えた後に、全速力で第二艦隊と第三艦隊の場所へ向かう。白露型と扶桑達が艦隊を組んで戦った事はそこまでない。しかし、彼女達の目的は同じだ。かつて共に戦ったの仲間を救うため。姉妹艦である時雨を助けるため
「レ級、追ウナ。アレハ戦艦水鬼ノ方ヘ向カウノダロウ」
「デモ!」
「戦艦水鬼ガ簡単ニ沈ムトモ思エナイ。ソレニ、目ノ前ニ好敵手ガイル」
南方棲戦姫扶桑達には追う事もせずに、大和達に目を向けた
「大和型戦艦ダナ。貴様ノ砲撃ヲ賛美シヨウ」
「この武蔵が姫級に圧されている?」
南方棲戦姫の威圧感は半端なかった。深海棲艦の姫級は、強敵だ。撃破しても平然と舞い戻ってくる。特に南方海域では散々、手を焼いていたのだ
南方棲戦姫は口角を吊り上げながら大和を睨んだ。戦艦レ級も口元に無邪気な子供っぽい笑みを浮かべて
戦艦レ級が鮫のような尻尾から艦載機を取り出すと飛ばして来た。南方棲戦姫も砲撃する構えをする
「それなら……やるしかないわね!」
浦賀水道にて二つの強力な艦隊が激突した
おまけ
明石「扶桑型に缶つけて高速化させるんですか?」
提督「戦艦は基本、低速だからな。仕方ないさ(史実ネタを入れると話がこじれるから無視しよう)。最近は高速活かさないと攻略出来ない海域があるから悩み所だ」
山城「姉さま……航空甲板を外しましょう」
扶桑「落ち着いて山城。飛行甲板を外しても私達は低速よ」
日向「そうだ。それに飛行甲板を外しては瑞雲が積めないぞ」
一同「「「……」」」
噴式がやって来たのは良いが……
噴式である橘花改と試作景雲改、実は当時のジェット機は画期的でしたが、やはり取り扱いが難しかったです
橘花は終戦直前に日本が開発した純国産ジェット機
但し、注釈でも書いてあるように実際は特殊攻撃機であって、戦闘機として開発されていなかったようで
本来は800Kg爆弾を時速650Kmで敵艦に爆弾をお届けするという(特攻機として使おうとしていたらしい)
試作機の中には30mm機関砲が取り付けられていたものもあり、戦闘機としても使おうとしていたらしい
では、実際に飛んでいたらどうなっていたか?
Me262シュヴァルベの経歴と変わらなかったのではないかな……?
M262も燃費の悪さによる航続距離低下やエンジンの信頼性も低かったので活躍は出来なかったのだろう
仮に本作品のように抱えていた問題を全てクリアしても『足が速いだけの戦闘(爆撃)機』くらいですね
そりゃ、正確無比なレーダー管制やホーミングミサイルがないのですから仕方ありません。浦田結衣が持って来たAV-8B ハリアーIIがチートなだけです(まあ、そのハリアーも現実世界では結構、落とされていますが)
しかし、時間稼ぎにはなるので問題ないと思います。扶桑達が来るまで持ちこたられるか?