時雨の特殊任務   作:雷電Ⅱ

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大変長らくお待たせいたしました
更新に時間がかかってしまいました。リアルに忙しくなるってキツイです
艦これも日向改二に大改装。ヘリコプター出ましたね
ヘリコプター自体もドイツやアメリカなどで研究はされ、ドイツではFa223を飛ばしています(前にヘリ登場の際はチートだって感想で言われたけど、ヘリは別にオーバーテクノロジーでもないのだが。AH-64Dアパッチもイラク戦争で普通の対空砲火で落とされていますからね)
艦これアーケードも雲龍は手に入りました。ユーちゃんはまだ手に入れておらず。しかし、雲龍の中破した時の姿はR18ではないか?と思ったりします


第117話 帰投

第三艦隊である時雨達は戦艦水鬼と交戦した。姫級一人と艦娘6人が対峙していた

 

 互いに航空支援もない。巨大な砲弾と駆逐艦の主砲弾飛び交い、水面下では駆逐艦娘が放った酸素魚雷が疾走していた

 

しかし、勝負は確実に戦艦水鬼に傾いていった

 

「面白いことしてくれたじゃない……倍返しよ!」

 

満潮は叫んだが、既に航行が難しくなってきた

 

満潮と不知火が大破していた。天龍も中破しており、砲撃の射撃能力が下がっている

 

まだ戦える艦娘は奇跡的に無事である雪風と時雨である

 

「流石、幸運艦……だが、このままだと……」

 

天龍は歯を食いしばりながら呻いた

 

 軍艦には運不運というものがある。僚艦とおなじ修羅場をくぐっていてもいつも自分だけ無傷という軍艦が現実に存在する。所謂、幸運艦である。幸運艦は日本海軍に限らず海外でも存在する

 

 雪風と時雨は『艦だった頃の世界』において、直接関わったことはほとんどないものの、どちらも激戦を生き延びてきた武勲艦である

 

『呉の雪風、佐世保の時雨』とも言われたほどだ。この世界においても幸運を発揮していた

 

 しかし、戦艦水鬼に決定的にダメージを与える事が出来ない。駆逐艦娘が保有する。12.7cm主砲では豆鉄砲に等しく、酸素魚雷はかわされる

 

相手は2~3分ごとに撃ちまくるため、そうとう分が悪い

 

幸運も長くは続かない。遂に敵の砲撃が雪風に命中した

 

「でっ、でも、沈みませんから!」

 

「50.8cm食ラッテ中破トハ……面白イ」

 

艦娘は中破以上のダメージを食らうと航行や戦闘能力に影響する。深海棲艦とは違って簡単には沈まないよう設計されてるものの、決して沈まない訳ではない

 

戦艦水鬼は距離を詰めて雪風にトドメの攻撃をしようとする。

 

「雪風が危ない!」

 

時雨は素早く移動して雪風の方へ走り、雪風の肩を持つと逃走した。大破して立ち止まっている天龍達や第三艦隊から離れながら

 

戦艦水鬼の魔の手から離さねばならない。時雨はその思いで一杯だった

 

「逃ゲルノカ?オ前ハ、何時カラ卑怯者ニナッタ?」

 

不機嫌そうに言う戦艦水鬼に時雨は無視した。戦いに卑怯なんてない。これは作戦だ

 

 何とかして魚雷の装填を終えなければ!

 

 帝国海軍は魚雷の次発装填装置を持っていたが,それでも2回で終わり。しかも、時間がかかる。艦娘になると、ある程度は解消されたが、やはり装填には時間がかかる

 

大砲のようにはいかないのだ

 

 時雨は雪風を引きずるように逃げるが、速度が落ちているせいで戦艦水鬼から逃れられない

 

不意に後方から爆発音とうめき声が聞こえた

 

 後ろを振り返ると、橘花一機が猛スピードで急降下して戦艦水鬼にロケット弾攻撃をしていた。戦艦水鬼の怪物艤装はうめき声を上げながら対空機銃を射ち上げていたが、橘花は対空砲火を潜り抜けるとあっという間に上昇した

 

 五航戦である翔鶴瑞鶴のどちらかが、時雨の戦いを見て援軍を寄越したのだろう。上空では、艦娘の艦戦と深海棲艦の艦戦が制空権争いを行っていた。橘花改と景雲改は速さを活かした一撃離脱戦法で戦っていた。今まで零戦などで戦っていた妖精達にとってはとても使いにくい機体だが、それでも使いこなしている

 

橘花改は大きく旋回すると、戦艦水鬼に向かって再びロケット弾を食らわす

 

 戦艦水鬼の怪物艤装はうめき声を上げながらも時雨に向かってくる。ギリギリまで攻撃をし、機首を上げて去っていく事から弾薬が尽きるまで援護する気だ

 

「無駄ナ足掻キヲ」

 

戦艦水鬼は去っていく橘花改を忌々そうに睨んだが、すぐに視線を時雨に戻す

 

「雪風しっかり!」

 

 時雨は雪風を引っ張りながらも曳航しているが、戦艦水鬼が橘花改に気をとられている隙に耳に近づけると作戦を簡潔明瞭に伝えた

 

悪あがきだが、仕方ない。雪風も唖然としたが、直ぐに頷いた

 

 戦艦水鬼がこちらに向けて砲撃する中、橘花改は大きく旋回。再び戦艦水鬼に向けてロケット弾と30mm機銃で攻撃をする。戦艦水鬼に小さな爆発と30mmが食い込んだが、戦艦水鬼は五月蝿いハエのような感覚だ。無視して時雨に近づく

 

 奮闘した橘花改だが、怪物艤装の対空砲火に捕まってしまった。操縦不能になり、煙を吹きながらも墜落していく

 

「貴様、戦イカラ逃ゲテモ――」

 

「君から逃げてなんかいない。巻き添えを食らわないだけだ」

 

「何?」

 

戦艦水鬼は眉を上げた。何をしたのか?

 

「僕は艦娘だ。君を倒して皆を連れて帰る。それだけだ」

 

時雨は足を止めるとキッと戦艦水鬼を睨んだ。戦闘中に動きを止めるのは格好の標的だ。しかし、時雨は何かをしたらしい

 

「ン?コノ匂イ。……貴様! 」

 

戦艦水鬼は何かの匂いを嗅ぐと、愕然とした。匂いの正体が分かったからだ

 

船を航行する者ならよく知っている匂い。重油である

 

よく目を凝らすと水面に濁ったものが海面に浮かんでいた。時雨は遠征で積んできた油をわざと滴ながら逃げていたのだ

 

 本来はこれは潜水艦がやる事である。『艦だった頃の世界』において、潜水艦撃沈による戦果確認油が浮き上がるか、潜水艦 内部のいろいろな物体...乗員の死体もふくむ...が浮かぶのを待って確認をする。しかし狡猾な潜水艦艦長はわざとゴミや油を流して撃沈を偽装する事もある

 

 時雨は、偽装ではないが、油を流して火をつけることらしい。油の膜が海面に浮かんでいた

 

 しかし、重油は燃えにくい。海水に浮かんでいる事もあって点火しにくい。いくら、時雨の主砲で撃っても燃える事はない

 

 だが、戦艦水鬼はハッとして上空を見た。さきほど被弾した橘花改がこちらに向けて墜ちて来る。妖精は脱出したようだが。それに加えて、あの掛け声が聞こえる

 

「ファイヤー!」

 

 大破しながらも金剛は、遠距離で攻撃してくる。砲弾が花火のように炸裂した。金剛も時雨の思惑に感づいたらしく、三式弾を撃ってきたのだ。時雨も雪風も砲弾を爆弾に手早く改造すると放り込んだ。四年前の龍田が浦田結衣に対して攻撃した方法である

 

「貴様!……ヨクモ!」

 

戦艦水鬼が叫ぶ中、重油は引火し爆発炎上した。

 

 重油は常温では引火しづらいですが、一度火が付くと燃焼温度が高いため、消火が難しい

 

しかも、時雨はこっそりとは言え、広範囲に撒いたため海上火災が発生した*1

 

 勿論、戦艦水鬼はこの程度では死なない。炎の中から戦艦水鬼が現れた。自身は焼かれているが、火傷はしていない

 

時雨は断続的に主砲を撃ち続けた。炎で倒せないのは分かる。しかし、足止めにはなる

 

 主砲と共に魚雷も撃ち込んだのだ。炎に纏っていた戦艦水鬼に爆発を受ける。しかし、戦艦水鬼は闇雲に砲撃しており、まだ戦える

 

どうやら、戦艦水鬼を倒す火力が圧倒的に足りない

 

「皆を守らないと……僕が……僕が強くならないと……」

 

 時雨は海上火災を避けながらも移動しながら炎の中にいる戦艦水鬼に向けて攻撃し続ける

 

足止めも限りがある。戦艦水鬼が炎の中から出たら、今度こそ終わりだ。

 

戦艦になりたい

 

 不意に清霜に似た感情が生まれた。駆逐艦では戦艦は倒すことが難しい。浦田結衣のように不意打ちではないのだ

 

「時雨……もう止めてください!」

 

雪風の悲痛にも耳を貸さない。恐らく今の自分は無謀な攻撃だろう

 

天龍や不知火からも止めるよう言ってきた

 

 

 

第三艦隊も深海鶴棲姫と防空埋護姫の攻撃によって、大破する艦娘が多くなっている

 

 特に金剛が重油に火をつけるために三式弾を放ったことから、金剛に集中砲火が多くなっていた

 

北上も九三式酸素魚雷を全て放ったが、敵の方が上手だ

 

魚雷をかわすどころか、艦載機を使って真っ先に潰したのである

 

 

 

戦艦水鬼が炎からでるのも時間の問題。時雨は躍起になって攻撃する

 

不意に後ろから誰かに止められた。誰かは知らないが、振り返って確認をする間もない

 

「……ぐれ……よ」

 

 何か聞こえたが、時雨は無視して振りほどこうとする。すると、掴んだ相手は、強引に時雨の体の向きを変えた。余りの力強さに時雨は尻餅をついてしまったのだ

 

時雨を掴んだ相手は……

 

「いい加減にしなさいよ!……アンタは死にたいの!」

 

「満潮……」

 

大破した満潮が肩で息をしながら時雨を睨んだ。

 

「この部隊はぬるい理由が分かったわ。仲良しごっこではなくて、時雨のためだったのね!」

 

 時雨はなぜ、満潮が怒っているのか分からなかった。時雨ではなく、提督にも怒っている?

 

それにしては、何に対して怒っているのだろうか?

 

時雨が困惑する中、満潮は一気に話始めた

 

「どういった経験をしたのか、知らない!でも、ここは『失われた未来』ではないのよ!皆、生きているし、強いのよ!」

 

満潮は怒ると同時に呆れるような感じだった

 

時雨がなぜ、このような心理的ストレスを感じたのか?

 

それは『失われた未来』の戦争と『現在の戦争』の体験が違っていたからである

 

 

 

 『失われた未来』と違って快適で安全な場所にいるのに加えて、出撃も航行している敵が弱く戦闘の実感がないためである。

 

 勿論、下級の深海棲艦の哨戒であるため、建造ばかりの艦娘ならともかく、経験を積んだ艦娘ならば撃破は容易である、しかし、時雨にとっては非現実的な状況であった。そのため、精神的に追い詰められる結果となってしまった。

 

 また、日常と戦場のオンオフの切り替わりがあまりにも無さすぎて、自分で自分が分からなくなってしまった事もある

 

 『失われた未来』で敵が異常に強く、海に出れば、殺される前に殺さなければいけないというのが暗黙の了解が備わっていた時雨にとっては、今の鎮守府には馴染めなかったのだ

 

何時、日常が地獄になってしまうかも知れない

 

そんな恐怖やプレッシャーが時雨に重くのし掛かっていった

 

「違う!僕が強くならないと!もし、あの敵が来たら――」

 

「そんな心配はいらないわ。それに、私達も提督もバカな所はあるけど、愚かではないわ」

 

満潮は微かに笑った。それは冷笑でもバカにした笑いでも呆れた笑いでもない

 

時雨に安心させようとする笑い

 

「え?」

 

 時雨は分からなかった。満潮はこんな艦娘だったのだろうか?『失われた未来』では、ピリピリしていたが……

 

 その時、火の海から戦艦水鬼が表した。敵は無傷だ。いや、焼け焦げた跡があることからダメージはあったようだ

 

残念ながら、小破すらしていないが

 

「マサカ重油ヲ撒イテ火ヲ付ケルトハ。私ヲ馬鹿ニシテイルノカ?」

 

 戦艦水鬼は睨んだ。時雨は直ぐに応戦しようと艤装に手をかけたが、満潮は何と時雨の前に躍り出て庇うように立ったのだ

 

これには時雨どころか戦艦水鬼も唖然とした

 

「自分ノ命ヲ盾ニシテ時雨ヲ救ウツモリカ?大した自己犠牲だ」

 

「違うわよ。アンタは艦娘をそんな風に見ていたの?バッカじゃない?」

 

 満潮は戦艦水鬼に挑発した。態度は深海棲艦でも同じだ。とてもではないが、無謀である。時雨の戦い方も無謀ではあるが

 

 戦艦水鬼は他の艦娘達にも目を向けた。誰もが戦艦水鬼に怒りの矛先を向けている。特に不知火は大破しても闘志は消えていない

 

「ソコマデシテ何故戦う?不利ナ状況ナノニ降伏シナイ理由ハ?」

 

「聞きたいの?」

 

「イヤ!話サナクテイイ!ヤハリ今スグ沈メルコトニシタ!オ前達ノ拠点デアル鎮守府ガ増援ヲ送ラレル前ニナ」

 

 戦艦水鬼は時雨と満潮に砲撃しようと攻撃態勢を取る。怪物艤装は咆哮を上げている。しかし、そんな状況でも満潮の表情は変わらない

 

「提督は何もしていないというなら、それは偏見よ」

 

 満潮は冷たく言い放った。こんな状況で何を言っているのだろうか?時雨は混乱した。なぜ、余裕なのだろうか?

 

 戦艦水鬼は引き金を引く直前、爆音が聞こえた。離れた所で深海鶴棲姫が戦っている艦娘が放った艦載機だろう。例え、爆撃機がいても戦艦水鬼を傷つける力はないはずだ。しかも、一機だけだ。だが、次の瞬間、巨大な水柱が戦艦水鬼の周りに立ち上がった。そして、上空を飛んでいた機体が機銃掃射しながらこちらに向かっている

 

「ナ?アノ機体ハ!?」

 

戦艦水鬼は唖然とした。ただの艦爆だったらいい。こちらに突進して来る機体にフロートがついている

 

 

 

 この現象に驚いたのは戦艦水鬼だけではなかった。時雨もである。あの機体に見覚えがあった

 

「瑞雲……あの機体は……」

 

 金星六二型の爆音野太い爆音と20mm機銃の連射音が鳴り響いていた。250kg爆弾を抱えて急降下爆撃をしているのだ

 

明らかに牽制している。あの機体の持ち主は……

 

『時雨、聞こえる?助けに来たわよ』

 

「扶桑……」

 

洋上に目を向ける。遠くに艦娘達がいた。増援だ

 

「何で?……何で皆が?」

 

『酷い言い方ね。……私達第三部隊、西村艦隊には時雨が必要なの』

 

『航空巡洋艦最上、現場に到着したよ!』

 

『お腹が痛いのを我慢してきた甲斐はあったわ~』

 

「山雲……あんたって」

 

 朝雲は呆れていたが、時雨はそれどころではなかった。扶桑と山城がなぜいるのか?いや、扶桑だけではない

 

『一番に駆けつけてきたよ!』

 

『一番に拘る理由は何?時雨、駆けつけたわよ!これから村雨のうんといいとこ、見せたげるっ!』

 

『相手は姫級だけど、ソロモンの悪夢、見せてあげる!』

 

『時雨を守ります。護衛任務は大丈夫です』

 

 時雨は信じられなかった。扶桑山城だけでなく、白露型姉妹が全員いるのだ。駆逐艦娘が多い編成をしたのかが不思議だ

 

「どうして……何で!僕が守らないと!」

 

『時雨姉貴、頼むから何もかも背負わなくてもいいんだぜ?』

 

『皆と一緒に無事、帰投しましょう』

 

『あたし達も頑張っちゃいますから、引きずらないで下さい!』

 

『時雨姉……援護しに来たよ』

 

『時雨姉さん、今度は私達が助ける番ですからね!』

 

時雨は不意に涙を流した。仲間が駆けつけた来た。僕を助けるために……

 

「……皆、ありがとう」

 

 震える声で時雨は無線で答えた。今までは、強力な敵に対して自分の力と周りからのバックアップで何とか切り抜けて来た。まさか、自分が助けられる日が来るなんて思わなかった

 

『……間に合ったな。全艦隊、戦艦水鬼及び新型の姫級を攻撃!生き残ってくれよ』

 

誰かが連絡したのだろう。提督の声が無線を通して聞こえて来た

 

しかも、無線はオープンチャンネルだ。当然、戦艦水鬼にも聞こえている

 

「馬鹿ナ。南方棲戦姫達ガ叩イテイルハズダ!」

 

『ああ、あの全裸に近い姫さんと雨がっぱを着こんだ異様な尻尾を付けた子供の事か?大和達が撃退した。お蔭でこちらも大破した艦娘は居たけどな』

 

 まさかの返しに戦艦水鬼は愕然とした。南方棲戦姫と戦艦レ級を中核とした艦隊を撃退した?飛行場姫やリコリス棲姫による空襲も防いだのか?最新の知らせでは、基地航空隊を叩いたというが……

 

 

 

しかし、考えるのは後だ。

 

「対空レーダーニ反応ッ!!2ツノ攻撃隊ガ接近!!」

 

 防空埋護姫から悲鳴じみた報告が来たが、戦艦水鬼も自身が搭載する電探で既に確認していた。日本本土から飛来して来たであろう攻撃隊がやって来る

 

大きさからして陸攻隊だろう。護衛戦闘機がついて来ている

 

 この時襲来したのは護衛の一式戦 隼III型甲と一式陸攻(二二型甲)と銀河である。その中には一式陸攻とは違う見慣れない双発爆撃機も混じっている

 

 別方向には艦爆であるJu87C改と艦戦のFw190T改の編隊がやって来た。ドイツ艦娘が放ったのだろう。水平線の先に、艦娘の姿が僅かに見えていた

 

『502部隊を助けたと思ったら、今度は遠征組を助けろって提督も人使い荒いわね』

 

 不満そうに呟くビスマルクが無線を通じていっていた、恐らく、提督に向かって行ったのだろう。502部隊を助けたってどういう事なのか?時雨にも分からなかった

 

 しかし、一番驚いたのは戦艦水鬼である。まさか、仲間を助けるためにここまでやるとは思わなかったのだ。いや、鎮守府には主力艦隊である南方棲戦姫を差し向けたのだ

 

火の粉を振り払って駆けつけただと?

 

 深海鶴棲姫はこの増援に驚き、慌てて艦載機を上げたが、Fw190T改は敵機を蹴散らす。扶桑山城達も応戦を行って第二艦隊と第三艦隊を援護する。戦艦水鬼も扶桑山城からの攻撃だけでなく、一式陸攻からの雷撃を防ぐために対空戦闘を行う。もう、時雨に構う暇はない

 

対空砲火を上げ、回避行動をしたが、航空魚雷を数本食らってしまった。しかし、基地航空隊の攻撃は止まない。右から見慣れない双発の攻撃機が戦艦水鬼に迫ってきた

 

「魚雷カ?ダガ、撃チ落シテ――」

 

 戦艦水鬼がそう言った瞬間、見慣れない双発機から何かを発射した。海面から水柱が上がったが、砲弾が飛んで来た方向から見て艦娘からのものではない。あの双発機からだ

 

「大砲ヲ航空機ニ載セテイルノカ!?」

 

余りの予想外の攻撃に戦艦水鬼だけでなく、艦娘からも驚いた。こんな航空機がいるのか、と

 

 双発機の正体はキ109。四式重爆撃機飛龍に75mm砲を付けた機体である。元々は『艦だった頃の世界』では帝国陸軍が開発した特殊防空戦闘機であるが、提督とあきつ丸は特殊攻撃機に改造したのである

 

 余りの奇想天外な作りに明石も呆れていたが、いざ製造し試験飛行した所、中々の性能だったため喜んだと言う。特に地上攻撃や対艦攻撃には効果があるため、少なからず温存していた。まだ、実験機だが、提督は実戦に出す事にした

 

戦艦水鬼が思考停止している間にも、他のキ109が戦艦水鬼に砲撃をして命中を与えた

 

流石に撃沈は無理だが、中破まで被害を与えた

 

『戦艦水鬼に告ぐ。今すぐ降伏しろ。なぜ、こちらを攻撃をした?』

 

「降伏?貴方ハ馬鹿ナノ?ソレニ、人間ガ作リ上ゲタ組織ハ時間ガ経ツニ連レテ腐敗スル。ダカラ頃合イヲ見テ潰ソウトシタ。悪イカ?」

 

 戦艦水鬼は恐らく、浦田結衣と浦田重工業のような組織や人を警戒しているだろう。地上を攻撃しないという深海棲艦だが、近年は軍事基地や工場などの地上にも攻撃している。しかも、大抵は対深海棲艦の兵器を研究している施設だ。大半は非人道的な施設。後は試行錯誤でやっているよくわからないものだ。中には、艦娘が住んでいた施設まで含まれていた

 

『腐敗は俺や艦娘まで対象扱いか。悪いが、そこまで落ちぶれていない』

 

「時雨トイウ艦娘ガソンナニ大事カ?幼イ少女ノタメニ助ケルノカ?」

 

『時雨だけが特別な訳では無い。周囲を見ろ。……俺は1人の艦娘に何もかも託す事は考えてもいない。仲間を救うために派遣したんだ』

 

 戦艦水鬼は周囲を見た。時雨達の前に扶桑山城が庇うように立っている。いや、他の艦娘も同じだ。第三艦隊もドイツ艦娘が援護して深海鶴棲姫に攻撃をしている。防空埋護姫も対空砲火を打ち上げているが、数が多過ぎて対処出来ない

 

形成が逆転した

 

「……成程。1人デ戦ッテイル訳デハナイノカ」

 

戦艦水鬼は目を閉じた。これ以上、戦っても無意味だ

 

「全軍、撤退ダ。次ノ作戦ニ移行スルゾ」

 

「ソンナ!マダ、決着ガ――」

 

「命令ヨ」

 

 深海鶴棲姫の抗議に戦艦水鬼は凄みの効いた声で命じた。ここで感情的になっても沈むだけだ

 

「時雨、イイダロウ。勝負ハオ預ケダ。ダガ、今度ハオ前達ガ攻メテ来ル番ダ。ソレマデ待ッテイルゾ」

 

「な、何を――」

 

「慌テルナ。ソンナ主砲デハ私ニハ痛クモナイ」

 

 山城は41cm主砲を発射したが、戦艦水鬼は砲弾を受けてもケロリとしている。だが、戦艦水鬼は反撃もしない

 

ただ、時雨にだけ目をやっていた

 

「私ハ高次元カラ来タ生命体。オ前達ノ事ハ調ベタ。ヨッテ、ソレナリノ戦場ヲ用意シテアゲル」

 

「どうして?」

 

「コノ力ダケデハ、オ前達ヲ仕留メル事ハ出来ナイ。全身全霊デ挑ム。オ前達艦娘モソウシロ」

 

 艦娘達は唖然としていた。無線でオープンチャンネルで宣言しているのだから、無理もない。提督も聞いているだろう。鎮守府だけでなく、大本営も驚いているはずだ

 

日本からそこまで離れていない

 

「君は……僕に情けでもかけているのかい?」

 

「情ケ?ソンナツモリハナイ。私ハコノ世界ニ来ルマデ色ンナ敵ト戦ッタ。特ニ異世界トノ戦イデモナ。ドンナ世界デモオ前ノヨウナ英雄ハイル……ソノ者達ヲ倒シテ来タノダ。奇襲ニヨル攻撃デ沈ンデハツマラナイ。オ前ハソノヨウナ存在デハナイダロ?」

 

 時雨は戦艦水鬼をマジマジと見た。こんな敵がいるのか?戦艦棲姫だった頃はこんな性格なのか?深海棲艦は非道な事ばかりするものだと思っていたが

 

「分かったよ」

 

 時雨は戦艦水鬼が潜航し姿を消えるまで視線を向けていた。潜水艦娘が潜る深度よりも深い海底に住む深海棲艦

 

敵であるが、憎めない存在。それが深海棲艦というものなのだろう

 

浦田結衣のような敵も居れば、礼儀が正しい者もいる

 

 

 

 時雨達は他の艦娘から守られながら鎮守府に帰投した。あちこちで火が上がっているが、鎮守府は壊滅していない

 

岸には提督と他の艦娘も待っていた。46cm主砲らしき砲塔が数本置かれていたが、時雨は何も疑問も持たなかった。恐らく、大和と武蔵が使った艤装の一部だろう

 

「提督……艦隊は無事に帰投したよ」

 

時雨は敬礼しながら報告した。しかし、提督は報告を聞いても何も語らない

 

「提督、どうしたの?」

 

「時雨……頼むからもう消えないでくれ」

 

 提督は口を開いたが、声はいつもより低かった。時雨は提督の顔を見てハッとした。疲労困憊し生気を失った提督の表情……『失われた未来』の時の提督とそっくりだ

 

「お前が消えたら……俺はどうすればいいんだ?」

 

「提督……ごめんなさい」

 

「謝る必要はない。お前が後遺症で苦しんでいるのは分かる。本当に無事で良かった」

 

 誰も声を上げない。重い空気が漂ったが、提督は入渠するよう言う指示を出した。他の艦娘が後片付けで動く中、時雨はその場から動かなかった

 

「大丈夫よ。時雨は皆を救ったわ」

 

「ああ。あの深海鶴棲姫という奴の演技を見破っていなかったら、鎮守府は崩壊していたぜ」

 

 扶桑と天龍は言ったが、時雨は耳に入らない。提督の期待を裏切ったのか?もっと強くならないといけないのか?

 

そんな時雨の気持ちを見透かしたのか、香取が近寄って来た

 

「心配しないで下さい。元はと言えば、時雨の負担を無くすために心配していただけです」

 

「どういう意味?」

 

「1人の艦娘がいくら強くても艦隊には勝てない。時雨が強くても……いえ、大和型戦艦が単体に出撃しても数の暴力で負けてしまう。単体で強さ比べするのは愚策です」

 

香取はまるで学校の教師のように丁寧に説明した

 

「必要なのは『戦艦水鬼』に勝つ方法ではなく、深海棲艦に勝つ方法です。どんなに強力な兵器や超人的な兵士でも、戦場では一箇所でしか運用できない。そのためには、一騎当千のような艦娘ではなく、数も揃えないといけないのです。それも高練度の艦娘を」

 

「提督がいつも言っている強さの意味って?」

 

「提督は貴方の事をよく話していました。そのため、運営には手を抜いた事はありません。初めての運営だったにも拘わらず、鎮守府の規模は大きくなりました」

 

香取さんの言っている事は分かりやすい。自分だけが強くなっても意味がない。必要なのは信頼と協調性。仲間を守るためにやった行動が危険に晒してしまったのだ

 

「でも、時雨の経歴なら仕方ないかも知れませんね。あんな恐ろしい戦争に巻き込まれるなんて」

 

「ううん、そうでもないよ。僕は皆を守りたかった。皆が笑っていられるような鎮守府があったらいいなぁって思っていた。でも、実際に鎮守府に着くと……怖くなるんだ。誰かが僕達を地獄へ送るような強敵がいると思うと」

 

誰も言わない。扶桑山城だけでなく、白露型姉妹も第三艦隊である艦娘も黙ってしまう

 

「でも、分かった事があるよ。……もう、頑張らなくていいんだね」

 

 時雨はもう涙を流していなかった。肩の荷が降りたような、そんな気持ちだ。泣いてはダメだ。もう、仲間が簡単に死ぬような世界ではないのだから。自分の手で救った世界なのだから

 

「もう、大丈夫なようね。だったら、提督に報告しなさいよ」

 

「満潮、時雨を虐めないの」

 

 満潮の言い方に朝雲は指摘した。そのため、ちょっとした口論が起こったが、悪ふざけのようだ。『失われた未来』ではこんな光景は無かった

 

 時雨は満潮と白露が猫のにらみ合いのように火花を散らしているのを後に、復興を指揮している提督に向かった

 

提督は時雨の姿を見ると、大淀に任せて時雨に近寄る

 

「提督、僕は……その……」

 

「いいさ。俺はお前を頼り過ぎてしまった」

 

「ううん。謝るのは僕だから。でも、今まで通り頼ってよ。僕はそのための存在だから」

 

 時雨は笑顔で答えた。笑顔になったのは久しぶりかも知れない。何時だったのだろう?岐阜基地以来だろうか?

 

「それはそうと、無人島にキャンプしている502部隊がこっちに来る。迎えに行かないとな。お前が元気になったって」

 

「そうだね」

 

 502部隊はキャンプしている最中、新型の深海棲艦と遭遇したらしい。何でも『まるゆ』の雷撃で挑発。敵が躍起になってまるゆを追い掛け回している中、あきつ丸は隙を見て島を脱出。艦載機を放って救助を要請したのだ

 

 ドイツ艦娘が出撃して交戦。正体不明の姫級は反撃したが、どういう訳か戦うのを止め、逃げてしまった

 

「提督、僕の出撃は何時かな?」

 

「軍医に診てもらうのが先だ。戦争後遺症を直そうな」

 

 戦闘ストレスに陥った兵士の七割は三日で 戦闘に復帰できるとされている。しかし、一割近くは二度と復帰出来ずに後遺症に苦しみ続けると言った悲惨な出来事があるという

 

 酷い時には退役後にも、背後から近付いた家族を反射的に殺害するという痛ましい例もある事から、提督は時雨に気を遣ったのは言うまでもない

 

 実はこれらはアイオワの助言で気遣ったのである。ベトナム戦争や湾岸戦争にて戦争後遺症に掛かる人はいるという。時雨の場合は、恐らくこの世界に馴染めずPTSDになったのではないかと助言したのだ

 

「無人戦闘機のパイロットも戦争後遺症になるのか?*2

 

「カメラ越しで見る光景が非現実的に思えてしまう。デスクワークのような職場では日常と戦争の区別がつかなくなる」

 

普段はマイペースなアイオワだが、相談した日には真剣だった

 

「艦娘にとってはこれが日常。私は浦田結衣と戦っただけだから分かりませんが……

 

『失われた未来の記録』は考えられません」

 

一緒に居た大和も複雑な思いである。『艦だった頃の世界』でも戦場は悲惨だが、艦娘達にとってはそこまで生々しく覚えてはいない。夢を見ているようなものであり、記憶が曖昧だからである

 

 しかし、時雨の場合は艦娘の姿で悲惨な戦場を経験したのだ。一気に日常に生活した彼女にとっては、馴染める方が酷である

 

今の時雨は危うい。だが、立ち直らせる事が提督の仕事である

 

時雨が提督と話している中、誰かがやって来た。それは―

 

「随分とやられてしまったのう」

 

 艦娘の創造主である博士が伊勢日向達を連れてやって来た。見慣れない艦娘が1人いる。誰だろうか?この世界に付いた時から艦娘の名前を憶えているが、会った事は無い。新造艦かな?

 

どうやら、鎮守府が襲われたと聞いて駆けつけたらしい

 

「来るのが遅いぞ、親父。まあ、南方棲戦姫や戦艦レ級は撃沈出来なかったからな」

 

「46cm主砲を地上砲塔にしてぶっ放したり、一式陸攻の機銃を全て降ろして滑走路半分で飛ばすよう無茶な命令をして肝が冷えたわい」

 

博士から呆れた呟きに時雨は唖然とした。46cm主砲が岸に転がっていたのはそのため?提督は苦笑していたが

 

「そんな事より、伊勢日向に何をしていたんだ?」

 

「新型瑞雲の開発だ」

 

「日向、あれ以上は強くならないと思うが」

 

 日向の無表情の返答に提督は頭を抱えた。まさか、本当に新型瑞雲を開発していたのか?一緒に同行していた鈴谷や熊野もため息をついていた

 

「そんな事は無い。円盤航空機に打ち勝つ瑞雲を作らなければならない。浦田重工業が出来たのから、瑞雲だって出来るはずだ。だから――」

 

「日向、黙って……ごめんなさい。実は私達の大改装の研究をしていたのです」

 

「大改装?」

 

「はい。水上機だけでなく、艦戦も艦爆も積める戦闘空母を研究していました」

 

 伊勢が言うには、航空戦艦の先ともいえる大改装の可能性を模索していたらしい。伊勢型戦艦も改装プランはあったらしく、艦娘にも反映出来ないか?色々と試験的にやっていたらしい。鈴谷も熊野も軽空母に進化出来るのではないか、と研究されていたらしい。『艦だった頃の世界』においてifプランがある。武蔵のように反映出来るかもしれない。勿論、『超人計画』である薬物を使う訳には行かない。但し、実用化まではまだ先と言う

 

「まあ、試験運行に敵と遭遇しましたけどね」

 

「遭遇したって……大丈夫だったのか!」

 

「撃退はしました。それに、仲間も連れてきました」

 

 博士の合図で見覚えのない艦娘が前に出るとお辞儀をした。紫色の髪型をした新しい艦娘だ

 

「第四駆逐隊、萩風です。司令、ご指示をお願いします」

 

「萩風!君が?」

 

時雨は驚いた。萩風は『失われた未来』にて居なかった艦娘だからだ。それがなぜ?

 

「ああ、それについては後で話そう。それで――」

 

「親父……まさか隠し子なのか?」

 

 予想以上の質問に全員が固まった。伊勢日向は萩風と博士を交互に見たが、鈴谷はニヤニヤとしている

 

「そんな事はあるか!不倫なんてする訳がなかろう!」

 

「でも、博士~。別れた奥さんは冷たい目で睨んでいたけど?」

 

「誤解だ!生命誕生するために浮気をするワシだと思うか!」

 

 余談であるが、提督の母親は博士と仲直りはしたらしい。但し、完全ではないらしく、別居中である。登戸研究所の事務職員の事も合って顔を合わせる事もあるらしい

 

「昨日の夜は怖かったです。博士の妻から母親は誰なのか、一晩中問い詰められました」

 

「トラウマ植え付けているじゃん。どうするの?」

 

「だから、誤解だって言っているわ!」

 

「でも、また会ってみたいですわ。何しろ、最高級の牛肉を食べさせてくれたのですから!」

 

「お袋、早速艦娘を味方にしている」

 

提督は呆れていた。どうやら、提督の母親は艦娘と意気投合出来る仲らしい

 

時雨は笑っていた

 

 そうだ。これが僕が守りたかった鎮守府。まだ大変な事もあるけど、『失われた未来』に比べれば平和だ

 

 もう怯える必要なんて無いんだ。遠くで五航戦の瑞鶴と一航戦の加賀が言い争っているが、喧嘩ではない。ライバル意識だ。墓石の前で座り続ける姿を見るよりも……

 

 

 

 浦田重工業は滅んでも戦争は終わらない。艦娘も深海棲艦も進歩して海戦を繰り広げられている

 

 しかし……どんなに潰しても欲がある限り、悪は滅びはしない。博士の言う通り、浦田重工業を担ぐ者が必ずいる。何しろ、日本を貢献した者だからだ

 

「ちっ。これでは、侵入出来ないじゃないか」

 

 鎮守府から遠く離れた所で双眼鏡を覗いていた一人の男性がいた。忌々そうに双眼鏡から離すと車に乗る

 

彼は田中 湊(たなか しん)。浦田結衣の辛抱者である

 

 反乱のお蔭で浦田重工業のシンパを持つ者はほとんどおらず、関係者は逮捕されたが、誰もが見逃していた

 

 時雨もである。浦田結衣が幼い頃、出会った異常殺人者である。尤も、アカシックレコードで登場した事も合って、時雨自身も覚えていない

 

 田中は自力で監獄から脱出した後、見知らぬ人を殺して変装させ自殺するよう見せかけた

 

これで時間は稼げるはずだ

 

「お前がくたばっては困る。折角、どさくさに紛れてドックに侵入しようと思っていたのに。だけど、まだ時間はある」

 

 彼は二つの瓶に向かってニッコリ笑う。その瓶の中はホルマリン漬けされた左腕と石の破片である

 

 そう……浦田結衣の左腕である。時雨が薬物注入した直後に吹き飛ばしたものである。石の破片も左腕も彼が回収した

 

 彼は四年前、浦田重工業の反乱にどさくさに紛れて脱獄した。浦田結衣に加勢するためである。だが、横須賀に着いた時には、浦田結衣はやられていた

 

 彼は怒ったが、せめて遺品だけでもと思い、隙を見て遺体を回収した。艦娘も疲労困ぱいと時雨が消滅した事も合ってそこまで監視していなかった

 

 海面にあったのは左腕と石化した頭部。だが、調べていく内に艦娘の技術なら蘇られるのではないか?という偏った考えを持つ。そのため、深海棲艦による鎮守府襲撃の際には、ずっと待機していたのだ。だが、期待は裏切られた。艦娘は強い。浦田結衣が負けた理由も分かる

 

「待っていろ。生き返らせてやるからな」

 

 勿論、根拠はない。妄想の類である。彼は提督の父親である博士ではない。左腕もすでに生命反応はないのだから

 

……田中 湊が持っている遺品は杞憂で終わるか。それとも……

 

 

*1
重油は、石油製品の中でも火を近づけるだけで燃え出すガソリンなどと違って、火を近づけてもすぐには燃えず、引火する危険性が比較的低いが、風や燃焼方法など条件によっては海上火災を引き起こす。東日本大震災の海上火災の原因は、海面に浮かぶ重油に引火したものとされている

*2
無人航空機のパイロットは短い時間で平和な日常と戦場を行き来し、従来の軍事作戦では有り得ない生活を送ることや、敵を殺傷する瞬間をカメラや赤外線カメラで鮮明に見ることがストレスになるため、普通の兵士よりもPTSDになりやすいという




時雨は無事に戻ってきました。鎮守府も攻撃する者を退けました。深海棲艦だけでなく、他の者からも……
最後は不吉を呼ぶか……?

余談ですが、キ109は陸軍四式重爆撃機『飛竜』に八八式75mm高射砲を積んだ特殊防空戦闘機。『高射砲を飛行機に搭載して空中から撃ったらB-29撃墜出来るんじゃね?』というアイデアから生まれたもの
史実では、活躍場面はありませんでしたが、一機だけB29を撃墜したらしいです
記述によると『ドォー!という爆音と共に砲弾は編隊中央で炸裂、1機のB-29が翼をもがれ墜落していった』との事
提督とあきつ丸は地上攻撃に使おうと明石と共に開発したらしいです()

まあ、AC-130ガンシップには105mm榴弾砲を搭載していますからね。不可能ではないです
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