時雨の特殊任務   作:雷電Ⅱ

120 / 120
大変お待たせしました
元号が令和に変わりましたね

それはそうと、タイトルに嘘はございません。更新が長引いたのもそれが理由です


最終話 暁の水平線へ

 時間は慌ただしく過ぎ、いつの間にか季節は秋に近づいていった。日本国内は、浦田重工業の反乱以降は、安定している

 

都市も復興は順調で、新しい建物が次々と姿を表した。

 

 といっても完璧ではない。浦田重工業というバックアップがないため、遅延はしている。道路網や電話回線、水道網などのライフラインは何とか復旧しつつある。浦田重工業の反乱や深海棲艦の爆撃でズタズタにされたからだ

 

 問題は地方だが、こちらは大都市が再建された後、おいおい手を打つしかない。しかし、浦田結衣も深海棲艦も都市部を優先的に狙っていたので、地方もそこまで被害は受けていない

 

 深海棲艦が近海にいないため、漁も再開され、漁獲高が急速に上がった。流石に遠洋は無理だが、艦娘が制圧した海域なら可能だ

 

戦争中だが、国民が飢えてしまっては意味はない。それにわざわざ監視船にする必要はない。『艦だった頃の世界』の太平洋戦争では漁船は監視船として駆り出されて、漁どころではなかった

 

 憲法も博士達が結成した勉強会の成果もあって、国会を通過した。近い内に制定されるだろう。反対もあまりいない

 

ともかく、日本は急テンポで再生していった

 

 しかし、これで安泰と言えば違う。フィリピン沖に現れた深海棲艦を何とかしないといけない

 

そのため、海軍は艦娘をフィリピン海域に派遣する方針を行った

 

 輸送船やタンカーが沈められては、日本は飢えてしまう。あれほど艦娘を嫌っていた一部の議員もマスコミも黙りしていた

 

 重油がなければ、火力発電所は動かず、電力供給も出来ない。日本では手に入らない食料や資源、医薬品などもストップする。艦娘でさえ油が必要だ。日本の食料生産能力も限度がある。アメリカのように広大な土地は無いからだ。特にボーキサイトも貴重だ。遠征で手に入るが、それは自分達の運用のためである。民生品にまわせるだけの量なんてとれない

 

 理想だけ唱えては、意味がない。特に何らかの手も打たずに高望みだけの理想は絶対に実現しない

 

 中には別の方法で深海棲艦を倒そうと考えた一部の人もいたが、馬鹿馬鹿しい戦果は上がらなかった

 

 通常兵器では深海棲艦を倒す事は出来ない。海軍も海上保安庁(平行世界の日本を参考に新たに新設された)も、そういう無知で短絡的な人を追い返した

 

「悔しくないのですか!……いえ、人間でない物に守られてプライドもないんですか!?」

 

「何を言っているのだ?」

 

 勿論、話にもならない。深海棲艦を倒す能力がないのだから仕方ないのもあるが、彼らは艦娘に対して特に嫌悪感すらなかった

 

(俺らに血を流させておいて、なにを平和主義者ぶってんだ、この偽善者は?)

 

 この人達は視野が狭い。兵士にしろ、艦娘にしろ、結局は武力に頼るわけである。兵士か艦娘かの違いがあるだけで、逆に毛嫌いする理由も分からない

 

 確かにライバル間はあるものの、排除しようとまでは思わない。中世の魔女狩りではあるまい。流石の海軍も海保もそこまで落ちぶれていない

 

 しかも、フィリピン沖辺りで日本の貿易航路を脅かしている現状において、どうやって解決するのか?

 

 しかし、これらの問いに彼らは答えない。あったとしても、非現実的な答えばかりである。軍事も社会も分からないから仕方ないが、少しは勉強してから発言すべきである

 

 

 

 

そんな些細な事を他所に海軍は派遣準備に入る。艦娘にも出動命令が出て準備に入る

 

提督も今回の作戦に参加する艦娘に声をかけた。作戦名も『レイテ沖海戦』と命名した

 

 単に『艦だった頃の世界』の太平洋戦争から取った。公式名称は『フィリピン沖海戦』であり違うのだが、馴染みがあるためその方が艦娘にも士気が上がる

 

実際に艦娘達も士気が上がり、作戦参加に志願する者は多かった

 

 海外艦も参加表明している。アメリカ艦も問題はなかった。『艦だった頃の世界』の事は引きずってはおらず、トラブルもない

 

「艦娘達は国境を越えて手を取り合って深海棲艦と戦っているのに、反対派はヒステリックな叫びしか出来ないですね」

 

 テレビの討論会の番組で、元海軍関係者は、未だに反対を唱える者に冷たく言っていた。相手は何も言わない

 

 指揮を執っているのは、海軍士官とは言え、海外艦との共同作戦は珍しい。外国の軍隊と共同作戦に参加は、互いに信頼がないと出来ないからだ

 

世の中は、思想だけでは成り立たない。妥当性の問題が付きまとうからである

 

 特に国の安全保障は、思想ではなく妥当性が全てに優先されるのだから仕方ない。『平行世界の日本』において自衛隊が、なぜ存続できたのか、安全保障を考えれば必要不可欠だからである*1

 

よって、艦娘の存在はほとんど問題にならなかった

 

「提督、この事は予想していたの?」

 

「ある程度はな」

 

 提督は時雨の質問に答えた。艦娘の批判の声も少なくなってきている。浦田重工業の置き土産も消えつつあった

 

「提督よ、出港準備出来たぞ」

 

 武蔵は報告してきた。武蔵も今回の作戦に参加している。いや、艦の中は艦娘と妖精で一杯だ

 

 提督と時雨は、艦娘支援艦にいる。去年、就航した軍艦だ。名前は『おおすみ』である。『平行世界の日本』の海上自衛隊の輸送艦から取ったものである

 

多少の装備は違うが、『平行世界の日本』の海上自衛隊が保有する『おおすみ』のスペックは変わらない。基準排水量八万九千トンの大型艦である

 

 建造途中であった客船を軍が買い上げ、明石達の手によって軍艦に切り替える方法もあったが、客船は何かと不便であるため、一から造ることなったのである

 

戦争を通じて、客船を徴収する事は普通である。戦時に借り上げる事を想定して、建造資金の一部を肩代わりする事も珍しくない

 

 特に陸軍の将兵や支援物資を大量輸送するためには客船の方が良かったのである。

 

 但し、軍艦に改装するとなると話は別である。客船と軍艦は根本的に設計思想が違うため、色々と不具合が出て来る。特に、商業船の機関は経済性を第一に設計されているから、自在な加速力を要求される

 

 特に、商船改造空母は工夫でもしないと使い勝手が悪いものとなっている。何しろ、艦載機を飛ばすために素早く風に立たなくてはならず、また素早く原位置に復帰しなくてはならなくなるからである。『平行世界の太平洋戦争』では米空母の護衛空母はカタパルト等で補って運用したが、日本は開発が出来なかった。

 

 しかし、これは支援艦であるためそこまで速力を上げる必要はないだろう。『おおすみ』は深海棲艦の襲来が来ても艦娘を吐き出させることも可能だ。僅かだが、自衛用兵器は搭載している。戦闘艦ではないのだから些細な問題は無視していいだろう

 

 必要なのは輸送能力を持った軍艦が重要だからである。何しろ、敵はフィリピン沖にいる。そこまでたどり着くだけなら艦娘でも出来るが、日本から遠すぎる。

 

現場から離れた所で艦娘は出撃する事に成っている。提督は乗船して指揮を取る形だ。提督は艦長役も務める事に成る。支援艦の操縦は主に妖精と艦娘が行う事に成っている。元々は艦だった事もあり、船の操縦も短期間で終えた。揚陸機能もあり、上陸用舟艇も2つ積んでいる。孤島に基地航空隊を建設するためである

 

陸攻は勿論、局地戦闘機や陸軍機も積んでいる

 

 普通なら一つの船にこんなには載らない。艦娘と妖精のお蔭で搭載可能である。巨大な船体に貨物と艦娘を満載し、喫水が深く沈んでいた。貨物室には、資源や艤装が大量に入っている。大掛かりな作戦のために必要な物資だからである

 

 食料も一ヶ月分は積み込んだ。万が一、長引けば沖縄に寄港すればいい。但し、沖縄も台所事情は厳しいため上手い事やるしかないのだが

 

 

 

 慣熟訓練もやっており、運営に支障はない。既に数回は使用している。通常の駆逐艦も同行させている。勿論、艦娘ではなく、普通の軍艦である

 

深海棲艦以外の敵……主に海賊等を警戒するためである

 

「こっそりと出港出来ないものなのか?」

 

「提督よ、折角集まってくれたのだ。対応しないとな」

 

 

 

 港には大勢の人が集まっていた。軍人だけでなく、一般人も支援艦『おおすみ』を見送りに集まっていた

 

「無事に生きて帰ってこい」

 

「はい、全力を尽くします」

 

 提督と元帥は互いに敬礼をした。作戦成功の有無は全て提督に掛かっている

 

言い換えれば、国の運命も握っているといい。フィリピン沖は日本のタンカーなどが通る場所だ。奪還出来なければ、日本は飢えるだろう

 

エネルギー資源や鉱物資源については言われるまでも無かった

 

「頑張って!」

 

「行ってみたかったのです!」

 

「鎮守府は任せてください」

 

 居残り組の艦娘は、出撃組を見送っていた。全ての艦娘を連れていく事は出来ない。本土の守りも疎かにしてはいけない

 

 出撃する組は、『艦だった頃の世界』で発令された作戦名、捷号作戦に参加した艦娘を主に連れて行った

 

 大和武蔵を中核とした水上部隊は第一遊撃部隊(栗田艦隊組)、那智旗艦である第二遊撃部隊である志摩艦隊、そして、機動部隊本隊(小沢艦隊)である

 

対潜警戒として海防艦娘も駆逐艦娘も連れて行く

 

潜水艦も警戒しないといけない

 

 そして、重要な艦娘編成……第一遊撃部隊第三部隊である。通称、西村艦隊。彼女達の相手は、扶桑山城に似た深海棲艦、海峡夜棲姫と戦うためである

 

 フィリピン沖に現れた海峡夜棲姫……恐らく、主力艦隊だろう。しかも、情報ではスリガオ海峡辺りに潜んでいるらしい

 

西村艦隊はスリガオ海峡を通り抜け、海峡夜棲姫を倒す事が任務である

 

「まさか、こんな日が来るなんて……第二戦隊、旗艦山城!第一遊撃部隊、第三部隊!何もかも同じ……ふ、ふふふふ……」

 

 式典の中、西村艦隊の一人の艦娘は不気味な笑いをしていた。本人は喜んでいるのだろうが、周りは何があったのか気が気でなかった。満潮も諦めたらしく、頭を抱えている

 

「山城、落ち着こうね」

 

時雨も落ち着かせようとしたが、山城は意識が宙に浮いているのか、気がつかない

 

「大丈夫かな?」

 

時雨は不安だ。扶桑山城も航空戦艦で改二になっている

 

「時雨、山城は大丈夫よ。一緒にスリガオ海峡を抜けましょう」

 

扶桑は申し訳なさそうに小声で言ったが、本人もウズウズしていた

 

やはり、選ばれたのが嬉しいのだろう

 

「山城……喜ぶのはいいが、改二になったからといって無敵になる訳でもないからな。大改修の資源揃えるのにどれだけ苦労したか……」

 

 提督が席に戻ると山城に小声で話した。笑みを浮かべていた山城は、冷水を浴びせたかのように固まった

 

後から聞くと、大改装である改二になるための大改装に必要な資源は多かったらしい*2

 

 山城も改二改装には喜んでいたが、消費資源量を聞かされると目玉が飛び出たほど驚いたという

 

 扶桑や時雨にも自慢できる、もう欠陥戦艦とは言わせないと浮かれていたが、現実は非情であった。幸い、改装に割くほどの資源はあったため問題は無かったが。

 

しかし、資源を貯めるのに提督も遠征に行っている艦娘も苦労したという

 

勿論、山城だけではないが

 

 尤も、改二になったからといって極端に強くなる訳ではない*3。やられる時はやられる。こればかりは仕方なかった

 

 

 

 式典が終わると出撃組の艦娘全員が乗り込んだ。集まった軍人や観客は旗を振りながら声援を送っていた

 

 あきつ丸は502部隊から熱烈に見送られていた。あきつ丸は陸軍の艦娘だから仕方ない。まるゆは連れていけなかったが

 

提督はまだ乗船していない。時雨と大和も提督の横にいた

 

「陸奥、龍譲……留守の間の指揮は頼むぞ」

 

「いいわ、提督も負けないでね」

 

「任しときな!鎮守府はうちが守ったるで!」

 

 提督の不在の間は、陸奥と龍譲が指揮をとることになった。陸奥が提督代行、龍譲は陸奥の補佐役である

 

「安心して行け。ワシも暫く鎮守府に滞在するわい」

 

「工廠に引きこもるのだけは止めてくれ」

 

 博士も見送りに来ていたが、どうも違うらしい。元々、技官なのだから仕方ない。明石といつも気が合う

 

「本題に入ろう。……深海棲艦との戦いはこう着状態じゃ。残念だが、休戦も難しい」

 

博士は顔をしかめた。領海やシーレーン防衛は艦娘がほとんど行っている。そのため、艦娘の負担が大きい。勿論、艦娘の強化に手を入れているが、敵も手を招いている訳では無い

 

 新種の深海棲艦も確認されており、敵勢力も拡大している。無差別に攻撃しているため、とても厄介なものである

 

 日本は島国であるため、何としても深海棲艦との戦いを終わらせたい。それが本音だ。しかし、泥沼の戦いになるのは必須だろう

 

「紙に平和と書いても深海棲艦は、武器を捨てない。だったら、それに応えるだけだ」

 

提督は静かに言った。残念ながら、停戦協定や平和条約は難しいだろう。しかし、コミュニケーションは出来るのだから、交渉はある程度は可能だ

 

「時雨は……もう大丈夫か?」

 

「うん」

 

 時雨は頷いた。時雨は、自分が二つの道に立たされていると感じられた。1つは戦いの放棄。もう一つは戦うために

 

「お前はワシが艦娘を作った理由を知っているはずじゃ。だから敢えて聞く。全てを知った上でまた戦うのか。艤装を捨てて第二の人生を歩むことも出来たはず。もっと、明るい未来が見えて来るかも知れん。一部の人がどう言おうが、あいつらは何も分かっていない。少なくとも、ワシはお前を押すつもりじゃ」

 

「ありがとう」

 

時雨は真っ直ぐ博士を見つめた

 

「でも、僕は改変された世界をあまり知らない。記憶にあるのに、経験はしていない。だから、僕はまだ提督と仲間と共に戦うよ。ディープスロートも言っていた。改変されても、僕達の故郷や居場所はここなんだって」

 

「そうか……なら、ワシからは何も言う事もあるまい」

 

博士は微かだが、頷いていた。恐らく、時雨だけに言った言葉ではないようだ

 

「それでは、行って来る」

 

「ああ。行って来い……少佐」

 

提督と博士は踵を揃えて敬礼の姿勢を取った。時雨も大和も提督に倣って敬礼する

 

 

 

 時雨達が『おおすみ』に乗船するのを見届けながらも博士は考えた。これだけの出事だ。歴史改変は不変ではない事が証明された

 

 タイムスリップという現象だけで世界は変わる物なのか?バタフライ効果はある意味、正しかったかもしれない。勿論、たまたま上手く行っただけかも知れない。

 

もし、まぐれだと赤の他人から言われても、博士はこう反論するだろう。それは時雨のお蔭だと。運要素もあるかもしれない

 

 だが、変えたきっかけを作ったのは時雨である事は否定できない。彼女は口にはしなかったが、自分の上司である提督と仲間に再び会いたいという目的があったのだろう

 

そのきっかけが、歴史を変えた、未来も変えた。仲間と提督に会いたいために時雨は戦った

 

 事件の全貌は歴史に刻むことは無いだろう。若しくは、深海棲艦との戦いが終わって数十年後に明らかになるかも知れない

 

 しかし、これだけははっきりしている。時雨を始め、艦娘達は自分の息子である提督の命令に従っているだけではない。自分の意志で戦っているのだ

 

提督もそれを了承している

 

 しかし、歴史を変えるための戦いの犠牲者は大勢いた。戦死者も多く、浦田重工業の反乱の日には追悼式典が毎年行われていた。夢や理想が夢想で終わる訳がない。

 

時雨達や提督は戦いを終えるために海に出るのではない。新たな旅立ちでもある

 

 時雨達は『おおすみ』に乗り込んだ。出港の汽笛が鳴り、岸から離れると観客の声援は大きくなった

 

 

 

「好き勝手に言っているな」

 

 長門は半ば呆れるように言った。確かに盛大に見送られるのはいい。だが、声援の大半は航路を確保してくれ、である

 

 艦娘達は全通甲板に出て観客に向かって手を降っていたが、沖合いに出るとため息をついた。期待されている分、プレッシャーは大きい

 

もし作戦失敗したら、どうなるのだろう?

 

「あまり考えるな。やることをやるだけだ」

 

 提督は既に見えなくなった岸に目を向けながら言った。負ける気はしない。常に爪は研いでいる。訓練も怠った事もない

 

「でも、こんなに見送られたのは初めてだ」

 

 時雨は微かに微笑んだ。『失われた未来』では、こんなことは無かった。反艦娘のゲリラから攻撃を受ける始末である

 

 しかし、『改変された世界』では一度として起こっていない。過激な発言をする者はいたが、一部の人であり、艦娘に攻撃しようとする者もいなかった

 

「よし、持ち場に戻れ。対空、対水上、対潜警戒を厳としろ」

 

駆逐艦に守られながら『おおすみ』はフィリピン沖近くに向かう

 

未来のために

 

 

 

 ある孤島では、深海棲艦の姫級が集まっていた。日本からこちらに向かう艦隊を発見したというのだ

 

「戦艦水鬼、アイツラガ来タ」

 

「潜水新棲姫ガ率イル潜水艦隊モヤラレタ」

 

 艦娘を乗せた母艦を中核とした駆逐艦隊がやって来るのを潜水新棲姫が発見した

 

潜水新棲姫は直ちに雷撃するために攻撃を開始したが、対潜哨戒機や海防艦に邪魔されて、逆にやられたという

 

 哨戒網を張っていたが、次々と突破している。勿論、何人かの艦娘にダメージを与えたが、それでも押されているのだ

 

 

 

 特に五十鈴や大鷹と呼ばれる対潜に特化した艦娘は厄介だった。奇襲は恐らくダメだろう。艦娘の実力ははっきりしている

 

「イイノ?レ級モ南方棲戦姫モ猛攻ヲ受ケテ大破し退シタ。彼女達ノ実力ハ本物」

 

 港湾棲姫は指摘した。戦艦水鬼は艦娘の実力を図ろうと奇襲作戦に出た。こちらから攻勢はあまりしない。陸に興味はないからだ。しかし、天敵を潰すのは別だ。よって、新入り(深海鶴棲姫)にある工作を命じた。仲間割れをし、追い出されたので亡命するという偽装を行った。傷を負っていれば、誰かが同情するだろう

 

 大抵の人間はこれで騙される。特に環境保護団体(?)のような組織には簡単に騙せた。戦艦レ級に対しては見た目とは裏腹に強力な武装をしている。接触してきた人や船は全て沈めた。反撃されても痛くも痒くも無かった

 

 

 

 よって、艦娘も騙せるだろうと思ったが甘かった。誰かが見破ったのだ。深海鶴棲姫のミスかと思ったが、駆逐艦娘に見破られたという

 

しかも、見破った者は時雨と呼ばれる艦娘。偶然の一致だろうか?

 

 戦艦水鬼は待機していた南方棲戦姫と戦艦レ級に強襲をするよう命じた。飛行場姫と空母棲姫には空襲を命じた

 

 激しい激戦が行われたが、相手は強い。色んな相手と戦ったが、ここまで強力な艦隊とは思わなかった。しかも、偽装を見破ったのはあのときの時雨だった

 

戦艦水鬼は狂喜し、時雨を含む艦隊と交戦したが、強襲組はあっさりと撃退されてしまった

 

しかも、救出するための戦力も半端なく、こちらも被害を受けた

 

 

 

 よって、今回はフィリピン沖にて通商破壊活動をしたのだ。また、海峡夜棲姫の提案でもある。本人もある艦娘と決着したいと言ってきたのだ

 

「舞台ハ整エタ。奴等ハ挑戦状ヲ受ケ取ッタ」

 

「ソウ……」

 

 戦艦水鬼の作戦に港湾姫は口を挟まない。確かに四年前の出来事には恩がある。しかし、交流は別問題である

 

浦田重工業と呼ばれる連中を見れば、この世界との住民の接触は避けた方がいいだろう

 

 

 

「ヨシ、受ケテ立ッテヤル。艦隊、配置ニ付ケ」

 

戦艦水鬼は集まった深海棲艦に命じた。艦娘を向かい撃つために

 

 

 

「マタ戦争?」

 

「仕方ナイ。オ姉サン達ノオ仕事ダカラ」

 

 艦隊を見送る港湾棲姫に北方棲姫は無邪気に聞いてきた。尤も、北方棲姫は人の子供のような感情を持ち合わせていない。攻撃を受けたら、反撃する

 

人間では、『少年兵』と呼ばれるが、北方棲姫はそいつらよりも格段に強い

 

「指揮官ノ性格ニ問題ガ無ケレバ立派ナンダケド……」

 

港湾棲姫は愚痴を漏らし、そばにいた駆逐古姫もため息をついていた

 

二年前くらいにビキニ諸島に軍隊が押し寄せてきた事には驚いた

 

 暗号もテレパシーも使わずに平文で通信しているのだ。誰もがチャンスとして攻めてきて当然だ

 

 北方棲姫の縄張りにも押し寄せ、攻撃を受けたという。いや、あの時は通常兵器だったので囮作戦だったかもしれない

 

 勿論、港湾棲姫は怒り、進化して港湾水鬼になると北方棲姫を攻撃した輩を撃滅した。周りからは、『あいつを怒らせたら終わりだ』と囁かれた

 

 しかし、戦艦棲姫曰く、人間の軍隊をわざとビキニ諸島におびき寄せたという。敵の強さを見極めるとか

 

 勿論、押し寄せる軍隊は敵ではなくあっさりと勝ってしまった。余りにつまらなかったので、アイオワには情けをかけたが

 

戦艦水鬼は戦闘の達人だが、戦う意思が無いものには手を出さない

 

 その代わり、こちらに攻撃する者は、全力で応える。戦艦水鬼の中には美学があるらしいが、港湾棲姫にはとても理解出来なかった。しかし、リーダーの素質はあり、深海棲艦の大半は戦艦水鬼についていっている

 

 居残り組は前回の戦闘で負傷したレ級と南方棲戦姫である。勿論、何かあれば駆けつける手筈になっている

 

「大丈夫。アイツラハ何モ分カッテイナイ」

 

ここで港湾棲姫が言う『アイツラ』とは誰の事を指しているのか分からない

 

艦娘か、艦娘を指揮している提督か、それとも……

 

 

 

 

 

 艦娘母艦が出港してから数時間後、現場海域に到着した。正確には、フィリピン沖手前だが。作戦海域から距離を取りながら艦隊を組んでゆっくりと航行している。提督は直ちに作戦を開始

 

 『おおすみ』から作戦行動するための艦娘の艦隊が吐き出され、作戦海域へ向かう。

 

深海棲艦が多数潜むとされるスリガオ海峡海戦を叩き潰さなくてはならない。『艦だった頃の世界』で志摩艦隊を組んだ事がある艦娘を出撃させた

 

 無論、全てを出す訳にも行かないので志願した者から抽選で連合艦隊を編成して送り出した

 

「こちらの実力を見せてやれ」

 

「任せてくれ!」

 

 旗艦である那智は頷いた。今の那智は改二である。資源の心配は提督に任せていけばいい。こちらは全力で叩くと

 

 那智を含む人の艦娘は艦尾へ向かった。『平行世界の日本』の『おおすみ』にはLCACと呼ばれるエア・クッション型揚陸艇を積んでいる。こちらの『おおすみ』は艦娘を発進させるデッキになっている

 

「第二遊撃部隊、抜錨完了!」

 

「よし、出撃!」

 

 提督の合図で妖精は、後方デッキが開く。六人の艦娘は、海へ飛び込むと海面を走り作戦海域へ向かった

 

 

 

「スリガオ海には多数の敵が潜んでいる。那智からの連絡で現場海域は天候も悪く、何故か昼間でも暗いらしい。小沢艦隊も出撃準備をしろ!」

 

 提督は艦内放送を終えると椅子に座った。指揮は艦橋で行っている。見晴らしが良い

 

全通甲板では、瑞鶴を始め空母組は出撃準備をしていた。全通甲板にしたのは、航空機の発着艦のためではなく、艦娘の出撃準備のためである

 

 海上自衛隊の『おおすみ』も空母ではない。ヘリは発着艦出来るものの空母機能はない。それと同じである。ヘリを載せる計画はあるが、この世界ではヘリを実用化出来る技術を持っていない。しかし、アメリカはR-5と呼ばれるヘリが開発中とあり、数か月後には実用化されるとの事である。浦田重工業のものとは大分劣るが、別に戦闘機として運用する訳でもないので問題は無いだろう。案外、艦娘用の艦載機にも転用できるかも知れない*4

 

……浦田重工業が保有するヘリよりも劣るが、哨戒機としては役に立つだろう*5

 

「しかし、あそこまで張り切らなくてもいいのに」

 

 今の瑞鶴は、彩衣装に陣羽織を着用している。レイテ沖海戦を意識していたのか、瑞鶴と武蔵は妖精と明石に特別仕様の服装を頼まれたのだ

 

 提督も士気が上がるならと許可を出したが、ここまでとは思わなかった。それでも、本人は喜んでいるのだからいいのだが

 

「瑞鶴が喜んでいますから」

 

 翔鶴はニコニコしながら瑞鶴を眺めていた。小沢艦隊の旗艦は、瑞鶴である。だから、あんなに張り切っているのである

 

いや、瑞鶴はまだ良いかも知れない。問題は……

 

「提督、まだですか。まさか、全ての敵をやっつけたのですか?」

 

山城は提督に駆け寄ると迫るように問い詰めていた。どうやら、美味しい所は志摩艦隊が平らげると思ったらしい

 

「あのな、そう簡単に敵を撃破出来たら誰も苦労しない。戦いたい気持ちは分かるが、抑えような」

 

 山城は、満潮と最上に抑え提督から引き離した。扶桑は平謝りしていたが、彼は気にしない。作戦発令される前から山城は情緒不安定だった

 

ブリッジには翔鶴や妖精の他に西村艦隊がいた。扶桑山城はもとより、最上も満潮も鉢巻を巻いている

 

「提督、僕は……出来れば戦いたいな」

 

「……心配するな。戦艦水鬼はこだわりがあるが、馬鹿ではないだろう」

 

提督は苦笑いした。栗田艦隊くらいで全滅するほど深海棲艦は弱くないはずである

 

 

 

???

 

「敵ヲ撃退シマシタ。シカシ、コチラノ被害モ甚大デス」

 

 苦し紛れに報告して来る軽巡ツ級を聞いた戦艦水鬼は口角を吊り上げた。敵は相当な訓練をした艦娘だろう自軍の強さは把握している。いや、全ての姫と鬼級の戦力を把握しているのだ

 

よって、敵の強さはある程度は予想出来る

 

「ヨシ、奴等ヲ倒シテ――」

 

「待チナサイ。敵ハ手強イ。コチラカラ出テ行ッテモ返リ討チニ合ウ」

 

 戦艦水鬼は打って出ようとする深海鶴棲姫を抑えながら言った。敵は強い。そのため、向こうが不利になるようなフィールドを作った

 

 赤色海域である結界を作り出し、一帯を環境を変えた。磁場を強くしたので、羅針盤などは大幅に狂う

 

 レーダーも無線も制約を受けるはずだ。近距離はともかく遠距離になると難しくなる。大抵の海軍は、入るや否や大混乱に陥り、撤退する羽目となった

 

 米海軍は粘ったが、味方の被害が多すぎると尻尾を巻いて逃げ出した。まだ、懲りていないらしい

 

しかし、今度の艦隊は違う。艦娘だ。しかも、強い

 

「海峡夜棲姫、迎エ撃テ。必要ナラ防空埋子姫モ送ル」

 

『有難ウゴザイマス。戦艦水鬼ハドウサレマス?』

 

「後デ出向ク。肩慣ラシニハ丁度イイ」

 

戦艦水鬼は更に改装を受け戦艦水鬼改となった、武装も更新し、最強の存在だ

 

フィリピン沖での戦いは長く成りそうだ……

 

 

 

 敵と遭遇し、交戦し、勝って進む。負傷した艦娘は撤退し、『おおすみ』まで戻された。戦力にならないからである。スリガオ海峡には多数の砲声や艦載機の爆音、そして爆発音が鳴り響いていた

 

激戦が繰り広げられ、敵を掃討出来た

 

 

 

そして……

 

「志摩艦隊より入電。『海峡夜棲姫の出現を確認。舞台は整えたし』」

 

「よし、いよいよだ。西村艦隊、出撃準備しろ!」

 

 無線連絡を受け取った大淀は提督に報告した。これで敵艦隊を叩ける!提督の艦内放送により、艦内は慌ただしくなった。しかし、艦尾デッキには既に西村艦隊のメンバーがいた

 

皆の気持ちは同じだ。レイテ突入するのは自分達という想いはあるだろう

 

 そのため、艦内放送を聞いた瞬間、直ぐに艤装を装着した。扶桑山城の艤装は巨大であるにも関わらず、本人達は服を着るかのように難なく装着したのだ

 

最上、満潮、朝雲、山雲も準備は完了していた

 

提督が艦尾に着いた頃には、すでにデッキは開いていた

 

「もう出撃準備は終わっていたか……」

 

 提督は苦笑いした。彼女達は一刻も早く出撃したいのだ。提督の命令を待っている

 

「言う事は無い。暁の水平線に勝利を刻め!……行って来い」

 

「みんな……うん、行こう!」

 

 時雨を始め、西村艦隊のメンバーは全員敬礼をした。通常の編成は六人だが、今回は特別に七人である

 

旗艦は山城であり、扶桑、最上、時雨、満潮、朝雲、山雲である

 

 普段は口が悪い満潮もこの時ばかりは自重していた。それほど、今回の作戦は重要であると認識している

 

 

 

 七人の艦娘達は『おおすみ』から降りると海に立つ。扶桑山城を中核とした艦隊が『おおすみ』と並行して航行する

 

 南に下れば現場海域だ。偵察では現場海域は日中にも拘わらず、皆既日食のような暗さになっていると言う。不気味な海域だが、自分達はそこへ行くのだ

 

全通甲板には数十人の艦娘がいた。西村艦隊を見届けようと集まっていた

 

「提督、感謝しているよ。必ず帰ってくるから……それまでここにいてね」

 

『分かっているよ。どこにも行かずに待っている。とにかくベストを尽くしてくれ』

 

 時雨と提督の間は固い絆で結ばれていた。四年半前のアパートで会って以来、度々の試練を経たのだ。練度もかなり高い

 

「うん……そうだね」

 

この先の戦いは激戦となるだろう。しかし、時雨は嬉しかった

 

再び、この編成で組めたことに

 

(僕は……ずっとこんな光景を……夢見る事さえおこがましいと……)

 

扶桑、山城、最上、満潮、朝雲、山雲がいる。あの時とは違う。今度は勝つために……

 

「ほら、行くわよ。今回の主役はアンタなんだからシャンとしなさい」

 

満潮は時雨に近寄るとそっと肩を手にした。いつもの満潮とは違っていた

 

「忘れ物、一杯あるんでしょ?」

 

「うん。満潮、みんな、油断しないで行こう」

 

時雨は涙を流した。雨は降るかどうか分からない

 

「時雨、行ける?頼りにしてるから。私達第三部隊西村艦隊の出撃よ!」

 

山城は掛け声を上げると同時に西村艦隊は、スリガオ海峡へ向けて舵を切った

 

『おおすみ』の全通甲板にいた艦娘だけでなく、『おおすみ』を護衛していた駆逐艦の乗組員も歓声を上げていた

 

 西村艦隊によるスリガオ海峡への攻略も順調。目標は扶桑山城に似た姿を持つ姫級深海棲艦、海峡夜棲姫である

 

 当然、深海棲艦は全力で妨害して来る。しかし、西村艦隊は防衛線を次々と突破していく

 

 

 

「邪魔だ…どけえぇぇぇぇぇぇっ!」

 

 山城は吼えながら砲撃する。山城の気迫に敵艦隊は怖気づく。山城の執念はそれほどだった。他の者も山城を援護して攻撃していく。反撃すら与えない。こっそりと忍び寄るPT子鬼群である魚雷艇も満潮が警戒していたため、見抜き撃沈させた

 

「扶桑、山城、みんな。僕達は遂にここまで来たんだ」

 

 進む連れて辺りは暗くなった。時間はまだ昼時なのに、真っ暗だ。太陽は出ているが、皆既日食のように薄暗くなっている。しかし、針路はこれであっている。世界が違っても地形は同じだ!

 

 以前は時雨を除く他の艦は沈んでいる。しかし、今回は起こらない。僕達は運命に打ち勝ったんだ!

 

「被害はあまり大した事ないけど……これならいける」

 

「最上……残念だけど敵はやる気だよ」

 

 暗闇から巨大な影が浮かび上がった。川内ほどではないが、夜目は効く。現れたのは、502部隊が目撃したという海峡夜棲姫

 

「ココ…ハ…通レナイシ……通サナイ……ヨ……ッ!」

 

 敵の話し方に全員驚いた。声が扶桑山城と瓜二つだ。だが、その驚きは一瞬であった。全員、砲を敵艦隊に向けた

 

 時雨は無線を入れる。発進した電波が『おおすみ』まで届くか分からないが、それでも提督に伝えたい

 

「こちら第一遊撃部隊、第三部隊!スリガオ海峡に敵を発見!突破するため、攻撃する!」

 

時雨は言い終えると同時に引き金を引いた

 

 

 

彼女達は海を進む。想いはそれぞれある

 

ある者は大事な者達を守るために、ある者は理想を追い求めるために

 

 しかし、それは『国家の存続のための大義』ではなく、『国を守るための大義』である。

 

 田村一尉のパソコンにも書いてあった。論文のようなものであったが、そこには特攻隊員についてであった。遺書もあり、田村一尉も戦時中について研究していたと言う

 

かれら特攻隊員はみな幼く、純粋である。全員判で押したように、国のために喜んで身を捧げますと書いてあった。両親、愛する者達への告別の言葉を記したものもいる

 

 勿論、『俺も後から行く』と言いながら部下達を特攻に送り出し、結局はのほほんと生きながらえた指揮官達もいた。しかし、特攻隊の英霊に謝すと遺書に記して自決した大西中将もいたのである

 

そのため、提督も艦娘達も無茶な作戦はしない。過ちを起こさないためである。いや、艦娘なら大丈夫だろう

 

彼女達は命を無駄してまで戦うほど、愚かではないのだから。『艦だった頃の世界』だけではなく、『平行世界の日本』からも学んだのだ

 

 

 

矛盾した事実を気に留めず、ただ理想のために戦い進んでいく

 

その先に破滅も孤独もありはしない。あるのは――求めていたモノだけ。

 

 結局、真の平和はそう簡単に訪れないらしい。だが、理想だけは捨てない。それがこの世界を生きている証拠だから

 

 暗い海の上を、艦娘達は航行し戦っていく

 

 

 

かくして――この特殊な任務の話は終わりを告げる

 

後の事を記す必要は無いだろう

 

世界はまだまだ続き、提督も彼女達も歩み続ける。

 

浦田重工業のような悪魔の集団は稀なものだろう。しかし、時雨達はそんな悪の集団に打ち勝ったのだ

 

しかし、それで浮かれるような事を時雨を始め、提督も艦娘達もしない

 

 浦田重工業が復活しても、心配いらないだろう。彼等は悪に立ち向かう力も精神もあるのだから

 

例え亡霊が復活しても……その時は全力で阻止する

 

 

 

提督も時雨も艦娘達も気づいた

 

理想は夢想で終わるはずがない

 

 時雨は、世界を救うだけでなく、新たなる日本、そして新たなる世界を創り出す可能性を見つけたに過ぎない

 

タイムスリップ作戦は、間違いなくその幕開けを切り開いた

 

そう信じたい

 

時雨はその事を誇りを持っていた

 

いつか世界が真の平和が訪れるように――

 

――例え困難な道のりだろうと。

 

 

*1
憲法絡みで自衛隊は違憲と唱える政党はいたものの、現時点では誰一人自衛隊や日米安保を廃止した者はいない。社会党の村山首相は政権を取ると手のひらを返したように自衛隊を合憲。まあ、日本の安全保障を考えたら、絵空事だけでは実行できないと言う好例でもある。尤も、民主党政権時代も右往左往して結局、何がしたいのか分からなかったり(国連待機軍……本気でやろうとしていたのだろうか?)

*2
扶桑山城の場合、改二に必要な資源は弾薬2400、鋼材である3500。武蔵や翔鶴などになると……。余談ではあるが、作者は資源よりも設計図集めならぬ勲章集めに苦労した。今では全ての艦娘に大改装を終わらせたため落ち着きましたが

*3
とはいいつつも艦これのIF改装は魔改造ものが多い。武蔵改二もであるが、扶桑山城にも当てはなる。扶桑山城の改二だと『装甲強化』『41cm三連装砲10門搭載』『飛行甲板搭載』とビックリの改装である。史実でも改造案は複数あるものの、艦これの場合は全て反映させている。実艦でやれば間違いなく費用対効果に見合わないため、流石の旧日本海軍でもこんな無茶ブリな改装はしないだろう。艦娘スゲー妖精スゲーになるが、そこは気にしない(今に始まった事ではない)

*4
艦これ装備であるS-51Jネタ。戦後機体ではあるが、原型であるR-5の初飛行は1943年8月であり、1945年にはアメリカ陸軍航空隊に納品されています。なので一応ですが、戦中の兵器でもある。まあ、震電や橘花より余程、実現性がある装備だったりする

*5
海上自衛隊はS-51を導入した。ただ哨戒機としての能力は低かったらしく、主に練習機として用いられて導入してから十年後には退役した




皆様、今までありがとうございました。
これにて『時雨の特殊任務』は完結となります。
賛否両論なSSだったとは思いますが、こうして無事完結させる事が出来たのも皆様のおかげです
この後の展開については今のところは何も考えていません

 ……まあ、あるにはあるのですが、プロットも完璧なものではないため、まだ試作段階です。ただ、もし続編が出るのであれば、その時は深海棲艦がメインだろうと思います
続編がないときは……田中 湊が持っていた遺品は、ただの飾りとなります
まあ、『鰯の頭も信心から』とはこの事です
ので、それまで各自の想像にお任せします

実は112話から117話までは後日談にしようかなと思っていましたが、その必要性ないだろ、という事で本編に組み込みました
ラストの更新が遅れたのも私情だけでなく、書くのに時間がかかった事もあります。手を抜く訳にも行きませんから

後……これは私の考えです
ハーメルンの存在を知り、色々な艦これSSを見ましたが、いつもこういう疑問があります
「ブラック鎮守府にしろ、艦娘の弾圧にしろ、何で艦娘は酷い目に合っても自分の力で勝ち取れないのか?オリ主に頼るか罪の無いオリ主に八つ当たりしか出来ないのか?」
艦娘にもキング牧師のような活動家が生まれてもいいのではないか、と
まあ、書く側にも色々と有ると思いますが……

 ただこれだけは言えたりします。倫理や人権を無視したとしても、ブラック鎮守府SSは史実の神風特攻隊よりも酷いかも知れません。補給も修理もせずに沈む前提で出撃って……それほど戦況はヤバかったのか?その割には本土には被害が無かったり……

 その特攻隊も終戦まで特攻を拒否し続けた部隊もいたほどです(有名なのは海軍の『芙蓉部隊』。そう言えば、実装されましたね)。撃墜王である岩本徹三も『生きる道あってこそ兵の士気は上がる。表向きはみんな、つくったような元気を装っているが、影では泣いている。勝算のない上層部のやぶれかぶれの最後のあがきとしか思えなかった』と著書に書かれています

出撃拒否したり抗議したりする艦娘は居なかったのか?

 軍隊、取り分け個人の兵士というのは、可能な限り生き残って敵を倒すことが絶対条件。これは軍事の基礎の基礎です。本来、全ての訓練や制度はその為にあるといって過言ではないのです

古今東西、ありとあらゆる戦いで組織が死を決したとき、それは負ける時のみです
 そして負けが決定的であるのに、ただ悪戯に引き伸ばすためだけの作戦を強要する組織は、すでに死に体も同然でしかありません
 つまり組織としては瓦解している訳です。こうなると、建て直しなんてそう簡単に出来るとも思いません

 ただ誤解して欲しくないのは、国に残した人々のために、死を賭して立ち塞がろうと気高く出撃していった人々が居たことを私は疑ってはいません
 ですが、それを強要して憚らず、美談に仕立て上げ、軍事組織としての本分を忘れたことに対して容認出来ない訳です

 ネタとしてならいいかも知れませんが、リアリティーやシリアスを考慮するとちょっと考えにくいですね。もうブラック以前の問題です

 また本編では登場したオリキャラのほとんどが敵役で強力な兵器を持っていましたが、これは私の拘りだったりします

 確かにオリ主がチート能力を行使して虐げられる艦娘達を助けたりするのも有りかも知れません
 しかし、私は思うわけです。艦娘自身が巨悪に立ち向かって仲間や世界を救うのもありではないかと

 美少女で普段は大人しいのに実は強く強敵相手に立ち向かう程の精神力がある。年端もいかぬ少女を戦場へ送るなんて酷いと思われがちですが、別に艦娘に限った話ではないと思います
 別世界では銃弾を避けたり、素手で金属柱を切断したりする毛利蘭(名探偵コナン)や約300kgはあるライドベンダーを軽々と持ち上げる泉比奈(仮面ライダーOOO) などいますからね。プリキュアや東方Projectに関しても言うまでもありません

 提督や博士など味方するオリキャラはいますが、あくまでサポート……という事にしました

 ただ、巨悪の役は深海棲艦にはしませんでした。実は私自身も深海棲艦の鬼級姫級は好きでして、魔改造はしたくはなかったのですね(戦艦ル級改flagshipに変身できる浦田結衣は別です。現代兵器が敵役で使ったのもストーリー上の都合です。そこは申し訳ない……)
そのため、艦娘組に対立する悪役を作るのには苦労しました

 本作品を書いて一年半くらいでしょうか。長かったようで短かったようでもありました

それでは皆様、今までありがとうございました
また機会があれば、どこかでお会いしましょう
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(必須:20文字~500文字)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。