時雨の特殊任務   作:雷電Ⅱ

20 / 120
第20話 未来の記録4 ~降りかかる悲劇~

 時雨は手が震えていた。時雨が知らない歴史。そして、残酷な事実。指揮官は決して楽な仕事ではないと。日記の記述はもう書いている本人が変わったのではないか、と思うようになった

 

 

??月??日

 

あれから何日が過ぎたのか分からない。カレンダーも見ていない。今は冬だろう。雪が降っているから。日が経つのが早い。明石から定時連絡してくる。通信方法は週に一回に向こうから連絡を寄越してくれる。サラトガの艦載機で。日が経つ事に……仲間が減った……。艦娘達は遺言、もしくは戦闘記録とも言える手紙を書いていた。誰宛てでもない。皆は俺に預けて出撃していった。敵を撃破して帰投する者もいれば……帰らぬ者になった者も……

 

ここで手紙の一部を掲載する。誰か読むことを願う

 

 

加賀「アイオワの技術のお蔭で艦載機が簡単に落されずに済んだ。イージスシステムを持つ敵艦にダメージを与える事に成功した。専門外だけどアイオワの話だと、奴らが使う電波の周波数を妨害する程、強力な妨害電波を浴びせる事。二式大艇に特殊な電子機器を積む事によって防空網の穴を開ける。敵が周波数を変える前に飽和攻撃を仕掛け、爆撃する。損傷を与えるだけでいい。残りは戦艦重巡の大口径主砲と魚雷で食らわせる。初めは大戦果を挙げた。アイオワのミサイルと呼ばれる兵器も絶大だった。……だけど、そんな喜びも五航戦の瑞鶴は笑わない。彼女は大阪の戦いで姉を失った。彼女は人気のいない所で泣いていた。声を掛けようにも話す事が出来なかった。『新型兵器』。もし、真実を知ったら彼女は提督に爆撃するわね。最も、完成まで私や赤城さんが生き残る事が出来るか分からない。覚悟はしている」

 

 

 

千歳「提督さん、私を水上機母艦から軽空母に改装してくれて感謝している。だけど……敵の兵器改装の方が進化し過ぎた。太平洋から無数の深海棲艦が襲って。私はもうお酒を飲むのを辞めた。隼鷹も……。軽空母の仲間がどんどん減って……。だって千代田が!いつも傍に居てくれている千代田が、もう居ない!撃沈された訳でもない!敵を防衛成功して帰投する時、突然、消えたのよ!消えるのは決まって夜!鳥海も川内も分からないと言っていた。千代田だけじゃない!軽空母だけでなく重巡軽巡駆逐艦がまるで神隠しのように消える!海に出るのが怖い!……でも信じてる。海の彼方から千代田が帰ってくる日を。そしたらまたいつものようにお話しよう。それまで出撃して探すから」

 

 

 

木曾「俺に勝負を挑む馬鹿は何奴だ!と言っていた頃が懐かしい。もう敵さんが強い。お前等の指揮官は無能ではない。何で敵を称賛しているんだろう?まあ、敵は勝つためなどんな手を使ってでも戦うからな。……最近では、人間を味方に付けて俺達を攻撃してくる奴がいる。地対艦ミサイルとか言う奴を俺達に向けてぶっ放してきやがった。提督は基地の外に出る事を禁じた。外では俺達を敵視されていた。特に避難民から。提督は放っておけと言われたけど。俺は何を守るために戦っているのだろう?でも、沈む前に一度でいい。球磨姉と多摩姉にまた会いたい。語尾を言わないのか、といつもいじられていた頃が懐かしいよ」

 

 

 

鳥海「最近、任務が長引いていって厳しくなっています。アイオワの対抗兵器が有効である事に皆は喜んだけれど、それでも戦況は苦しくなっている。それに敵も動きを読まれるようになりました。私達仲間である艦娘も減った。減る度に墓標も増えていっている。その中に姉である高雄と愛宕がいる。『ぱんぱかぱ~ん』って愛宕がよく言っていたわね……。昔は顔をよく合わせていた。そして希望も持っていました。それが今は私の中で消え去りそう…。私は、何を守ろうとしているのかすらもう分かりません。唯一、分かっている事は摩耶と提督のために戦っている事。そして正体すら分からない『新型兵器』のために」

 

 

 

天津風「いい風は時々吹いているわ。私達、ブラックよりも酷い所にいる気がするけど、皆は諦めずに戦っている。司令も悪い人ではない。でも、島風はこんな状況なのに相変わらずはしゃいでいる。司令と一緒にかけっこしているけど、それでいいのかしら?私は、連装砲くんも他の娘の連装砲くんと一緒に楽しくじゃれあっている。それが唯一の楽しみ。建造されてからもう20回も出撃している。練度が低いと文句言ったけど、香取や鹿島からこう言われたわ「これがこの部隊よ。敵がいたら迷わず撃ちなさい」。……もう慣れて来る私も問題だわ。『新型兵器』に必要な時間さえ稼ぎ下れば昔みたいに戻るはず。そうよね、司令?」

 

 

 

陸軍将校「本名も所属部隊もここには記載しない。ただ私には家族はいたんだ。もうこの世にはいない。部隊の士気は依然として悪影響を受けている。艦娘だけでなく、部下達も。部隊長である軍曹が尻を叩いているが。しかし……敵も利口だ。国のトップを暗殺するわ、人を使ってこちらを攻撃してくるわ、ミサイルと呼ばれる兵器でこっちが危うく死にかけるわ。ゲリラ達を捕まえたが、ただの民間人が武器を持っていただけだ。敵は食料と水をエサにして人間を従えている。艦娘と提督を殺したら褒美をやるぞ、と。実際、そんな事はない。博士の論文通りだと皆死ぬのに。ある日、艦娘達と兵士達との間で言い争っているのが見えた。部下がゲリラ5人を捕まえたが、追い出そうとする艦娘と情報を聞き出すために捕虜として扱う兵士達との間で衝突が生まれた。私は仲介に入った。1人の部下から銃を奪うとその場で捕虜を射殺した。余りの出来事に皆は声も出なかった。アイオワは聞いた。なぜ殺したのかと。理由?これが俺達の答えだと。提督である少佐に負担しないためだと。少佐も心が半分壊れている。敵から送り付けられたビデオを見て……。艦娘達には希望が必要だ。だから少佐、死ぬまで壊れるんじゃないぞ」

 

 

 

??月??日

 

 ある日、軍の使いから提督の手紙だと言われた。手紙は母からだった。神通は良かったですね、と言ってくれた。封筒を見たが、宛名を見て違和感を覚えた。……筆跡が母のものではなかった。幼い頃から知っている。見違う訳がない。爆発物かと思い、明かりを透かして見たが、入っていたのはビデオテープだけ

 

 早速、再生したが……映像が衝撃的だった。行方不明になっていた艦娘達が映っていた。千代田、飛鷹、高雄、阿賀野、古鷹、名取、那珂、雷、五月雨、漣……。人数が多く、全員ボロボロだった。海外の艦娘も数名確認出来る。ボサボサの髪。痩せこけた体。彼女達が来ていた服は見る影もなく、血と泥でドロドロに汚れていた。生傷が、破れた服のいたるところから覗く

 

『提督、聞コエテイルカ?』

 

音声から冷たい声が流れて来た。彼女達はその声を聞くと身体が震え、泣きだす者までいる。画面に深海棲艦のボスらしきものが映る。戦艦ル級……いや、違う。度々目撃されていた深海棲艦の指揮官らしきもの。戦艦ル級改flagshipだ。金剛と榛名2人を沈め、長門を深手を負わした奴だ。重巡ネ級が目を光らしており、理不尽な暴力を振るっていた

 

『オ前ハシブトイ。『新型兵器』ヲ開発シテイル。我々ヲ殺スタメノ。武装ヲ解除シ降伏シナケレバ、コイツラハ死ヌ。心配スルナ。衣食住ハ保障シヨウ』

 

「提督!こいつの言う事聞いちゃダメ!」

 

大阪の戦いで行方不明となっていた古鷹が身を捩ってカメラに訴えたが、重巡ネ級に殴られた。古鷹は倒れ、そのまま動かなくなった。気絶したのだろう

 

『サッサト降伏シロ!オ前達ハ孤独ダ!国カラ捨ステラレ、国民カラ敵視サレタ今、オ前ガ戦ウ理由ハナイ!『新型兵器』ヲ渡セ!我々ガコノ世界ヲ支配スル!』

 

「クソったれ!!」

 

 

 

 気付いたら陸軍将校に抑えられていた。俺は無意識に棒を持って部屋を暴れていたらしい。持っていた棒は軍曹に取り上げられた。長門と神通が入って来て何事かと聞かれた

 

「何があった!」

 

「分からん。デカイ音が聞こえて駆けつけれたら、お前らの提督が暴れていた」

 

長門と神通は顔を見合わせた。何があったか聞いたが、俺は無視した。モニターとビデオデッキがあった事から何か見たかもしれない。そう思った長門はモニターを付けようとする

 

「見るな!あのクソ野郎、殺してやる!」

 

押さえつけられながらも俺の叫び声を無視してテープを再生した。後は語るまでもないだろう

 

「なんて事だ」

 

長門も映し出された映像を凝視し、将校も軍曹も唖然としていた。神通は……表情がこちらから見えなかった。ただ両手は固く握られていた

 

 

 

○月×日

 

「敵の罠だ!ワザと位置を教える敵がいるか!」

 

「でも、見捨てる事は出来ません!捕まった仲間があんなに……」

 

艦娘達の意見は別れていた。あの映像は本物だった。しかも、わざわざ丁寧に居場所も教えるおまけ付きの映像。そのため、捕まった姉妹を取り戻すために敵拠点を攻撃し救助する者。慌てず様子を見る者。しかし、強行突入しようとする意見が多かった

 

「どうする、提督!」

 

「簡単だ、敵に砲弾をご馳走させる」

 

俺は怒りでどうにかなってしまいそうだ。『新型兵器』を教える訳には行かない。しかし、仲間を見捨てる事は出来ない。もう仲間を失ってたまるか!

 

「これまで散々、酷い目にあった。あいつらの思い通りにさせてたまるか。人語を話す深海棲艦を捕まえて仲間の居場所を吐かせるんだ」

 

艦隊を編成させ出撃させた。アイオワから警告されたが、それも承知で作戦を強行させた。奮戦はしたものの……結局は返り討ちに会い、長門や赤城を始めとする多くの艦娘が撃沈された

 

 

 

??月??日

 

…………………

 

 何で俺はまだ生きているのだろう?何故かって。そりゃ……まあ、これは記録だ。

 

俺ほど間抜けな司令官はいないよ。感情的になって……部下を……艦娘を無駄死にさせてさ。仲間を辱められた映像を見て、あれほど復讐に燃えていた艦娘も今では誰一人いない。基地内は絶望的な空気に満たされていた。救助作戦で生き延びた艦娘はもとより、艦娘達の士気は大幅に低下している。見えない恐怖に体を震わす者。工廠の解体に足を運ぶ所を妖精や他の仲間に止められ騒動を起こす者。墓石の前で一日中座り込む者……

 

もう……限界だ

 

 

 夜、俺は外に出た。敵はここの基地を爆撃して来ない。アイオワが配備してくれた携帯用地対空ミサイル(FIM-92)があるからではない。恐らくこちらから降伏して来るのを待っているのだろう。『新型兵器』であるタイムマシンの状況も絶望的だ。艦娘で送れる人も艦種も限定的だ。駆逐艦だけ。昔の俺が駆逐艦の艦娘を見て信じる訳ない。計画を練り直さないといけないが、中々いい案が浮かばない

 

 誰もいない事を確認すると、俺は拳銃に弾を込めた。たった一発あればいい。俺の身に何かあれば、大淀が後を引き継ぐ

 

 救助作戦が失敗した3日後、敵はまたしてもビデオを送って来た。映し出されたのは、標的艦と称して捕虜の艦娘をミサイルで攻撃する残酷な映像だった。皆は提督や俺の名を叫びながら爆沈していった。俺の失態だ。捕虜となった艦娘は俺を責めればどんなに良かったか。しかし、捕虜の艦娘達は俺を非難しない。助けを求める者もいれば……別れを告げる者、告白する者……。何で皆は俺を非難しないんだよ!

 

 

 

「ごめんなさい…… 私…ここまでみたいです……」

 

五月雨が逃げずにミサイルが着弾する直前までカメラに向かって笑っていた。ボロボロなのに……初めて会った艦娘の1人なのに、こんな形になるなんて……。人の死でこんなに悲しんだのは初めてだ。親父の死よりも悲しんだ

 

 

すまない、みんな……

 

 

俺は口に銃口をくわえ、人差し指に力を入れ引き金を引こうとした

 

突然、何者かに押し倒され、手にしていた拳銃は取り上げられた

 

「提督、何しているんですか!」

 

 神通が悲痛な声を上げていた。川内が息を切らしながら拳銃を俺の手の届かない所まで高く掲げている

 

「川内姉さんが貴方が出て行くのを見ました。いつもと違う歩き方をしていたので、不安になって追いかけて見れば!」

 

「そうか……」

 

 俺は埃を払いながら立ち上がった。そう言えば、那珂も沈んだっけ?2人が俺を殺してくれればどんなに楽だろうと思っていた。しかし、彼女達は取り上げた拳銃の銃口をこちらに向けていない。艤装もない

 

「なぜ俺を殺さない?那珂を沈めたのは俺だぞ?」

 

「貴方のせいではありません」

 

「それで俺が納得出来ると思っているのか!?」

 

俺は吠えたが、神通を見てはっとした。彼女は大粒の涙を溢している

 

「提督を非難しても沈んだ仲間や那珂は帰って来れないくらい皆は分かっています!それに……それに貴方がいなくなると私達はどうなるのです!?解体か敵艦に沈められるかのどちらかしか道はありません!戦う目的まで奪わないで下さい!負けるなんて嫌です!」

 

「もうこれは俺の手に負えない。『新型兵器』なんて」

 

「そんなの関係ないです!」

 

 普段はおっとりの神通とは思えない程の気迫だった。救助作戦の時に仲間が次々とミサイル攻撃を受ける中、怯まずに突撃し、敵陣の懐に入ると鬼神如く暴れまくったと聞かされた。いや、それ以前にも似たような報告を聞いた事があった。半信半疑だったが、今ではわかる。気弱で控えめな雰囲気とは思えない彼女の姿だった

 

「皆、貴方を期待しているのです。私達が建造されてから、貴方はいつも面倒を見てくれました。軍から理解されなくても、国が半壊しても貴方は逃げずに私達を指揮していた。だから皆は提督に応えているのです。……もうこの戦争の勝敗は決しているでしょう。『新型兵器』がどのようなものなのか知りません。ですが、これだけははっきりと言えます!貴方はこんなところで死んではいけない人です!!」

 

神通の説得に俺は頷いた

 

「……判った、お前には負けた。そうだ…俺にはまだやるべき事が……」

 

 

○月×日

 

 作戦を練り直すため拠点を動かした。場所は元横須賀鎮守府。瓦礫の山だったが、陸軍の工作兵と支援で出来てくれた夕張と工廠妖精が不眠不休で地下施設を大幅に改装した。もう抵抗する事は出来ないが、見回りくらいは出来る。そして、俺は長門達が以前から進言していた究極兵器の開発を許可した。俺がこんな兵器を開発するのを許可するとはな。ウランは無事に手に入った

 

 ……代償にアイオワが……。お前もウォースパルトもプリンツオイゲンもサラトガもこの国の艦でないのに、俺の計画のために戦うなんて……

 

 

○月×日

 

 もう敵に遊ばれている。時雨の報告だと、ミサイル二発しか撃って来なかった。追撃して来ない所を見ると、明らかにこちらを舐めている。だが、こちらを地下貫通爆弾で一掃しないのを見ると、敵は『新型兵器』の噂を信じている。なぜだろう?矛盾があり過ぎる

 

 父親の論文を再度調べて見た

 

 おかしい……。浦田重工業が崩壊した日から父親が殺された日の間に深海棲艦が変わっている。いや、変わり過ぎている。最新鋭兵器だけじゃない。内側まで変わっている。しかも……しかも鬼や姫クラスが見当たらない。親父の論文に嘘はない。写真や絵など証拠まであるのに、目撃情報が1つもない。訳が分からない。こんな事あり得るのか?

 

 

 

まさかと思うが……

 

 

 

○月×日

 

 遂に完成との連絡があった。後は……艦娘達にどう伝えていいのか。『タイムマシン』で過去に行く艦娘が気になるが、上手く昔の俺を説得出来るのか。『新型兵器』が兵器ではないと薄々気付いている艦娘が何人かいる。川内、神通、陸奥そして時雨……

 

今思うと、俺は失敗して気付く人間だ。地下から出て外を眺めたが、かつて栄えていた街はもう瓦礫の山となっていた

 

 二日前、救助作戦で参加していた赤城の艦載機、彩雲がこちらに来た。妖精が言うには、方角が分からず飛ばし、不時着した場所が北海道だったという事。生き残った軍と接触しこちらの状況を伝えたこと、そして俺の母が居たこと。敵の猛攻撃で札幌が攻撃を受け、猛攻撃の隙間から命からがら飛んで逃げたという事……

 

 

 

 もう分かっていた事だ。怪獣を倒すには石ころだけではダメだ。倒す力があるのに後手に回り過ぎた結果、誰にも止められない程、怪獣は強くなってしまった

 

 そう言えば、ウォースパルトが話していたっけ?あるSF小説だ。地球侵略しに来た火星人がやって来ても、人間は火星人を過小評価した。三本脚の機械がロンドンを蹂躙し始めて危機的状況に気付いた時には、既に手遅れだった。このまま人類が負けると思われた時、火星人は病原菌で倒れ全滅する。実は火星人は免疫を持っていなかった。そのSF小説では危機は去ったが、こちらの世界はそれがない

 

 

 

 人間は既に負けた。海を見つめていると遠くで深海棲艦がのんびりと航行しているのが目に入る。奴らの住む場所は海の底だ。その海の底の何処かに……沈んでいった艦娘が俺を待っている

 

 この日記を読んでいるのが過去の俺か時雨かどうかはどうでもいい。……作戦が全て終わると……俺は旅に出ようと思う。批判されてもいい。殴られてもいい。ただ……ただ、あいつらにまた会いたい

 

 新型兵器の真相を知って激昂した天龍に刺されるか、瑞鶴の爆撃に会うか、自爆用の核爆弾の爆発を浴びるか分からない。短い人生で散々な目に会ったが、大切な思い出もあった。もう十分に生きた

 

後は頼んだ

 

 

認識番号MO24-454356H  元海軍少佐      

 

 

 

 

 

 

 

 

「何でこうなったんだよ!約束したじゃないか!」

 

 時雨は大粒の涙を流し泣いた。どんな事があっても僕達の前では、立派に指揮をしていた。しかし、実際は違った。提督の心は衰弱していた。時雨も知らない提督の一面。だから……だから、提督は激昂した天龍が提督を殺そうと刀を振り上げても提督は逃げもしなかった。既に死を覚悟していた

 

直ぐに立ち上がり出て行こうとするが、提督に掴まれた

 

「何処へ行く?」

 

「未来に行かなきゃ!だって提督が!」

 

「落ち着け!お前の任務は歴史を変える事だろ!」

 

時雨は座り込む。気付かなかった。提督は追い込まれていた。仲間の死を。何一つ守れなかった無力さを。非情な作戦を実行してしまった後悔を

 

「信じた理由は俺の事が書かれていた。俺しか知らない。未来の俺は、諦めていない。託したんだ。だったら、俺達で食い止めなきゃ。やり直す唯一のチャンスを、未来の仲間の死を無駄にしないために」

 

 時雨は号泣した。日記の内容は悲惨なものだった。提督はずっと艦娘を見守ってくれた

 

「俺は親父を嫌った。しかし、心のどこかで信じたかった。親父が考えていた事は正しかったのだと。だから、艦娘を置いて逃げ出さなかった。今の俺なら分かる」

 

暫くして時雨は泣き止み、提督と向かい合った

 

「そうだよね。こんな所で諦めちゃダメだ。未来の提督の思い。何もしなければ、海外の艦娘まで申し訳ないよ」

 

「海外の艦娘?」

 

「うん。海外の艦娘達は祖国よりも僕達を気にしていた。特に戦艦アイオワは凄かった。だって敵の最新鋭兵器を奪って身に着けたから。僕も一緒に戦ったけど、本当に凄かった。僕達が出来なかった事を成し遂げたんだから」

 

時雨は無理に笑った。もう迷わない。悲惨な未来を変えないと

 

 

 時雨が目を充血しながら笑顔を見せると俺は頷いた。ただ最後の言葉には少し間違いがある。未来の俺は時雨を考慮したのか、アイオワの事はワザと書いていなかった。別のノートに書かれていた

 

 

敵の最新鋭兵器の正体を

 




次話はある戦艦についてです

今、秋イベやっているため投稿が遅れるかも知れません
E1E2は案外、甲でもいけそうだな(現在E2攻略中)
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。