艦娘達は進撃する。『新型兵器』である計画に必要な資源を確保するために
アイオワを旗艦に機動部隊が前進する。と言っても大阪で全体の1/3程の艦娘が沈められたため、編成もバラバラだ。正規空母が少ないため、米空母であるサラトガまで動員された
連合艦隊、機動部隊
第一艦隊、旗艦はアイオワ、赤城、加賀、瑞鶴、サラトガ、霧島
第二艦隊、旗艦は比叡、足柄、秋津洲、神通、島風、時雨
全員、改か改二であり最強の集まりかも知れない。サラトガもMk.IIに改装された。しかし、苦肉の策が何処まで通用するか……。ある意味、博打に等しい
「アイオワ。聞きたい事があります」
「What? 霧島、敬語はいいわ」
アイオワは気楽に話したが、霧島は心配そうな顔をしていた
「貴方の装備…第三砲塔がないのは何故?それに、その装備は……」
「Enemyから奪った。それを活用している、それだけ」
他の艦娘からは納得がいかなかった。なぜアイオワだけが敵の装備を使えるのか?アメリカの艦娘の事もあり、特に舞風や香取との関係はギクシャクしていた。しかし、アイオワはそんな事よりも敵の兵器が気になっていた。
米海軍を真似した深海棲艦。イージス艦を模した軽巡ツ級。ミサイル艇を模した駆逐ナ級とニ級。ヲ級改はジェット機を搭載している事から未来の米空母を模しているのだろう。重巡ネ級と戦艦ル級は変わっていないが、射撃システムは変わっているに違いない。対艦ミサイルは艦の上部構造物に打撃を加えるのが目的。そうすれば、レーダー等各種センサー類などにダメージを負い、その艦は事実上戦闘不能。場合によっては、艦は生き残る事がある。つまり、生き残りを狩るための戦力だろう。艦娘に対艦ミサイルを浴びせ、大破している所を止めを刺す。敵の戦術は恐らくこうだろう
米海軍を取り入れた深海棲艦……。聞けば深海棲艦は浦田重工業を襲い、研究開発していた最新鋭の軍事技術を奪って自身にとり込めたとアドミラルは言っていた。……が、アイオワは未だに疑問があった。異世界とは言え、未来兵器を簡単に造れるのだろうか?そして、近代兵器を奪った深海棲艦も使えるものだろうか?
「アイオワさん……。貴方は大丈夫ですか?」
声を掛けられ我に返ったアイオワ。周りを見るとこちらに視線が集まっていた。加賀が近寄り、気になっていた事を質問した
「アイオワさん。提督と何を話されていたかは知りません。しかし、艦載機を上げて索敵しないどころか電探まで切っているのか不思議です」
「加賀…。enemyの兵器はただ強力なアタックだけではない。僅かな電波も解析される。しかも、どんな電波なのか分かるどころか、位置まで特定されてしまう」
艦載機を上げてもイージス艦のレーダーに引っかかって位置も分かってしまう。イージス艦に搭載されているSPYと呼ばれるシステムは、確か最大探知距離は500km、同時に追尾できる目標数は200以上。しかも、これはあくまで公式だ。実際のデータは流石のアイオワも知らない。偵察機を上げればこちらの位置が分かってしまう。かと言ってレーダー波を出しても、探知されればこちらに位置を知らせているようなものだ。これは無線封鎖ではなく、電波管制である。敵も電子戦には熟知しているはずだ
「高度な逆探知能力?しかし、これでは何も分かりません」
霧島は歯がゆかった。先に見つかれば負け。しかも敵は長距離からの攻撃が可能。こんな相手に勝てるのか?その時だった
「あれは……ロケットが接近!」
「
比叡とアイオワ所属の妖精の悲鳴じみた叫び声に、アイオワは反射的に命令を発した
「チャフ発射!」
艦載用のデコイ展開システムであるMk.36 SRBOCからチャフを発射させアルミ箔の雲を展開させた。しかし、CIWS展開には間に合わない!
「
英語を理解出来ない人でもこの状況は理解出来た。2発のミサイルはアルミ箔の雲に惑わされ突っ込み、空中で爆発した。爆発の衝撃で数人の艦娘が吹っ飛ばされた
「ううう……」
「何処から?一体、何処から」
「南西の方角!電波管制解除!レーダーを展開させて!」
アイオワはマシンガンのように命令を下した。現代戦はスピードが大事だ。そもそも軍艦の砲撃戦は、WWⅡ以降行われていない。英海軍とアルゼンチン海軍が闘ったフォークランド紛争ですら、ミサイルの撃ち合いに終わっている。海上数メートルを飛来する対艦ミサイルを探知して処分するまで数秒の間で処置させないといけない。イージス艦があれば楽だが、生憎こちらにはいない
こちらの位置が分かった時点でミサイルの雨が来る!アイオワはレーダーを展開させたが、スコープはクリア……いや、複数の高速飛行物体が来ている!数は10!
「
「ECM起動、各艦CIWS迎撃!」
接近するミサイルを妨害電波で目潰し、効果がないミサイルはCIWSで迎撃。ECMはともかく、CIWSは何とか各艦娘に行き渡っていた。担当員である妖精も操作方法を教える事に成功した。しかし、悲しきかな。イージス艦ではないため、撃ち漏らしは出てしまう。大多数は撃墜出来たものの、2発は比叡と足柄にそれぞれ命中してしまい、比叡は中破、足柄は大破してしまった
「ミサイルが飛来した方角に敵艦隊がいる!」
「攻撃隊、発艦!」
赤城加賀と瑞鶴サラトガは攻撃隊を次々と発艦させていく。直掩隊は少しだけ残し、残りは全て敵艦隊に向かわせた。二式大艇を随伴させて
「あれは役に立ちますか?」
「大丈夫よ」
二式大艇にECMポットと
一方、空母機動部隊である深海棲艦は困惑していた。哨戒任務に当たっていたE2Cから艦娘を発見したため、ミサイル攻撃を行ったが、命中しない。いや、命中しているミサイルもあるが、たった2発だけ。命中率が下がっているのだ
何が起こったのか分からない。機器類をチェックさせたが、異常なし。そんな疑問を他所にレーダーに反応があった。艦娘の空母からおびただしい艦載機が上がった。直ちに艦載機を上げる必要があるが、数が多い。編成を二つに分け、敵機の迎撃。もう一つは敵艦隊の攻撃だった。再び対艦ミサイルによる攻撃を行ったが、突然、レーダーから捉えていた艦娘が消えた。……いや、違う。E2Cが撃ち落された。これではOTH…水平線以遠での攻撃が出来ない。ハープーンは目標への大まかな位置情報の入力もせず、飛翔方向のみ指定し発射することも可能であるため、再び数発発射したものの、確認する事が出来ない。しかし……まるでこちらのシステムを知っているかのようだった。どうやって知った?
「円盤がついている航空機を最優先で撃ち落として、何か意味があるの?」
瑞鶴は不満だった。アイオワから『E2Cホークアイ』という偵察機を見つけたら最優先で撃ち落せと出撃前に言われた。攻撃隊が敵艦隊に向かう途中に発見し、直ちに震電改で追跡、撃墜させた。なぜ震電改かと言うと、ホークアイは約620km/hと高速なので零戦やF6Fには無理だからだ
偵察機くらいで躍起になって落とさなくてもいいと思う艦娘達だが、アイオワは違った
E-2C。つまり、早期警戒機がいるということは、敵は戦術データリンクを持っているということだ。これは音声情報だけでなく、位置情報や状態の情報、レーダーを一括して送受信できる。そのため、イージス艦やジェット機などは自分のレーダーに探知出来なくても、他部隊(主に早期警戒機)から情報を元に長距離、中距離ミサイルが撃てるからだ。艦艇の水上レーダーは水平線に遮られて50キロ程しか探知できないため、ハープーンの長所である100キロ以上の敵をOTH(超地平)攻撃するには航空機の支援がいる。過去の戦闘記録に突然、攻撃を受けたとあるので間違いない。提督は躍起になって敵の兵器能力を解析しようと頑張ったらしいが、残念ながらこの時代では無理だろう
「敵艦隊にwinするためです。接近して攻撃します」
その間に深海棲艦の40機の攻撃機は2つに分かれた。1つは艦娘。もう1つは艦載機を迎撃する事。二部隊とも自機のレーダーに捕らえ、ロックした。艦娘に対してはハープーンを、艦載機に向けてAIM-7スパローを複数発射した。ジェット部隊は楽観視していた。ミサイルを撃てば敵に勝てると。艦娘は躍起になってこちらを攻撃するが、ミサイルの前には敵わない。レーダーではもうすぐ着弾する。
3……2……1…………?
ジェット部隊は困惑した。レーダーにはミサイル命中した形跡がない。艦娘の艦載機の編隊は健全だ。故障かと思ったが、全て故障する訳がない。ハープーンも同様だ。イージス艦も含め20発撃ったハープーンが3発しか命中していない。こんな事は初めてだ。指示を仰ぐが、空母ヲ級改も軽巡ツ級困惑する始末だ。なぜ、急にミサイルが通用しなくなったのか?
「Are you alright!?」
「な、何とか……!もうダメかと!」
アイオワのECMと各艦娘のCIWSによって対艦ミサイルのほとんどは撃墜出来た。また、アイオワと明石が提案した三式弾を改造したアルミ箔弾頭の三式弾乙のお蔭でミサイルを狂わす事に成功した。しかし、赤城、霧島、瑞鶴に命中し大破してしまった
「飛行甲板が……」
「ダメージコントロールを急いで!こんな所で出し惜しみすると撃沈する!」
比叡、足柄を始め艦娘達には『応急修理女神』を装備しており、立ち直らせる事に成功した。対艦ミサイルの威力が絶大だが、場合によっては立ち直らせる事が出来る。
実際にミサイルフリゲート『スターク』がイラク軍の空対艦ミサイル『エクゾセ』を二発食らったが、ダメコンの活躍によって沈没は免れた。提督に『応急修理女神』の使用の許可を願い、提督も渋々と認めた。艦載機の方も大丈夫だ。二式大艇に積んでいた電波妨害装置(ECMポッド)のお蔭で艦載機は中距離空対空ミサイルの雨を受けずに済んだ。ジェット機は赤外線誘導ミサイル(AIM-9L)を使うだろう。しかし、200機近くのレシプロ機を全て撃墜するのは難しい。ジェット機は予想外の出来事に躍起になっているに違いない。米海軍なら冷静に対応するだろうが、相手は深海棲艦だ。妨害技術を初めて目の当たりにするだろう。アイオワは若干、楽観視していた
アイオワの思い込みはある意味、正しかった。深海棲艦は躍起になっていって敵を攻撃したが、いずれも失敗している。短距離空対空ミサイル『サイドワインダー』を使って撃墜しようとした。今度はデカイ飛行艇を除いて撃墜出来たが、艦載機は撃墜されても、めげずに空母ヲ級改を目指している。しかも、デカイ飛行艇から幾つものの火の玉が出ており、ミサイルは全て火の玉に吸い寄せられる。赤外線誘導兵器の回避手段であるフレアである事は分かっていたが、なぜ二式大艇に積んであるのか理解出来なかった。艦娘も同じだ。艦娘の艦隊を捕らえ、第二攻撃を仕掛けようとした時、ミサイル警報が鳴り響いたのだ。アイオワから白い煙が何筋も上がっているのを見て、ジェット部隊は慌てて回避行動に移った。なぜ、アイオワに艦対空ミサイル(SAM)が装備されているのか分からなかった。チャフフレアを発射し、対空ミサイルを食らわずに済んだ機体もいたが、対応しきれず撃墜された数が多かった。機体の損失を恐れた空母ヲ級改は引き返しを命じた。ジェット機は貴重だ。大量喪失したら、補充するのに時間がかかる。深海棲艦が大混乱している内に艦載機がこちらに近づいてきた。
艦娘の艦載機が迫って来たのを確認した深海棲艦は、直ちに対空戦闘を始めた。
空母ヲ級改にイージスシステムを持つ軽巡ツ級3、対艦ミサイルを持つ駆逐ナ級2に重巡リ級1。艦娘と比べて数は少ないが、この編成だけで艦娘に大打撃を与えた。再び対空ミサイル攻撃を行おうとした時、高速で近づく飛翔物体48発を捕らえた
対艦ミサイル?バカな!艦娘はこんな兵器を持っていないはずだ!直ちに対艦ミサイルの迎撃を行ったが、何しろこれは初めてだ。ECM、シースパロー、単装速射砲、CIWSで対応し迎撃したが、2発だけ撃ち漏らしが発生した。1隻の軽巡ツ級はハープーンミサイルを、重巡リ級はトマホークミサイルをくらい大破してしまった。重巡リ級はともかく、軽巡ツ級は大問題が発生してしまった。今のミサイル攻撃でアンテナ類とコンピューターが全て破壊されたため、イージス機能を喪失してしまった。大破したイージス艦は後退せざるを得なかったが、艦娘の艦載機が接近してくる。いつものようにシースパローとスタンダードで片付けようと発射したが、今回は命中した数が少ない。ジェット機も弾切れになっている。スパローは撃ち尽くしてしまった。代わりにM61バルカン砲で銃撃しても、艦娘の艦載機はジェット機は目もくれずに深海棲艦に向かっている。デカイ飛行艇(二式大艇)を撃墜しようとしたが、相手は速度を落として超低空飛行してやり過ごした。お蔭で速度差があり過ぎて狙いにくい。二式大艇しぶとく生き残っているため、電波妨害を取り除く事が出来ない。ECCM(対電子妨害対抗手段)も視野に入れて妨害電波出しているのか、火器管制レーダーが正常に機能しない。慌てて対空砲火で片付けようとしたが、数が多すぎる。イージス艦である軽巡ツ級は凄まじい機動力と主砲とCIWSで空母ヲ級改を守っているが、それでも対処出来ない。空母ヲ級改も再びジェット機を発艦準備にかかったが、降ってくる爆弾と魚雷から守るため回避行動を行うため発艦が出来ない。しかも、空母ヲ級を中核とする機動部隊の周りに水柱が沢山出ている。しかも、上空で爆発が起き、アルミ箔を降らせて来る。艦娘である戦艦がこちらに向けて砲撃を開始した
「射程に入り次第、ATTACKして!」
アイオワは16インチ砲を射撃していた。アイオワは既に対艦ミサイルを全て発射したので、残りは砲撃するしかない。イージスシステムを持つ軽巡ツ級の1つと重巡リ級は大破成功したが、残りは健在だ。アイオワは仰角最大で既に砲撃を開始している。アイオワの主砲の最大射程は約3万9千メートル。通常弾、徹甲弾の他に三式弾乙まで撃っている。電波障害を起こすためだが、どれだけ効果があるか分からない。ただ、ミサイル攻撃して来ないのを見ると、効果はあるのだろう。金剛型である霧島と比叡はまだ射程に入っていないため、艦娘全員は全速力で敵艦隊に接近していた。空母組も残りの攻撃隊を全て発艦させた。敵に有効な攻撃を与えている以上、手を緩める必要なんてない
深海棲艦は恐怖に包まれた。近代兵器は専ら飛び道具だ。それに対して、砲熕兵器は127mm単装速射砲一門だけだ。接近戦に持ち込まれると、これらが不利だ。命中率は非常に高いが、威力は限度がある。装甲も紙装甲だ。しかも、上空には艦載機による爆撃と雷撃を躱さなければならない。既に駆逐ナ級がやられた。緊急信号を発したが、妨害電波のせいで送れない。発信源はアイオワと二式大艇らしいが、艦載機と砲撃が邪魔して上手く狙いない。まさかの苦戦に深海棲艦は焦りを感じた
狙い通りだとアイオワは思った。イージス艦と言えど、限度はある。近代兵器は、そんなに都合がいい兵器ではない。兵器の性能差はあるが、物量で圧倒する事は可能だ。航空機だけならイージス艦で、艦隊だけなら空母での対処は可能だろう。しかし、複数の敵とエンゲージしたら撃ち漏らしは必ず出て来る。しかも、こちらは電子戦を活用して挑んでいる。三式弾乙によるアルミ箔の雲も有効だ。深海棲艦の艦隊の頭上にアルミ箔の雲を漂わせている。アルミ箔も米軍が使用しているであろうレーダー波長に合わせ切ってある。ミサイルが上手く誘導出来ないのを見ると、大当たりだ。こちらもレーダーや無線などに影響があるが、こちらはハイテクではない
やっぱりだ。予想通りに敵は、米海軍を模している。火器管制レーダーとSPYをどうにかすれば、接近出来る。その目論見は成功した。そして、砲撃戦に持ち込めば勝てる。ジェット機も立ち往生だ。艦隊にたかっているレシプロ機の大軍相手に四苦八苦している。なぜ、そうなったかと言うと性能差が開きすぎてやりにくいからだ。ジェット機は確かに速いが、直線的にしか飛べず小回りが利かない。レシプロ機に合わせてスピードを落とすと失速する可能性がある。そのため、一撃離脱で撃墜するしかない。格闘戦なんて論外だ。M61バルカン砲もそんなに弾薬を積んでいない。軽巡ツ級3隻はCIWSと主砲で撃墜していたが、艦攻である流星改が放った魚雷が命中。一発で轟沈した
「やりました」
加賀の攻撃隊が成果を上げた事をきっかけに全員が、必死になって攻撃を開始した。島風は40ノットを超える速度で突進し、敵艦隊に砲撃と酸素魚雷を放った。時雨も軽巡ツ級に向けて攻撃を開始した。1隻は素早く離れたが、もう一隻は対艦ミサイルを食らったため、本来の能力が発揮出来ない。時雨と島風の12.7cm連装砲の集中砲火で、軽巡ツ級は撃沈した。2人はそのまま、最後の軽巡ツ級に向かったが、不味い事が起こった
「二式大艇ちゃんがやられた!」
「Shit!Enemyの兵器が回復する!」
レーダー妨害装置を装備した二式大艇が撃墜された。ジェット機からの攻撃からはやはり逃れられなかった
「火器管制レーダー照射されました!こちらのECMも効果はありません!」
妖精からの悲鳴が聞こえる。アルミ箔の雲があるとは言え、完全に無力化は出来ない。ECMであるAN/SLQ-32が効かないと言う事は、相手は周波数を変えたようだ。チャフのお蔭でレーダーの目は完全ではないものの、このままだと……
「No、このままAttackするわ!」
攻撃を緩めてはいけない!火器管制レーダーは恐らく、イージス艦からだ。攻撃機からのミサイルは無視しよう。こちらには短SAMとCIWSがまだある。近寄って来るF/A18EとF35にロックして攻撃すればいい。それに対艦ミサイルを数発受けても戦艦は簡単に沈むものか!
「時雨、島風!あのイージス軽巡ツ級を撃沈して!」
アイオワの命令で時雨と島風は、軽巡ツ級を攻撃したが、そんな2人の猛攻を軽巡ツ級は無誘導の魚雷を軽々躱し、単装速射砲で反撃を開始した。発射速度45発/分である砲撃を食らい続けたため、2人は撤退した。このまま受け続けても大破してしまう。そう判断した
駆逐艦娘を追い払ったイージス艦もどきの軽巡ツ級に対して、今度は艦爆と艦攻が殺到した。流星改とTBF『アヴェンジャー』が軽巡ツ級に突進し、彗星一二甲とSBD『ドーントレス』が急降下爆撃を行った
「五月蠅イ、奴ラメ!」
艦娘に向けてハープーンを発射しようにも、邪魔してくる。そのため軽巡ツ級は、手持ちのシースパローとスタンダードミサイルを全弾発射した。三式弾乙によるチャフのせいで命中率は下がったものの、それでも三分の二以上はミサイルによって撃墜された。奇跡的に生き残った攻撃隊は魚雷や爆弾を投下したが、その攻撃すら躱された。今度は軽巡ツ級は単装速射砲とCIWSを展開させ、逃げていく艦載機を追撃した。この対空砲火によって、艦娘達の艦載機は1機残らず撃墜した
「Oh my god…!全機撃墜されたわ!」
「そんな……バカな」
サラトガも加賀も驚愕した。残り1隻だけだと言うのに、軽巡ツ級の対空砲火によってまたしても全滅させられた。苦肉の策も空振りに終わってしまったのか。空母組が呆然しているが、アイオワは違った
(予想していたけれど……。イージス艦は元々、空母を守るための画期的な軍艦)
航空攻撃がダメなら、残る手段は1つしかない
「Air Attackがダメなら、砲撃戦よ!」
既に両者の距離は近い。レーダー射撃は無理だが、光学照準で命中させる事は可能だ
降り注ぐ砲弾に軽巡ツ級は必死になって防戦したが、遂に攻撃が命中した。軽巡ツ級に霧島の試作35.6cm砲の砲弾が命中し、轟沈した。アイオワや霧島、比叡は空母ヲ級改に集中砲火を浴びせ、艦載機発艦を阻止した。しかし、大破する直前、SH60シーホークの発艦を許してしまった。恐らく、軽空中多目的システムを搭載したタイプだろう。大破し逃げていく重巡リ級に止めを刺す神通に向けて、空対艦ミサイルであるハープーンをぶっ放した
「スティンガーでシーホークを撃墜して!!」
艦対空ミサイルは貴重だ。それに相手はヘリだ。アイオワの怒鳴り声で妖精はスティンガーを持ってくると、シーホークに向けて発射した。シーホークは退避行動をとったが、ミサイルは命中。撃墜することに成功した。その代わり、神通はミサイル攻撃を受け大破してしまった
激しい戦いが行ってから十数分後……砲声と爆発音が止んだ。もう深海棲艦はいない。ジェット機も尻尾を撒いて逃げた。敵艦隊を全て沈める事に成功し、艦娘は喜んだ。被害は甚大だが、初めて最新鋭兵器を持った深海棲艦を倒した
「アイオワさん、凄いね。僕なんか雨のように撃ってくる1門の12.7mm砲から逃げるのに精一杯だった」
時雨は近づきアイオワに声を掛けたが、アイオワからは返事はなかった。いや、空母ヲ級改の残骸を険しい目で見ていた。そして時雨は確かに聞いた
「
おまけ1
イージス軽巡ツ級の艦対空ミサイル(シースパロー)によりサラトガの艦爆隊全滅
サラトガ「ドーントレスが!ハットン隊が全滅した!第二次攻撃を!」
アイオワ「……ユーはワスプじゃないでしょ?」
おまけ2
提督「サラトガ、君の艦載機はどんなものを持っている?」
サラトガ「はい。F6F『ヘルキャット』とSBD『ドーントレス』そしてTBF『アヴェンジャー』です」
アイオワ「アベンジャーズ?」
サラトガ「Iowa……アメコミのヒーローチームではないわよ」
時雨「ガトリング砲?」
サラトガ「A-10Aに搭載されているGAU-8ではないわよ」
提督「2人共、何を言っている。アヴェンジャーと言えば、巨大な狼に跨った首無し騎士に決まっているだろうが」
サラトガ「提督……新宿のアヴェンジャー(FGO)ではありません。TBFの愛称です」
実際はアイオワに艦対空ミサイルを積んではいません。しかし、三番砲塔を撤去して対空ミサイルや格納庫を搭載する計画(FRAM II)はあったそうです。つまり、IFの姿です